著者
福山 豊
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.211, 1992-09-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
8
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.331-338, 1994-09-01 (Released:2017-02-10)
参考文献数
12

フックとニュートンは,ともに17世紀を代表する科学者である。彼らは当時の研究対象のほとんどを手がけ,そのなかで多くの成果をおさめた。そのいくつかは現在でも高く評価されている。しかし,フックの業績は20世紀の半ばまで200年以上も闇に埋もれていた。それは,フックがニュートンとの論争に敗れたからである。古今東西,論争はその敗者に対して過酷である。敗者の多くは地位,名誉,業績を失い寂しく死んだ。しかし,純粋な学術論争は科学の発展に大きな役割をはたす。フックとニュートンの間に争われた光学論争や重力論争も,科学の発展に大きく貢献した。当時,イギリスでは英国王立協会が設立された。フックやニュートンは,この学会のなかで研究方法や研究成果報告の方法を模索しながら学会の基礎を固めていった。その成立過程にみられる模索や試行のなかには,現代にも通じるものがある。本稿では両者の性格やその社会的背景,研究方法などに分析をくわえ,そのなかで,科学にとって真に必要なものは何かを考察した。そこには,現代の科学や教育に対する示唆が多数く含まれている。つまり,17世紀の英国王立協会は,現代の科学や教育にとってもその原点と考えられる事象を多数内在させていた。
著者
福山 豊
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.30-33, 1988-03-05 (Released:2017-02-10)

ニュートン力学は,アリストテレス的世界観から新しい世界観への転換を示してくれた体系であり,その考え方を是非とも学生たちに理解させておきたい,そのために花火の運動を考察することによってニュートン力学の特徴を理解させることを試みている.このとき花火の運動を三段跳び(ホップ,ステップ,ジャンプ)にたとえて,慣性の運動,重力による自由落下の運動,空気の抵抗(速度に比例)の3段階でとらえ,その役割と特徴をあきらかにする.花火のかけら(星)の形は,どの段階でもつねに円(球)となって落下することが導けるので意外性があり印象的である.
著者
笠 耐 小林 順一 竹原 博
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.204-207, 1985
被引用文献数
1

磁場によるβ線の偏向角からβ粒子のエネルギーを測定する実験装置を製作し,^<90>Sr,^<90>Yからのβ粒子の平均的エネルギーと最大エネルギーとを求めた.教育実験用として空気中で行うので散乱の影響が大きいが,電磁石の使用により,β粒子の運動量分布の形もより明確になった.物理教育研究室の卒業研究として学生が手作りした装置であるが,大学初年級の相対論力学の導入の授業に使用できる.
著者
細谷 澄夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, 2001

記録タイマーを用いて,重力加速度の大きさを測定すると,物体の落とし方の上手い下手によってばらつきが出てしまう。それが出ないように簡単な工夫をしてみた。また,運動の法則の検証で加速度は力に比例するけれども,原点を通らないという失敗に困っている。是非解決策をお教え願いたい。
著者
岡崎 隆 池田 清朗 沢田 康太 宮崎 隆也 寺島 靖香
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.49-52, 2010
参考文献数
9

振子の等時性とその破れ,ホイヘンスによって考案されたサイクロイド振り子について解説する。サイクロイド振子の運動を解き,等時性が回復される振動解の具体的振る舞いを調べる。作成したサイクロイド振子による振動実験を行い,等時性が回復される様子を示す。また,自転車の車輪を使った実体振子の振動を測定し,大振幅の振動で周期が振幅に依存する様子を示す。
著者
近藤 正夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.215-219, 1986

『わかる』ためには,「原体験」と「積極的精神活動」が大事な二要素だと私は考えていますが,何故そうなるかの理由らしきものを3段階に分けておはなしさせていただきます.多分に独断的きらいがありますが,色々の反論をいただければ幸でございます.最後に実例のいくつかを時間調整のために付加するつもりです.
著者
小林 幸夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.326-331, 2005
参考文献数
31
被引用文献数
1

測定とは,対象の量が単位量の何倍かを求める操作である。この立場から,物理化学では物理量=数値×単位量の表現を採用する。しかし,物理教育では,単位が量ではないという誤解が生じている。このため,数値と単位量の積の意味が物理教育の中で正しく普及していない。単位が量だからこそ物理量の四則演算が成り立つ。量計算は,高校数学のベクトル算法と同じしくみの計算である。この事情を線型代数の基礎を踏まえて解説する。
著者
斎藤 吉彦
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.209-212, 2012

本誌の企画「変位電流とは何か」で,3編の論文が「変位電流は磁場を創らない」の議論を与えている。これらは,時間変化をする球対称電場の存在の正否が要となっている。本稿は,この電場がマクスウェル方程式と矛盾することを根拠に,設定されたモデルを否定する。さらに,モデルが仮定する荷電粒子の運動が非物理的であることを具体的に示す。本編の議論は電磁場の相対論的理解が背景にあり,教育者にとって電磁気学の相対論的理解の必要性を主張する。
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.218-223, 2012

高校物理の電磁気分野は難解である。電気の正体は明らかでないし,物理用語にも定義不明語は多い。それらが電磁気を暗記学習の域にとどめている。しかし,昨今の科学の進歩はかつての仮説や試論にも定説化と教材化をうながす。マクスウェル理論はニュートン力学の正統性を継承するもので,その手法は多くの科学理論の模範となった。変位電流は当理論を公理論として確立するための要であり,その検証は電磁波の確認にゆだねられた。本論考ではその意味を歴史的,教育的に考察する。ファラデーとマクスウェルの共同研究には数理研究と実験研究の共軛作用がみえる。
著者
菅野 礼司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.213-217, 2012

本誌Vol.60, No.1の特集「変位電流とは何か」で「変位電流は磁場をつくらない」と主張した2論文(鈴木・兵頭)に対して以下の問題を取りあげてコメントする。(1)変位電流は閉回路にも必要であること,(2)物理法則を表す式の因果関係にかんする解釈への疑問,そして磁場変化と誘導電流,および変位電流と磁場との因果関係,(3)電場・磁場の源と電磁波の関係について,(4)真空偏極と変位電流の実在性について。
著者
勝木 渥 石井 廣湖
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.114-126, 1995
被引用文献数
2

平成5年度センター試験「物理」の試験結果は,決して難問ではないと思われるのに,平均点が低く,また,その得点分布は"平坦"でガウス分布から大いに隔っていた。われわれは,この試験の解答分析の資料に基づいて,個々の設問にわたる解答状況を調べ,受験生の物理に対する理解の傾向と問題点を探った。
著者
竹中 功
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.278-281, 1996

「放射能・放射線」の学習は,目に見えない現象を扱うので,実験を取り入れた教授方法をとらなければ,本質的な理解は得られない。近年,この分野の教材研究が進展し,放射線測定器の自作方法や教材用放射線源の工夫が示され,実験が容易に実施できるようになった。しかし,放射性物質を使った製品を,製造目的を越えて利用することや,漏洩X線による被曝の問題が指摘されており,実験にあたっての指針を明確にする必要がある。