著者
時実 象一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.490-494, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

1996年に創設した民間デジタル・アーカイブ機関,Internet Archiveは広範な文化資源のアーカイブをおこなっている。そのうち,ウェブページのアーカイブ,テレビニュースと政治広告のアーカイブ,書籍の電子化について最近の動向を報告した。また2016年6月にInternet Archiveの本部で開催された,「非集中型ウェブ・サミット(Decentralized Web Summit:Locking the Web Open)」についても簡単に報告した。
著者
田邊 稔
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.230-237, 2014-06-01

今まさにシステムライブラリアンというポジションを目指している人や現在図書館のシステムを担当している人,現状スキルはないが将来システムに携わってみたい人が,これから何を学び,どのように行動し,次のステージに向けて準備すればよいのか。筆者の26年のシステム屋としてのキャリアと,そのうち13年のシステムライブラリアン経験を踏まえて,勝ち残れるスキルおよびキャリアとは何か?を掘り下げ,徹底的に自分と向き合い,成功を引き寄せる方法を模索する。
著者
吉本 龍司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.452-456, 2016-09-01 (Released:2016-09-01)

筆者が参加する「ディープライブラリー・プロジェクト」は,専門図書館の横断検索サービス実現に向けて活動してきた。このプロジェクトのコンセプトについて,主に技術的な視点からまとめるとともに,今後の可能性についても提案する。また,近年,専門図書館のアウトリーチの必要性が高まっているが,ウェブサービスを活用したアウトリーチの手法についても,図書館蔵書検索サイト「カーリル」を運営する立場から考察する。
著者
山形 知実
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.464-469, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)

災害時にも情報へのアクセスを守る手段の1つとして,学術情報のオープンアクセス化が考えられる。本稿では,まず出版社による災害時のオンラインコンテンツ無償公開を切り口として,学術研究の加速と成果の活用というコンテンツ公開の効果と,法的に適正な利用と経済的持続性という課題について指摘する。次に,オープンアクセスの進展が,研究者による学術研究と成果発信を取り巻く環境をどのように変化させ,図書館等が行う情報の収集・保存・提供の在り方に影響を及ぼすかについて述べ,オープンであることが1つのスタンダードとなりつつある中で,学術情報流通に関わる者が今後取り組むべきことを考察する。
著者
和田 玲子 中村 栄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.366-372, 2020-07-01 (Released:2020-07-01)

経営層に戦略的IP情報を資するIPランドスケープを遂行する知財アナリストには,調査・解析ツールの機能を使いこなすデータ解析能力と,経営層にインパクトを与える事業課題を浮き彫りにし,その解決手段の候補を導き出す解析シナリオ構築力が特に求められる。AI時代は,データ解析がAIによってレベルアップし,それを用いる解析シナリオに広がりや深みを出せる,アナリストにとって追い風の時代である。本稿では,旭化成における戦略的な知財情報の活動の歴史を振り返りながら,最近のIPランドスケープの活動を紹介し,AI時代のアナリストに求められる解析シナリオ構築力とそのレベルアップについて述べる。
著者
蔵川 圭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.67-72, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)

本稿は,様々な学術的文化的データベースにおいて必要不可欠な著者識別子に焦点を当て,昨今の技術的,政策的変革の中で,それらがどのような様態をなして,どのように利用されるようになってきているのかを概観する。著者識別子は,著者名の曖昧性を排除し,学術的,文化的なあらゆる創作活動の結果である著作物を著者に正確に関係づける。著者名寄せとの対比の中で著者識別子を形式的に位置付け,現在流通する様々な著者識別子を品質の観点から整理し紹介する。さらに,グローバルな著者識別子であるORCIDとISNIが学術論文,研究データ,デジタルアーカイブを対象にしたデータベースにおいてどのように応用されるかを示す。

4 0 0 0 OA 読書の現在

著者
塚田 泰彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.508-512, 2016-10-01 (Released:2016-10-01)
被引用文献数
1

読書とはそもそもどういう行為なのか。高度情報社会となって,伝統的な読書環境から大きく変貌を遂げた現代の読書環境は,読書や読者をどう変えたのか。これらの問いに答えるために,まず読書関連の用語の定義を再確認することで,伝統的な読書観にもとづく読書行為全体の様相を視野に置いて,読書の心理的過程と社会的文化的過程の両面から現在の読書の偏りや変化をとらえた。次に,読書科学と読書教育研究の歴史をレビューして読書の研究と実践の成果を確認し,そこで得られた枠組みと論点に沿って現在の読書が抱える問題点を4つ抽出し,来るべき読者の立場からその改善の見通しについて論じた。
著者
影島 広泰
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.11, pp.579-584, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)

個人情報の実務で最初に行うべきは,どのような「個人情報」を保有しているのかの洗い出しである。個人情報とは「特定の個人を識別することができる情報」であり,改正個人情報保護法で「個人識別符号」がこれに加わった。個人情報保護法の主要な規制は,①取得の規制(利用目的の特定と通知等),②保管・管理等の規制(安全管理措置等),③第三者提供の規制(本人同意の原則とオプトアウト等),④本人の関与の4点である。改正法では,トレーサビリティに関する義務(取得経緯の確認と記録の作成保存等)と,海外にある第三者への提供への本人同意の原則が重要である。改正法の下での匿名加工情報はビッグデータとしての利活用が期待される。
著者
山内 明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.292-297, 2019-07-01 (Released:2019-07-01)

IPランドスケープは,広義では「知財経営」に相当し,難度が極めて高く実効性に欠けるため,実践企業は未だ数少ない。著者は,知財担当者の多くが特許調査に終始したり,その延長としての特許マッピングに甘んじている状況を打破すべく,情報解析に焦点を当てた「知財情報戦略」を開発し,日々実践,ブラッシュアップしてきた。「知財情報戦略」は,狭義のIPランドスケープとも称され,各種経営課題に対応可能である。本稿では,企業知財部にとって最も疎遠と目される「マーケティング」に焦点を当て,事例を中心として「知財情報戦略」を紹介したい。
著者
光森 奈美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.491, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)

11月号の特集は「日本の電子ジャーナル出版」です。今や電子ジャーナルは,研究成果の公表・流通手段として欠かせない存在となりました。誌面と同じイメージの単なるPDFファイルから,HTML形式での公開が進み,現在ではXML形式による機械可読なデータが提供されることも増えています。また,論文本体だけでなく,その根拠となった研究データの公開・共有も進められています。一方で国内においては,電子ジャーナル出版への意識はありつつも,様々な理由により困難さを抱えているジャーナル出版者(大学や研究機関,学協会等)も多いように思われます。研究成果を発信するための手段である電子ジャーナル出版を進めるうえで,今どのような対応が求められており,何ができるかを考える契機としたく,この特集を企画しました。はじめに,文部科学省 科学技術・学術政策研究所の林和弘氏に,日本の電子ジャーナル出版にまつわる現状を総括していただきました。宮川謹至氏をはじめとする科学技術振興機構(JST)情報基盤事業部の方々には,JSTが運用する電子ジャーナルプラットフォーム「J-STAGE」について,サービスの解説とともに,今後の取り組みについてご執筆いただきました。日本貿易振興機構アジア経済研究所の岸真由美氏には,ジャーナルの方針や目的に応じて,出版方法をどのように検討し,選定したのか,その経緯をご執筆いただきました。京都大学の設樂成実氏,天野絵里子氏,神谷俊郎氏には,紀要編集者にとって必要な支援や連携とは何か,「紀要編集者ネットワーク」の活動を通じて得られた知見をご執筆いただきました。国立情報学研究所の上村順一氏には,長らく国内ジャーナルの電子公開を支えてきた同研究所の電子図書館事業が,どのように始まり,どのような展開を経て終了に至ったのかをご執筆いただきました。電子ジャーナル出版に携わる方々にとって,この特集が新たな手がかりを得る機会となれば幸いです。(会誌編集担当委員:光森奈美子(主査),稲垣理美,今満亨崇,大橋拓真,南山泰之)
著者
国土地理院 地理空間情報部 情報普及課
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.232-237, 2019-06-01 (Released:2019-06-01)

国土地理院では,地図,空中写真,災害情報など,我が国の国土を表す様々な地理空間情報の整備,提供を行っている。国土地理院が運用しているウェブ地図「地理院地図」(https://maps.gsi.go.jp/)は,主に行政分野,特に防災に役立つ地理空間情報を提供するとともに,それらを手軽に活用できる機能も有している。本記事では,地理院地図の特長や機能,活用例について,地理院地図の操作方法とともに紹介する。また,地理院地図で利用されている地図データであり,地理院地図以外の様々なシステムやアプリケーションでも利用できる「地理院タイル」についても合わせて紹介する。
著者
白石 智彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.495-499, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

神奈川県行政資料アーカイブは,県が作成した行政資料のうち電子ファイルの形で作成されたものを永続的に公開するものだ。収録数が順調に増えているのは従来の紙媒体の収集制度を援用していることが大きい。検索サイトからも検索可能で,直接その行政資料にアクセスできる。収録されたものの中には既に担当部署のWebサイトから削除されたものもあるが,遡及データの提出も増えており,このアーカイブの真価が発揮されつつある。今後,更に遡及分が増加し,また単発の広報物等も増加すればより多くの県の情報を伝達できるようになる。一方,元の行政資料を作成する時点での著作権処理が必要になる場合の,自治体内部への広報活動も重要になる。
著者
坂口 貴弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.384-389, 2010-09-01
被引用文献数
1

アーカイブズ界では対象資料の独自性を踏まえつつ,図書館界の書誌コントロールに相当する領域を発展させるべく,各種の方法論や標準類が開発されてきた。本稿ではまず,記述に関する標準としてISAD(G)やDACS,EAD等について解説する。次に編成に関して,組織ベースの編成と機能ベースの編成を取り上げ,それぞれに関連する標準としてISAAR(CPF)とISDFに言及する。さらに電子記録のメタデータ付与に関する課題を指摘し,その標準化の取り組みのうちISO23081とMoReqについて扱う。アーカイブズの編成・記述をめぐる近年の動きには,図書館界の議論との共通点を多く見出すことができる。
著者
岩田 康之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.105-110, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

日本の教員養成系単科の四大学(北海道・愛知・東京・大阪。頭文字を取って「HATO」)では,協働して教員養成の機能強化の取り組みを2012年度より行っているが,その一環として,IR(Institutional Research)の手法を用いた教学改善に着手している。これは主に,入学時から卒業時に至る学生たちの意識に関する調査を協働で行い,データを収集・分析することとともに,それを各大学の内部データと関連づけて,教学改善を進めていく取り組みである。これまでのところ,学生の意識の実態解明などで一定の成果を挙げつつあり,今後は他のタイプの大学も含めて展開させていくことが計画されている。
著者
尾鷲 瑞穂 野崎 久美子 張替 香織 村上 章人
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.500-505, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

国立環境研究所は,多岐に渡る分野の環境研究を実施している環境省所管の国立研究開発法人である。研究所のオープンアクセス推進のため,平成29年度より,論文の出版に要する費用(APC(Article processing charge))の助成制度について検討が行われている。検討に用いるデータとして,オープンアクセス実態調査」を実施し,研究所で生産された論文等の研究成果がオープンアクセスになっている割合やオープンにするために要したAPC支払いの推計を行った。その結果,調査対象とした平成23年度,平成28年度ともに70%の論文がオープンアクセスになっている一方で,APCの価格が高いハイブリッドジャーナルへの掲載が増え,その支払い金額も増加傾向にあることがわかった。
著者
藤本 徹
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.502-507, 2012-12-01

本稿では,「サービスとしてのゲーム」を一つの切り口として,ゲームの要素や枠組み,そしてその社会的利用における考え方を論した。ゲームの社会的利用に関連する概念を検討し,「サービスとしてのゲーム」の観点から,ゲーム産業におけるゲームのサービス化や情報サービス産業におけるサービスのゲーム化といった異なる角度から考察した。その上で,情報サービスにおいてゲームの要素を取り入れるアプローチを3つのレベルに整理して,それぞれの特徴について図書館におけるサービス開発の文脈で例示しながら,今後このような取り組みに向かう際に考慮すべき課題を検討した。