著者
鹿野 利春
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.84-87, 2021-01-15

Society 5.0に向かう社会では,創造力と想像力を育み,課題解決を通じて価値創造をすることが求められている.そのための資質・能力を学校教育で育てることが必要である.高校では,全員が情報デザイン,プログラミング,データの活用などを含む「情報Ⅰ」を履修することになり,発展的な選択科目として「情報Ⅱ」も準備されている.これらを先生方が教えるために文部科学省や学会および民間企業から教員研修用教材が出されている.教科書ができてくる2021年の前半までには,科目の内容を把握し,1年間の授業イメージをもって教科書が選択できるように研修を進めていただきたい.
著者
秦泉寺 久美
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.620-626, 2020-05-15

ディジタルディスラプションの時代に老舗企業が収益構造の変革を求められている.アジャイル開発は手段として有用なはずだか,なぜか老舗企業に積極的に採用される機運にはない.その理由は旧来型の契約制度運用にあった.ソフトウェアが継続的にデリバリされ,フィードバックによって要件が進化するアジャイル開発を安心・安全に遂行するためには準委任契約をベースに,税制,下請法,労働者派遣法などの法制度を確実に遵守できる定常運用設計が必要である.こういった制度運用を整備した結果,1年半のトライアル期間に27件の準委任契約が締結され,アジャイル開発の促進が確認できた.
著者
宗藤 誠治 須崎有康
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.1284-1293, 2010-10-15

本稿では,Linux のバージョン2.6.30 から導入された,IMA(Integrity Measurement Architecture)と呼ばれる完全性情報の計測および保護を行う機能について説明する.これは Trusted Computing を実現するOSレベルの機能であり,セキュリティチップと連動することで高信頼のシステム構築を実現する.
著者
松本 勉 大石 和臣 高橋 芳夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.799-809, 2008-07-15

通常はコピーできないビデオをコピーするようにプレイヤを改造することを困難にする,ICカード電子マネーを打出の小槌に変えさせないようにするといった耐タンパー技術は,システム実装に絡むセキュリティ技術であり,その内容が非公表であることが多く実態を掴みづらい.しかし,よりセキュアなシステムの構築を目指す立場からは耐タンパー技術に関して体系的な視点を持つことが重要である.本稿ではパソコン用のセキュリティチップTPMや組込みシステムに対して公表された最近の攻撃事例や研究成果を手掛かりとして,耐タンパー技術の現状と課題を探る.
著者
田島 暁雄
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.1172-1177, 2015-11-15

本稿はDomain Specific Language(DSL)構築用プログラミング言語としてのRubyについて実例を含めて解説したものである.最初のパートではDSLについて歴史と情報システムにおける役割を明らかにする.続くパートでRubyが持つDSLの実装に向いたプログラミング言語の特性について実例を交えて解説する.
著者
菅原 清文
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.1456-1464, 2008-12-15
著者
渡辺 知恵美
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.e47-e51, 2021-05-15

新型コロナウイルス感染症の影響で2020年にはほとんどの学会や研究会がオンライン開催になりました.各会の運営の皆様のご尽力で多くの工夫が施されたオンライン開催.聴講者・発表者にとっては,そのおかげでこれまでより多くの発表をじっくり楽しめることができたように思います.私なりのオンライン開催の楽しみ方をまとめました.
著者
茂木 健一郎
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.282-283, 2021-05-15
著者
野中 郁次郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.547-552, 2006-05-15
参考文献数
6
被引用文献数
5

伝統的な認識論においては,知識とは「正当化された真なる信念(justified true belief)」と定義される.知識創造理論では,「個人の信念を真実に向かって正当化するダイナミックで人間的/社会的なプロセス(a dynamic human/ social process of justifying personal belief towards the truth)」と知識を定義する2).つまり,信念(思い)を真実に向かって正当化していく人間的でダイナミックなプロセスそのものが知識であると定義するのである.個人の抱いた思い(主観)は,他者や環境との間で行われる社会的ダイナミクスの中で正当化(客観化)され,「真」とされていく.知識とは他者との相互作用を通じて,未来に向かって何が真・善・美であるかを問い続けるプロセスであり,そうした信念(主観)と正当化(客観)の相互作用にこそ知識の本質がある.そして,知識創造企業の戦略は,その存在をかけた「未来創造」なのである.本稿の目的は,既存の戦略論との対比を通じて,知識経営(Knowledge-based Management)の戦略論を展開することである.
著者
米田 貴
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.12, pp.1174-1179, 2020-11-15

逐次,並行実行,変数,繰返し などプログラミングの諸概念を学ぶ上でピクトグラミングの派生アプリ,ピクソンを用いて行った高等学校 教科「情報」におけるプログラミング教育についての実践報告である. ピクソンは,Pythonのプログラムを実行してピクトグラムを作成できる教材である.ブラウザベースで動くこともあり導入が簡単であること,限られた授業時数の中で,プログラミングの習熟度も統一されていない40名前後の生徒に対し一斉授業の形式で授業をしていく上で,生徒自身が楽しみながら試行錯誤を通じて学びやすい教材だと判断し,採用した.7コマ程度の授業で行った実践について報告する.
著者
上田 隆一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1320-1323, 2014-11-15

本稿では,2014年9月末に見つかったbashの脆弱性(CVE-2014-6271およびその修正の際に見つかったもの)について,脆弱性が起こる仕組み,影響が大きくなった理由,現状と今後の対応について,実際にあった攻撃の例を交えながら説明する.Shellshockと名付けられたこの脆弱性は,ある条件の下でWebサーバを通した攻撃の機会を与えること,実際にそのような攻撃が観測できること,bashがshの代用として用いられているサーバや機器で影響が大きくパッチを当てる以外の対策が困難であることを述べる.
著者
山田 淳 谷津 行穗 和田 典子 福住 伸一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.17-23, 2013-12-15

システムとソフトウェアの品質向上のためには,品質測定方法を設計し,開発の上流から下流,そして利用時の各段階で品質を測定して評価し,品質改良を行えるようにする必要がある.要求定義段階では,品質要求を仕様化するために品質測定法を設計し目標値や許容範囲等を定義する.設計・実装段階ではレビュー結果から,テスト段階ではテスト結果からのデータを用いて品質測定法を適用し,品質要求仕様をどの程度満足するかを評価する.このためISO/IEC 25000シリーズを参照し,品質をモデル化した,利用時の品質特性,テスト実行時の外部品質特性,設計・実装時の内部品質特性,またデータ品質特性について,品質測定法の例を紹介している.
著者
川上 量生
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1096-1097, 2020-10-15
著者
徳田 恵一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.1005-1011, 2004-10-15

音声認識の分野では,時系列の統計モデルである隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model: 以下HMM)が音声パラメータ系列のモデル化手法として有効なことが知られ,実用的なシステムにおいても広く用いられている.本稿では,HMMの定義および関連するアルゴリズムについて,概説した上で,音声認識および音声合成におけるHMMの利用について述べる.また,HMMの限界を指摘した上で,次世代音声モデルとして期待される手法についても触れる.
著者
湯淺 墾道
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1066-1067, 2017-11-15

2016年のアメリカ大統領選挙において,大統領選挙関係者へのサイバー攻撃,SNSを利用したフェイクニュースの流通などによってロシア政府が大統領選挙に介入していたという疑惑がある.FacebookやTwitter上にはロシア関係者がアメリカ人を装って作成したページ・アカウントが多数存在し,ロシアが背後にいるとみられる組織が,大統領選の前後に,銃規制,同性婚,人種問題や移民などアメリカ社会の分断をあおるようなテーマに関し約3000種類の政治広告をFacebook上に掲載していた疑いがある.本稿は,これらのSNSを利用した世論誘導による大統領選挙への干渉疑惑の動向について解説する.