著者
吉見 宏
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.509-513, 2008-12

本論文は、2005年10月に企業会計審議会から公表された、「監査に関する品質管理基準」は、その設定にあたって、監査法人の審査体制や内部管理体制等の監査の品質管理に関連する非違事例が発生したことに対応したものであることが示されている。すなわち、ここでいう非違事例、すなわち企業等の不正事例がその設定の契機となったとされるのである。 本論文では、その事例として、足利銀行と東北文化学園大学を取り上げ、これら2事例についてどのような点で品質管理上問題点が見いだされるのかを検討し、「監査に関する品質管理基準」設定との関連をみたものである。
著者
林 善茂
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.11-29, 1963-02
著者
樋渡 雅人
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.3-25, 2010-09-09

本稿は,日本の伝統的な村落社会を特徴付ける「自治村落」概念との比較の視座から,ウズベキスタンにおける地縁共同体「マハッラ」の特徴を考察したものる「自治村落」の場合と同様に,ウズベキスタンのマハッラ,とくに自治的機構としての「マハッラ委員会」の性格は,上部権力の統治や介入の歴史的経緯によって強く規定されてきた。一方で,現在のマハッラ委員会の「公権力」的な権限や諸機能は,法的枠組みや上部権力の権威に依拠する側面はあるものの,同時に,そこに居住する諸個人の活動によって日々再生産されているという側面がある。本稿では,こうした村落内部の組織化の過程にも着目しつつ,現在のマハッラの性格を検討する。前半において,「自治村落論」の骨子や,マハッラの歴史的,政治的背景を概観する。後半において,アンディジャン州のマハッラの具体事例を扱い,マハッラの組織的構造を検討する。とくに,住民間の共同関係(血縁,講,その他の社会的紐帯)に注目し,マハッラ委員会の存立基盤としての共同関係の役割を,主体間の重層的な関係性に基づくネットワーク・モデルの構造パラメータの推計を通して把握する。
著者
井川 一宏
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.547-555, 2009-03

特定の系列に組み込まれてその下請けとして部品生産に特化するか,いくつかの企業に複合的な部品を供給する対等な自立的部品企業として市場を通した活動するかは,企業の組織選択の問題である。中間生産物・部品企業のこの選択は部品の標準化やそれに誘引を与える範囲の経済・規模の経済を考慮した技術選択と関わっている。固定費用の追加を伴うが複合的な部品生産に取り組むことで,他系列の企業にも供給でき,生産量の拡大や範囲の経済を享受することでその単位コストを下げ,さらにより高性能な部品を創出するノウハウを蓄積するインセンティブから,部品の標準化が進行する。このプロセスは,それまでの差別化製品における系列的な企業関係をより市場メカニズムを生かした関係に変化させることにつながるであろう。
著者
井川 一宏
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.23-31, 2009-03-12

特定の系列に組み込まれてその下請けとして部品生産に特化するか,いくつかの企業に複合的な部品を供給する対等な自立的部品企業として市場を通した活動するかは,企業の組織選択の問題である。中間生産物・部品企業のこの選択は部品の標準化やそれに誘引を与える範囲の経済・規模の経済を考慮した技術選択と関わっている。固定費用の追加を伴うが複合的な部品生産に取り組むことで,他系列の企業にも供給でき,生産量の拡大や範囲の経済を享受することでその単位コストを下げ,さらにより高性能な部品を創出するノウハウを蓄積するインセンティブから,部品の標準化が進行する。このプロセスは,それまでの差別化製品における系列的な企業関係をより市場メカニズムを生かした関係に変化させることにつながるであろう。
著者
吉見 宏
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.72-86, 1996-06
著者
石井 耕
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.228-239, 1998-03
著者
阿部 智和
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.87-113, 2013-06-11

本論文の目的は,1990年代末までに日本で積み重ねられてきたオフィス空間のデザインに関する研究の到達地点を明らかにし,今後の課題を明らかにすることにある。より具体的には,以下の3点を論じていく。すなわち,①1990年末までに取り組まれてきたオフィス空間のデザインに関する研究では,建築学者たちを中心としてオフィス空間内の快適性や機能性の向上に注目を向けてきたこと,②その一方で,経営学のアプローチを用いて,オフィス空間のデザインとモラールや組織内のコミュニケーションに関する実証研究が積み重ねられてきたこと,③しかしながら,これら2つの研究では,ニューオフィス化運動に代表されるホワイト・カラーの生産性向上を目的としたオフィス空間の改革時に注目されてきた,オフィス空間内でのホワイト・カラーの実際の行動やオフィス空間のデザインとパフォーマンスの関係の解明などに対して十分な実証努力が払われなかったという課題が残されていたこと,の3点が示される
著者
佐々木 憲介
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.241-253, 2010-12

1870年代から20世紀初頭にかけて, イギリスにおいても歴史学派と称される一群の経済学者が現われ経済学上の有力な潮流となった。歴史学派は古典派の理論的・演繹的方法に対して歴史的方法を対置し, 古典派の方法論をさまざまな角度から批判した。しかし, 古典派を代表する経済学者の一人であったJ.S.ミルは, その『論理学体系』においてすでに歴史的方法について語っており, それ以外にも歴史学派のものとされる主張を展開していた。はたして, ミルの経済学方法論はイギリス歴史学派とどのような関係にあったのか。クリフ・レズリーは, ミルとリカードウとの違いを強調したが, 歴史学派の多くはむしろ両者の共通性に注目した。ミルは, 経済学の原理に関してはリカードウ派の立場を堅持しており, 新しく示された観点は観点の提示に留まっていて歴史研究の先駆的な業績があったわけではなかった。そのような意味で, 歴史学派にとってのミルは旧学派の一員であった。しかし, 実践的な意味では, ミルの学説は社会改良主義への突破口の一つになった。何人かの歴史学派がミルを評価したのはむしろこの点であった。
著者
森下 宏美
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.37-48, 1986-06
著者
加来 祥男
出版者
北海道大学經濟學部
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.35-46, 1994-03
著者
浅見 克彦
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.299-313, 2003-12-16

マクルーハンは、晩年の著作、Laws of Media とGlobal Village で、彼のメディア理解をシフトさせた。第一に、72年前後から彼が採用した「図-地」の分析枠組の顕著化により、メディアとその社会的環境との相互作用、とりわけ「図」としてのメディアが、「地」である社会的環境に左右されつつ形成される関係が明確化された。メディアが人々の認識様式や文化環境を左右することを強調する それまでの理論的構図に、社会的環境がメディアのあり方に作用するという「裏の」関係が付加されたのである。第二に、誤解の余地なく技術決定論を否定する説明の図式が築き上げられた。とりわけ、人間のあり方を規定するメディアの作用を強調し、人間をテクノロジーの下僕と見なす理解が事実上否定され、メディアが「使用者の精神性」の所産であることが明確化された。第三に、右脳と左脳の共働という脳神経学の知見に触発されながら、聴覚的なニューメディアが視覚的な活字文化を駆逐してゆくという将来予測が、ニューメディアと活字文化の共存、並立を強調する理解へとシフトしていった。晩年の両著作は、マクルーハン理論への多くの誤解をとき、新たな理論的探求を可能にする刺激的な記述に満ちている。