著者
伊東 正人
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.229-230, 2009
被引用文献数
1
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.385-388, 1988
被引用文献数
2

昨今,物理教育の危機をうったえる声は多い.昭和57年の学習指導要領改訂が高校物理を従来の必修教科目から選択科目へ移行させると,その履習者は激減した.物理教育は,将来不要のものになるのであろうか.このような状況は,アメリカにおいてはより深刻である.本稿では日本の物理教育の現状をアメリカの状況と対比させながら,その意義を(i)技術をささえる物理教育,(ii)科学の基礎としての物理教育,(iii)物理学をささえる物理教育,の3点から考察して,高等学校学習指導要領のなかでの物理の位置づけを検討する.
著者
飯田 洋治
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.26-29, 2017-03-16 (Released:2017-04-10)
参考文献数
16
被引用文献数
1

電気伝導モデルに関して,「金属中の自由電子が電場によって加速されるとき,どの電子も一定時間ごとに衝突をくり返すものと仮定する。このとき,衝突から衝突までの電子の平均速度増分は衝突直前の最大速度増分の1/2になる」と記述する書籍等がいくつかみられる。運動量と力積の関係から求めたドリフト速度には係数1/2はつかない。衝突間の時間の2乗平均から求めても係数1/2はつかない。この仮定は物理的に見て本当に妥当な仮定かどうかを検討する。
著者
村田 次郎 塩田 将基
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.95-100, 2023-06-06 (Released:2023-06-10)
参考文献数
7

「重い人ほどすべり台を速く滑るのは何故か」という疑問を動機とした,すべり台の摩擦に関する大学生の探究学習の実践例を報告する。一様重力場中の落下加速度は質量によらず一定であり,これは動摩擦がはたらく状況でも同じであると学習するが,これと生活経験が矛盾する事から生じる疑問である。物体が滑る加速度を実測し,空気抵抗の寄与,動摩擦係数の質量依存性,速度依存性を調べた。ローラー式すべり台では動摩擦係数が一定ではない事が示された一方,金属板式すべり台では一定値からずれる有意な結果は得られなかった。
著者
笹川 民雄
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.201-208, 2009-09-01 (Released:2017-02-10)
参考文献数
13
被引用文献数
2

クントの実験において,管内の粒子にはたらく力について考察し,運動方程式をルンゲ・クッタ法で数値計算して粒子の運動を調べた。その結果,空気抵抗力や音の放射圧を受けることにより,粒子は密度や大きさの違いで変位の節または,腹に集まることがわかった。また,粒子の音波浮揚の安定性を力学的に考察した。さらに,クントの実験で生じる縞状の模様は非線形効果で励起される倍音の放射圧により形成されることを明らかにした。
著者
勝田 仁之
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.37-40, 2021-03-11 (Released:2021-04-05)
参考文献数
12
被引用文献数
3

著者が 2020 年 4〜7 月に行ったオンライン授業の効果測定を行う。力学概念獲得度を測定する FCI のスコアを,科学的思考力を測定する LCTSR のスコアが同程度の生徒集団ごとに,昨年度の通常対面授業のデータと比較することで効果測定とした。その結果,著者のオンライン授業は,科学的思考力の相対的に低い集団については,昨年度の通常対面授業よりも高い効果が認められた。その一方,科学的思考力の相対的に高い集団については,昨年度通常対面授業より効果が低かった。
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.36-43, 1997-02-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
21
被引用文献数
3

ニュートン力学が創始されたとき,フランスのデカルト派からは"ニュートン力学は,悪魔の算術に依拠した恣意的仮説である"と批判された。ニュートン力学の要諦は天界の力と地上界の力の統一にあったわけであるから,その観測的,実験的検証は不可欠であった。しかし,地球の半径や地球太陽間距離の測定ができなかった当時,その検証は困難を極めた。これらの値の確定に航海学は大きく寄与した。航海学の背後にはポルトガルとイスパニアの世界「2分割支配」がみえる。航海学が天文学の進歩をうながし,天文学の知見が近代科学成立の礎石となった。本稿では,ポルトガルとイスパニアを視座に航海の動機や目的を議論し,ニュートン力学の確立に寄与したハリーの足跡をたどる。
著者
新田 英雄
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.17-22, 2012-03-08 (Released:2017-02-10)
参考文献数
19
被引用文献数
5

生徒は,物理を学習する前から経験に基づいた運動の概念を獲得してきている。それら運動の素朴概念は物理法則と整合しない場合が多く,力学を教える際の隠れた障害となっている。本論では,まず,代表的な先行研究を概観し,生徒の有する運動の素朴概念とはどのようなものかを論じる。次に,先行研究を踏まえて試作した素朴概念の分類表を提示する。
著者
寺島 浩
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.289-292, 1992-12-02 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5
被引用文献数
6

有効数字は最下位の桁に誤差を含む数値である。したがって,有効数字の決め方を指導するためには誤差の求め方を教えなければならない。標準誤差(Standard Error)の意味と計算法を講義によって説明し,演習をまじえて有効数字の決め方を実地に指導する。このような指導の内容と方法を述べる。
著者
菅野 礼司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.290-297, 2003-12-20 (Released:2017-02-10)
参考文献数
5
被引用文献数
1

自然科学は全体として一つの理論体系をなし,その扇の要に物理がある。それゆえ,理科教育は物理を基礎に据えた包括的体系として教えるべきである。その「物理を基礎とした包括理科」を組立てるための基礎概念と骨組みは,自然の階層性と,その全ての階層を貫いて成立する普遍法則であることをまず示す。自然の階層性には,物質の階層性と相互作用(力)の階層性とがある。そして,理科科目の物,化,生,地をそれら階層と対応させ,理科の四科目が「包括理科」の中で占める位置と相互関係を述べる。最後に,情報との関連にも言及する。
著者
根本 和昭
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.545-547, 2001-12-25 (Released:2017-02-10)
参考文献数
4
被引用文献数
5

発色の異なるLEDは,発光する振動数に比例するエネルギー・ギャップを持つので,立上り電圧に達するまでは点灯させることが出来ない。そこで,数色のLEDの発光開始電圧(立上り電圧)を測定し,再結合の結果として放出される光子の持つエネルギーと振動数の関係をグラフに描くと,それらの傾きとしてプランク定数を求めることが出来る。量子分野の導入としては,3色程度の実験で充分であると考えられるが,ここでは8色のLEDを用いた測定を行った。
著者
菅野 礼司
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.32-37, 2012-03-08 (Released:2017-02-10)
参考文献数
1
被引用文献数
4

電磁気学のマクスウェル方程式のなかの変位電流について,「変位電流」は存在せず,それは電場の時間的変化を示すだけであり,しかも変位電流が磁場をつくるという旧来の説は誤りであるという新説が,近年唱えられている。その新説の根拠とされる論理と,モデルについて吟味する。相対論的場の量子論による真空の物質性,作用伝達について相対論的遅延効果,および電磁場を媒介とする近接作用の立場を考慮すれば,その新説は疑わしい。「変位電流」は存在し,かつそれは磁場をつくると結論できる。
著者
佐藤 革馬
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.67-70, 2015

平成24年度より,本校の理科では観点別評価の運用を始め,知識教授型授業だけでなく,科学的な思考や表現力を身につけられるような授業研究と改善を行っている。昨年度の本校の物理基礎では,力学分野の計算指導から始めてみたが生徒にとっては大きな困難があったため,今年度はエネルギーの利用から始める授業構成に切り替えたところ,比較的物理基礎の授業に満足する生徒が増えた。本稿では,物理基礎の授業で実践したことを報告する。
著者
鬼塚 史朗
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.425-432, 1995-12-05 (Released:2017-02-10)
参考文献数
10

16世紀に入ると近代科学の幕が開く。それまで神学研究の一環として行われてきた光の研究は,自然哲学の研究対象へと姿を変えた。17世紀,フックやホイヘンスらによって唱えられた光の波動説とニュートンを嚆矢とする光の粒子説は,以後200年にわたって論争を展開した。18世紀には粒子説,19世紀には波動説が優位に立った。そして20世紀に入ってアインシュタインが両説を折衷的に統一した光量子説を提唱し,論争には終止符がうたれた。その間の道程は決して平坦なものではなく,次々にもたらされる発見や新知見は両者を互いにはげしくゆさぶった。しかし,これらの論争の中から電磁気学や量子論が生まれ,相対論は深化した。「神学と光学」「力学と光学」「熱学と光学」「電磁気学と光学」「相対論と光学」「量子論と光学」等々,物理学の歴史は光の正体解明に費やされたといって過言でない。これらの歴史をたどると,それはそのまま高校物理の授業になる。当時の研究者たちの疑問は,現在の高校生の疑問でもある。「光の論争史」の教材化は物理学の体系的理解に寄与するものと考えられる。
著者
岡田 直之
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.85-90, 2009
参考文献数
9

電気パンが焼ける間に流れる電流値は増減を繰り返し,その時間変化のグラフは"二コブ"の形になることを報告する。本報告では,この電流値変化がホットケーキミックスにデンプンが含まれているために生じることを明らかにした。この電流値変化は,デンプンの糊化に伴うパン生地の電気伝導率の変化が原因であると考えられる。
著者
萩原 武士 永田 竣嗣 三宅 宏司 綾井 誠昌
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.56-59, 1982-05-25 (Released:2017-02-10)

指導要領の改訂に伴い高校の生徒達は,小学校理科の「音」で学んだ基礎知識だけで振動・波動現象の理解と定式化に取組まなければならない.このような問題点を軽減する目的で,下端を燐青銅薄板で封じた透明アクリル管にアルミニウム懸濁液を入れ,底部から市販の超音波洗浄器からの振動を伝えることにより定常波の観察が可能であるよう工夫した簡単な実験を行った.定常波の観察から波長を求め,この値と発振器の振動数とをもとにして音速を求めた.本実験により得られた水中での音速は約1448m・sec^<-1>であり,これまで他の方法で求められた値とよく一致することがわかった.さらに音速に影響を与える諸因子についての検討をも行った.本実験は準備が簡単であり,操作・測定も容易であるため,高校物理「振動・波動」に関する演示実験用教具として活用できるものと考えられる.
著者
西尾 信一
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.76-79, 1989-06-25 (Released:2017-02-10)

現在,はねかえり係数は,衝突問題を解くのに運動量保存則と並列して使うための数学的手段として,生徒に認識されているきらいがある。そこには,物理的な現象としての衝突のイメージがほとんどない。また,生徒は「力学的エネルギーは弾性衝突のときしか保存されない」ということを暗記するが,一方で「衝突がどのようなものであっても運動量mvは保存されるのに,運動エネルギーmv^2/2は特別なときしか保存されない,というのは合点がゆかない」と言う。これらの問題を改善するため,はねかえり係数を用いないで,弾性衝突と非弾性衝突との違い,衝突時のエネルギー保存の問題などを指導する授業展開を考えてみた。
著者
安藤 潔
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.194-197, 1992-09-05 (Released:2017-02-10)

筆者はアメリカで考案された運動量保存則検証の実験装置を学生実験として導入してきた。この実験装置は日本ではあまり知られておらず,実験実施上の問題点も多い。そこで,実施上の問題点や学生の反応について述べる。