著者
伊藤 得路 土井 正太郎 濱田 徹 安田 武生
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.579-582, 2021-11-30 (Released:2022-06-03)
参考文献数
20

茸による食餌性腸閉塞の2例を経験したので報告する。【症例1】既往歴に脳性麻痺のある56歳の女性。腹部手術歴はなし。腹痛と嘔吐を主訴に受診した。CT検査でair densityを伴う塊状物と口側腸管の拡張が認められた。意思疎通を図ることが困難であり,腸管壊死の可能性が否定できないため緊急手術を施行した。回腸末端から約30cm口側に可動性のある腫瘤を認め,切開して椎茸を摘出した。【症例2】39歳の女性。腹部手術歴はなし。腹痛と嘔吐を主訴に受診した。CT検査でair densityを伴う塊状物と口側腸管の拡張が認められた。前日に茸を含むすき焼きを摂取したことを聴取し,食餌性腸閉塞の可能性を考慮し,緊急手術を行った。回腸末端より50cm口側に塊状物を確認し,腸閉塞の原因と考えられた。腸を切開してエノキ茸を摘出した。腹部手術歴のない腸閉塞症例では食餌性腸閉塞を鑑別にあげ診療にあたる必要がある。
著者
安田 武 山階 克子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.9, no.5, pp.278-287, 1968-07-15 (Released:2010-09-30)

消費財の耐用年数については, 主として営業用の減価償却の都合上, 国税局によって規定されたものがある.また, 銀行や火災保険会社などでその業務の都合上調査した資料があるが, これらに繊維製品は数点しか含まれておらず, それ以外に公表されたものはほとんど見当らない.特に戦後の消費ムードによって国民の消費財の耐用に関する考え方が変化しつつあるので, 最近の繊維製品の耐用年数についてその実態を明らかにすることは非常に重要であると思われる.著者らは, 本学学生およびその家族を対象に, 調査人員623名について, 家庭で実用する131品種の繊維製品の平均耐用年数, 実際に使用する日数, 使わなくなる理由を調査した.繊維製品の耐用年数は, 短かいものでストッキングの2~3週間から長いものでは蚊帳の12.6年に到るまで, はなはだ広範囲にわたっている.消費ムードによって全体的にこれらの耐用年数が短かくなる傾向はあるとしても, このような品種別の大きい開きは無視できないと考えられる.消費科学の研究課題として, 強さ, 変色など種々の特性がとりあげられているが, 耐用年数に着目して繊維製品の消費特性を考えてみると, 品種によって強さの要求されるもの, あるいは変色しないことを要求されるものなど非常に特徴的な傾向がみられる.さらに, 科学的特性がいかにそなわっていても, 型の陳腐化によって耐用年数の決定される品種もはなはだ多い.
著者
三本木 一夫 安田 武司 山口 禎
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.149-152, 1986-09-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
8

1年生のコーヒー (Coffea arabica var Typica) の実生に0, 30, 50, 80%の遮光処理を行ない, 光合成の光・温度反応及び暗呼吸の温度反応を調べた.みかけの光合成速度は無遮光条件下で栽培されたものが最も高く, 遮光の程度が増すにしたがって低下した.光飽和点, 光補償点及び暗呼吸速度も遮光処理にしたがい低下した.光合成の最適温度は, 20℃であったが, 15~25℃でも高い活性を示した.温度の上昇による光合成の低下は無遮光区のものが大であった.即ち, 高温下では遮光区のものが高い光合成活性を示した.このみかけの光合成の低下には暗呼吸の増大が関係しているものと思われた.
著者
川鍋 慧人 古島 弘三 宇良田 大悟 貝沼 雄太 安田 武蔵 船越 忠直 草野 寛 高橋 啓 堀内 行雄 伊藤 惠康
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.293-297, 2020 (Released:2021-03-16)
参考文献数
8

近年,アマチュア野球や国際大会で投球制限が注目されている.しかし,投球制限に関する医学的根拠は明らかになっていない.そこで,健常成人野球経験者における連続投球後の肘関節周囲のMRIの変化を明らかにした.対象は健常成人野球経験者3名であり,被験者1は100球,被験者2は150球,被験者3は200球を18.44mで全力投球を行い投球前後にMRIを撮影した.被験者 3は3日間連投を行い,それぞれの投球後及び ,200球投球後から1週間後にMRI撮影を行った.撮影条件はT2*強調画像,脂肪抑制T2強調画像,プロトン密度強調画像のそれぞれ冠状断・水平断とした.被験者1では投球前後を比較して輝度変化は認められなかった.被験者2,3は投球前と比較し前腕回内屈筋群に輝度変化が認められ,被験者3ではUCL実質内にも輝度変化が認められた.投球数の増加,連投は投球障害のリスクを高めることが示唆された.
著者
安田 武 奥野 温子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.81-86, 1981-02-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
19

寒天ゲルの凝固が果汁の添加によって妨げられる事実について, 主としてX線的に研究して, クエン酸が単位胞内に入って結晶生成を妨げネットワークが不完全となるものと推定した.
著者
宇良田 大悟 古島 弘三 貝沼 雄太 安田 武蔵 川鍋 慧人 西 亮介 船越 忠直 草野 寛 高橋 啓 堀内 行雄 伊藤 惠康
出版者
日本肘関節学会
雑誌
日本肘関節学会雑誌 (ISSN:13497324)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.288-292, 2020 (Released:2021-03-16)
参考文献数
19

【はじめに】近年,内側型野球肘の外反不安定性評価としてring-down artifact(RDA)が報告されている.RDAは関節内の線状高エコー像と定義され,関節弛緩性を示す.本研究の目的は,健常高校野球選手におけるRDA陽性率と,その後の肘内側痛の発症に関して前向きに調査することである.【方法】対象は,高校硬式野球部新入部員32名とした.超音波診断装置を用い,自重外反時,自重外反+尺側手根屈筋(FCU)・浅指屈筋(FDS)収縮時のRDAの有無を評価した.検診後6か月間,肘内側痛の有無を聴取し,有痛日数を調査した.【結果】RDA陽性率は18名(56.3%),FCU・FDS収縮時のRDA陽性率は7名(21.9%)であった.RDA有群は有意に肘内側痛を発症しやすかった(Risk Ratio: 7.0).有痛日数は,RDA有群で有意に長期化していた.また,FCU・FDSの収縮によってRDAが残存する場合,有痛日数が有意に長期化していた.【考察】RDA有無の評価は,将来的な肘内側痛の予測因子として有用であると考えられた.
著者
安田 武彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.422-427, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

既に存在する企業の抱える問題を解決するこれまでの中小企業政策は,1990年代,製造業の開廃業率の逆転が観察される中,起業支援を視野に含めるようになった。起業支援の対象は当初,ベンチャービジネスであったが,1999年の中小企業基本法改正を機に「まちの起業家」へと拡大した。創業融資を中心に幅広い政策が展開されたが,起業希望者の減少により開業率上昇には至らなかった。現在では無関心者の起業への関心換起のための政策が採用されているが,他方,副業起業等,従来に比べ広い範囲の起業に政策の射程は広がりつつある。副業起業等は,イノベーションをもたらすものとは言い難いが,働き方を選ぶ社会を形成する一助となることが期待される。
著者
安田 武司 伊藤 多美子 横井 喜久代 毛利 篤子 安藤 恒三郎 加藤 友義 杢野 謙次
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.218-223, 1984 (Released:2011-08-10)
参考文献数
12

腹痛, 発熱を主訴として発症し, 対光反射, 輻輳反射の消失, 瞳孔の散大, 深部反射の消失, 筋力低下などの神経学的所見を認めるとともに, 皮膚乾燥, 涙液分泌低下, 尿失禁, 便秘, 食道アカラジアなどの自律神経系, 特に副交感神経系の広範な障害をきたした7歳女児例を報告した.経過中, 間質性肺炎, 両側気胸, ADH分泌異常症候群 (SIADH) を合併したが, ステロイドホルモンの投与により改善傾向を示し, 約1年後には, ほぼ完全な寛解状態となった.本例は, 髄液の蛋白細胞解離, 末梢運動神経障害を認め, ギランバレー症候群を合併していると考えられるが, 自律神経症状が前景を呈しており, acuteautonomic neuropathyと考えられた
著者
辻 裕丈 近藤 直英 山本 亜紀子 藤田 嘉子 西田 卓 鈴木 淳一郎 米田 厚子 宮崎 みどり 清水 由美子 安田 武司 伊藤 泰広
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.651-659, 2008 (Released:2008-10-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

急性期の脳卒中患者のトリアージと,特にt-PA療法の適応のある脳梗塞患者のトリアージを目的にして,救急隊と脳卒中プレホスピタルスケール(TOPSPIN:TOYOTA prehospital stroke scale for t-PA intravenous therapy-経静脈的t-PA療法のためのトヨタ脳卒中プレホスピタルスケール-)を導入した.今回,このTOPSPINに連動し,特に超急性期t-PA療法に対する院内体制の迅速化,標準化を計るため,(1)救急外来で脳卒中の鑑別と,特に脳梗塞ではt-PA療法の適否決定のための諸検査を実施するパス(TOPSPIN path),(2)ICUでt-PA療法を遂行するパス(TOPSPEED:TOYOTA path for stroke with t-PA therapy after emergency evaluation and decision-緊急評価と決定後のt-PA療法のためのトヨタ脳卒中パス-),(3)ICU/SUで後療法を行うパス(TOPSTAR Jr.:TOYOTA path for stroke treatment, activity and rehabilitation judged by reexaminations-再評価で決定された治療,活動度,リハビリテーションのためのトヨタ脳卒中パス-)からなる,電子パス診療システム(3 TOP system)を構築した. 2007年4月1日の3 TOP system導入後,96例がTOPSPINで搬送され,11例でt-PAが投与された.TOPSPINと,これに連動した3 TOP systemは,t-PA療法の迅速・確実な診療に有効である.
著者
辻 裕丈 近藤 直英 西田 卓 鈴木 淳一郎 安田 武司 伊藤 泰広
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.643-650, 2008 (Released:2008-10-30)
参考文献数
22
被引用文献数
4 2

超急性期の経静脈的t-PA療法を中心とした脳卒中急性期診療を迅速かつ効率的に可能にするため,脳卒中プレホスピタルスケール(TOPSPIN:TOYOTA prehospital stroke scale for t-PA intravenous therapy-経静脈的t-PA療法のためのトヨタ脳卒中プレホスピタルスケール-)を豊田市救急隊との前方連携に導入した.TOPSPINは1.意識 2.心房細動 3.言語障害 4.上肢および5.下肢の片麻痺を評価する. 2006年12月12日から2007年11月6日までに155例がTOPSPINを用いて搬送され,脳卒中適中率は72%,脳梗塞56例(36%),TIA3例(2%),脳出血46例(30%)であった.うち14例(9%)でt-PA療法が施行された. また,当院に救急搬送された脳卒中患者218例のうち約半数がTOPSPINでトリアージされていた.約半数の,TOPSPINでトリアージされずに救急搬送された脳卒中症例は,(1)他の診療所や病院からの転送,(2)半日以上経過してからの救急隊要請による搬送,(3)TOPSPINを導入していない豊田市以外の救急隊からの搬送,(4)めまい・ふらつき・嘔吐や半盲といった症候を主とした症例であった. TOPSPINは, t-PA療法を念頭にした脳卒中患者のトリアージに有効であると考えられた.
著者
伊藤 泰広 今井 和憲 鈴木 淳一郎 西田 卓 加藤 隆士 安田 武司
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.275-278, 2011 (Released:2011-04-19)
参考文献数
20
被引用文献数
1

症例は29歳の男性である.左眼周囲の間欠的な頭痛で発症し,当初は自律神経症状がなく三叉神経痛と診断したが,6日後に流涙,結膜充血といった自律神経症状が出現し,結膜充血と流涙をともなう短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(SUNCT)と診断した.ガバペンチンを開始し,800mg/日に増量したところ,頭痛発作と自律神経症状はすみやかに消退した.3カ月後に400mg/日に減量した時点で,僅かに頭痛発作が生じた.SUNCTでは頭痛が自律神経症状に先行して出現するばあいがあることが示唆された.SUNCTの長期経過や治療は未解決な点が多く,本邦での症例の蓄積と治療方針の確立が望まれる.
著者
安田 武
出版者
現代評論社
雑誌
現代の眼 (ISSN:0435219X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.133-141, 1964-01
著者
安田武著
出版者
永田書房
巻号頁・発行日
1968
著者
岡室 博之 港 徹雄 三井 逸友 安田 武彦 高橋 美樹 堀 潔 原田 信行 本庄 裕司 福川 信也 土屋 隆一郎 加藤 雅俊 濱田 康行 村上 義昭 鈴木 正明 柴山 清彦 島田 弘 池内 健太 西村 淳一
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

2007年1月以降の新設法人企業に対して、2008年11月以来4回の継続アンケート調査を実施し、特に研究開発型の新規開業企業の創業者の属性や資金調達・雇用、研究開発への取り組みと技術成果・経営成果等について独自のデータセットを構築した。それに基づいて、新規開業企業の研究開発に対する創業者の人的資本の効果(資金調達、技術連携、イノベーション成果)を計量的に分析した。さらに、政府統計の匿名個票データを入手して自営開業について統計的分析を行い、アンケート調査に基づく分析を補完した。また、知的クラスターに関するアンケート調査と訪問調査を実施し、クラスター政策と新規開業・イノベーションの関連等を考察・分析し、国際比較を交えて関連政策の評価を行った。