著者
橋壁 道雄 山崎 雙次
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.65-69, 2003-02-01 (Released:2008-05-23)
参考文献数
12

帯状疱疹後神経痛21例にワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(商品名: ノイロトロピン®)を投与し,その前後で疼痛スコアを測定した。ノイロトロピン投与前後のスコアを全体で比較すると有意な差はなかったが,投与後には低下傾向がみられた。21例中8例(38.1%)については明らかなスコアの低下がみられ有効であったと考えた。また,サーモグラフィーを用いた投与前後の皮膚温の比較では,投与前に皮疹部の皮膚温が健側より低下していた症例は,差がなかった症例より有意にノイロトロピン有効例が多かった。有効例8例中5例(62.5%)にサーモグラフィー上,皮膚温上昇が認められたが,不変·無効例13例では全例に投与後に有意な皮膚温上昇は見られなかった。また,有効例は不変·無効例より有意に投与前の疼痛スコアが高かった。よって,PHN患者ではサーモグラフィーを施行し,皮疹部の皮膚温の低下がみられた場合,あるいは投与前の疼痛スコアが高い症例にノイロトロピンの投与を行うと疼痛の軽減が期待できるものと考えた。
著者
野中 薫雄 大神 太郎 村山 史男 増本 義
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.675-677, 1986

Chromosome eighteen trisomy syndromeは多くの奇形と染色体異常を伴つた新生児の疾患である。患者は生後4日女児で, 家族内に同症なく, 血族結婚もない。生下時体重1,920g(在胎42週)で, チアノーゼ, 低体重, 心雑音, 外表奇形のため新生児センターに入院した。皮膚全体に潮紅が著しく, 全身ことに四肢伸側, 背部, 臀部, 大腿にかけて多毛を認めた。その他, 耳介の下方位置, 耳介奇形, 胸骨短縮, 手指の交叉現象, VSD, ASDを伴つていた。染色体数は47で, 18 trisomyを認めた。皮膚病理組織学的所見では毛包数の増加は認められたが, 形態学的異常は認められなかつた。生後23日目, 呼吸機能不全のため死亡した。本症候群の皮膚科的記載は比較的少なく, 頸部のcutis laxa, 多毛, 大理石様斑, 指紋の異常, 四肢爪の形成不全などがみられるが, 本患者では多毛のみであつた。
著者
増田 亜希子 伊東 孝通 和田 麻衣子 日高 らん 古江 増隆
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.353-355, 2016

<p>27 歳,女性。小児期よりアトピー性皮膚炎に罹患していた。初診の 6 年前より夫の精液付着部位に蕁麻疹と瘙痒を認めた。その後,避妊具なしで性交した際に全身に蕁麻疹を認め,呼吸困難も出現した。同様のエピソードが過去 2 回あった。避妊具を使用した性交渉では同様の症状を生じたことはなかった。近医を受診し,精漿アレルギーの疑いで当科を紹介され受診した。10 倍から1000 倍に希釈した夫の精漿を用いたプリックテストでは,検査した全ての濃度で紅斑と膨疹が出現した。本疾患は精漿中に存在する前立腺由来の糖蛋白に対するⅠ型アレルギー反応であると考えられている。精漿アレルギーの患者の半数以上にアトピー性皮膚炎の既往があると報告されており,皮膚バリア機能の障害による経皮感作が発症に重要な役割を担っていることが推察される。本疾患は皮膚科領域での報告は比較的稀であるが,アトピー性皮膚炎関連アレルギー疾患の一つとして位置づけることができると考え報告した。</p>
著者
馬野 詠子 伊藤 祐成
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.972-975, 1983

50才男子。主として吉草酸ベタメサゾンクリームを5年以上使用して生じた顔面のステロイド皮膚症難治例を治療中, 眉毛部と下顎部に臨床的にも, 病理組織学的にもeosinophilic pustular folliculitisと診断された局面を生じた。該部に対しては, とくに治療を行わなかつたが, ステロイド外用剤の完全離脱から約9週間後に病巣は消退した。
著者
渡辺 幸恵 森田 明理
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.548-552, 2006

2001年に日本皮膚科学会においてケミカルピーリングガイドラインが作成されて以来,ケミカルピーリングは,大学病院や総合病院,また開業医においても,皮膚科治療の一方法として盛んに行われるようになっている。今回,開業医で行われるケミカルピーリングの実態を知る目的で,当院でグリコール酸ピーリングを受けたざ瘡患者199例について検討した結果,2回以上継続して治療を受けたものは176例であり,著効27例と有効105例を合わせ,約75%に治療効果を認めた。一方,副作用は7例に認められ,部分的痂皮形成が2例,強い発赤が認められステロイド外用の必要があったものが5例であった。本治療法は,一般開業医のレベルにおいても,その日常診療で非常に診療頻度の高い尋常性ざ瘡の患者に対して,安全かつ有効性の高い治療だと考えられた。
著者
砂川 文 山口 さやか 宮城 拓也 岡本 有香 山城 充士 山本 雄一 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.336-339, 2018
被引用文献数
1

<p>13 歳,女児。3 カ月前より眉間部に線状の紅斑が出現し,次第に拡大した。臨床症状と病理所見より剣創状強皮症と診断した。ステロイド外用と紫外線療法を開始したが改善せず,ステロイドとメソトレキセート内服併用療法を行い,4 週間後に紅斑が改善し,2 年後には略治した。治療中,明らかな副作用はなかった。本邦において,剣創状強皮症に対するステロイドとメソトレキセート併用療法の報告例は少ないが,有効かつ比較的安全であり,治療選択の一つとして考慮すべきであると考えた。</p>
著者
花城 ふく子 島岡 洋介 仲里 巌 苅谷 嘉之 山口 さやか 屋宜 宣武
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.345-348, 2018
被引用文献数
1

<p>74 歳,女性。初診半年前に後頭部右側に結節病変が出現した。生検組織では,異型の強い好酸性の細胞質を有する腫瘍細胞が充実性に増殖し,HE 染色所見,免疫組織化学染色では診断がつかなかった。全切除した際に,対側の後頭部左側にも類似した小結節が 2 カ所あった。病理所見はいずれも真皮全層にわたり腫瘍細胞が充実性に増殖し,異型のある内皮細胞様細胞が不規則な形状の間隙,管腔構造を形成していた。免疫組織化学染色では CD31,D2-40,ビメンチン陽性であった。以上より血管肉腫と診断した。PET-CT で転移病変はなく,家族の希望より後療法は行わなかった。術後 10 カ月で肺・肝臓へ転移し,weekly docetaxel 療法を 2 クール行ったが,間質性肺炎を合併した。ステロイドパルスを行ったが改善せず永眠した。自験例は,血管肉腫に特徴的な紫斑は伴わず,当初,鑑別診断として血管肉腫を挙げることができないまま,全切除に至った。タキサン系抗腫瘍薬は,頭部血管肉腫に対する第一選択薬とされ,今後も使用が増加すると考えられるが,間質性肺炎の合併に留意する必要がある。</p>
著者
旭 正一
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.685-693, 1985

免疫反応は, 生体が「異物」と認識した「抗原」に対する排除反応であると考えられる。抗原の認識からはじまつて, 抗体や感作リンパ球の産生がおこり, この抗体やリンパ球が抗原と反応し, さらにいくつものメカニズムが作用して, 最終的には炎症反応などの生体反応がおこつてくる。この間に多くの反応段階があり, 複雑な経路をたどつて反応が進行してゆく。この各段階において, いろいろな活性物質が細胞から放出されたり, 細胞外でつくられたりする。これらの微量活性物質は, 反応を進行させたり, 抑制したり, 細胞間の情報伝達をおこなつたり, 組織反応をおこしたりする。免疫学の研究がすすむにつれて, 新しい生体物質や活性因子が次々と報告され, ぼう大な数に達している。免疫学を理解するには, このうちのおもなのだけでも理解しておく必要があるが, あまりにも数が多くて, それぞれ長い名前がついており, BCGFだのMAFだのIFNだのといつたまぎらわしい略語が続出するために, 免疫の話が敬遠される大きな理由になつているように思われる。今回は, これらの物質のうちからリンフォカインをとりあげる。このような微量活性物質は, その機能(活性)が分つているだけで, 物質的性状は分らないものが大部分であり, 統一的に分りやすく解説するなどということは望むべくもないが, 本稿では, その存在が確実にみとめられ, 解析がすすんでいるものを重点的に解説した。
著者
西本 勝太郎 山本 憲嗣 塚崎 直子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.348-351, 1989-04-01 (Released:2012-03-03)
参考文献数
4

副腎皮質ステロイド外用療法時における, 湿疹·皮膚炎病巣部のブドウ球菌数を, ガラス管, 小ブラシを用いた洗浄法によつて測定し, その変動を二薬剤(Difluprednate軟膏およびBetamethasone-17-valerate 0.1% Gentamicin軟膏)について比較した。結果は, 1) 病巣のブドウ球菌数は症状の改善度と並行して減少し, 皮疹が治療した状態では, ごくわずかの菌しか検出されない。 2) 病巣部のブドウ球菌数は, 外用剤に含まれる抗生剤よりはむしろ皮疹の湿潤度, いいかえれば外用ステロイドの治療効果に強く影響された。 以上より, 明らかな感染のない湿疹·皮膚炎病巣に対しては, 充分な強さの外用ステロイド剤の使用のみで良いことを確認した。
著者
有馬 優子 岩田 賢治 濱崎 洋一郎 片山 一朗
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.63-65, 2001
被引用文献数
4

55歳の男性。カルバマゼピン(テグレトール<sup>®</sup>)とハロペリドール(ハロステン<sup>®</sup>,セレネース<sup>®</sup>)の内服開始後に発赤,水疱が出現しておりその両方を原因薬剤と疑った。貼布試験で両者は陽性反応を示し,組織学的にも初診時と同様の皮疹を誘発できたため,この2剤を原因薬剤と考えた。2剤の間に化学構造的類似は認められなかった。
著者
森 徹 三砂 範幸 成澤 寛 茂木 幹義 長谷川 英男 宮田 彬
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.55-57, 2002-02-01 (Released:2010-09-02)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

69歳,男性。初診の約1年前より左側膝窩部に自覚症状のない皮下腫瘤が出現しているのに気付いた。1年後,左下腹部に同様の腫瘤が出現したが,これは膝窩部から移動したものと患者は訴えた。山水の飲水歴はあったが,明らかな生食の既往はなかった。初診時,左下腹部に2ヵ所,左鼠径部に1ヵ所,弾性軟の腫瘤を触知した。3ヵ所の腫瘤をすべて摘出したところ,各々から虫体が検出された。虫体の肉眼所見および組織所見よりマンソン裂頭条虫の幼虫であるプレロセルコイドと同定し,マンソン孤虫症と診断した。通常,多くのマンソン孤虫症は単発例であるが,自験例はその後,右下肢にも虫体を認めており,計4匹の多発例であった。
著者
窪田 泰夫 宗広 明日香 小浦 綾子 白髭 由恵 横井 郁美 前田 麗子 石川 絵美子 細川 洋一郎 森上 純子 森上 徹也 中井 浩三 米田 耕造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.630-635, 2012-12-01 (Released:2013-02-26)
参考文献数
7

ダラシン® T ローション 1 %はざ瘡の炎症性皮疹に対して有効性と安全性が確認された外用抗菌剤である。今回,炎症性皮疹を有する成人ざ瘡患者 23 例に,ダラシン® T ローション 1 %を 8 週間,半顔には直接塗布により,また対側半顔にはコットンパフを用いて塗布し,炎症性皮疹の減少率と安全性,また刺激感や使用感等に対する患者自身による評価を比較検討した。その結果,コットンパフ使用法および直接塗布法ともに開始時と比較して外用開始 8 週後には炎症性皮疹減少率が有意に高かった。しかし両群間の炎症性皮疹の減少率において 4 週後,8 週後に有意差は認められなかった。全症例において特記すべき有害事象はなかった。患者自身による評価では,両群間の治療効果・使用感・刺激感に有意差は認められなかったが,70 % (16 例/23 例) の患者が「医師から具体的な塗布方法について説明を受けて良かった」と回答していた。これはざ瘡外用治療の際に医師が患者に外用方法の具体的な説明・指導をすることが患者の治療満足度を向上させるためにも重要であることを示唆していると思われた。また,液状のざ瘡外用治療薬とコットンパフを用いて塗布する方法は日常の化粧行動でコットンパフの使用に慣れている「大人の女性」のざ瘡患者には勧めやすいものと思われた。≥
著者
立石 毅 梅林 芳弘 高橋 久恵 大塚 藤男
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.268-271, 1995-04-01 (Released:2011-07-20)
参考文献数
12

症例1は1歳の男児。生後1週に左下腿に紅色の皮疹が出現し, 同部位に小水疱形成を繰り返していた。症例2は5ヵ月の女児。生後3ヵ月に右胸部に水疱形成を繰り返す皮疹が出現。いずれもダリエー徴候陽性。組織学的に真皮内に肥満細胞の増殖を認め, 単発性肥満細胞症と診断した。局所ステロイド剤外用にて水疱形成は抑制された。筑波大学皮膚科における1976年10月より1993年7月までの外来初診患者数47849人に対して, 肥満細胞症患者は10人で0.02%にあたる。単発性肥満細胞症はその中で2例(0.002%)のみであった。
著者
屋宜 宣武 山口 さやか 高橋 健造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.552-557, 2017

<p>83 歳,女性。1 カ月前より外陰部の疼痛があり近医を受診した。悪性腫瘍を疑われ当科を紹介され受診した。初診時は外陰部全体に疣状局面があり,経過中に腋窩や口唇のびらん,舌の肥厚が出現した。病理検査では肥厚した表皮内に水疱が形成され,水疱内には好酸球が多数みられた。蛍光抗体直接法では表皮細胞間に IgG が沈着していた。血清抗デスモグレイン 1,3 抗体がいずれも陽性だった。臨床所見と病理所見,血清学的所見を併せて,本症例を増殖性天疱瘡と診断した。ステロイド内服のみでは皮疹のコントロールができず,免疫グロブリン大量静注療法を併用することで症状は劇的に改善した。</p>
著者
半田 芳浩 羽渕 知可子 日比 泰淳 安江 敬 柴田 真一 富田 靖
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.36-40, 2002

64歳,男性。経過中に両耳·右前腕·両手背に6個の日光角化症,右耳·左手背に2個の有棘細胞癌,右手背·左耳·右前腕に4個のBowen病および右手背に単発の基底細胞癌を認めた症例を経験した。砒素摂取歴や職業上で染料,切削油,コールタール,農薬などの発癌物質への曝露歴はない。UVAの最少反応量,UVBの最少紅斑量の低下はなかったが,皮疹はいずれも露光部に出現しているため,日光の刺激により誘発されたと推測した。右耳の日光角化症には液体窒素療法を施行し,他の腫瘍は全て切除した。局所再発は認めていないが,現在も両手背~前腕にBowen病の初期病変もしくは日光角化症と思われる褐~紅色斑が多発しているため,慎重に経過観察している。多種の皮膚悪性腫瘍が多部位にわたり発症した例は稀と考え報告した。
著者
窪田 泰夫 森上 徹也 中井 浩三 横井 郁美 藤田 名都子 宗広 明日香 森上 純子 米田 耕造
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.163-168, 2010-04-01 (Released:2010-06-25)
参考文献数
8

尋常性乾癬患者19例を対象に,カルシポトリオール軟膏(ドボネックス® 軟膏50μ/g)とベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏(アンテベート® 軟膏0.05%)を用いた9週間の外用連続療法を実施し,その臨床的有用性をPASIとVASスコア,患者QOLにより評価した。外用連続療法の導入期では両剤を1日2回併用塗布し,続く移行期では平日はカルシポトリオール軟膏のみを,土・日は両剤を1日2回併用した。維持期ではカルシポトリオール軟膏の単独塗布を行った。皮膚症状の評価はPASIスコアから顔面,頭部を除いた準PASIスコアと患者によるVAS評価を併用した。QOL評価はDermatology Life Quality Index(DLQI日本語版)を用いた。その結果,治療開始時20.2であった準PASIスコア平均値は導入終了時には8.1となり60%の低下を示し(p<0.01),その後も経時的に減少して,観察終了時には4.4に低下した(baselineから78%の低下,p<0.01)。また,治療開始時9.2であったDLQI合計スコアは観察終了時には3.1となり(p<0.01),下位尺度のうち「症状・感情」,「日常生活」,「余暇」での改善が顕著であった(p<0.01)。副作用については局所の刺激感,血清Ca値の異常変動などは認められなかった。尋常性乾癬に対する今回の外用連続療法は,皮膚症状を速やかに改善すると共にその後の寛解維持も良好で,主に精神面,生活および行動面での患者QOLの改善をもたらすことが示唆された。
著者
野田 俊明 川田 暁 比留間 政太郎 石橋 明
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.287-291, 1993
被引用文献数
1

サンスクリーン剤の紫外線防御効果を従来のsun protection factor(SPF)の測定に加え, 遅延型黒化(delayed tanning, DT), 即時型黒化(immediate pigment darkening, IPD)の防御効果により検討した。被験試料: ECRAN TOTAL UVA-UVB-IR(RoC S. A., France)。実験方法: 健康成人男子10名を対象とし, 被験部位は背部, 塗布面積50cm<SUP>2</SUP>, 塗布量2mg/cm<SUP>2</SUP>とした。光源にはsolar simulator WXL-50 C-5-UV(WACOM, Japan)を用い, 照射波長域はUVA+B, 照射率は34.8mW/cm<SUP>2</SUP>とした。結果: 試料非塗布部位のminimal erythema dose(MED), minimal delayed tanning dose(MDTD), minimal immediate pigment darkening dose(MIPDD)は, それぞれ132.8KJ/m<SUP>2</SUP>, 146.7KJ/m<SUP>2</SUP>, 16.7KJ/m<SUP>2</SUP>であった。試料塗布部位のMED, MDTDは最大照射量でも測定できなかったが, MIPDDは1422.8KJ/m<SUP>2</SUP>であった。試料塗布部位のMED, MDTDをその最大照射量で計算したprotection factor(PF)値は, それぞれ15以上, 12以上と算定され優れた効果を示した。IPDより計算したPF値は85.3であったがさらに検討が必要と思われた。