- 著者
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三浦 麻子
- 雑誌
- 情報処理
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.4, pp.291-294, 2017-03-15
市民生活において人の気づきが重要な意味を持つ場面のひとつに政治的意思決定がある.投票は,論理的な思考を経た合理的な意思決定の所産であるべきで,その前提には能動的に情報を収集し,判断のための問いを明確化する過程,すなわち「気づき」が必然的に伴う.しかし,多くの市民の日常的な政治関心は低いため,機会が近づいて初めて情報を収集する.このような場合に,近年であればマスメディアと並んでインターネットが重要な情報源となるが,膨大な情報の海への選択的接触は限定的で偏った所産しか得られない可能性が高いというパラドックスがある.真に多様な情報に接して気づきを得るためには,偶発的・副産物的な学習が案外有効である.