著者
安部 翔 小田 弘良 松島 俊明
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.1-6, 2011-10-04

我々は自動譜めくりシステムの開発を進めており,そのために多重音の音高・音源数の高速推定の研究を行っている.以前,複素スペクトル内挿法により基本周波数候補を求め,それらの組み合わせによる同時発音数を評価する尺度を導入し,この評価尺度が最小なる音高の組み合わせを直接求める方法で,音源数が未知の音響信号からの高速推定法について報告したが,検出可能な同時発音数を多くするに従って計算量も増え,処理落ちが時々生じるという問題点があった.そこで,今回,この評価尺度の最小値の変化率の推移に着目し,これを用いて多重音の音高・音源数の高速推定を試みた結果,以前よりも高速な推定が可能となったので報告する.We are developing an automatic page turner system, therefore are studying high-speed estimation of the number of notes and their pitches simultaneously from acoustic sound. We already reported the following method: that is, to calculate the candidates of fundamental frequencies depending on the complex-spectrum interpolation, to introduce a evaluation function to search for the combination of the pitches which gives the minimum value of the evaluation function directly, and to presume the number of notes and their pitches from acoustic sound to a high speed. However, by this method, computational complexity also increased as the number of detective notes increased, and there was a problem that processing omission sometimes occurred. By considering transition of the rate change of the minimum value of the evaluation function, faster presumption of the number of notes and their pitches from acoustic sound can be attained than before.
著者
河原 英紀 森勢 将雅 西村 竜一 入野 俊夫
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.4, pp.1-6, 2012-05-26

シャウトやデスボイスなどの激しい表現は、ポピュラー歌唱で広く用いられている。これらを適切に分析、再現、制御する方法を明らかにすることは、歌唱合成システムに豊かな表現力を与えるために解決すべき重要な課題である。本報告では、まず、新たに開発した高い時間分解能を有する基本周波数抽出法とそれに基づく TANDEM-STRAIGHT により、様々な歌唱音声を分析した結果について報告する。分析結果は、激しい表現にいおいて、70 Hz付近に 20 dB程度の高さのピークを有する高速の (基本周波数の) 周波数変調と、同様に、高速の (スペクトル包絡の) 振幅変調が存在することを示した。このような高速の変調の存在は、これまでにはっきりとは報告されていない。予備的な実験により、それらの高速の変調を加工することにより、発声の声区と努力の印象を保ったまま、シャウトなどの歌唱表現の強さ (生々しさ) を制御できる可能性が示された。Strong expressions such as "shout" and "death voice" are common in popular singing. However, current singing synthesis systems are not good at handling these strong expressions and are not capable of using them to expand their limit of expressiveness. This is the topic this article tries to address. A set of singing voice analysis tests was conducted using our newly developed F0 extraction method, which has high temporal resolution and is light-weighted, and TANDEM-STRAIGHT for spectral envelope analyses. This test revealed that expressive singing voices consist of high-speed frequency as well as amplitude modulations in F0 and spectral envelope respectively. In one typical case, about 20 dB higher modulation frequency spectral peak was found around 70 Hz for expressive performance than that of normal performance. Preliminary tests suggested that selective control of "expressiveness" can be implemented by manipulating these high-speed modulations while preserving vocal register and effort intact.
著者
石野力 米澤朋子 中祐介 吉田侑矢
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.34, pp.1-6, 2013-08-24

本稿では参加者同士が交代で短い演奏情報をシーケンスに投入するネットセッションシステムを提案する.演奏知識や技術を持たなくても単純な音楽情報を交換することでメロディを連鎖させることが可能なシステムである.今回は 4 ステップのシーケンサを用いる手法と,4 本の指に曲げセンサを装着した手袋による手法を紹介する.従来のセッションとの違いは同時性である.本システムでは,非同期でありつつ短い音楽フレーズを投げ合い,つなげた連結フレーズをループ再生し続けることで,お互いの音を聞き,掛け合いのようにして楽しむことができる.これにより,簡単に相手と協調演奏ができる新たな音楽コミュニケーションを成立させることを狙う.
著者
酒向 慎司 水野 理央 北村 正
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MUS-85, no.3, pp.1-6, 2010-05-20

本報告では,管楽器アンサンブル奏者が自分たちの好みと希望に合わせた編曲楽譜を自動生成・支援するシステムを目的として,メロディ構造や各楽器の演奏難易度に基づいて入力メロディのパートを分配する問題を経路探索問題として定めた.伴奏・副旋律を生成する手法と組み合わせた編曲システムを実装し,得られた楽譜を用いて,アンサンブル演奏者による主観評価を実施した.評価結果を元に今後の課題と展望について考察する.
著者
石原達馬 吉里幸太 亀岡弘和 齋藤大輔 嵯峨山茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.20, pp.1-5, 2013-05-04

音声の基本周波数(F0)軌跡は,話者性,感情,意図など豊富な非言語情報・パラ言語情報が含まれることが知られており,その分析は重要な課題である.我々は基本周波数軌跡の数理的なモデルの一つである,藤崎モデルのパラメータの生成過程をHMMによりモデル化することで,実測F0軌跡から藤崎モデルのパラメータを推定する手法を開発してきた.本研究では,パラメータ推定精度の向上を目指して,藤崎モデルの指令列には典型的なパターン(テンプレート)が存在するという仮説に基づき,分析のための新しいHMMのトポロジーを提案する.定量評価実験により,モデルの持つテンプレート数に対する推定精度の変化を実験により確認した.
著者
駒木 泰
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.13(2009-MUS-79), pp.37-42, 2009-02-11

ジャズ・アドリブの単音の音高と音長の並びを時系列データとみなして時系列分析を適用し、演奏の特徴を見出した。Charlie Parker の Confirmation のテーマ、Charlie Parker と Clifford Brown のアドリブを対象に、自己相関、ガウス型と整数型の AR モデルの推定、VAR モデルの推定による Granger 因果性の検定を行った。ラグの長さ、パラメータの推定値について、いくつかの演奏の特徴が見出された。
著者
小山翔一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014-MUS-103, no.3, pp.1-6, 2014-05-17

より臨場感の高い音響再生技術を目指して,多数のスピーカを用いて音空間そのものを物理的に再構成する,音場再現技術が注目されている.従来のサラウンドシステムなどと比べて,広い受聴領域が実現できることに加え,ある場所の音場をそのまま収音・伝送・再現するようなことも可能になると考えられる.本稿では,まずは音場再現技術の従来手法を概観することで,その基本原理を解説する.さらに,マイクロホンアレイの収音信号のみから音場再現のためのスピーカアレイの駆動信号へ直接変換するための手法である,波面再構成フィルタについて詳しく紹介する.最後に,今後の展開として,マイクロホンやスピーカが理想的な数より少ない場合においても,高精度な再現を実現するための,超解像型音場収音・再現技術について紹介する.
著者
大浦圭一郎 南角吉彦 徳田恵一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.52, pp.1-3, 2013-05-04

近年,音声合成関連の研究分野では,統計的パラメトリック音声合成と呼ばれる統計モデルに基づいた手法が広く研究されている.この中でも,統計モデルとして隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model; HMM)を用いるHMM音声合成方式は,理論的に整理されたアルゴリズムと利用しやすいソフトウェアツールが公開されており,広く普及してきている.従来の波形接続方式と比較するとHMM音声合成方式は,発話の癖の再現や感情音声合成などの多様性,さらにそのフットプリントの小ささや言語依存性の低さなど,多くの優位性を持っている.一方,歌声合成関連の研究分野では従来の波形接続方式が広く用いられているものの,HMM音声合成方式も徐々に使われてきている.このような流れの中,我々はSinsyと名付けたHMM歌声合成システムを構築し,そのオンラインデモを公開した.本稿ではHMM歌声合成方式を紹介し,現状のSinsyのサービスや,今後の展望等を述べる.
著者
土井啓成 戸田智基 中野倫靖 後藤真孝 中村哲
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-96, no.5, pp.1-9, 2012-08-02

歌声の声質には,歌手の個人性が反映されており,他者の声質に自在に切り替えて歌うことは難しい.そこで我々は,歌声の声質を他者の歌声の声質へと自動変換することで,任意の声質での歌唱を実現する手法を提案し,歌唱という音楽表現の可能性を広げることを目指す.従来,統計的声質変換に基づく歌声声質変換が実現されていたが,提案手法では様々な声質に少ない負担で変換可能にするため,多対多固有声変換を導入する.これにより変換時に数秒程度の少量の無伴奏歌声さえあれば,任意の歌手の歌声から別の任意の歌手の歌声への声質変換が実現できる.しかし,その声質変換モデルの事前学習データとして,ある参照歌手の歌声と多くの事前収録目標歌手の歌声とのペアから構成されるパラレルデータセットが必要で,その歌声収録は困難であった.そこで提案手法では,歌唱表現を模倣できる歌声合成システム VocaListener を用いて目標歌手の歌声から参照歌手の歌声を生成することで,その学習データ構築を容易にする.実験結果から提案手法の有効性を確認した.
著者
松方翔吾 寺澤洋子 松原正樹 北原鉄朗
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.39, pp.1-5, 2013-05-04

本研究は,トランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析することを目的とする.口唇周囲の筋肉は口の形(アンブシュア)を一定に保つために深く関わっており,アンブシュアを保つことはトランペットを上手に演奏するために必要とされている.従来研究では,音の高さや強さ,楽器習熟度の観点からトランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析していたが,プレイヤーの演奏可能な音域や他楽器の演奏経験を考慮していなかった.そこで我々は,それらの問題を解決するために,口唇周囲の筋活動(上唇の口輪筋,下唇の口輪筋,口角下制筋,口角挙筋)を表面筋電図を用いて解析した.その結果,次のことが分かった.(1)低い音より高い音を演奏中の方が筋活動が活発になるが,その度合いは演奏者の演奏可能な音域によって変化する.(2)初心者は上唇より下唇の筋活動の方が活発であり,熟達者はその違いはない.そして,トランペットと同様に唇を震わせて演奏する金管楽器の奏者は,初心者と同じような筋活動を示す.In this paper, we investigated the relationship between the muscle activities around the lips and the sounds of playing the trumpet. While one is playing the trumpet, it is important but also difficult to keep an embouchure. Previous studies have investigated the difference between muscle activities for register and proficiency, but these studies have not considered the player's playable register and the influence of experience playing other instruments. Thus, in this study we aimed to solve these problems by examining the surface electromyograms (EMGs) around the lips: the orbicularis oris superioris, orbicularis oris inferioris, depressor anguli oris, and levator anguli oris. As a result, we found that (1) muscle activity is greater in the high register than the low register, but muscle activities in the high register are not significantly greater than those in the low register for the wide range of the playable register in the fixed register (FR); and (2) a novice trumpeter has greater muscle activity in the upper lip than in the lower lip, while an expert shows no difference. The muscle activity is the same as for the novice player when a non-trumpet brass player plays the trumpet.
著者
金子 仁美 川上 大輔 嵯峨山 茂樹
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MUS-85, no.7, pp.1-8, 2010-05-20

我々は,楽曲の和声解析の記述仕様 (“KS notation”) を策定し,機能和声解析を行ってデータを作成し,その統計解析を行った.和声推定は自動採譜や楽曲検索など多数の目的に有用で,その和声進行の確率モデルの作成と統計学習のために有用である.また,音楽学的な見地からは,和声学の規則や傾向などが計量的に検証でき,時代や作曲者や楽曲スタイルを和声学的に解明する基礎となろう.機能和声記述のために,和音,転回,借用和音,省略,変位,転調,付加音などの記述を可能とし,さらに楽譜なしで演奏が可能なように音価も表現した.また,人間とコンピュータ双方の可読性の両立させコンパクトに表現できるようにした.データ作成には,RWC 音楽データベース所収のクラシック曲 50 曲について,人手により機能和声解析してデータを作成した.そのデータを統計解析し,音楽的な知見から説明を試み,機能和声モデルが従来のモデルより工学的和声モデルとして優位であることを示す.
著者
水野 創太 白松 俊 北原 鉄朗 一ノ瀬 修吾
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-117, no.4, pp.1-4, 2017-11-18

演奏者の身体動作は,その動きの視覚的効果によって音楽理解を促進する.特に,旋律の上下動 (旋律概形) は直感的な身体動作と親和性が高い.我々はこれまで,モーションセンサーカメラ,スマートフォンセンサーによってユーザの身体動作を認識する手法を提案し,身体動作による演奏行為を支援するシステムの開発を行ってきた.本稿では,これまで開発してきたスマートフォンを用いた身体動作認識手法と,北原らによる旋律概形からメロディ生成するシステム JamSketch を統合することで,即興演奏支援システム JamGesture を開発した.JamGesture は,スマートフォンを用いて認識したユーザの手の上下動から描画した旋律概形を基に,JamSketch の機構によってメロディを生成することで,ユーザの直感的な身体動作を入力とした即興演奏を可能とする.
著者
菅野 幸夫
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.17, pp.1-2, 2013-05-04

SMFのMlDI情報をもとにゲーム音楽の曲構造をその音列から特定するための方法を述べる.This manuscript describes how to determine musical structure of game music from notes sequence using SMF information.
著者
泉川 秀文 石上 和也 志村 哲
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.27, pp.1-3, 2009-07-22

「地無し尺八」とは、現代の様々な音楽種目に適応可能な「地塗り尺八」に対する尺八本来の楽器構造をもつ楽器の呼称である。それは、江戸時代に独奏を常とする虚無僧の楽曲吹奏のために発展し、尺八独自の演奏技法のほとんどはこの時期に生み出された。地塗り尺八の楽器構造は、明治以降、他楽器との合奏を前提に地無し尺八を徐々に改造して現代の形になった。そこで、西洋楽器的な基準からみれば性能は向上したが、反面、本来の特徴の幾つかは失われたといわれている。本報告は、音楽制作に応用可能な形での地無し尺八の特徴抽出の方法および、ソフトウェアとしての創作ツール開発の展望を述べる。"Jinashi Shakuhachi" is the name for the originally structured shakuhachi used to differenciate it from "Jinuri Shakuhachi," which has a musical structure compatible with other modern instruments. The Jinuri Shakuhachi has developed for the purpose of playing with other instruments. Therefore, according to standards of Western instruments, its performance has improved, however, some of its original characteristics have been lost. This study is to detect and state the characteristics of the Jinashi Shakuhachi, and also to show the development of a creative tool to utilize it.
著者
長嶋 洋一
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.8, pp.1-6, 2011-05-06
被引用文献数
3

音楽を専門としないデザイン専攻の学生にいかに有効な作曲技法を体得させるか、というテーマに関して報告する。具体的には、(a) 感覚的な試行錯誤/センス重視のコンクレート、(b) 基礎的な音楽理論のエッセンスを理解しての正攻法、(c) ビジュアル要素と連携した数理造形としての音楽生成、の 3 つのアプローチを試してみた。This report is about education of computer music to students of media design course. Students are not specialists of music. However, they are interested in music for video works, Flash contents, games and installations. I report three types of approach - (1) music concrete with ear, (2) essence of music theory, and (3) composition as the mathematical computer art.
著者
石野力 米澤朋子 中祐介 吉田侑矢
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.34, pp.1-6, 2013-08-24

本稿では参加者同士が交代で短い演奏情報をシーケンスに投入するネットセッションシステムを提案する.演奏知識や技術を持たなくても単純な音楽情報を交換することでメロディを連鎖させることが可能なシステムである.今回は 4 ステップのシーケンサを用いる手法と,4 本の指に曲げセンサを装着した手袋による手法を紹介する.従来のセッションとの違いは同時性である.本システムでは,非同期でありつつ短い音楽フレーズを投げ合い,つなげた連結フレーズをループ再生し続けることで,お互いの音を聞き,掛け合いのようにして楽しむことができる.これにより,簡単に相手と協調演奏ができる新たな音楽コミュニケーションを成立させることを狙う.
著者
大谷紀子 上村僚子 栗原聡 沼尾正行
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.21, pp.1-6, 2013-03-08

個人の感性に即した楽曲を進化計算により生成する手法が提案されている.先行研究では,和音進行や音色などの決定手法を検討しており,メロディは同時に演奏される和音に調和する範囲内でランダムに決定されていた.本研究では,メロディにも個人の感性を反映させることで,より感性に即した楽曲の生成を目指す.帰納論理プログラミングによりメロディのリズムの感性モデルを獲得し,ハーモニーサーチにより感性モデルに適合するリズムを生成して,感性に即したメロディを生成する手法を提案する.20 代の男女を被験者とする評価実験により提案手法の効果を示す.
著者
加藤 圭造 伊藤 彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-94, no.14, pp.1-6, 2012-01-27

本研究ではデスメタル,メタルコアなどエクストリームメタルと言われるジャンルで頻繁に用いられる,グロウル及びスクリーム歌唱について音響的特徴の分析を行った.先行研究で特殊な発声の音響的な特徴として示されたサブハーモニクスの存在や macro pulse 構造の調査,病的音声の分析になどに使われる jitter,shimmer,HNR の値について測定を行った.
著者
大矢 隼士 森島 繁生
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-95, no.10, pp.1-6, 2012-05-26

インターネットの動画共有サイト上に存在するアマチュア制作の音楽動画を再利用することにより,自動的に音楽動画を生成するシステムを提案する.この音楽動画は,既存の音楽にゲームやアニメなどの映像を切り貼りして制作されたものであり,MAD 動画と呼ばれている.本稿では,以前筆者らグループが提案した DanceReProducer の学習手法を,マルコフ連鎖を使うことにより映像の時系列情報を考慮できるように改善し,Forward Viterbi アルゴリズムを用いて動画生成をおこなう.提案システムは,まずインターネット上にアップロードされている MAD 動画を大量に取得し,データベースとする.その後,データベースの動画から音楽特徴量,映像特徴量を抽出し一小節ごとにまとめ,楽曲の構造情報やテンポの推定をおこなう.次に,各特徴量をクラスタリングし,状態変数を音楽特徴量,潜在変数を映像特徴量として,潜在変数のマルコフ連鎖モデルを使用して学習する.動画の生成は,任意の楽曲 (入力楽曲) に対し,学習した同調関係から最も入力楽曲と同調する映像をデータベースから選び出し,切り貼りすることで新しい動画を自動的に生成している.
著者
関根雅人 小川克彦
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.17, pp.1-6, 2013-03-08

モーショングラフィックスとは、非叙述性および非具象性を特徴とする、グラフィックの動きや変化による視覚的訴求効果を活かした表現形式である.近年、モーショングラフィックスの応用分野の拡大に伴い、映像の感性的品質 (Affective Quality) に対する要求が高まっている.本稿では、モーショングラフィックスの感性的品質評価の一手法として、オプティカルフロー解析を用いた覚醒度評価を提案し、その有効性を明確にすることを目的とした.印象評価実験を通じて得られた覚醒度の因子得点と、オプティカルフロー解析から得られた平均移動長との相関分析を行ったところ有意な相関が認められ、映像内オブジェクトの平均移動長による覚醒度評価の有効性が示された.