- 著者
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幾留 秀一
- 出版者
- 日本昆虫学会
- 雑誌
- 昆蟲 (ISSN:09155805)
- 巻号頁・発行日
- vol.47, no.3, pp.416-428, 1979-09-25
- 被引用文献数
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1
1975年と1976年に高知県土佐郡土佐山村において, 4月から10月まで, 月2回, 10時から15時まで, ハナバチ類の種類構成, 相対頻度, 季節消長および訪花性を知るために, 生態的調査を行なった.1. 採集されたハナバチは, 合計6科12属42種701個体であった.2. 種類数における優勢なグループは, コハナバチ科(Halictidae)とヒメハナバチ科(Andrenidae)であり, 個体数における優勢なグループは, コハナバチ科, ケブカハナバチ科(Anthophoridae)およびミツバチ科(Apidae)であった.優占種としては, Ceratina japonica, Tetralonia nipponensis, Bombus diversus, Lasioglossum mutilumおよびB. ardensの5種が認められた.この結果と他地域(高知平野, 吉備, 美並および札幌)での調査結果を比較考察した.3. 季節変動では, 種類数においてコハナバチ科, ヒメハナバチ科およびケブカハナバチ科による晩春のピークが, 個体数において, 春のケブカハナバチ科, 初夏のミツバチ科とヒメハナバチ科による春から初夏にかけての大きなピークと, 初秋のコハナバチ科とケブカハナバチ科, 秋のミツバチ科, コハナバチ科およびミツバチモドキ科による初秋から秋にかけての小さなピークが, それぞれ認められた.また, 優占5種のうち, C. japonica, B. diversusおよびL. mutilumの3種はほぼ全期間を通して, T. nipponensisとB. ardensは春から初夏の期間のみに, それぞれ訪花活動を行なっていた.4. 被訪花植物として, 23科54種が認められた.ハナバチの訪花頻度の高い植物は, キク科, ユキノシタ科およびマメ科で, 訪花個体数の62.4%を占めた.ハナバチ各科の訪花性の特徴について述べた.また, 被訪花度の高い上位の植物種は, レンゲ, ウツギ, ヒメジョオン, ツツジおよびヨメナであった.さらに, ハナバチ優占種の各種植物への訪花度について述べた.