著者
佐藤 正志 Masashi SATO
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.89-104, 2013-02

行政による「地域ブランド」開発が積極的に推進されている。「地域ブランド」化に成功した農産物商品のなかで、現在、地鶏の生産数でトップブランドである徳島県の「阿波尾鶏」は、同県の畜産試験場が開発し、県を中心にJA やローカルインテグレイターである養鶏業者などで構成された「徳島県阿波尾鶏ブランド確立対策協議会」が出荷・流通体制の整備をはじめ、販売店の指定など、厳格なブランドの維持、管理を行い、消費拡大をめざし多様な事業を行ってきた。小規模経営と従事者の高齢化という課題を抱えた同県の中山間部の養鶏農家の経営にとって、「阿波尾鶏」の導入は、熟練した飼養技術を生かせるもので極めて適合的であった。しかし、今後も「阿波尾鶏」ブランドの維持・発展を可能とするには、養鶏家・農業者の収入が安定し、魅力ある農業経営として後継者が育ち、意欲ある新規の若い農業者が参入することと、さらに「地域住民に認知され愛着を持たれること」が不可欠である。
著者
中村 宣一朗 ナカムラ ノブイチロウ Nobuichiro NAKAMURA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.17-30, 1999-02

投下資金の回収剰余としての利益の計算を課題とする現行会計の計算構造とそのもとで適用される基本的処理方法やそれから産みだされる財務諸表について,事業用の実物資産への投資をもとに営まれる中核的な営業活動と並んで近年重要性を増しつつある金融資産への投資という事実にも注目し,それらの特質を解明することにより,現行会計の基本構造について体系的で一貫した理解をえるのが本稿の狙いである.
著者
東原 英子 トウハラ ヒデコ Hideko Touhara
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.21-35, 2007-02

連結会計情報開示制度の拡充により、2003年3月期決算以降わが国の会計制度は従来の個別決算あるいは親会社決算中心主義から連結決算中心主義へ移行した。このことは、会計制度自体の変化にとどまらず、企業経営自体の変化を意味していた。連結ベースでの企業評価が進展し、それを背景として従来の親会社中心の経営からグループ全体の経営効率を高めるグループ経営を必然とさせるからである。本稿では、グループ経営を評価するために、関西の私鉄3社を取り上げ個別情報からは得られない連結情報を用いた連結特有の分析の可能性を模索し、連結財務諸表およびセグメント情報の有用性を検証する。連結・個別情報に用いられる分析手法や計算自体には多くの共通点がある。しかし企業グループの分析において重視される視点、その分析結果が持つ経営的意味合いは、自ずと相違するはずであり、また、分析視点が異なれば、それ相応の分析アプローチも必要になる。私鉄3グループは、本来事業であり比較的安定している運輸業を中心に、流通業、レジャー・サービス業、不動産業等極めて類似した方向に事業展開している。分析の結果、3グループとも1990年代のバブル経済後の不良債権・資産の処理をすすめ事業の再編を推進し、2002年から2003年を境にひと頃の苦しい時期を脱して回復傾向にある状況が明らかになった。3グループは、不動産事業・レジャー・サービス事業を中心に事業の整理・再編を推進したが、グループ全体の中で各事業をどのように位置づけているのか、事業戦略の展開は各社異なっていることがセグメント情報から読み取ることができる。3グループは、構成比率が高い運輸事業の収益性改善に努める一方、事業の再編の結果、収益性が改善した不動事業のさらなる展開を図る等、個別情報では得られない各グループの事業戦略や今後の事業展開の方向性が明らかになり、連結情報とセグメント情報の有用性を確認した。さらにセグメント別の資本的支出や減価償却費のデータを用いた資源配分からの分析や株価を用いて、各グループの事業戦略やその結果である会計数値を市場がどのように評価しているのか等についても分析し、連結情報の分析の可能性とその有用性を検証することを今後の課題としたい。
著者
伊藤 研一 道明 義弘 イトウ ケンイチ ドウミョウ ヨシヒロ Kenichi ITO Yoshihiro DOMYO
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.1-49, 1998-02

COMPUSTATのデータベース(アメリカ、カナダ企業の財務データベース)をパソコンで用いることができるようにするシステムを開発した。これまで、パソコンでこのデータベースを利用しているという例がなく、また、パソコンだけで利用可能にした例はないので、どのように利用可能にしたかを報告することを目的としている。そのプロセスは、次の五段階によっている。第一段階は、MTからパソコンのハードディスクにデータを移し、コードをASCIIコードに変換する。第二段階は、複数のMTファイルを一つのファイルに結合する。第三段階は、データベースのフォーマットを変更し、データ項目を連続させる。第四段階は、5年間で1レコードとなっているそれぞれの年について、各年のレコード長をそろえる。第五段階では、各年のデータ項目を連続させて、年ごとにデータを利用できるようにする。第六段階では、それぞれの項目のデータを見やすく整形している。この処理過程を経ることによって、COMPUSTATのデータベースは、パソコンで利用可能になっている。カナダ企業、アメリカ企業と日本企業の行動比較が可能になる。日米加産業構造の一端を示す産業業種分類とその分類に属する会社数について、資料を作成し、比較のための基礎資料とした。
著者
川相 典雄 カワイ ノリオ Norio KAWAI
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.55-73, 2011-02

2003~2007 年における主要大都市圏を取り巻く人口移動にはこれまでとは異なった様相がみられることを受けて、本稿では、関西圏、東京圏、名古屋圏の各大都市圏がこうした動きを示した背景・要因及びその差異や特徴を各種都市機能の集積状況や産業構造等の観点から考察した。その結果、1.東京圏では金融・国際・情報等の多様な高次都市機能が高度に集中し、名古屋圏では工業機能を中心に集積度が上昇している機能が多いのに対し、関西圏では各種都市機能の集積度は長期的に低下傾向が続いていること、2.2001~2006 年の各大都市圏の雇用環境について、東京圏では産業構造要因と圏域特殊要因が、名古屋圏では圏域特殊要因がそれぞれ雇用成長を牽引しているのに対し、関西圏では圏域特殊要因が雇用成長を大きく抑制し、2000 年代に入っても大幅なマイナスの雇用成長率が続いていること、3.2001~2006 年の各大都市圏中心部の雇用環境についても上記2.と同様の状況にあり、特に関西圏中心部では地域特殊要因の著しいマイナスの影響により、他の大都市圏中心部との間に大きな雇用吸収力格差がみられること、等が明らかとなった。こうした要因による各大都市圏間の雇用機会格差や雇用成長格差が、2003~2007 年における関西圏の転入減・転出超過や東京圏・名古屋圏の高水準の転入超過等の人口移動動向に大きく影響していると考えられる。今後も関西圏が純移動数の改善傾向を継続していくためには、高度情報化やサービス経済化等の環境変化に対応した構造転換、圏域固有の地域資源を活用した特色あるリーディング産業の育成等によって圏域固有のマイナス要因を改善し、関西圏、特にその中心部の雇用吸収力を向上することが大きな課題となる。
著者
紙 博文 カミ ヒロフミ Hirofumi Kami
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.29-46, 2007-07

本稿の目的は、株式会社の資本金(額)が""零""であることの考察することである。手順としては、まず、最低資本金制度廃止の論理を法的に、そして会計的に吟味し、資本金の意義及び純資産(資本)の部の役割を検討したうえで、制度廃止によるいくつかの疑義を問い、会社法と会計における資本(金)のあり方を検討することとする。ここで制度廃止による法的な論理をみると、資本金は、法的には配当規制上の概念として-それは配当における上限金額(単なる数額)を示すのみであるが-存在するだけで、債権者保護としてそれほど役立つものでもない、とされていることであり、このことから資本金の額は自由に設定でき、金額は""零""でもかまわないという論理が導かれている。こうした論理に対して、会計サイドからの意見はあまり聞くことはできない。それは、制度会計の名のもとで会計の独自性を発信できないからであろうか。会計は、適正な期間損益計算を行いその結果を公表することを目的としており、純資産(資本)の部では、資本の維持拘束性、資本と利益の区分を重視する。また、資本金に関してもその大きさは会社の事業規模をはかるモノサシとして、また、株主からの出資額として財産の存在を示すものとしても意義あるものである。しかしながら、立法サイドが、資本金を""零""にすることを可能とし、債権者保護機能も放棄したような状況では、いくら会計基準は会計サイドのものに従う、といっても会計にもっとも肝心な資本取引、損益取引等を含む会計一般理論を構築することは困難なことなのかもしれない。
著者
"牧野 幸志" "マキノ コウシ" Koshi" "Makino
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.1-10, 2009-02

"本研究は,親しい関係にある男女が,どのようなデート状況において,どの程度の性行動を正当と考えるかを検討した。実験計画は,被験者の性別(男性,女性)×デートに誘う側(男性,女性からそれとなく,女性)×デート内容(映画,飲み会,相手のアパートへ,自分のアパートへ)の3要因被験者間計画であった。被験者は,大学生・短大生240名(男性120名,女性120名,平均年齢18.42歳)であった。従属変数は,性行動レベル別に,キス,ペッティング,性交の3測度であった。 3要因分散分析の結果,いずれの性行動測度においても,女性よりも男性のほうが,性行動を正当と認知していた。また,デート内容がより親密なものになるにつれて,性行動の正当性認知が高くなった。さらに,性行動レベルが進むにつれて,正当性の認知は低くなった。特にペッティングと性交については正当性認知が低かった。予想された被験者の性別とデートに誘う側の交互作用,3要因の交互作用は見いだされなかった。"
著者
岩田 憲治 イワタ ケンジ Kenji Iwata
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.67-84, 2004-07

本稿の目的は、消費者運動をめぐる当該労働組合の対応を明らかにし、その論理を検討することである。公害や物価など消費者運動に対して企業内労働組合の対応は多様である。その中で本稿は、当該労働組合が消費者運動と企業との関係をどのように対応して調整の役割を果たしたかを検討することによって、消費者運動に対する企業内組合の論理をさぐる。カラーテレビの価格引下げを求める不買運動に対し、ある電機メーカーの労働組合が消費者団体と接触しその要求を経営側に伝えて、解決策を見出すことに貢献した。また、森永ミルク中毒事件では、被害者団体と不買運動を展開する諸団体に労働組合が働きかけ、経営側には被害者団体の要望を受け入れるよう促した。労働組合が消費者団体等の要求を経営側にうけいれられるよう働きかけるのは、直接的には組合員の雇用の確保と労働条件の維持であるが、経営改善を求める要求でもある。その背景には、長期雇用の保障を中心とする相互信頼的労使関係がある。
著者
小嶋 康生 コジマ コウセイ Kousei KOJIMA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.93-116, 2000-07

冷戦「後」、世界はどう動いているか。超大国・アメリカは原理的な市場主義をてこに経済のクローバル化を進め、一極秩序の形成を目指している。しかし、それに対抗する形で形成されつつあるのが国際的な地域統合への動きである。EU(ヨーロッパ連合)の着実な進展が連鎖的な影響を与え始めている。この動きを30年代のブロック化とは質的変化を伴った「経済圏域」として捕らえ、世界経済一体化への歴史的ステップとする仮説を立てている。この仮説の上に東アジアの今後を長期的スパンで展望する。現状は「アジアは一つ、一つ」であり、地域経済圏域形成の動きは、この10年来あるにはあるが、実現の条件は今のところほとんど見当らない。超大国アメリカのアジア支配が、日米安保を機軸にして構築されているからである。そのような枠組みの中で「アジア共同体」の可能性と必要性はあるのか、どうか。あるとすればどのような形態となるか。日本を主語におき、21世紀の日本と日本を取り巻く東アジアとの関係を模索したもの。
著者
"牧野 幸志" "マキノ コウシ" Koshi" "MAKINO
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.41-56, 2011-11

"本研究は,青年期における恋愛と性行動に関する調査研究である。本研究では,まず,現代青年の恋愛と性行動の現状を明らかにする。その後,「浮気」に関する行動の判断基準を明らかにし,現代青年が「浮気」に対してどのような態度を持っており,浮気への行動意志をどの程度持っているかを明らかにする。被験者は,大学生・短大生200 名(男性106 名,女性94 名,平均年齢19.49歳)であった。調査の結果,現代青年において恋愛経験率は68.5%,別れ経験率は63.0%,性経験率45.5%であった。浮気と判断される恋人の行動は,「恋人以外の異性とキス以上の関係を持つ」であった。浮気に対する態度には,「浮気への否定的態度」,「浮気への憧れ」,「浮気の積極的容認」,「浮気の消極的容認」の4 因子がみられた。浮気への行動意志は,いずれも低かったが,女性よりも男性のほうが浮気意志は強く,恋愛経験よりも性経験が浮気意志に関連している可能性が示された。"
著者
西村 丈治 ニシムラ ジョウジ Joji NISHIMURA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.29-38, 1994-07

"商法第222条1項に規定するところの,利益による償還株式の消却によって,資本金は名実ともに滅少しないとするのが現行の通説である。しかしながら,このような見解は,償還株式の消却によって,償還されない株式を保有する株主(残留株主)の株主持分は,一方において利益持分が滅少し,他方において資本持分が増加する点からみて疑問を抱かざるを得ない。結局,利益による償還株式の消却は,一方における資本金の払戻しと,他方における残留株主による利益の資本組入れの形での追加出資を伴う措置であり,後者に対して新株を発行しないために形式的に株式の消却,つまり特定の発行済株式を消滅せしめる措置にすぎないのではなかろうかとする疑問を提起した。"
著者
牧野 幸志
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-11, 2006-07

本研究は,現役の高校生がどれだけソーシャル・サポートを得ているのかと高校生の精神的健康状態について調べ,大学生と比較した。また,高校生を含む青年期のソーシャル・サポートと精神的健康との関係を検討した。ソーシャル・サポートは実際にどの程度サポートを得ているかという機能的ソーシャル・サポートを用いた。精神的健康では,身体症状,不安と不眠,社会的活動障害,うつ状態の4つが用いられた。調査の結果,高校生は大学生と同程度のソーシャル・サポートを得ていた。また,高校生の精神的健康状態はいずれにおいても大学生と変わらず,健康な状態であった。さらに,高校生を含む青年期において,ソーシャル・サポートと社会的活動障害,うつ状態は負の関係がみられ,ソーシャル・サポートが高いほど,社会的活動障害とうつ状態が低いという傾向がみられた。すなわち,青年期におけるソーシャル・サポートは精神的健康の限定された部分に促進効果をもっていた。
著者
"春日 雅司" "カスガ マサシ" Masashi" "KASUGA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.117-131, 1995-07

"戦後わが国では,男性と同等の権利として女性の参政権が認められた。国と地方を問わず,選挙を重ねる毎に女性の投票率が男性のそれを上回るようになり,女性の政治参加も活発になってきたかのように見える。だが戦後50年を経過してもなお,わが国の地方政治家はその大部分が男性で占められ,女性は投票はするが立候補(と当然のことながら当選)はしないという事実がある。ではなぜ女性は立候補しないのか,あるいは女性の地方政治家が少ないのか。その理由として,筆者は女性が男性に比べて立候補しようとする動機づけが弱いからではなく,その動機づけを促す社会の側に強力な障害があるからではないかと考えている。そこで,これまで男性中心の議員についてあてはめていた,「地元出身候補は,その集票基盤として基礎的な関係により多く依存する」という仮説が女性議員の場合にもあてはまるのかということについて,地元出身グループとそうでないグループを男女議員でコホート化し,筆者が提示した有権者と候補者の「政治的相互作用」モデルにもとづいて検証した。その結果,1)地元出身の女性候補は,地元以外の候補に比べ「血縁」関係を重視し,地区推薦も高い割合で受けている,しかし,2)政党支援ならびに後援会の所有については両者に差がない,ということが分かった。このことから,一見仮説があてはまるかのように思えるが,これを男性議員の場合と比べると,1)基本コホートである地元出身と地元以外の割合についてみると,女性議員の7割が後者であったのに対し,地元出身の男性議員は逆に7割に達していた,2)「血縁」関係の重視については男性議員に比較すべきデータはなかったが,地元出身の女性議員が地区推薦を受けているといっても,地元以外の男性議員が受けている割合に比べても少ないものであった,3)出身地にかかわらず女性候補は政党から公認を受けている割合が高い,4)女性候補はいずれも後援会に強く依存している,という特徴を持っていた。以上を総合的に勘案すると,やはりこの仮説は検証されなかった,と言える。つまり,女性候補は地元出身であっても,地区推薦という基礎的関係に依存できないし,またその分,政党や後援会という機能的関係に依存しなければならないのである。これは基礎的関係の重視という,これまで男性本位で形成されてきた日常的社会関係の延長線上に投票・集票行動があるため,女性候補の7割が地元でないという事実は重く,一方で出世地を変えることで強い問題意識を持ちながらも,他方で徹底的に地域社会から乖離しているため,基礎的関係に依存できないでいる。そのことは,結局たとえ強い動機が形成されたとしても,出馬のための客観的条件が不十分であり,そのことが更なる動機形成を阻止するということを説明するものである。""Since the second world war, Japanese women have gotten at last the same voting rights as men. Irrespective of general elections or local ones, the voting rates of women have gradually come to be more than that of men as elections progressed. It looks as if the political participation of women were more active. However, although a half century has passed since the war, almost all the seats of councillors are still occupied by men. It is an undeniable fact that many women vote, but few of them stand as a candidate for local elections. Why don't they stand, or why are there few women councillors in Japan? My conception is that women's motivations for standing are not weaker than that of men, but the existing social system that has been organised with men is an obstacle in the development of their motivations for standing. I have insisted that men councillors who have not moved from their birthplace depend on the fundamental relationships in elections. In this paper, using the survey data from women councillors in the whole of Japan and men councillors in the Kinki area, I examined whether my hypothesis which I have adopted to men's councillors is true for women councillors as well. My hypothesis is that 'Candidates who were born in the same place as their candidacy have a tendency to obtain a great number of their votes mainly from fundamental relationships to electors, not from functional ones'. I divided women and men councillors into four Cohort groups : women and men candidates whose present addresses are the same as their birthplaces (Cohort A and Cohort C). Women and men candidates whose present addresses are different from their birthplaces (Cohort B and Cohort D. The percentage of each Cohort : A=28%, B=69%, C=72%, D=28%). My findings are as follows : 1. Cohort A attached much importance to kin-relationship. 2. The percentage of neighbourhood-recommendation (Chiku Suisen) in Cohort A was higher than Cohort B, but it was lower than Cohort D. 3. The percentage of official approvals by political parties between Cohorts A and B were almost the same (about sixty per cent). And this percentage was the same for Cohort D. 4. Fifty or more per cent of Cohorts A and B depended on their supporter associations (Koenkai). In the final result, my hypothesis was not testified. Undoubtedly Women candidates who were born in the same place as their candidacy relied on kin-relationship, but it was an individual one. So the amount of kin-relationship was normally small. And they couldn't necessarily depend on the fundamental relationships of the neighbourhood-recommendations. Instead of it, they had to rely on party and supporter associations. In Japan elector-candidate relationships have been based on their fundamental social relationships in which men play important roles. This was the reason why Gimoto (both the birthplace and their candidacy are the same) Giin was only one-quarter in women councillors, although three-quarter in men councillors. In general, women, who move from their birthplace (normally speaking, because of their marriages), acquire penetrating eyes to social problems on the one hand, but on the other, due to their estrangement from their new neighbourhood-community that is their husband's address, they can't rely on it when they hope to stand. Japanese women have critical minds, but there are not enough social circumstances that stimulate them to stand for election."
著者
"柿沢 昭宣" "カキザワ アキノブ" Akinobu" "KAKIZAWA
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-25, 1999-07

よく知られているように、株式会社の発生は、1602年設立のオランダ東インド会社にもとめられるというのが学会の定説である。定説とされている理由は、株式会社が資本の大量動員に適した会社企業であって経済活動の発展とともにその重要性をいちじるしく高めてきているなかで、このオランダ東インド会社は今日の株式会社の形態的特徴をほぼそなえていて、その後の株式会社の形成に大きな影響をあたえたという点にある。しかし、株式会社の発生についてのこのような説明には、資本の大量動員に資するなら別の会社形態でもよかったのではないか、いいかえれば株式会社の形成は歴史上の偶然事にすぎなかったのかという疑念をよびおこす。しかし、株式会社の本質は諸人格の結合体というより、無数の資本の結合体というところにあり、したがって特定の諸人格から自立した会社企業が株式会社にほかならないといってよいから、株式会社は、近代的銀行制度の発展と歩調をあわせるようにして形成され、発展してきたというのが株式会社形成の実相なのである。なぜなら、株式会社に結集した資本はその持ち手たる人格から自立した資本というあり方のうちにあり、この資本の人格からの自立化をおしすすめたのが、この近代的銀行制度だったからである。近代的銀行制度は、社会のあらゆる遊休資本を自らのうちに集積する一方で、それを資本市場に投ずることによって、社会の貨幣資本という貨幣資本に、その持ち手の努力や才覚を超越した均一の利子率を賦与し、かくして資本の人格からの自立化を実現させることになったからである。
著者
山本 圭三
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.35-51, 2013-09

本稿は、学生たちが抱く仕事に対する基本的な価値観を「職業的価値観」と定義し、それに関わる要因を明らかにするものである。具体的には、職業的価値観を地位志向、自律志向、社会的信頼志向、他者志向という4つからなるものととらえ、それぞれと一般的な価値観との関連や、それぞれを規定する要因について検討した。分析の結果、[1]職業的価値観はより根本的な価値観と深く関わっていること、[2]現在所属している集団での経験や関わりのある人の多さといった現在の生活のあり方によって規定されるものもあれば、家庭内での過去の経験
著者
"杉本 篤信" "スギモト アツノブ" Atsunobu" "Sugimoto
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.11-28, 2009-02

"ケインズ経済学において,独立支出の増加がGDPに乗数倍だけの増加をもたらすという「乗数理論」は,財政政策の効果に大きな期待をさせる理論的根拠になっている.しかし,日本の90年代の長期不況期に財政政策の効果は小さくなったと認識され,ケインズの経済学への信頼が薄れてきた.それに対して,伊東光晴氏はその著書において,90年代の資産デフレ不況下において,政府支出の増加は,在庫投資や投資の減少により,財政政策の効果が弱められたのであったと主張する.本稿では,この伊東氏の見解を,データを通して計量的手法で考察した.結果は,伊東氏の主張は裏付けられず,90年代の政府支出と在庫投資や投資との相関関係はなかったと推察される."
著者
牧野 幸志
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.35-47, 2013-02

本研究の目的は,青年期におけるコミュニケーション・スキルと精神的健康との関係を調べることである。第1 に,同性友人,異性友人に対するコミュニケーション・スキル(以下,CS と表記)と孤独感との関連を検討する。次に,2 つのCS とソーシャル・サポートとの関連を検討する。さらに,2 つのCS と精神的健康との関連を検討する。調査参加者は大阪府内の私立大学(共学)に通う大学生160 名(男性103 名,女性57 名,平均年齢19.34 歳)であった。相関分析の結果,同性友人,異性友人に対するCS いずれも,孤独感と負の相関がみられた。CS が高い人ほど,孤独感は低かった。次に,同性友人,異性友人に対するCS はいずれも,ソーシャル・サポートと正の相関がみられた。特に,同性友人CS において,状況判断スキル,会話スキルとソーシャル・サポートに強い相関がみられた。CS が高い人ほどソーシャル・サポートを得ていた。さらに,同性友人CS の中で,会話スキルと葛藤解決スキルは精神的健康と負の相関がみられ,スキルが高いほど精神的健康状態が良好であった。異性友人CS においても,自己表現スキル,会話スキル,葛藤解決スキルが精神的健康と負の相関がみられ,スキルが高いほど精神的健康状態が良好であった。CSが高いほど,友人関係が良好となり,ソーシャル・サポートが得られやすくなり,精神的に健康であることが示唆された。
著者
小嶋 康生
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.69-97, 2000-02

バブル後、日本経済は恐慌状態に突入したが、中小企業への打撃が大きく、その影響は地方経済にも大きな傷跡を残した。なかでも中小工業の集積度の高い大阪経済は全国で最も事態は深刻である。小論は、いま、大阪の中小工業に何が起こっているか、その実態を究明するとともに先行きの展望を試みた。大阪経済は、袋小路にはいってしまっている。一つは循環的要因で、もう一つは構造的な要因によってである。"平成恐慌"の影響は大きい。バブル後この10年間、局面によって干満の潮の差はあるが、中小金融機関の破綻、相次いだ企業倒産、失業者の増加、地価・株価の急落、消費不振による"縮み現象"が続く。全国で大阪の数値が一番、厳しい。アジア貿易の比重が高いだけに大阪の失速は海外にも波及、アジア各国経済をも揺さぶった。この危機を脱するため政府の一連の緊急経済対策が幾度も出され、財政、金融両面において最大限の梃入れがあった。とりわけ金融再生を眼目にした制度改正の実施、そのなかで相次ぐ日銀特融、史上最低のゼロ金利、全都市銀行への国家資金注入など異例ともいえる措置が連発された。他方、毎年、巨額な赤字国債が組まれ、大型の財政出動が"財政危機"のなかで繰り返された。それら効果もあり、99年年初から潮の目は変わったとされるが、大阪経済は改善の兆候は99年夏現在まだ、でていない。最悪の状態は脱したとしても一本調子に反転、浮揚とはいかない。なぜか。海外市場要因もあるが、構造的な問題を抱えているからである。とりわけ、中小工業の経営者は先行き不透明感を抱く。それは、金融ビッグバンに代表される財界標準への制度移行が絡んでいるからである。自由化、規制緩和などにより、戦後続いた経営の枠組みが変更され、ビジネス環境は様変わりとなりつつある。その路線を、この機に、さらに推進せんとするのが、経済戦略会議の『日本経済再生への戦略』であり、産業競争力会議がまとめた「産業再生」関連法である。日本経済10年の足踏み、この遅れをどう取り戻すか。基本は規制緩和、自由化、国際化とする。この流れに棹さすのが、大企業の多国籍化、グローバルな展開である。それは世界的な潮流になりつつあるとはいえ中小企業にとっては敵対的路線である。バーゼル協約が銀行の貸し渋りを生み、企業倒産が相次いだ事例を見ても明らかである。このような状況の中で大阪の中小工業は二重、三重の負荷を背負わされる。一つは傾向的に進む円高による輸出不振。為替レートが大企業の貿易レートで決まっていることを見れば、その被害者といえる。二つ目は、大企業の工場の海外移転に伴う産業空洞化現象。三つめは"大競争時代"とはやし立てられているが、途上国からの製品流人、Uターン流入。要素資源格差で敗退を余儀なくされている。四つめは大企業の内製化が進んできており、発注減に。五つめには親会社の製品多角化についていくための技術的、資金的な困難である。このような難題が相次ぎ産地企業、下請け企業を問わず、倒産、廃業が急増している。間違いなく産地は崩壊、また下請け企業が集積したクラスターも瓦解寸前にある。この事態はいずれは大企業にも跳ね返り、このままでは大阪経済は縮小し、地域社会にも甚大な影響をもたらすであろう。方向転換が求められている。これまでの大企業追随のあり方を清算、オルタナティブな道の模索なくして、明日の中小工業はない。