著者
井上 文 白石 路雄 新谷 幹夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, no.16, pp.197-200, 2014-03-10

首都圏での鉄道による移動は,時間・正確さ・料金の点から最も優れている移動方法といってもよい.多くの駅と路線があるため利便性は高いが,目的地にたどり着くためには一般に複数の路線を乗り換える必要がある.現在では,手軽にウェブサービスを用いて移動所要時間を検索できるが,ある地点から任意の地点への移動所要時間を一度に素早く確認する手段はない.そこで本研究では,出発地を入力し,首都圏での鉄道による移動所要時間を分かりやすく可視化するウェブアプリケーションの作成を行った.このアプリケーションでは移動所要時間に応じて地図上の領域を異なる色で塗り分ける.ユーザがウェブブラウザで出発地を入力すると,ウェブサーバでは駅すぱあとWebサービスを利用して駅間の所要時間を取得し,JavaのジオメトリライブラリJTS Topology Suiteを用いて描画する図形の算出を行う.演算結果をJSON形式にしてJava Servletからウェブクライアントに送信し,Google Maps Java Script API v3により地図上にオーバーレイ表示する.
著者
小清水 実 津田 大介 馬場 和夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.10, pp.19-24, 2001-02-08
被引用文献数
6

紙とディスプレイの長所を融合した新規なドキュメント表示媒体「電子ペーパー」に求められる形態的特性を検討した。既存ディスプレイ、紙、電子ペーパー試作品及び重さ、厚さ、硬さの違うモックアップ媒体を用いて、複数ページ文書の比較、判断を伴う2種類の解読の読解タスクをのべ76人の被験者に実施した。被験者の行動観察やパフォーマンス測定、主観評価値の因子分析により、表示媒体の複数ページ閲覧性が画質因子と独立して重要であり、タスクのやりやすさと相関が高いこと、手持ち可能な表示媒体はユーザの姿勢と媒体配置の自由度を高め、適度な剛性感(コシ)と軽薄感を両立したモックアップ媒体が読みやすさの点で紙を上回ること、を示した。
著者
宮崎 斉 高橋 桂太 金子 正秀
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.55-58, 2013-02-09

本論文では、人間とロボットが円滑なインタラクションを行うための手法を提案する。同伴対象である人間に対し、ロボットから積極的に「手つなぎ動作」を提案し、つないだ手で様々な行動をとることによって、的確に人間にロボットの意図を伝えることを可能とする。さらに「手つなぎ」状態を人間からロボットへの意思伝達手段にも利用し、人間の手の動きや接触の状態などをセンシングすることで速度調節などの人間側からの要望を即座にロボットに伝達する。このように人間からロボットへの意思伝達機能、ロボットから人間への意図伝達機能をもって、人間-ロボット間の相互的な意図の伝達を実現する。手法の応用例として案内ロボットについて述べる。
著者
阪口 栄穂 内海 章 須佐見 憲史 近藤 公久 和田 健
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.5-8, 2016-03-01

人の注意を誘導し視覚的な気づきの誘発によって自動車運転などの人の行動を適切に支援するためには,注意誘導に加えて誘導による視覚的気づきの生起を検知する手段の実現が重要となる.本報告では,ディスプレイ上に表示した文字を探索する課題において注意対象に対する矩形枠の表示による誘導と,注意対象の動きと眼球運動の相関を利用した気づき検知について検討する.実験の結果,矩形枠表示による誘導効果および眼球運動を利用した気づき検知の有効性が示された.
著者
石塚 光洋 塩崎 裕也 折口 貴彦 坂田 一朗
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.30, pp.13-16, 2010-07-23

3DフルHDプラズマディスプレイを実現するため、3D化に必要な技術として、パネル性能向上を目的としたセルデザインと材料を新規開発した。また併せて3D表示時のクロストークを低減する新たな駆動方法を開発した。これらの技術内容を紹介する。
著者
藤原 徹
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.62, pp.5-9, 2000-10-27

長編のCG映画を制作するにあたって、より高いクオリティと、より短い制作時間を要求される。これらを実現するために、ネットワークの高速化、ストレージの強化、制作スケジュール管理システムの導入、モーションキャプチャーシステムの導入、コストパフォーマンスの高いレンダリングサーバーの新規開発と導入といった技術的な工夫を行った。放送局内でこのような制作環境を作り、実際に映像制作を行うことによって、来たるべきデジタル放送時代へ向けて、デジタル映像制作のノウハウを蓄積することができた。
著者
高林 徹 本間 康文 武田 拓哉
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.42, pp.7-10, 2012-10-11
被引用文献数
1

赤坂サカス広場(TBSテレビ放送センター前広場)で実施した夏サカスイベントにおいて、コンテンツマネージメントシステムからIP回線で受けたサイネージ用コンテンツを他のサイネージ端末ヘエリア放送として配信するシステムの実施成果を報告する。このシステムは、通信とエリア放送を組み合わせて効率的にサイネージ用コンテンツを配信することができる。
著者
小川 将樹 妹尾 武治
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.39, no.43, pp.9-10, 2015-11-06

他者の言動や行動によって,我々の言動や行動が他者に同調するように変化することが知られている.これは社会心理学において同調効果と呼ばれ,様々な実験によって確かめられている.本研究の目的は,この同調効果がベクションにおいても同様に生じるか否かを確かめることであった.被験者は,強いベクションを報告する他者か,弱いベクションを報告する他者がいる状態,若しくは,他者がいない状態でベクションを誘起する刺激を観察し,ベクション強度を報告した.その結果,被験者は他者の報告に同調するようなベクション強度を報告する傾向が認められた.よって,ベクションに対しても同調効果が生じることが分かった.
著者
生山 志乃 菊地 良子
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, no.27, pp.97-98, 2002-03-18

昭和初期を舞台にした姉妹の物語。毎日を穏やかに過ごしている姉さくらと妹すみれ。ある日すみれは、さくらが父の愛人だったのではないかということに気づく。ある日を坂井に消えてしまった両親。さくらは毎日、父の好きだったシューベルトの「野薔薇」を聴き続ける。さくらに頼って大人になることを拒否し続けていたすみれは、姉を通して少しずつ大人へと近づいていく。映画の中のある場面をとりあげ、初期段階のイメージから映像になるまでの過程を分析していく。その中で、登場人物の感情や制作意図などを解明していく。
著者
久下 哲郎 本間 真一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.22, no.46, pp.7-12, 1998-09-17
参考文献数
7
被引用文献数
3

KINDS (Key INformation Display System), a prompt election reporting system for TV broadcasting, has been developed and was applied to the election of the House of Councillors on 12 July 1998. The system superimposes the elected candidates' names on the various pictures broadcast by each local NHK station simultaneously, synchronously and promptly. Images of the names are encoded by a new method which uses arithmetic coding and achieves high compression rates without information loss. A multicast/IP protocol is used for transmitting the codes to the local stations via an Ethernet LAN. This achieves rapid transmission of the codes with reduced traffic volume. An overview of the system is reported.
著者
坂本 ひとみ 那須 清吾
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.38, no.17, pp.7-12, 2014-03-16

豊富な労働力を有するアジアが注目されている。しかし、近年の労働者の確保難と賃金の高騰は、それらの国にも現れはじめた。東アジアでは、失業率は低下しているものの各国の労働法の改正により、進出した日系企業へも影響を与えている。そこで、東アジアの人材確保と育成の状況について各国の調査をし、共通している課題が多いことがわかった。第1に、日本人が暮らすためのインフラでは、日本人が現地で暮らすことについても、単身赴任か家族連れかで生活スタイルは変わってしまう。とくに子どもが中学生になるころに日本での教育を望む親が多いため、子どもの年齢により単身赴任になる男性が多いことがわかった。また、国によっては不安定な状況もあり、家族があまり外出できないことにストレスを感じている社員も少なくはない。第2に、「5S」や「ホウレンソウ」について各企業の努力が見られる。日本的な人材育成をどう企業文化として根付かせるか、経営品質という課題である。特に中小企業では、駐在員も少ないため、人材育成になかなか手が回らないのが現状である。
著者
末吉 広貴 小西 宗生 森住 俊美 大矢 智之
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.42, pp.15-18, 2012-10-11
被引用文献数
1

NOTTV(ノッティーヴィー)のコンテンツ保護・アクセス制御技術は,V-high帯における携帯端末向けマルチメディア放送サービス(以降,「モバキャス」と記載)において,リアルタイム型放送,および,ダウンロード型放送で実現される様々なサービスを有料放送として提供するうえで重要な技術である.本稿では,コンテンツ保護・アクセス制御技術のうち,放送と通信を連携させたライセンス配信について述べる.
著者
古谷 彰教 ボベ C 吉川 博 田邊 隆也 山本 学 タイヤード P ブエ L デスパックス C プレスマネス L ロセ A
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.21, pp.43-48, 2000-03-06

光・磁気記録膜において, スパッタ時における堆積速度, 結晶性及び組成変動抑制を本研究の目的とした.我々は, (セルフ)バイアス電圧に着目し, そのバイアス電圧をカソード磁界により制御して, 長期間連続して初期設定条件の堆積速度を得ることが可能で, かつ, ターゲット組成と膜組成を一致させることが可能な磁界制御型マグネトロンスパッタ方法を提案する.本手法により, Fe膜, ガーネット膜を堆積したところ, 前者は, 長期間のスパッタ後でも堆積速度は一定で, かつ, 結晶性の再現性が良好な膜が得られ, 後者においては, 膜組成ずれが起こらない膜形成が可能となり, 本スパッタ法は成膜時の堆積速度, 結晶性及び組成の変動抑制に有効であった.
著者
岡島 正 峯近 重和 山口 光孝 上村 隆哉 浅野 賢二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.56, pp.19-24, 2001-09-07
被引用文献数
1

大容量次世代メディア「iD PHOTO」(容量730MB、ディスク直径50mm)を採用した動画ディスクカメラ<IDC-1000Z>は、MDの8倍の高密度ディスク(4.6Gb/inch^2)に、DVDの2倍の高速レート(20Mbps)で、データの書き換えを実現する。これにより高画質静止画(1360×1024)を1200枚、JPEG動画(VGA 640×480、30fps)を約8分記録できるパフォーマンスを実現した。我々は0.6μm幅の狭いトラックに最短0.235μmのピット長を持つデータを記録再生するために、温度変化に即座に対応する最適レーザパワー制御アルゴリズム、外乱振動に効果を発揮する外乱オブザーバ、磁気ヘッド、高速・低消費電力磁気ヘッドドライバ、高性能キャッシュアルゴリズム、耐震設計・高信頼性小型メカニズムを開発し、動画カメラでは不可欠なリアルタイム性、ポータブル性を実現した。さらにIEEE1394インタフェースを介してパーソナルコンピュータの外部ドライブ機能も実現した。
著者
石田 秀徳 大崎 雅典
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.24, no.45, pp.1-6, 2000-07-27

テレビ東京では2000年12月から始まるBSデジタル放送や地上波のデジタル化、HD化など、多チャンネル時代のソフトビジネスにおける制作環境の充実を進めている。その中で、天王洲スタジオが昨年12月に完成した。天王洲スタジオは2つのスタジオと回線制御室を有し、各スタジオはテレビ東京では初のフルデジタルHDTVスタジオで、BSデジタル放送、地上波デジタル放送、そしてBS&地上波同時放送等今後予想される様々な番組形態に対応している。回線制御室は主に生放送時に各スタジオと本社との各種信号のやり取りを行うための設備である。今後、テレビ東京の番組制作はこの天王洲スタジオが中心となると確信している。
著者
作田 泰隆 後藤 富朗 平野 智 桜井 優
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1-4, 2012-02-09

従来の超解像技術の中でもTotal Variation (TV)正則化手法は,エッジを保持しつつ劣化を防ぐ,最も効果的な手法である.しかし,計算コストが大きいことが問題とされている.本論文ではTV正則化を用いた高速な手法を提案し,CELLに実装することで実用可能性を検証する.
著者
森下 沙耶 岡部 誠 尾内 理紀夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, no.8, pp.119-122, 2012-02-11

近年,CGやアニメーションを使用した映像作品を多く目にする.これら映像作品を作成するときの問題点の一つが効果音の付加である.既存のシステムでは,効果音を鳴らすタイミングを1回1回手動で指定したり,映像に合わせて音量や再生時間を調節したりする必要があるため,1つの動画作品を作り終えるまでに時間が掛かってしまう.そこで,効果音を鳴らすタイミングや音量・再生時間の調節を半自動的に行うことで,動画製作における作業時間を短縮する効果音付加支援システムを提案する.作成したシステムの概要とそれに用いた技術,既存システムを用いた場合との比較実験結果について報告する.
著者
野原 佐知世 加藤 邦人 山本 和彦
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.34, no.34, pp.77-80, 2010-08-30

人は食品の画像を見ただけでも「おいしさ」を感じることができる.しかし,食品画像中には「おいしさ」に影響を与える要因が多く含まれており,人の食に対する感性を定量化することは非常に難しいとされている.この食品画像が持つ多量な要因に対し,提示する画像情報をコントロールすることができれば人の「おいしさ」に対する要因を抽出することが可能であると考えられる.本稿では,画像提示時間を変化させることで画像情報コントロールを行うアンケート方法の提案と,その有効性の検証を行った.
著者
河北 真宏 岩澤 昭一郎 ロペス ガリバー ロベルト 牧野 真緒 近間 正樹 テヘラニ メヒルダド パナヒプル 石川 彰夫 奥井 誠人 井ノ上 直己
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.24, pp.25-28, 2013-06-03

我々は、あたかもその場にいるかのような臨場感の高い超多視点裸眼立体映像を提示することで、人と人とのより豊かなコミュニケーションの実現を目指している。この目的のために、約200台のハイビジョン(HD)プロジェクタからなる200視点大画面裸眼立体ディスプレイを開発し、人や車などの実物大表示を可能とした。また、小型HDカメラユニットからなる撮像システムも開発し、実写の立体撮影も可能とした。2013年4月より、これら超多視点裸眼立体映像システムを大阪駅北のうめきたに導入し、超臨場感通信のための社会実証実験を開始したので紹介する。
著者
井上 俊輔 加藤 久幸 飯塚 康治 山脇 正雄 櫻井 克仁 上野 勇武 小泉 徹 樋山 拓己 浅羽 哲朗 須川 成利 前田 敦 東谷 恵市
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.37-41, 2001
参考文献数
6
被引用文献数
9 5

一眼レフディジタルカメラ用, APS-Cサイズ総画素数325万のCMOSイメージセンサを開発した。画素サイズは10.5μm^□で, 埋め込み型フォトダイオードと4つのトランジスタより構成した, 完全電荷転送構造を採用し, 列毎に設けたノイズ除去回路で画素リセットノイズと固定パターンノイズを低減した。0.35μmルールCMOSプロセスをセンサ向けに専用化したプロセスを用い, 暗電流密度60pA/cm^2(60℃), ランダムノイズ0.27mVrms, 消費電力250mWを達成した。