著者
溝渕 翔平 西村 竜一 入野 俊夫 河原 英紀
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2015-MUS-107, no.60, pp.1-6, 2015-05-16

本研究では提案法を用いて通常歌唱音声にグロウル系歌唱の特徴を付与した際の印象を評価した.これまでの研究よりグロウル系歌唱音声特有の物理的特徴として 「1k~4kHz の帯域強調」,「基本周波数の振動」 及び,「スペクトル形状の高速な時間変動」 が確認された.従来法である 「スペクトル形状の高速な変動」 を付与したモデルは,観察された現象を表面的に模擬するために 4 個のガウス関数を組み合わせたものであり,声質の表現や発声の機構を考慮したものでは無かった.本研究では 「スペクトル形状の高速な時間変動」 を披裂喉頭蓋の形状変化と声帯音源波形の時間変化の相互作用としてモデル化することで,グロウル系歌唱音声の特徴を付与する手法をこれまでに提案した.本稿では,従来法と提案法を変換後の歌唱音声の一対比較実験により評価した.結果をサーストンの一対比較法により分析した結果,提案法がグロウル系歌唱音声の印象を付与するのに効果的であることが示唆された.
著者
古市 朝美 白木 善尚
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.59, pp.1-6, 2013-05-04

今日,楽曲製作に用いられる音源の多くは,楽器音の波形をサンプリングしたPCM音源が使われている.一方,偏微分方程式を用いて楽器の音響特性を表現し,その偏微分方程式の解に基づく物理モデル音源も実用化されている.物理モデル音源は音高,音色,音程などの操作が容易であり,音の立ちあがりや連続した音の生成等,PCM音源と比べて自然な楽器音作りが可能である.本報告では,代表的な撥弦楽器であるギター音の生成法,特にグリッサンド音の物理モデル音源の生成法を提案する.更に生成した音源の聴取実験を通して,提案した方法の妥当性の検証を行う.
著者
山岸 祐己 斉藤 和巳
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.2, pp.1-6, 2012-08-02

動画共有サービスに投稿されている楽曲動画の評価法を提案する.一般に,楽曲動画は再生数等の絶対数の推移を用いてランキングされるため,上位にランクインするのは楽曲動画集合のうちの僅かな上澄みであることが多い.これに対し,動画情報に統計的な正規化を施してランキングを行うことにより,全ての楽曲動画を平等な評価基準にかけることを試みる.さらに,動画に対して外的に与えられた情報のみで動画同士の歪み距離を計算し,類似した楽曲動画を探索する手法も提案する.提案法は,いずれも動画共有サービスの特性を上手く利用していることを示す.We propose evaluation methods for VOCALOID music videos which are posted in Nico Nico Douga. Generally, music videos are ranked by transition of the absolute numbers of playbacks and comments. However, the top rankers obtained by this conventional ranking method are limited to a part of the music videos with hot topics. In contrast, we tried to apply all the music videos to equal valuation standards by new ranking methods which uses statistical normalization. Furthermore, we also propose a new technique for searching similar music videos by calculating the distortion distance of video information given externally. We show each proposing methods can make use of the characteristics of video hosting service well.
著者
佐々木渉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.29, pp.1-1, 2013-08-24

Vocaloid3 版リリースと,それ以降も視野に入りつつある 「今の初音ミク」 が目指す方向性を 「初音ミクが増えている」 というテーマで掘り下げていきます.V3 ミクのコンセプトの説明や,歌声データベースが増えるということ,歌う曲が増えるということ,作家が増えること,ネットやメディアでの露出量が増えるということ.それぞれ 「増え続けた事」 に着目し,増えたことにより何が起こったのか?について考える他,その解釈 / 分析や,現場からの反省から今後どういった初音ミクの可能性があるのか考えてみたいと思います.
著者
村尾 恵一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-95, no.11, pp.1-5, 2012-05-26

クラリネットのリード振動を可視化するために高速度カメラにおいて撮影を試みた。その振動を解析し閉管楽器であるクラリネットのリードの振動特性を明らかにする。
著者
小林 真優子 西村 竜一 入野 俊夫 河原 英紀
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.47, pp.1-6, 2013-05-04

声を聴くと,何となくその人の体型が分かる.ここでは,母音だけを用いて相対的な声道長を推定する方法を提案する.この方法では,声道長以外の要因によるスペクトル形状変化の影響を軽減するために,スペクトル距離の計算に用いる帯域を制限し,スペクトルの大局的な平坦化と形状の過度な詳細の平滑化とを組合せている.6歳から56歳までの284名の男女が発声した母音と身体情報からなるデータベースを用いることで,これらの処理に用いるパラメタを決定した.母音だけを用いた簡易な方法にも関わらず,以前報告した聴覚モデルを用いた方法を凌駕する精度での声道長推定が可能であることを確認した.また,このデータベースに付与された身体情報を母音だけから推定できることを示した.
著者
横山 真男
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.12, pp.1-2, 2013-05-04

フランスにおける重要なヴァイオリン弓製作者であるトルテ以降、今日でなお実用されている弓の製作者にはペカットやサルトリといった著名な製作者がいるが、各製作者によるヘッドの形状やパーツの削り方、装飾などに特徴があり、演奏者の弾き心地や音色に大きく影響している。本研究では、そういった製作者の特徴の違いによる操作性に着目し、弓性能計測装置を使用し弓の構造的、力学的な特性を測定し、また弓の特性の違いによる演奏者の操作性や音響への影響を調査した。
著者
今井 慎太郎
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.6, pp.1-3, 2009-11-28

アコースティック楽器とリアルタイム・デジタル音声信号処理技術を組み合わせたインタラクティブ・コンピュータ音楽の日本における先鞭をつけた 「音楽デザイン学科」 創設から 18 年が経過し,国立音楽大学のコンピュータ音楽スタジオやソフトウェア環境もずいぶんと様変わりした.ここに近年の活動をスタジオ・レポートというかたちで総括したい.18 yea rs pa ssed since the foundat ion of the Sonolog y Depa r tment of Kunitachi College of Music where took the initiative on interactive computer music in Japan. And the computer systems, softwares and audio equipments in the studio have been variously modified. Here I would like to report our recent activities.
著者
伊藤博之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.27, pp.1-1, 2013-08-24

当社では毎日多くの問い合わせを海外から受けます.地域は北米から中南米,それにアジア諸国が中心.問い合わせ内容はコンサートやイベントへのお誘いからファンレターまで様々です.初音ミクをコアとしたボカロムーブメントは確実に世界に拡がっており,それに応える形で当社は初音ミク英語版を遂にリリース致します.本講演では,世界から届くファンからの声や実際に参加した海外でのイベントを通じて見聞きした事をご紹介するとともに,海外展開における課題をお話しいたします.
著者
蓮井 洋志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.11, pp.1-7, 2010-11-27

本研究では、作曲モデルにメロディー内のユーザの好みの偏りを学習する方法を導入し、それを用いて対話型選択集団山登り法を利用した対話型作曲支援システム rank-c-Sonneteer2 を実現する。本手法は、評価のランクによって親を選択する集団山登り法である。Rank-c-Sonneteer2 は、対話、親の入れ換え、選択、学習と生成をくり返す。まず、対話において、ユーザが、入力のメロディーを改善、評価する。評価では各音符ごとに 4 段階評価する。親の入れ換えにおいて、評価値が親よりも高ければ、前の親と入れ換えて、親ベースに登録する。選択において、システムは評価のランクに親を選ぶ。学習と生成において、作曲モデルがシステムに選ばれた親を 11 回学習し、親ベースの他の親を 1 回学習し、その学習情報をもとに近傍解、つまり子を生成する。この 4 つのプロセスを好みのメロディーを作曲するまで繰り返す。モデルは学習データをもとにメロディーを生成するが、ランダムウォークで生成するために好みの部分を持たないメロディーを作曲してしまう場合がある。モデルが音符ごとの 4 段階の評価に対して好みの部分の音符の重みを大きくして学習すれば、よりユーザの好みを反映した近傍解を生成できる。本論文では、このモデルを実現したシステムとそのシステムを使って作曲したメロディーについて述べる。In this study, I implemented the computer aided composition system, rank-c-Sonneteer2, with the interactive selective population climbing, where the composing model introduced on learning the favorite bias of the user's evaluation. This method is population climbing which selects the parent with respect of the rank of its evaluation value. Rank-c-Sonneteer2 repeats the interaction, the exchanging the parent, the selection, and the learning and generating until the user gets the favorite melody. First, in the interaction, the user improves the inputted 10 melodies into more favorite melodies, and evaluates the improved melodies. The evaluation method is that the user evaluates 4 level of every note in these melodies. In the exchanging the parent, the system exchanges the offspring higher evaluation value with the parent, and enters into the parent base. In the selection, the system selects 10 parents with respect of the rank. In the learning and generating, the composing model learns the selected melodies 11 times and the other parents in the parent base once, and generates the melody, the offspring near the parent, with randomwalk. Although the model generates the melody based on learning information, it sometimes generates a melody which does not have favoroite part, because of generating with randomwalk. If can learn the favorite bias, the model can generate neighbours which are more reflected on the user's favor. In this paper, we described about the implementation of rank-c-Sonneteer2 with this composing model and the composed melodies with the system.
著者
宇都木 陽介 森山 剛
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.4, pp.1-6, 2009-05-14

日本の伝統楽器の一つである尺八は,無形文化財としてその演奏が録音されているが,特定の奏法を聴くには,専門家が録音を聴いて録音箇所を特定するしかない.従って,初学者はもちろん,ごく一部の専門家以外にとっては,失われているも同然である.本研究では,尺八の演奏音のみから,演奏されている奏法を自動認識し,演奏音にメタ情報を付与することを目的とする.これにより,無形文化の保存及び普及,国内外への発信に貢献できると考える.本報告では,手動で切り出した演奏音に対して,演奏音の音高及びパワー,音色の物理特徴量を算出し,奏法の識別を行う手法を提案する.実験の結果,ユリ,カラカラ,ウチ,オシ,オトシ,ムライキ,スリアゲ,ナヤシの奏法に関して,82% (スリアゲとナヤシを1つに分類した場合は 98%) の高い精度で識別を行えることが示された.Shakuhachi is one of the Japanese traditional instruments, and its performance has been recorded for years for future recovery of the cultural heritage. Yet, in order for beginners to listen to a specific playing method, Shakuhachi specialists need to locate it in a large amount of data. It prevents it from being pervaded to the world and even succeeding to be restored in future. We propose a method of classifying playing methods of Shakuhachi's only from the performance. The method uses basic characteristics in music such as pitch, power, and timber of the sound. Experimental results showed the proposed method classified eight playing methods (Yuri, Karakara, Uchi, Oshi, Otoshi, Muraiki, Suriage, and Nayashi) successfully at the average rate of 82%.
著者
原 健太 加藤 淳 後藤 真孝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-112, no.8, pp.1-7, 2016-07-23

本稿では,DJ 機器および DJ システムをプログラミングで制御可能にすることで,コンピュータと人間が共同でミックスを行う DJ プレイ手法を提案する.ユーザは,事前にプログラミングしておくことで,つまみを 6 つ高速かつ正確に同時に動かすなど,人間には難しい制御を披露できる.さらに,即興でプログラミングすることも可能で,その場の雰囲気に合わせた選曲変更に対応したり,プログラムのパラメタを調整したりして,コンピュータとの B2B プレイ (Back-to-back; 2 人の DJ が交互に選曲する協力プレイ) ができる.
著者
河原 英紀 森勢 将雅 西村 竜一 入野 俊夫
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-95, no.4, pp.1-6, 2012-05-26

シャウトやデスボイスなどの激しい表現は、ポピュラー歌唱で広く用いられている。これらを適切に分析、再現、制御する方法を明らかにすることは、歌唱合成システムに豊かな表現力を与えるために解決すべき重要な課題である。本報告では、まず、新たに開発した高い時間分解能を有する基本周波数抽出法とそれに基づく TANDEM-STRAIGHT により、様々な歌唱音声を分析した結果について報告する。分析結果は、激しい表現にいおいて、70 Hz付近に 20 dB程度の高さのピークを有する高速の (基本周波数の) 周波数変調と、同様に、高速の (スペクトル包絡の) 振幅変調が存在することを示した。このような高速の変調の存在は、これまでにはっきりとは報告されていない。予備的な実験により、それらの高速の変調を加工することにより、発声の声区と努力の印象を保ったまま、シャウトなどの歌唱表現の強さ (生々しさ) を制御できる可能性が示された。
著者
中野倫靖 吉井和佳 後藤真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.1-7, 2014-08-18

本稿では、歌声と伴奏を含む音楽音響信号を対象として、「ボーカルの歌声」、「楽曲中の音色」、「リズム」、「和音進行」 の確率的生成モデルを構築し、モデルからの生成確率を計算することで、「楽曲間の類似度」 や 「楽曲のありがち度」 を推定する手法を提案する。歌声、音色、リズムに関しては、LPMCC、MFCC、Fluctuation Pattern に基づく音響特徴量を抽出し、それぞれに関して潜在的ディリクレ配分法 (LDA) を用いたトピック分析を行う。個々の楽曲毎に学習したモデルと全曲から学習したモデルから、楽曲における各音響特徴量の生成確率を計算することで、それぞれ楽曲間の類似度とありがち度を推定した。和音進行に関しては、能動的音楽鑑賞サービス Songle のコード認識結果に対し、可変長 Pitman-Yor 言語モデル (VPYLM) でモデル化した。ここでは、個々の楽曲毎に学習したモデルと全曲で学習したモデルから、各曲のパープレキシティの逆数 (各和音の平均的な生成確率) を計算することで、それぞれ類似度とありがち度として推定した。本稿では、ポピュラー音楽 3278 曲を対象として分析した結果を報告する。
著者
矢倉 大夢 中野 倫靖 後藤 真孝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-112, no.3, pp.1-10, 2016-07-23

本稿では,作業時に集中度を高めることを目的として聴取する楽曲,「作業用 BGM」 に特化した楽曲推薦システムを提案する.従来,ユーザが好むであろう楽曲を推薦する手法が研究されてきたが,「とても好き」 な楽曲は作業者の集中を阻害することが知られており,作業用 BGM として推薦する楽曲に適していない.提案システムは,「とても好き」 や 「とても嫌い」 ではなく、「好き」 もしくは 「どちらともいえない」 楽曲を,BGM 聴取時のユーザからのフィードバックに基づいて推薦する.具体的には,楽曲のサビ区間までをダイジェスト的に聴取する (部分的にしか再生されない) システムとして設計することで,楽曲を 「スキップ」 するフィードバックによって 「嫌い」 な楽曲を推定する従来手法に加え,「もっと聴く」 フィードバックを導入して 「好き」 な楽曲を推定する.さらに,「好き」 として推定された楽曲は,ユーザの集中度を行動ログから推定して 「とても好き」 か 「好き」 かを識別する.これは集中度が高い時のフィードバックは,低い時より嗜好度を強く表しているという仮説に基づく.そして,楽曲間類似度に基づく Label Spreading により,頑健にかつ再生履歴が少ない状況でも適切に楽曲を推薦することを可能にした.
著者
内田 遼 矢向 正人
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.12, pp.1-6, 2011-12-04

中世からルネッサンスまでの協和・不協和に関する西洋音楽理論は,声楽曲を念頭においている.この事実をふまえ,亀岡・厨川,小畑,Sethares による協和性理論を再検討し,歌声の協和性の分析を試みる.Western music theories from medieval times to the renaissance on the relationship between consonance and dissonance intervals were made bearing vocal music in mind. Based on this fact, the consonance theories by Kameoka and Kuriyagawa, Kobata, and Sethares are reexamined, and the degrees of consonance and dissonance for singing voice are analyzed.
著者
湊山 梨紗 野池 賢二 鈴木 泰山 徳永 幸生 杉山 精
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.5, pp.1-6, 2010-11-27

本稿ではピアノ譜を対象として適切な譜めくりタイミングの推定法を提案する.音楽演奏では演奏中に楽譜をめくる "譜めくり" が必要となる.この譜めくりを行うタイミングは演奏曲や演奏者によって異なると考える.しかし,具体的にどのような要因が譜めくりタイミングを変化させているのかは明らかでない.そこでまず,楽譜構造における時間軸方向の音符密度に着目した推定法を考案した.本推定法では,楽譜のページ末尾に休符などによって打鍵を行わないときに譜めくりが行われることから楽譜上で時間軸方向に音符の少ない箇所を抽出し,その長さをもとに譜めくりタイミングを推定する.また,本推定法を用いて被験者実験を行い,推定した譜めくりタイミングと演奏者が望むタイミングとを比較し,推定手法の評価と考察を行った.その結果,推定した譜めくりタイミングが演奏者の望むタイミングと概ね一致したことなどから,本推定法が有用である見通しを得た.This paper proposes an estimation method of page-turning point for piano score. Page turning is necessary for performing music, and page turning point varies according to performer and score. However, what influence for page turning point is unapparent. So, we propose an estimation method which considering density of notes on time series based on score structure. We also conducted an experiment to evaluate this method by comparing estimated point with performer preferring point. Results from this experiments showed that proposed method is useful for estimating page turning point.
著者
渡辺 晃生 安藤 大地 丹治 信 稲田 雅彦 伊庭 斉志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.13, pp.5-10, 2009-02-11

昨今,コンピュータに歌を歌わせることのできる VOCALOID というアプリケーションが注目されている.このアプリケーションにおいてはメロディラインや歌詞だけでなく,歌声のパラメータ調整を行う事によって様々な表現が可能であるが,歌声パラメータの調整は知識のないユーザには非常に大きな負担となっていた.今回は対話型進化手法 (IEC) と呼ばれる GA の一手法を用いて,ユーザはコンピュータによって提示される歌声パラメータから好みの物を選ぶという比較的簡単な操作によってパラメータの最適化を行うシステムを実装した.またシステムの評価として手動で調整した歌声パラメータにどの程度のユーザの負担で近づけるかを調べるための実験を行った.VOCALOID is an application that realize singing by computer. VOCALOID enables users to create songs sung by computer only with inputting of melody and lyrics. However, for higher quality of song, complex optimization of voice quality parameters is required. For optimizing problems, genetic algorithm is commonly used. In this paper, we introduce a prototype of an application for optimizing parameters of singing voice easily by using Interactive Evolutionary Computation (IEC). which adopt perceptual evaluation of human for evaluation functions. Besides, to examine the number of times of evaluation by human, we made an experiment to recreate the parameter of some music.
著者
平山 健太郎 伊藤 克亘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-94, no.16, pp.1-6, 2012-01-27

近年の日本のポピュラー音楽では,一つの声区のみで歌えないような高い音域を含む楽曲が数多く存在する.実際に一つの声区のみで歌おうとすると声が枯れてしまうという結果が多い.このような状況はしばしばカラオケで見受けられる.従来より,歌唱力の自動評価は様々な手法で行われてきたが,高音域の発声における発声状態の評価を行っているものは少ない.本研究では,基本周波数成分やフォルマント,倍音構造,残差スペクトルなどの特徴量から声区と発声状態のトレーニングデータを35次元で作成し,自動でユーザの音声データから高音域の発声評価を行うシステムを構築した.歌唱音声に対する音符単位の識別率は 93.18% であった.
著者
山本 雄也 平賀 譲
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2019-MUS-124, no.9, pp.1-6, 2019-08-20

楽曲には歌いやすいものと歌いにくいものがあり,歌いやすさ ・歌いにくさで楽曲を検索できれば,歌唱者の技量に合った楽曲選択が可能になると考える.しかし歌いやすさ ・歌いにくさは主観的かつ定性的な指標であり,それを定量化しコンピュータによる分析を可能にする手法については知見が十分でない.本研究は歌いやすさ ・歌いにくさを,難易度として楽曲の楽譜情報を用いて数値化し推定する手法について検討することを目的とする.楽曲の歌いやすさ ・歌いにくさについてデータを得るため,実験では 12 名の実験参加者を対象に楽曲を実際に歌い質問に回答する歌唱実験を行った.質問調査では楽曲の歌いにくさとどのように難しいかを回答させた.歌いにくさと音楽特徴の関係を分析するため相関分析を行った結果,相関のある音楽特徴に個人差を確認したため,個人ごとに音楽特徴から難易度を算出する重回帰分析モデルを提案して性能を検証した.その結果,決定係数の値の良し悪しは個人により差がみられた.また,楽曲がどのように歌いにくいかを示すため,歌いにくさの性質についての回答データを用いて対応分析 ・クラスタ分析を行い要因を分類した.その結果要因は大きく 「跳躍」 「音域」 「複雑さ」 に大別できた.楽譜データから歌いにくさの性質を予測するための分析として,楽曲の音楽特徴量と回答データの相関分析を行った.これらの分析によって,楽曲がどの程度,どのように歌いにくいのかを楽譜データから自動評価ができることへの第一歩となった.