著者
平原 達也
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2018-MUS-121, no.29, pp.1-6, 2018-11-14

音響実験機器の諸特性は,使用期間が長くなると変化する.かつて,新しい機器はエージング (慣らし運転) を行い,使いこんだ機器も電源投入時にはエージング (暖機運転) を行うことが普通であった.ところが,今日では,電源投入とともに受聴実験や音響測定を始めることが少なくないように思う.ディジタル音響機器のエージングはもはや不要なのだろうか? 耳の諸特性も,使用期間が長くなると変化する.高齢者の耳は,そのフロントエンドの感度が低下するだけでなく,バックエンドのさまざまな機能が低下する.これは高齢者だけの問題なのだろうか? 本稿では,このような音響実験機器と耳のエージングについていくつかの事例を紹介する.
著者
中村 栄太 齋藤 康之 吉井 和佳
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2019-MUS-124, no.12, pp.1-16, 2019-08-20

ピアノ運指の自動推定は,音楽演奏過程を情報学的に理解するために重要であり,演奏支援や演奏学習支援技術へ応用可能である.運指の良さを定義する自然な方法は演奏の制約やコストのモデルを構成することであるが,一般的にこれらのモデルでは適切なパラメータの値を見つけるのは難しい.本稿では,統計モデルに基づくデータ駆動型のアプローチを考え,与えられた運指の自然さを確率に基づいて記述する方法について調べる.具体的には,2種類の HMM (隠れマルコフモデル) とその高次の拡張を構成する.比較手法として,DNN (深層ニューラルネットワーク) に基づく方法も調べる.新しく公開したピアノ運指のデータセットを用いて,これらの手法の学習と評価を行い,制約に基づく代表な手法との比較評価も行う.評価に関しては,運指の個人的差異を考慮して,複数の正解運指データがある場合に使える新たな評価指標を考案した.評価の結果,高次 HMM に基づく手法がその他の手法よりも推定精度が高いことが明らかになった.運指モデルに基づく演奏難易度の定式化およびピアノ用編曲への応用についても議論する.
著者
田中 敏文 於久 光輔 永原 正章 山本 裕
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-114, no.5, pp.1-5, 2017-02-20

日本音楽 (伝統音楽) では,西洋音楽に比べ,和音の意識が希薄でその代わりに音色を重視する.西洋音楽が “クリスタルボイス” として透明感のある声を好むのみ対して,日本音楽は “渋い声” として太い声,かすれた声,こもった声を好む.このことに注目して謡 (うたい) の声のスペクトルを解析した結果,西洋音楽の声に比べて,非整数倍音が多いことを確認し,さらに非整数倍音の発生要因を考察した.
著者
山本 雄也 叢 悠悠 島村 龍太郎 菅野 幸夫 北原 鉄朗 糸山 克寿
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2022-MUS-133, no.7, pp.1, 2022-01-18

本稿では第 133 回音楽情報科学研究会における既発表の国際会議・萌芽・デモ・議論セッションの発表内容について述べる.本セッションでは, 査読付きジャーナルもしくは国際会議にて既発表の研究成果や,これからの発展が期待される萌芽的な研究まで,幅広くポスター発表・デモ・議論できる場である.今回のセッションでは,合計 4 件の発表が行われる.
著者
松村 昂輝 大谷 紀子 木村 司 福井 健一 沼尾 正行
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2019-MUS-125, no.5, pp.1-4, 2019-11-12

本研究では,深層学習の手法を用いた新しい音楽生成方法を提案する.音楽理論の観点から,コードとメロディは互いに調和する必要がある.つまり,音楽を作る際には,コードを考慮した上でメロディを作る事が望ましい.本研究では,コードを考慮したメロディ生成を行う深層学習モデルを対象とする.既存研究において,音楽の重要な要素であるリズムが考慮されたモデルは存在しない.本研究では,リズム ・コード ・メロディを一括に考慮して音楽を生成する新しい手法を提案する.本手法では,以下の三段階の手順に従い,複数の深層学習モデルを用いて音楽を生成する.①RhythmGenerator,RhythmTransformer により,大量の音楽データから学習した,コード及びメロディのリズムを生成する.②生成されたリズムを入力とし,RhythmToChordGenerator がコードを生成する.③生成されたリズムとコードから,ChordToMelodyGenerator によりメロディを生成する.提案手法を用いた実験では,リズム ・コード ・メロディが調和した音楽を生成することができた.
著者
田原 花蓮 植村 あい子 北原 鉄朗
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2021-MUS-130, no.9, pp.1-8, 2021-03-09

本研究は既存のポピュラー音楽をファミコン風の音楽に自動編曲することを目的としたものである.ファミコン音楽は最大同時発音数が 4 音までという制約が決められているため,音を削除しなければならない.そこで各パートに対して適切な音削除が行えるよう,各パートに対して音を簡略化する「変換ルール」を複数設計し,遺伝的アルゴリズム (genetic algorithm:GA) を用いて最も相応しい変換ルールをパートごとに決定していく手法を用いてファミコン風音楽の生成を行った.MIDI ファイルを用いてファミコン風アレンジを行い,主観評価と客観評価に分けて評価実験を行った.主観評価では,プロの作曲家に評価(1 から 7 の 7 段階)してもらったところ,リズムの自然さについては,変換ルールありで小節ごとに GA を行ったアレンジ 1 では平均 5.8 が得られた.一方,主旋律とベース以外のパートの選び方の妥当性については,ランダムよりも低い結果になるなど,課題が残った.客観評価では,変換ルールありで小節ごとに GA を行ったアレンジ 1,続いて変換ルールなしで小節ごと GA を行ったアレンジ 4 が総合的に高い評価が確認できた.
著者
平井 辰典 澤田 隼
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2021-MUS-132, no.13, pp.1-10, 2021-09-09

本稿では,メロディ素片間の接続コストに基づいて後続メロディ候補を提示することによって,メロディの打ち込みを支援するインタフェースを提案する.著者らが提案した BiLSTM に基づくメロディ素片間の接続コスト [1] を活用して,実際にメロディの打ち込みを行う際に必要に応じて後続メロディや後続音符の候補を提示するインタフェースを開発した.具体的には,ピアノロール上にメロディを打ち込んでいくようなメロディ制作のシチュエーションを想定し,ユーザが入力済みのメロディを基に,後続のメロディや音符の候補を,既存のメロディによって構成されるデータベース内から探索し,ユーザに提示するようなインタフェースである.開発したインタフェースを使って実際にメロディの打ち込みを行うユーザスタディを実施し,本提案インタフェースの有効性についての評価を行った結果,その有効性が確認できた.さらに,本提案インタフェースを使った音楽制作の可能性についても議論する.
著者
有賀治樹 岡明也 橋本学 長田典子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.11, pp.1-6, 2013-08-24

本稿では,演奏者によらず使用できる,マーカレス・ピアノ運指認識手法を提案する.距離画像中のわずかな手掛かりをもとに指先候補位置を多数検出し,ピアノキー位置との対応を確率的に表現したものを仮説群として生成する.各仮説から手全体の姿勢を推定して画像化し,入力距離画像との手全体の整合性を求めることによって最尤仮説を決定する.このとき,各指先 (親指~小指) の存在確率マップを用いて指先候補位置を確率的に表現し,仮説の尤度に反映させる.汎用 3-D ハンドモデルを用いて仮説をオンラインで画像化することにより,個人ごとの事前の実データ学習が不要となり,演奏者固有の演奏時の手の姿勢に影響されにくい,汎用的な運指認識を実現した.計 128 音からなる初心者向け楽曲を用いた実験により,認識成功率 88% を確認した.
著者
栗脇 隆宏 西野 隆典 成瀬 央
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2015-MUS-107, no.48, pp.1-4, 2015-05-16

本研究では,様々な楽器音が混在した音楽信号を対象としてスネアドラムとバスドラムの自動採譜に取り組む.提案手法では,対象楽曲に使用されているスネアドラムとバスドラムの特徴を表す周波数成分をそれぞれ 1 箇所ずつ検出し,検出したピーク周辺の周波数帯域におけるスペクトログラムのパワーの立ち上がりに着目した認識対象楽器のスペクトルのモデルを作成する.その後各時刻においてモデルとスペクトルとの距離を計算し,閾値処理を行うことでドラムスの発音時刻検出を行う.RWC 音楽データベース中のポピュラー音楽 5 曲を対象とした評価実験より,F 値の平均がスネアドラムでは 0.95,バスドラムでは 0.93 という結果が得られた.
著者
長嶋 洋一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-110, no.11, pp.1-8, 2016-02-22

主としてリラクセーション (メンタルのエクササイズ) のために開発された脳波センシング・ヘッドバンド "MUSE" について,Computer Music における新楽器/新インターフェースとしての応用という視点から検討した.MUSE は額に 5 電極,耳朶に 2 電極を持ち,さらに 3 次元加速度センサ情報とともに Bluetooth でホストに生体情報を伝送する小型軽量廉価な装置であり,Bluetooth の設定として UDP を指定すると OSC 互換となるため,既存の Computer Music システムとの親和性に優れている.本稿では,時定数の大きさから音楽演奏情報に適さないとされてきた脳波パターン認識,ノイズ除去の状況,加速度による首振りセンシング,そしてアーティファクトを表情筋/外眼筋センサとして活用する可能性について報告する.
著者
矢田部 浩平 石川 憲治 池田 雄介 及川 靖広
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2015-MUS-107, no.11, pp.1-6, 2015-05-16

音は空気の疎密変化であり,疎密によって媒質の屈折率も変化するので,光を用いて屈折率を計測することで音を録ることができる.これは,マイクロホンの特性や音場への干渉が影響することのない非破壊非接触な計測を可能にし,また遠方から音情報を取得可能であるという利点も有するが,一方で,計測された信号の SN 比が悪いという課題がある.これに対し,筆者らは物理モデルを用いた信号処理を提案しており,SN 比の改善に取り組んでいる.本稿では,様々な光学的音響測定手法を概説した後,筆者らが提案する信号処理と,今後期待される応用について述べる.
著者
岡明也 有賀治樹 杉山健太朗 橋本学 長田典子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.10, pp.1-4, 2013-08-24

ピアノ演奏の練習において,特に初心者の場合には正しいキーを正しい運指で弾くという基本的な練習が重要であることから,演奏状況をモニタリングし,客観的な誤りをタイムリーに提示するピアノ演奏スキル評価システムが望まれている.本研究では,2 つの要素技術を組み合わせることによってこれを実現した.1 つめは,楽譜上の音符と実際に打鍵されたキーを照合する音列照合技術である.練習時には未打鍵や余打鍵の発生に加えて,正しい演奏でも多少の揺らぎが発生するため,DP マッチングに基づいて柔軟な照合を実現した.2 つめは運指認識であり,練習中の自然な演奏を妨げないために,距離センサで得られた動画像列に汎用 3D -ハンドモデルを適用する仮説検証型手法を提案した.実際の楽曲を用いた実験評価により,単純マッチングに比べ検出数約 83% 削減でき,処理時間 0.6 秒を確認した.
著者
力徳 正輝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-113, no.18, pp.1-4, 2016-10-07

符号化された楽曲情報から楽曲生成モデルを構築する場合,メロディー,和音進行,フレーズなどの音符列の部分構造などを利用することで柔軟な生成モデルを構築できることが期待される.しかし,このような部分構造情報が付与されている楽曲データは多くはなく,MIDI のような楽曲データから音楽部分構造情報を自動で抽出する技術の重要性は高い.本稿では,部分構造情報も持っていない MIDI データから,2 種類のクラスタリング手法を用いて音楽部分構造を抽出する手法を提案する.さらに,得られた部分構造情報をリカレントニューラルネットワークによって学習させ楽曲生成モデルを構築する点について議論する.
著者
野池 賢二 池淵 隆 片寄 晴弘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.33, pp.1-6, 2013-08-24

MIDI メッセージのパラメータの精度を拡張する MIDI 上位互換仕様がふたつある.ひとつは MIDI Manufacturers Association によって承認された The high-resolution MIDI 仕様であり,もうひとつは YAMAHA による eXtended Precision MIDI(XP MIDI) 仕様である.これらは,いままで未使用であったコントロールチェンジ番号を使用して,たとえば Note On ベロシティの精度を 128 段階から 16256 段階に拡張できる手軽で便利な仕様である.しかし,現状ではいくつかの製品で採用されてはいるものの,まだあまり普及していない.本稿では,これらの仕様の詳細について紹介し,研究分野での利用における有用性について述べる.
著者
コンヴェール マクシム 深山 覚 中野 倫靖 高道 慎之介 猿渡 洋 後藤 真孝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2018-MUS-120, no.1, pp.1-8, 2018-08-14

ニューラルネットワークは自動和声付けにおいて有望な技術である.膨大なデータセットを元に,入力と出力の複雑な依存関係を学習することができるため,旋律と和音の依存関係も扱うことができる.ニューラルネットワークの性能はその入力と出力情報の表現方法が強く影響する.しかし,従来の自動和声付け研究では,出力情報である和音の表現方法について深くは検討されておらず,テンションノートといった和音の詳細な構造が最大限活用されてこなかった.和音の表現方法を変えることで,旋律と和音の関係を更に細かく学習できると考えられる.そこで本研究では,和音の表現方法の違いが Recurrent Neural Network (RNN) による自動和声付けの性能にどれほど影響するかを調査する.従来の表現方法を含む 4 つの異なる和音表現方法に基づいて Gated Recurrent Unit (GRU) を用いたニューラルネットワークを構築し,それらの性能を比較した.実験の結果,和音の構成音を陽に表現した表現方法を用いると,従来の和音ラベル形式を使った場合に近い性能に達成するだけでなく,構成音の細かな違いに対応できる多機能な自動和声付けモデルの構築を可能とすることがわかった.
著者
松方翔吾 寺澤洋子 松原正樹 北原鉄朗
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.39, pp.1-5, 2013-05-04

本研究は,トランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析することを目的とする.口唇周囲の筋肉は口の形(アンブシュア)を一定に保つために深く関わっており,アンブシュアを保つことはトランペットを上手に演奏するために必要とされている.従来研究では,音の高さや強さ,楽器習熟度の観点からトランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析していたが,プレイヤーの演奏可能な音域や他楽器の演奏経験を考慮していなかった.そこで我々は,それらの問題を解決するために,口唇周囲の筋活動(上唇の口輪筋,下唇の口輪筋,口角下制筋,口角挙筋)を表面筋電図を用いて解析した.その結果,次のことが分かった.(1)低い音より高い音を演奏中の方が筋活動が活発になるが,その度合いは演奏者の演奏可能な音域によって変化する.(2)初心者は上唇より下唇の筋活動の方が活発であり,熟達者はその違いはない.そして,トランペットと同様に唇を震わせて演奏する金管楽器の奏者は,初心者と同じような筋活動を示す.
著者
山田 知彦 武藤 聡 南角 吉彦 酒向 慎司 徳田 恵一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MUS-80, no.5, pp.1-6, 2009-05-14

HMM に基づく歌声合成は歌い手の特徴を歌声データと楽譜から自動学習し,任意のメロディからその特徴を再現した歌声を合成できる.その際,歌声の音色・発音と音高における歌い手の特徴を,それぞれスペクトルと基本周波数の時間変化として HMM でモデル化している.本稿では,歌唱表現のひとつであるビブラートを音高の周期的な揺らぎと仮定し正弦波でモデル化する.そのパラメータをスペクトル及び基本周波数と同時に HMM でモデル化する.歌声の合成実験では,女性 1 名による童謡 60 曲の歌声データを学習し,主観評価実験によってビブラートモデルの導入による自然性の向上が確認できた.
著者
阿部 ちひろ 伊藤 彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-91, no.9, pp.1-6, 2011-07-20

本稿では,音節数と韻に着目した作詞支援システムを提案する.システムは Ngram 言語モデルをもとに,ユーザの指定した音節数と韻の条件を満たす歌詞候補文を生成し,提示する.ユーザはシステムを辞書のように用い,提示文から主体的に言葉を選び作詞を進めることができる.我々は GUI を備えた作詞補助システムを実装し,提示文とシステムの主観評価実験を行った.
著者
安井 拓未 中村 篤祥 田中 章 工藤 峰一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2017-MUS-116, no.15, pp.1-4, 2017-08-17

音響的に類似している部分が周期的に連続して現れることを用いて,楽曲 PCM ファイルからループを検出する手法を提案する.ゲーム音楽用 MIDI ファイルを WAVE 形式に変換したファイルを用いた実験によれば,再生時間の 1/7 の時間で,222 曲中 199 曲で聴覚的に違和感のないつなぎ目で繋げてループさせることに成功した.
著者
大島千佳 中山功一 伊藤直樹 西本一志 安田清 細井尚人 奥村浩 堀川悦夫
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddle というシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.