著者
村田 浩平
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.486-493, 2019-06
著者
辻 博之
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.147-154, 2010-01

農業技術は古来より進歩を続け、さまざまな生産上の問題を克服してきた。畑作農業にあって古くから問題となってきたのは、地力の維持と増進の問題、病害虫や雑草害による収量の不安定、連作障害などである。緑肥作物はそれぞれの時代に直面した問題に対応するために輪作に導入されてきた。もっとも、緑肥作物などの輪作は問題の最終的な克服手段とはならず、他の技術(化学肥料、農薬、抵抗性品種等)の開発と普及までのつなぎや、それらとの組合せに使う技術といって良い。しかし、時代は移り変わっても、緑肥作物には常に新しい役割が与えられてきた。現在、緑肥作物に求められている役割は、現在の技術で克服しがたい生産上の諸問題や、最新技術が引き起こす副作用、地域が抱える社会的な状況に起因する諸問題の解決にあるといえる。本稿では、畑作やその周辺で使われる緑肥作物の利用の現状を概説するとともに、その問題点と展望を述べようと思う。
著者
高橋 成人
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.p1047-1053, 1990-09
著者
入倉 敏広 市原 裕子
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.84, no.7, pp.711-714, 2009-07

ニホンナシ栽培では毎年10a当たり主要品種の「幸水」で599kg、「豊水」で1,057kgの剪定枝が発生している。これらの剪定枝は、そのほとんどが焼却処分されており、周辺環境に対する煙や悪臭等の影響が懸念されている。一方、循環型社会の構築を目的として、剪定枝等の良質な有機物は資源として適正にリサイクルさせていくことが求められており、焼却以外の利用法を開発することが急務となっている。千葉県内では剪定枝をチップ化し、木質プラスチックの原料として活用するなどの動きも見られているが、剪定枝チップの利用用途は限られているのが現状である。千葉県木更津市牛袋川東地区においてもナシ栽培で発生する剪定枝の有効活用を模索していた。同地区では2007年より農林水産省の「農地・水・環境保全向上対策」に取り組んでおり、その活動の一環として集落で管理している用水路脇の桜並木をナシ剪定枝のチップで被覆し、土壌マルチ資材としての有用性を試験した。その結果、雑草防止効果が認められたため、利用法に関して明らかになった若干の知見を報告する。
著者
大澤 史伸
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.382-391, 2013-03

厚生労働省では,「障害者の雇用の促進等に関する法律」(以下,障害者雇用促進法と記述する。)に基づき,1人以上の身体障害者又は知的障害者を雇用することを義務づけている事業主等から,毎年6月1日現在における身体障害者,知的障害者及び精神障害者の雇用状況について報告を求めている。2012年11月14日現在における同報告では雇用障害者数は,38万2,363人と過去最高を更新した。このことを受けて,小宮山洋子厚生労働大臣は,2012年5月23日,現行の法定雇用率1.8%から2.0%に引き上げる案を労働政策審議会の分科会に諮問した。分科会は同日,妥当と答申し,6月中にも政令改正を閣議決定し,2013年度から新しい雇用率が適用される見通しになった。しかし,民間企業(56人以上規模の企業)をみると,法定雇用率1.8%に対して実雇用率が1.69%であり,法定雇用率未達成企業は,53.2%と依然,民間企業における障害者雇用は進んでいるとはいえない状況である。
著者
真坂 一彦
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.518-533, 2016-05

北海道における代表的な蜜源はニセアカシア,シナノキ,そしてクローバーであり,それにアザミ,キハダ,ソバ,トチノキと続くなど,蜜源の多様性が高い。この主要7蜜源植物だけでみると,樹木蜜源は66.6%を占め,さらに森林性のアザミを加えると75.6%に達することから,北海道では森林が重要な蜜源となっているといえる。道内における蜜源植物の分布には,植生や土地利用の在り方を反映した地域性がみられる。ニセアカシアは道央の旧産炭地に多く,シナノキを対象とした蜂群数は原生的な森林が残っている道北やオホーツクで多い。蜜源の多様性や地域性を生む背景には,明治まで過度な山林利用がなかったことや産炭地だったという歴史的要因,そして冷温帯林~北方林に特有の樹種構成などの気候的要因が指摘できる。日本全体でも蜂蜜生産量が多いニセアカシアは,侵略的外来種として外来種問題の俎上に載ったが,ミツバチが果樹野菜のポリネーションに欠かせないことから,2015年,産業管理外来種に指定された。シナノキは林業上,重要な樹種でもあり,戦後,広葉樹林の伐採が進んだことで蜂場の小規模化・分散化がすすみ,ヒグマ被害を誘発したと考えられる。
著者
川瀬 成吾 小西 雅樹 上原 一彦
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.93, no.9, pp.808-822, 2018-09

淀川流域は日本最古の湖・琵琶湖を主水源に持ち,広大な氾濫原環境を有するという地質的・地理的要因から,生活史のすべてを淡水域で過ごす純淡水魚類の種数が河川としては日本でもっとも多いことで知られる。当流域には,天然記念物のイタセンパラやアユモドキParabotia curtus,固有のヨドゼゼラBiwia yodoensisやヨドコガタスジシマドジョウCobitis minamorii yodoensisなどの河川の氾濫によって生じた河川本流の周囲に広がる水域を好む魚類(=氾濫原性魚類)が多く生息し,上流の琵琶湖流域とは異なったユニークな生態系を有している。しかし,淀川の在来魚類は1960年代から水質汚濁,1970年代から河川改修による河道の水路化,ワンドやタマリの消失などによって激減している。さらに,2000年代に入り,オオクチバスMicropterus salmoidesやブルーギルLepomis macrochirusを中心とした外来魚類が急増し,イタセンパラやヨドゼゼラなど在来魚類の激減に拍車をかけている。1970年代から10年に1度実施されている淀川全域調査によると,1990年代までは総採集個体数に占める外来魚類の割合は2%未満だったものが2000年以降30%前後まで激増し,在来魚類の数は激減している。大阪府および京都府版レッドデータブックにリストアップされている淀川流域産魚類から減少要因を抽出すると,外来魚類がそれぞれ3番目および2番目に多く挙げられる状況となっている。私たちは川瀬ほかで淀川流域の外来魚類について網羅的に調査し,近年の分布や生息状況について初めて包括的に報告した。コクチバスMicropterus dolomieuの分布拡大やチャネルキャットフィッシュIctalurus punctatusの淀川での初報告,アリゲーターガーAtractosteus spatulaの生殖腺の発達が確認されるなど,従来のオオクチバス,ブルーギルに加えて新たな脅威が迫っている。
著者
樋口 太重 宮坂 典利
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.427-432, 2013-04

近年,家畜排泄物およびその堆肥化過程で発生する悪臭は,周辺住民の猛烈な反発を招き,畜産業の存続を左右しかねない深刻な問題にも発展する。悪臭は他の環境問題と異なり,人間の臭覚で判断されることから,ひとの思考や体調などの影響を受けやすい厄介な問題である。畜産から発生する悪臭成分は,悪臭防止法で定められる22物質のうち,アンモニア,トリメチルアミン,低級脂肪酸(プロピオン酸など4種類),硫黄化合物(硫化水素など4種類)が主体となろう。今後,悪臭成分の除去など畜産排せつ物の適正な処理は,地域住民に安心・安全の生活環境を与えるばかりでなく,有機物資源の有効利用など地域の物質循環に役立つと考えられる。本稿では悪臭成分除去の視点から,人間による悪臭成分の感知,アンモニアの無臭化と微生物,完熟堆肥を利用した無臭化堆肥の試みについて,若干の知見に基づいて述べる。
著者
野口 弥吉
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, 1956-01
著者
野口 弥吉
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.81-84, 1954-01
著者
野口 弥吉
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.28, no.11, pp.1357-1360, 1953-11
著者
高木 正見 中平 賢吾 岩瀬 俊一郎
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.91, no.11, pp.1071-1079, 2016-11

レンゲは,明治から大正・昭和にかけて,水田の裏作緑肥作物として,わが国の近代稲作農業に大きく貢献してきた。また,緑肥としての効用や飼料作物として利用できるだけでなく,養蜂業にとっては,春季の蜜源植物として,レンゲは重要な存在である。レンゲ蜜は,国産蜂蜜の中でも代表的な蜂蜜なので,"はちみつの王様"と呼ばれ,現在では希少性も伴って,国産レンゲ蜜は最も高価な蜂蜜の1つであり,その一方で,ピンク色に染まったレンゲの絨毯は,1960年代以前,わが国の春の田園風景にとって,欠かせないアイテムであった。ところが,わが国におけるレンゲの作付面積は,1960年以降急激に減少した。その原因としては,化学肥料の普及や,わが国の畜産が農家の役畜的飼育から畜産専業の用畜的飼育,とりわけ企業的多畜化へ変貌し,飼料としてのレンゲの利用価値が低下したことが大きかった。さらに,レンゲ作付面積の減少に追い打ちをかけたのが,1982年に海外から侵入した,アルファルファタコゾウムシ(Hypera postica,以下「アルタコ」と略)であった。養蜂家は,レンゲ栽培農家の減少に少しでも歯止めをかけようと,稲作農家にレンゲの種子を無料で配布し,水田裏作として播種してもらうという努力も行ってきた。しかし,アルタコによる被害は激甚で,稲刈り後に播種したレンゲが,開花する前に全滅するという事態が,九州から西日本全体に広がった。アルタコは,現在では全世界的な害虫であるが,もともとは,中東および中央アジアからヨーロッパにかけて分布する,マメ科牧草の害虫であった。わが国には,1982年に九州と沖縄に侵入し,分布を拡大し,現在は本州北部を除く日本全域に分布し,レンゲの害虫として問題になっている。しかし,米国から導入された寄生蜂,ヨーロッパトビチビアメバチ(Bathyplectes anurus,以下「Ba」と略)の効果が現れ始めた福岡県を中心にした西日本では,レンゲの花が回復しつつある。そこで本稿では,このアルタコのレンゲ害虫としての生態と,天敵である寄生蜂の導入の経緯,さらに,その寄生蜂を使った生物的防除を核にした本種の総合的害虫管理(IPM)について解説する。
著者
福岡 正信
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, 1962-06
著者
福岡 正信
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, 1962-05
著者
皆川 明子
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.363-371, 2015-03
著者
豊田 剛己
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.213-218, 2009-01

ミミズは土壌生態系において粗大有機物の第一次分解者として、また土壌の攪乱者として大きな役割を担っている。古くは、進化論で有名なチャールズダーウィンもミミズの働きに注目し、ミミズが"土壌の耕耘・改良"に大きな役割を果たしていることを明らかにした。ミミズは周囲の環境を効果的に変化させる役割を有することから生態系改変者と呼ばれる。ダーウィンによれば、肥沃な土はすべてミミズの腸管を何度も通過したものであり、10年間に3〜4cmもの厚さの肥沃な土が作られるという。日本とは異なり、イギリスでは図1に示すようなミミズの糞塚を至るところで目にする。ダーウィンが注目した理由がわかる気がする。日本でも森林や草地ではミミズ糞を見ることがある。一方、堆肥化にミミズを用いて、より効果的な堆肥を作るなど、自然条件下のみでなく、ミミズを作物生産へ積極的に利用しようとする試みもなされるようになっている。本報告では、ミミズが土壌微生物に及ぼす影響を概説し、土壌病害防除のための可能性について論じる。
著者
姫宮 雅美 神門 卓巳 宮廻 克己
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.188-201, 2013-01

近年,全国における障がい者の就職件数が年々増加している。それに伴い,農業への障がい者就労や障がい者施設の農業参入,また特例子会社による農業経営など,農業分野における障がい者就労件数も増えている。そうした背景を踏まえ,島根県農業技術センターでは,平成23年度から農福医連携による園芸作業プログラムの開発を目指し,実証調査を行っている。また,農福連携の支援に向けた基礎的調査として,島根県内の障がい者施設に対するアンケート調査のほか,障がい者施設や農家への聞き取り調査を行ってきた。こうした調査研究を通じて,栽培技術面での課題を整理し,障がい者にも取り組みやすい農業技術や作業体系の構築について検証しているところである。ここでは,障がい者が取り組む農作業の実態と可能性を明らかにし,今後の島根県における農業と福祉の連携方策について考察する。
著者
髙倉 直
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.1173-1176, 2013-12

最近,垂直農場という言葉が使われ始めた。アメリカの微生物学が専門の教授が著したVertical Farmの訳であり,訳本まで出ている。大都市の高層ビルの各層の窓からあふれんばかりの植物が生育しているバーチャルな構想図が示されており,インターネットでも大々的に宣伝されているし(Despommier 2013),似たような構想図がいろいろとあふれてくるようになった(e. g.,Gordon-graffs 2013,Skygreen 2013)。植物栽培と環境調節を専門とする研究者ならこれはおかしいと直感するのではないだろうか。立体栽培の構想ないしは実験は古くから存在する。バビロンの塔もその一つである。立体栽培は大きく分けて,3つになる。高層建物の室内に観賞用として植物を栽培する。展示会や博覧会場で,人集めのシンボルとして作られる。立体農場として作物を栽培するものであるが,問題は作物栽培であり,インターネット上ではこれらが混同されているので,注意が必要であろう。明確な過去の事例をいくつか紹介しながら,このような構想が安易に実現されないことを祈りたい。窓の限られた高層ビルより,はるかに太陽光が中に多く入る,数十メートルのタワー状の温室すなわちタワー温室がヨーロッパと我が国にかつて存在し,その末路がどうであったかを知る人が少なくなっている。タワー温室は人工光でも実験された。人工光植物工場だけでなく,太陽光利用型温室でも,植物を立体栽培した例はアメリカ,英国,我が国にもあったし,我が国では現存するものもある。その問題点を改めて紹介しよう。
著者
松浦 昌平
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.999-1002, 2009-10
被引用文献数
1

トマト黄化葉巻病は、ジェミニウイルス科ベゴモウイルス属のTYLCVによって引き起こされるトマトの重要病害で、現在、日本には、イスラエル系統(TYLCV-IL)、マイルド系統(TYLCV-Mld)に属するいくつかの分離株(Isolate)が発生している。本ウイルスは、タバココナジラミによって特異的に媒介され、感染したトマトは、数週間程度の潜伏期間を経て、退緑しながら縮葉、巻葉症状となり、生育は著しく抑制される。発病すると開花しても十分に結実せず減収する。極細糸を使用した0.4mm目合い防虫ネットのタバココナジラミ侵入防止効果と、それが媒介するTYLCVによるトマト黄化葉巻病発生抑制効果を施設内環境要因と併せて調査した。