著者
石川 昌司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.34-35, 2004-03-18 (Released:2017-02-10)
参考文献数
3

教科書では,音波の気柱共鳴を,閉口端は固定端,開口端は自由端として扱っている。しかし,これは音波を変位波として見た場合であり,密度波の立場に立つと,閉口端は自由端,開口端は固定端となる。密度波は,音波本来の疎密波の概念に近いので,感覚的にも分かりやすい。
著者
田中 賢二 石綿 元
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.207-212, 2005

高等学校学習指導要領において,「素粒子」が登場したのは,平成元年(1989)改訂の要領である。科目<物理II>で,学習内容の最終テーマ(課題研究を除く)として導入されている。その後の平成11年(1989)改訂でも引き続き導入されており,高等学校物理における一つの学習内容として定着を見せている。「素粒子」の取り扱いに関する変遷を2回の指導要領改訂に対応した教科書でみると,新教科書は旧教科書に比べて言及されている「素粒子」が拡充し,未確認や研究中との言及が増加し,問題数が増えていることなどが判る。
著者
井上 賢 佐野 浩史 武捨 賢太郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.239-244, 2012

今春も,東京における21回目の「今春の物理入試問題についての懇談会」(通称「入試懇談会」)が実施された。今年は,現行の学習指導要領下での7回目の大学入試が行われる一方,4月には,高校1年生の理科(及び数学)において,新学習指導要領先行実施による授業がスタートした。そのため,大学入試を巡る議論においては,現行課程における課題もさることながら,新課程下における大学入試やセンター試験に向けた課題や危惧の提示,これまでの課程の変遷及びこれからのカリキュラムの在り方に対する意見なども含まれることとなる。その意味で,今回の入試懇談会においても,今春の大学入試問題を素材としつつ,広範な疑問や意見が交換され,入試問題という枠に限られない課題,そしてそれぞれの現場・立場における苦悩についての共有化が図られ,有意義な懇談会として終了できたことを,ここに報告したい。
著者
鈴木 亨
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.272-277, 2008-12-10 (Released:2017-02-10)
参考文献数
18
被引用文献数
7

作用反作用の法則については,生徒だけでなく教師の間にも誤解が広まっていることから,その誤解は根深いと言える。その誤解の起源は「因果スキーマ」が,作用反作用の法則を説明するための論理として働くことによって生じると考えられる。一問一答で正しく答えられるようになったとしても,本質的な理解をしているとは限らず,学習者の理解や認知の過程を考慮した学習素材や,カリキュラムの再構築が必要と思われる。
著者
竹沢 攻一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.202-205, 1977

将棋倒しは大変イメージがはっきりした現象であり,固体中の協力現象の視覚的モデルに利用できる可能性がある.ところが将棋倒しは加速度的に速さを増して倒れていくのか,一定の速さで倒れるのかという点についてさえ明確な測定はなされていない.そこで,この点にかぎって観測した結果を報告する.簡単のために一直線上に同じ大きさの駒が並んでいる系の1駒モデルについて述べる.現象論的パラメーターである衝突係数が1より大きいときは加速度的に,1より小さいときは終速度に達することが示される.また実際に駒が倒れる様子を連続写真撮影で観察した.その結果,消しゴムの駒の場合には初めの2〜3駒で終速度に達することがわかった.
著者
浜島 清利
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.116-120, 2018-06-08 (Released:2018-09-14)
被引用文献数
4

大阪大学と京都大学で起こった音波に関する出題ミスの原因を探る。それにより音波の本質は疎密波であるという認識が深まる。特に,音波の干渉では,変位よりも疎密で考えた方が現象を明快に理解できることを論証する。ただし,音波が壁で反射するとき,疎密の位相は変わらない(密は密のまま反射する)ことに注意する必要がある。今後,高校では音波を教える際に疎密の観点を取り入れることが望ましく,大学は出題時に「音源は疎密で同位相の音波を出している」のように表記するなどの配慮が必要である。
著者
岡崎 隆 齋藤 陽樹 熊越 ゆき
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.50-53, 2011
被引用文献数
1

ハレーが提案した金星の太陽面通過観測による太陽視差(太陽-地球間距離,天文単位)導出方法を解説する。ハレーは,地上で観測される金星の太陽面通過現象が地球の自転の影響を受けることを利用して太陽視差を求めようとした。金星の太陽面通過は最大8時間ほどの時間経過を要する現象であるため,観測される通過現象はこの間の地球自転による観測点の移動に影響される。ハレーによる提案,地球の表と裏で観測される金星の太陽面通過時間差から太陽視差を求める方法を原論文に基づいて考察・解説する。
著者
鈴木 亨
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.272-277, 2008
被引用文献数
1

作用反作用の法則については,生徒だけでなく教師の間にも誤解が広まっていることから,その誤解は根深いと言える。その誤解の起源は「因果スキーマ」が,作用反作用の法則を説明するための論理として働くことによって生じると考えられる。一問一答で正しく答えられるようになったとしても,本質的な理解をしているとは限らず,学習者の理解や認知の過程を考慮した学習素材や,カリキュラムの再構築が必要と思われる。
著者
石田 博幸
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.220-223, 1983

大学生はもちろん,小中学校の児童生徒も音が有限の速度を持って伝播してゆくということを花火大会の花火,雷等を通し体験しており,多くの教師も改めてこのことを見せる必要はないと考えている.しかしこれらの経験は,全てワンポイントの現象,即ち一点から発した光と音の知覚される時間の差なのであって,音の伝播の有限の速さは,その「くいちがい」への説明として納得しているに過ぎない.この報告では,数mおきに並んだ学生がピストルの音を聞くと同時に旗を振り上げるという実験を通して,音の波頭が移動してゆくのを直接観測した結果を示し,その物理(理科)教育への意義を考察する.
著者
岡崎 隆 齋藤 陽樹
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.77-80, 2007
被引用文献数
2

内惑星の金星と地球の会合によって生ずる金星の太陽面通過は,太陽-地球間距離を決定する方法として注目された歴史がある。この現象は,8年,105.5年,121.5年といった間隔で生じている。この不思議な周期性は地球と金星の公転周期比T_V/T_Eが8/13に極めて近い値であることによるものである。太陽の有限な大きさから8年周期は一度しか起こらず,金星,地球の楕円運動によって113.5±8年の長周期が生まれる。
著者
土田 理
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.18-21, 1995-03-15 (Released:2017-02-10)
参考文献数
6

物体を空気中で落下させたときの空気の影響を考えるには,その物体の終端速度を知る必要がある。これは従来中等学校レベルでは困難と思われていたが,本研究では実験値と理論値をコンピュータ上で比較することによって推定した後,落下実験での空気の影響の考察を行った。その結果,半径1(cm),質量差が1:27程度の球体の場合,落下距離が0.5(m)程度までは空気の影響を通常の測定誤差より小さいとみなせることがわかった。
著者
小林 幸夫
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.492-495, 2000-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
18
被引用文献数
2

量計算の基本は,量=数×単位という関係である。しかし,数学で定義した対数は,真数が数なので,量の対数との整合性が問題になる。数の乗除を模倣して組立単位を考えたのと同じように,形式的に量の対数を考えることができる。真数を量にしても,数の部分の対数を考えればいいからである。他方,対数関数の展開項の次元にも誤解が生じているという実態を指摘する。これらを踏まえたうえで,log量とlog(量/単位)のどちらかの表記を適宜使い分けるという方式を提案する。
著者
藤島 一満
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.13-16, 1990-02-20 (Released:2017-02-10)

速さという言葉で直観する内容には,定義されている概念とは違った意味を含んでいることに正しく気づいて,慎重に指導している教師は少ない。日常「速い」という場合,「動きが急だ」「時間的に短い」ということを意味しているのであり,だから昔から速さを競うスポーツでは,一定距離をだどる時間の短さで争われた。速さから直覚されるのは,時間であって距離ではない。目に見える具体量としての速さの認識により,目に見えない抽象量である時間の計測が可能になる。決して時間の認識が速さの認識より先にくるのではない。運動の概念を理解するためには,子どもはこの二重の障害を突破しなければならない。
著者
岡本 正志
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.388-391, 2001

19世紀の英国における心霊研究に多くの一流科学者が関わっていた。心霊現象に対して,懐疑的な立場から積極的に肯定するものまで様々であったが,心霊現象を科学的に研究しようとはしていた。しかし,実際にはトリックによって騙されていた。こうした状況を生み出す背景と個人的特徴とを分析し,今日への示唆や教訓を汲み取ろうとした。
著者
高橋 昌一郎
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.103-107, 2002-05-15 (Released:2017-02-10)
参考文献数
4
著者
岡崎 隆 山本 美枝
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.73-76, 2005
被引用文献数
3

地球上の異なる二地点での金星の太陽面通過時間差を測定することによって金星視差を求め,ケプラーの第三法則を援用して太陽視差,地球-太陽間距離を得ることができる。百数十年ぶりにこの現象が起こる時期に,ハレーが提案したとして知られる太陽視差測定法を振り返り,理科教育教材として取り上げるいくつかの視点を検討する。
著者
藤島 一満
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.168-171, 1990-09-10 (Released:2017-02-10)

重力が作用している場合の衝突については,衝突する時間が短いので重力の影響は無視できるという前提条件がなければ,この場合に運動量保存の法則が適用できるかどうかといったことについて高校生に判断させることは,高校教科書の記述の文脈からいって無理なことではないかと思う。この種の問題が最近の入試に頻出されているが,そのいずれにも「重力の影響は考えなくてもよい」という前提条件が述べられていない。このことについて出題大学あてに送った質問状の回答に「すべて衝突においては,たとえ重力が働いていても,常に運動量保存の法則が成立するというのが初等物理の約束である。だから重力の影響について前提条件は不用である」とあった。これでは,高校教育についての配慮がまったくない,といえるのではないか。