- 著者
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中山 晶一朗
- 出版者
- 数理社会学会
- 雑誌
- 理論と方法 (ISSN:09131442)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.1, pp.89-102, 2003-03-31 (Released:2009-01-20)
- 参考文献数
- 8
本研究では,流行・普及現象を,流行を採用するのか否か,流行商品を購入(所持)するのか否か,という個々人の二者択一の離散選択の集合と捉え,その離散選択をロジットモデルにより定式化を行う.モデルは,同調や差別化という他者の影響及び購入価格を含む採用するためのコストを考慮し,(流行の)採用率を算出するものである.このようなロジットモデルを用いた流行・普及現象モデルを構築し,数値計算により流行・普及現象の考察を行うことが本研究の目的である.数値実験の結果として,差別化の効果がない場合は採用率が単調に増加し,収束するだけの単純普及のみであったが,差別化効果がある場合は,流行の循環やカオス的挙動が生じることもあることが分かった.その場合,単純普及,循環,カオス的挙動のいずれになるかは,同調及び差別化という他者の影響のみならず,採用コストにより決定されることが分かった.