著者
駒木 泰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.13, pp.37-42, 2009-02-11

ジャズ・アドリブの単音の音高と音長の並びを時系列データとみなして時系列分析を適用し、演奏の特徴を見出した。Charlie Parker の Confirmation のテーマ、Charlie Parker と Clifford Brown のアドリブを対象に、自己相関、ガウス型と整数型の AR モデルの推定、VAR モデルの推定による Granger 因果性の検定を行った。ラグの長さ、パラメータの推定値について、いくつかの演奏の特徴が見出された。The time series analysis is applied to the sequences of pitch and duration of ad-lib playing in Jazz. Autocorrelation, Gaussian AR, Integer AR, and VAR models are estimated. Granger causality is tested by estimated VAR model. The applied data are the theme of Confirmation, and the ad-lib playing in the piece by Charlie Parker and Clifford Brown. The character of playing is found in the length of lag and estimated parameters of the models.
著者
村主 大輔 森勢 将雅 片寄 晴弘
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.8, pp.1-6, 2010-10-07

日本ではカラオケや DTM の普及によって音楽活動がますます一般化され,年間 200 組以上のアーティストがメジャーデビューしている.それに伴い,新たなジャンルや歌唱スタイルが生まれることは少なくない.その一つの例として,ポピュラーソングに沖縄や奄美大島などアーティスト出生地の特色を出した音楽表現のスタイルが近年注目されるようになっている.そこで本研究は,歌唱スタイルが特徴的な奄美大島出身歌唱者の歌い回しに注目し,一般歌唱を奄美大島出身の歌唱者の歌い回しにするシステムの開発を目指す.具体的には,「グイン」 と呼ばれる奄美大島出身歌手の歌唱音声を歌唱特徴の定量的な分析を実施し,その分析に基づいて,一般歌唱に 「グイン」 を付加するシステムの概要と,その動作結果について報告する.The recent spread of "Karaoke" and DTM has been promoting music production more generally, and more than 2 hundreds musicians make their debuts in Japan. This leads emergence of new singing styles. Among them, "Okinawa-style" or "Amami-style" is typical one that has been popular recently. We have been developing an assistance system for designing "Okinawa-style" or "Amami-style" vocal melodies. In this paper, we report acoustic analysis of "Amami-style," especially singing style called "guin" and propose a "Amami-style" singing generator, called "Guin-Resonator."
著者
三谷 尚 井手 詩織
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-92, no.5, pp.1-3, 2011-10-04

楽曲に関連するフーリエ・スペクトルを求めるために、一旦、相関関数を求め、Wiener-Khintchin の定理でスペクトルを求める方法に利点を見出した。なお、この方法によるスペクトルと、直接的スペクトル計算は比較し、妥当性をチェックしなければならない。これまでに音圧関数について、この方法を適用したが、近似を用いていた。今回、この近似の妥当性を明らかにし、かつ、音高関数についても、相関関数経由の方法を適用する。音高関数のスペクトルは、いわゆる 1/f ゆらぎとして知られるものであり、楽曲構成の点からこの本質に迫り得る。
著者
馬場 隆 橋田 光代 片寄 晴弘
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MUS-91, no.14, pp.1-6, 2011-07-20

指揮システム“VirtualPhilharmony”は,実際にオーケストラを指揮する感覚に焦点を当てた指揮システムである.指揮経験者が有する,オーケストラ指揮に関するヒューリスティクスを導入することにより,従来のシステムでは得られなかった指揮感覚がプレイヤに提供される.ヒューリスティックに構築されたオーケストラの演奏モデルとプレイヤ (指揮者) とのインタラクションにより,演奏を生成する.演奏は本番モードとリハーサルモードからなる.リハーサルによって指揮者とオーケストラとのコミュニケーションを図ることにより,よりプレイヤの意図に即した演奏を提供する.
著者
丸山 裕太郎 竹川 佳成 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.3, pp.1-6, 2009-05-14

ギターは長い歴史をもち,幅広い音楽のジャンルで用いられてきた.しかし,従来のギターはフレット数や弦数の固定された構造をしているため,求められる構造に柔軟に適応できなかった.そこで本研究では,弦の音高を制御する指板ユニットおよび発音のタイミングを制御するピックアップユニットを動的に組み合わせることでさまざまなギター構造に適応できるユニットギター (UnitGuitar) を構築する.UnitGuitar は各ユニットを組み合わせることでさまざまな構造のギターを構築できる.さらに,センサやアクチュエータなど入出力機器を搭載した拡張ユニットを用いて直観的な操作や特殊なエフェクトが実現できる.加えて,UnitGuitar は各ユニットが接続されると接続関係を認識し音色および音高の設定を自動で行う機能をもつ.UnitGuitar の有効性を検証するために 2008 年 12 月 13 日および 14 日に行われた,神戸ルミナリエのイベントステージにてプロトタイプを実運用した.The guitar has been used in various genre of music in its long history. Generally, a guitar lacks structural flexibility to cover variety of playing styles, which has been one of the limitations of performance using it. In this study, we propose UnitGuitar that can dynamically change the structure by dividing and combining finger-plate units that are used for controlling the pitch, and pick-up units that are used for controlling the timing as unit components. The system recognizes the connection relationships among units configure the settings. We developed a prototype of UnitGuitar and used it in the event stage of Kobe Luminarie on December 13 and 14, 2008, which showed the effectiveness of UnitGuitar.
著者
浜田 鉄平 但馬 康宏 小谷 善行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.13, pp.11-16, 2009-02-11
参考文献数
6

入力された旋律譜に対して、人間が聴くうえで "良い" と感じられるドラム譜を自動生成することを目的に、本研究では人間のリズムに対する評価能力をサポートベクターマシンによりモデル化した。さらに、得られたモデルを遺伝的アルゴリズムに組み込むことで、旋律譜に適応したドラム譜の自動生成を行った。アンケート結果によれば、自動生成されたドラム譜はランダムに生成したドラム譜よりも良いと感じられ、また人手で生成したドラムパターンに近い良さをもっていることがわかった。本研究では、モデル生成の際に不特定多数のユーザーから収集した単純な事例データのみを用いていることから、専門家による事例データを用いることなく良いドラム譜を生成することが可能であることが示された。The authors constructed a model of the rhythmic sense of human by Support Vector Machine in order to generate a drum track from an input melody track automatically. In addition we generated drum track automatically by Genetic Algorithm using the model. According to the result of questionnaires, automatically-generated drum track is "better" than randomly-generated track and "good" as human-generated track. This paper shows a "good" drum track can be generated without professional training data set because we use only rather simple data set made by amateur.
著者
大石康智 亀岡弘和 持橋大地 柏野邦夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.22, pp.1-8, 2013-08-24

歌声の声の大きさの変化 (音量軌跡と呼ぶ) を楽譜と関連付けて特徴づけ,未知の楽譜に対して,その音量軌跡を予測できる生成過程モデルを提案する.数名の歌唱者による同一曲の歌声の音量軌跡を観察した結果,歌唱者ごとにその動特性は特有であり,楽譜や歌唱表現に起因する成分が含まれることがわかった.また,同一歌唱者による数曲の歌声の音量軌跡を観察したところ,歌唱者はいくつかの動特性パターンを所有し,楽譜が与えられた下で,パターンを使い分けて歌唱すると考えた.これらを踏まえて,楽譜における様々なコンテキスト (音符の音高や音長,音符内位置,前後の音符情報など) が与えられた下で,歌唱者が描くであろう音量軌跡を生成するモデルを構築するために,混合ガウス過程を用いる.複数のガウス過程によって音量軌跡の多様な動特性が特徴づけられ,これらの混合モデルによって歌唱者が時々刻々と動特性パターンを使い分ける動作が表現される.評価実験では,単一のガウス過程を用いるより,混合ガウス過程を用いて音量軌跡の動特性を特徴づけた方が,未知の楽譜に対する音量軌跡の予測性能が高いことを示す.また,音符のコンテキストの種類と予測性能の関係について考察する.
著者
川上 大輔 金子 仁美 嵯峨山 茂樹
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-6, 2010-02-08
参考文献数
5
被引用文献数
2

和声は西洋音楽の重要な要素であり、特に音楽音響信号からの和声推定や自動採譜などにおいては、精密な和声進行の統計的モデルが必要である。筆者らは、和声に関する研究推進のため、人手による和声ラベル作業の容易さと、コンピュータ可読性の両立を主眼にして、和声記述仕様を策定し、それに基づいて和声の18世紀から20世紀初頭までのクラシック音楽作品60曲に機能和声ラベルデータを付与した。その和声系列を統計解析し、音楽的な知見から説明を試みる。また、統計的和声モデルとしてN-gramモデルに関して、Nの値、スムージング法等を検討する。調や機能和声などを反映した詳細な和声進行のモデルは、従来の和声モデルよりperplexityを低くできることを示す。Harmony is an important element of Western music, and a statistical model of precise harmony progression is especially necessary in harmony estimation and an automatic record in a musical note, etc. from the music acoustic signal. Authors settled on the harmony description specification with a main objective of the easiness of the harmony label work by people and coexisting of the computer readability for research promotion concerning harmony, and gave the function harmony label data to 60 classical music works from the 18th century of harmony to the 20th beginning of the century based on it. Harmony sequences is taking statistics analyzed, and the explanation is tried from musical knowledge. Moreover, the value N and the smoothing method of N-gram model, as a statistical harmony model, are examined. The model of detailed harmony progression that prepares and reflects key and function harmony etc. shows that perplexity can be lowered more than a past harmony model.
著者
角尾 衣未留 George Tzanetakis 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.1, pp.1-6, 2009-07-22
参考文献数
10

本研究は音楽音響信号中に含まれる小節単位の低音旋律パターンをジャンルごとに複数種類抽出し、ジャンル認識の精度を向上させる事を目的としている。小節単位の低音旋律パターンは例えばロックでは同じ音を同じリズムで演奏されるのに対し、ジャズではウォーキングベースと呼ばれる複雑なパターンであるなど、ジャンル毎に特徴的である。低音旋律パターンのピッチシフトに対する不変性を考慮した k-means クラスタリング法を提案し、ジャンル毎のパターンテンプレートの学習を行い、楽曲に含まれているパターンとテンプレートの距離に基づく特徴量ベクトルを算出することによって、ジャンル認識を行いその有効性を検証する。This paper discusses a new approach for clustering musical bass-line patterns representing particular genres and its application to audio genre classification. Many musical genres are characterized by not only timbral information but also representative bar-long bass-line patterns. For instance, while a bass-line in rock music is constant pitch and a uniform rhythm, in jazz music there are many characteristic movements such as walking bass. We propose a representative bass-line pattern template extraction method based on k-means clustering handling a pitch-shift problem. After extracting the templates for each genre, a feature vector is calculated and used for automatic genre classification.
著者
エバンズベンジャミンルカ 棟方 渚 小野 哲雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.37, pp.1-4, 2013-08-24

現代の音楽は多種多様に発展しており,特に自動作曲プログラムなどの進展は顕著である.しかしパターンマッチングや確率モデルに基づいたシステムの動作は,作曲家が楽曲を創作する過程や思考とは大きく異なり,ユーザによる作曲過程の調整が難しい.出力だけでなく,作曲過程にも楽譜データを利用するシステムの方が,従来システムに比べ,音楽の知識を持つユーザにはより使いやすいと考える.これまで我々は,楽譜データに基づく自動作曲システムの実現に向けて,バス課題を実行するシステム "Creating Music for You(CMY)" を実装してきた.本研究では CMY に新たに,バス声部の転回系を作曲規則として実装し,入力の制限を緩和した.また,プログラム実行時に任意の規則の利用・非利用が設定できるようにし,出力する楽曲の可能性を増大できる仕組みも実装した.As modern music is evolving in many ways, the advancement of automated music composing software is particularly noticeable. However, these systems, which generally rely heavily on pattern-matching technology and statistical models, operate using a composition mechanism which is totally different from that of the composer, making the system unrealistic for the user to adjust and control. A system which uses sheet-music-type data not only in the output but also in the composing process itself would offer the musically knowledgeable user an easier programme to work with. In previous research, we created an automated music composing system "Creating Music for You" (CMY), which composes four part harmony from bass-part music the user inputs. In this research, we have implemented the theory of chord inversions (i.e. chords with non-tonic bass notes), and have also enabled the user to choose which rules to use in the composition process. Both of these modifications allow for a wider variety of harmonic options in the output music.
著者
吉谷 幹人 松島 俊明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.13, pp.59-64, 2009-02-11
参考文献数
11

楽曲より抽出したリズムパターン特徴により自動作成した楽曲マップを用い、プレイリスト (再生順リスト) の作成支援をおこなうシステム Music Walk Around を紹介する。本システムでは楽曲マップの拡大・縮小・移動、選曲履歴の経路表示、過去の履歴の強調表示などの機能に加え、自動選曲機能により、大量の楽曲空間の中でも街を散策する感覚で、楽曲の視聴やプレイリストの作成、編集が可能である。作成した楽曲マップが楽曲検索に十分応用可能であるとの実験結果を踏まえて、実際に本システムによる試用実験をおこなった結果、各機能が有効に働き、プレイリストの作成時の負荷を軽減することができた。This system assists to make a playlist using a two-dimensional musical piece map according to the rhythm pattern feature. A user's favorite in automatic song selection is reflected by evaluation of the distance between musical pieces. In addition to automatic song selection, viewing, listening and creation of the playlist are realized with the feeling which takes a walk a town in a vast musical piece space by functions, such as zooming and migration of a musical piece map, a route display of a song selection history, and highlighting of the past history.
著者
鈴木 崇也 長谷川 智史 穴田 一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.3, pp.1-6, 2011-10-04

現在,世界中には様々なジャンルの楽曲が存在し,それらの楽曲の自動ジャンル判別に関する研究が盛んに行なわれている.その中で,旋律パートのみに着目した高精度のジャンル判別は未だに実現されていない.そこで,本稿では旋律のみを用いてジャンル判別を行なうための新たな特徴量を提案し,その有効性の検証を行なった.Rock,Pop,Blues,Country の 4 ジャンル,計 184 曲に対して実験を行なった結果,Pop の楽曲に対して約 64%,全体で約 46% の判別精度を示し,提案手法の有効性が示された.Currently, there are musical pieces of various genres all over the world. Many people had studied about automatic music genre classification. But, accurate music genre classification with melodies has not yet realized. Therefore we propose new features in melodies and validate the utility of those. And we experimented on 4 genre classification (Rock, Pop, Blues, Country, total 184 musical pieces) by k-nearest neighbor algorithm. Experimental result by using features which we proposed show success rates of 64% for Pop, and 46% for 4 genres.
著者
坂本 鐘期 東条 敏
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MUS-80, no.9, pp.1-6, 2009-05-14

音楽理論 Tonal Pitch Space(TPS)¹⁾ では和音間の距離を定量的に求めることができる.本稿では,TPS における和音感の距離が調性や機能によっても変動することに着目した和声解析手法について論じる.
著者
阿部 ちひろ 伊藤 彰則
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-6, 2011-07-20

本稿では,音節数と韻に着目した作詞支援システムを提案する.システムは Ngram 言語モデルをもとに,ユーザの指定した音節数と韻の条件を満たす歌詞候補文を生成し,提示する.ユーザはシステムを辞書のように用い,提示文から主体的に言葉を選び作詞を進めることができる.我々は GUI を備えた作詞補助システムを実装し,提示文とシステムの主観評価実験を行った.In this paper, we propose a lyrics writing support system focused on the number of syllables and rhyme. The system generates candidate sentences that satisfy user-specified conditions based on Ngram, and presents them. A user can use the system like a dictionary, and write lyrics be choosing presented words. We have implemented a system with GUI, and subjective evaluations of the statements and proposed system were conducted.
著者
北 研二 肖 清梅
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.1-6, 2011-05-06

楽曲検索では,ノイズ等による楽曲の劣化や,検索質問曲の演奏開始位置が不明であることから,一般に膨大な検索空間を探索する必要がある.多くの楽曲検索システムでは,楽曲の音響的・知覚的な特性に基づくオーディオ指紋 (audio fingerprint) を特徴量として用いているが,本稿では,オーディオ指紋に適した高速検索手法を提案する.また,8,740 曲の楽曲データベースを用いた評価実験を行い,提案手法の有効性を示す.In music information retrieval, a huge search space has to be explored because a query audio clip can start at any position of any music in the database, and also a query is often corrupted by highly significant noise and distortion. Audio fingerprints have attracted much attention recently in music information retrieval, because they provide compact representation of the perceptually relevant parts of audio signals. In this paper, we propose an extremingly fast method for exploring a huge hamming space that is suitable for audio fingerprinting systems. The effectiveness of the proposed method has been confirmed by evaluation experiments using a database of 8,740 songs.
著者
川渕将太 宮島千代美 北岡教英 武田一哉
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.2, pp.1-6, 2013-03-08

楽曲検索に関して,楽曲の音響情報を用いて楽曲間の主観的類似度を推定する手法について検討する.本研究では,楽曲間の主観的類似度は楽曲間の音響的類似度と聴取者の個人性により決定されると考える.本研究はこのうち聴取者の個人性に焦点を当て,聴取者間にどのような差異があるかを明らかにし,主観的類似度推定のモデルに組み込むことを目的としている.聴取者の個人性に関する先行研究の結果より,楽曲が音響的にどの程度似ていたら似ていると感じるかに大きな個人差が存在することが示唆された.本稿ではこの 「音響的にどの程度似ていたら似ていると感じるか」 を聴取者の 「許容度」 と呼び,許容度を含んだ主観的類似判定のモデルを提案する.実験では,楽曲間類似度の主観評価データを用いて聴取者の許容度を推定すると共に,実用の場面においてこの許容度を少数の類似性評価の結果を用いて推定することが可能であるかを確認する.
著者
小川 真 矢崎 俊志 阿部 公輝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-94, no.10, pp.1-7, 2012-01-27

VOCALOID 「初音ミク」 の発売以来,ユーザが自由に歌声ライブラリを制作できるフリーの歌声合成器 UTAU が開発されるなど,歌声合成への関心が高まっている.これら歌声合成器は主にアマチュアの音楽制作に使用されるが,ユーザが声色を任意時刻に混ぜて指定する機能がない.また,声色操作を行うことで処理時間やデータ量が大きくなる.本研究では音声合成分析系 WORLD を用い,メルケプストラムと Vorbis による励起信号からなるコーパスを声色別に収録し,各音素間を時間伸縮関数で接続することで,ユーザがモーフィング率を指定し声色を操作できる歌声合成器 v.Connect を開発した.提案手法を用いて歌声コーパス 「波音リツコネクト」 を制作した.このコーパスの容量は波形の 2 倍程度であった.合成速度は 1.7~2.2 倍と改善され,圧縮による劣化は主観的には感じられなかった.
著者
濱崎 雅弘 武田 英明 西村 拓一
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MUS-80, no.11, pp.1-6, 2009-05-14

本研究では,Web を介して多くの人が集い,創発的・協調的に行われる創造活動の分析を行う.ニコニコ動画は国内でもっとも人気の動画共有サイトであるが,投稿された動画の多くに協調的な創作活動が見られる.特に初音ミクという合成音声ソフトウェアを用いた動画は,作詞作曲をする人たちだけでなく,絵を描く人やビデオ編集をする人たちなど,異なるタイプの作者が参加することで新たなコンテンツが作り出されている.本論文では,そのような異なるタイプの作者が互いに影響を受けながら新しいコンテンツを作っていく様子のネットワーク分析を用いて解析する.
著者
坂本 鐘期 東条 敏
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.9, pp.1-6, 2009-05-14

音楽理論 Tonal Pitch Space(TPS)¹⁾ では和音間の距離を定量的に求めることができる.本稿では,TPS における和音感の距離が調性や機能によっても変動することに着目した和声解析手法について論じる.The theory of Tonal Pitch Space (TPS) enables us to quantify the distance between chords. In this paper, we present a harmony analysis based on TPS in which the metrical distance of chords reflects the difference of keys and functions.
著者
rankingloid
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-94, no.5, pp.1-6, 2012-01-27

YouTube やニコニコ動画等の動画共有サイトには、サイトに投稿された動画をランキング形式で紹介するランキング動画が多数存在する。それらのランキング動画はサイトのユーザによって編集され、投稿されており、多大な労力が費やされている。本稿ではそのようなランキング動画を全自動で生成するためのシステムについて述べる。また、そのシステムを用いて、著者が 「日刊 VOCALOID ランキング」 を投稿した経験についても述べる。