著者
金澤 莉奈 佐藤 生馬 藤野 雄一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.302, pp.29-33, 2012-11-12

近年,様々な家族構成がある中で,核家族化が進み,1人で子育てをしていると感じる母親が増えている.このような子育てにおける不安やストレスから育児ノイローゼとなり,最悪の場合には子供を虐待してしまうケースがおる.現在,地域毎に子育て支援を行っているがまだまだ十分とは言えない.そこで本研究では,多くの母親が感じている睡眠不足の問題に着目する.母親の睡眠不足の原因は,乳児の夜泣きによるもので,なかなか寝付かない,寝てもすぐ起きるなど乳児によって様々である.そこで,乳児の睡眠リズムを把握し管理または改善するために睡眠を中心としたライフログを可視化し,母親の安心感の増加やQOLの向上を目指す.
著者
折尾 彰吾 上田 浩 上原 哲太郎 津田 侑 吉村 豪康 山村 智英 野村 怜一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.489, pp.249-254, 2013-03-07

Wi-FiやBluetoothの通信ではその仕様上,デバイス固有に割り当てられたアドレスが暗号化されることなくやりとりされている.これは外部から容易に観測することができ,この値を位置,時刻その他のデータと紐付けて収集することで,ユーザの位置の履歴や行動パターンが漏洩し位置プライバシーが脅かされるおそれがある.さらに攻撃者自身が移動しながら情報を収集することで,比較的少数の攻撃者によってもプライバシー攻撃を行うことが可能となる.本稿では,予想されるプライバシー攻撃と同様のフィールド実験を実施し,その結果を分析することでこの脅威の現実性を検証する.またこの攻撃によって起こりうる被害についてさまざまな視点から考察する.
著者
キウェ ピュ ピュ 山本 寛 大木 聖子 山崎 克之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.170, pp.25-30, 2010-07-30

日本は、世界的にも最も地震が起こる国の一つであり、これまで何千年間も被害を受けてきている。しかし、地震の経験は、被害を受けた地域での知恵となるにとどまり、日本に暮らすあらゆる人々の共有知とはなっていない。地震の経験を多くの人で共有できれば、地震の知識が向上し、大きな災害に備えること、つまり防災リテラシーの向上が図れる。本研究の目的は、地震の経験を共有して、アーカイブにすることのできるウェブベースシステムを開発することである。他の人がどういう手段をとったか(家族の安否確認、帰宅ルートのチェック、など)を確認することで、自分のアクションを見直すことができ、大きな地震が発生した時のための備え(防災リテラシー)は格段に向上する。システムは地震研究所(ERI)のウェブサイト上で公開する予定である。
著者
丸山 伸 小塚 真啓 中村 素典 岡部 寿男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.173, pp.31-36, 2006-07-13
被引用文献数
1

複数のアドレスを同時に利用して通信を行うSCTPによる接続に対して、動的にIPアドレスの増減を行うための拡張であるmSCTPは、トランスポート層におけるモビリティ実現技術として知られている。しかしmSCTPは仕様上の制約によりアドレス増減の通知を連続して行うことが出来ないため、ハンドオーバにおいて本来は不必要なはずの長い時間が必要となったり、相互に通信可能なアドレスを取得したにもかかわらず接続を維持できない場合が発生したりする。本研究においては、アドレス増減の通知の再送を複数個まとめて送信できるようにmSCTPを拡張する手法を示し、この変更により複数のアドレスが連続して増減した際においても、通信できるアドレス対が存在する限り実用的な時間内で確実にハンドオーバできるようになることを示す。
著者
山之上 卓 吉村 圭一郎 小田 謙太郎 下園 幸一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.495, pp.59-65, 2015-02-26

Twitterの呟きがその模様に現れる「着る電光掲示板」の開発について述べる.この掲示板を着た人は,歩く広告塔となるだけでなく,災害発生時の連絡通知手段となる可能性を持つ.
著者
小関 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ
巻号頁・発行日
vol.112, no.353, pp.31-38, 2012-12-06

多分野に適用できる通信ネット論として抽象化した、マルチモード非線形マルコフ遷移近似ネット模型の現状を紹介します。巨大ネットの統計量を高精度に再現するファミリーネット近似法によって、計算量の適当な規模のネット模型を作成し、モード解析や非線形マルコフ遷移競合解析を可能とします。また、標準ネット模型群で、異なるトポロジの対称性や安定性論を視覚的に整理します。情報インフラはフリードマンが賞賛した古典的インターネットを超越して、検索エンジンの個人化や非匿名性をもって経済活動に大きな役割を担うSNSなどに変態しました。この新情報通信インフラのインパクトを提案するツールで検討します。すなわち、Cyworldの統計データからトポロジ模型を作成し、モード構造を求めて個別化のもたらす社会的合意形成への課題を論じます。本稿は、新宇宙論やヒッグス粒子やiPSの発明が21世紀のコペルニクス的転換と認知して、産業革命の18世紀人に恥じない対応を目指そうとの総見直しの努力の一部です。
著者
森 達哉 エスキベル ホリー アキラ アディティヤ 下田 晃弘 後藤 滋樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.137, pp.53-58, 2009-07-10

2008年11月11日に実施されたホスティング会社McColo社の上位ISPによる遮断は,世界の至るところでスパム流量を半分あるいはそれ以上減少させるという画期的な効果をもたらした.2007年夏以降の世界的なスパム流量の爆発的増大を引き起こした主要因とされるスパムボット,Srizbiをはじめ,今日の主要なスパムボットのC&Cサーバが同社によってホスティングされていたことが明らかになっている.本研究では世界最大規模のスパムボットであるSrizbiの全体像把握,およびインターネットエッジサイトの視点からスパムボットC&Cを標的とした制御の有効性を定量化することを狙いとする.分析には2007年7月から2009年4月にかけて3箇所の異なるネットワークで計測された広範なデータを用いた.本研究の主要な貢献は次の通りである.(1)Srizbiの世界的な規模を確率的な方法によって推定した.(2)Srizbiボットネットから送信されたスパムの流量とそのインパクト,およびMcColo社遮断による効果をインターネットエッジサイトの視点から定量化した.(3)Srizbiの勃興と衰退,そしてMcColo社の遮断前後におけるバージョン遷移など,スパムボットの全体像把握に有用な発見を明らかにした.
著者
野林 大起 中村 豊 池永 全志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.62, pp.7-12, 2006-05-17
被引用文献数
6

インターネットの幅広い普及により,WWW, FTP,遠隔ログインをはじめ,様々なサービスがインターネットを利用して提供されている.このようなサービスの多様化に伴い,ユーザがサービスを利用するために必要なIDとパスワードのペア,もしくは鍵や証明書などの認証に必要な情報は増大しており,ユーザ自身がこれらの情報全てを管理するのは非常に困難になっている.この問題を解決するため,一度の認証によって全てのサービスを利用可能とするシングルサインオン環境の構築が進められている.しかし,これまでに提案されている手法は,サービス提供側でシングルサインオンに対応した認証機構を導入する必要があること等,インターネット上で提供される多様なサービスのSSO化を想定したものではなかった.そこで本稿では,多様なサービスに適応可能な柔軟性と高い安全性を兼ね備えたシングルサインオンシステムを実現する手法としてハードウェアトークンと鍵管理サーバを使用したシステムを提案する.さらに提案方式を実装し,複数のアプリケーションを用いて動作検証を行うことにより,その有効性を確認する.
著者
吉田 薫 江崎 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.351, pp.1-6, 2009-12-11
被引用文献数
4

持続可能社会実現のための省エネ及び環境保護は現在世界中で取組むべき課題であり、次代の人々及び地球のためにまさに我々が克服しなければならない課題である。IT/ICT技術を活用したこれらの課題に対する取組みは通常"Green IT/ICT"と呼ばれているが、現状ではその多くがIT/ICT機器の省エネ、つまり"Green of IT/ICT"に焦点を当てている。本稿で紹介するグリーン東大工学部(GUT)プロジェクトは"Green of IT/ICT"の技術検証も行っているが、よりIT/ICT技術を活用した省エネの実現、つまり"Green by IT/ICT"に注力して活動を行っている。GUTプロジェクトの活動趣旨は省エネのための技術的課題の抽出、及びそれを克服するための技術提案の実施である。本稿では、GUTプロジェクトの1年半に渡る活動成果を報告し、将来に向けた技術の展望について紹介をする。
著者
櫨山 寛章 金海 好彦 三宅 喬 山本 成一 長谷部 克幸 河合 栄治 小林 和真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.208, pp.29-36, 2009-09-18

現在,情報通信研究機構テストベッド推進グループ(SPARC)では,超高速・高機能研究開発テストベッドネットワーク(JGN2plus)の物理ICTインフラストラクチャを構成する資源を仮想化し,仮想ICTインフラストラクチャとして実験利用者に提供するJGN2plus仮想化技術テストベッド(JGN2plus IaaS)の構築を進めている.平成20年度に実施したJGN2plus IaaSのテスト構築及び札幌雪まつりなどでのテスト実験を通し,JGN2までで実施してきた従来型の物理ICTインフラストラクチャスライス(Physical ICT Infrastructure Slice:PIIS)提供とその運用管理に比べ,仮想インフラストラクチャスライス(Virtual ICT Infrastructure Slice:VIIS)提供と運用管理は運用面での負荷が高いことが浮き彫りとなった.そこで,本稿ではJGN2plus IaaSでのVIISの資源割り当ての負荷を下げることに着目し,仮想資源割り当てメタシステムの設計に関し議論を行う.
著者
古村 隆明 藤川 賢治 岡部 寿男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.309, pp.49-53, 2006-10-16
参考文献数
11
被引用文献数
2

みあこネットは,無線基地局の設置者が費用を負担し,そこを訪れる利用者に無料の無線インターネットを利用してもらうという,「おもてなし」の心をもとにした独特のモデルで成り立っている公衆無線インターネットプロジェクトである.我々は2002年5月からみあこネットの設計・開発・実験運用を行ない,安全に無線インターネットを利用するためにVPN接続を必須とするネットワーク環境を構築した.本稿では,従来の集中型VPNサーバを利用する「みあこネット2」方式の問題点を明らかにし,VPNサーバの分散について検討を行なった.そして,基地局にVPNサーバ機能を内蔵するという,「おもてなし」の心でみあこネットを支えている基地局設置者にとっても有益な「みあこネット3」のモデルを提案し,設計を行った.
著者
和田 倫和 松浦 知史 野口 悟 猪俣 敦夫 藤川 和利
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.444, pp.89-94, 2012-02-16

センサデバイスの普及に伴い,広域に存在するセンサデータを共有する分散システムが実現しつつある.センサデータのような定期的に更新されるコンテンツは,突発的な天候の変動(夕立,突風など)により,ユーザの関心が特定のコンテンツに向かうため特定ノードにクエリが集中する可能性が高い.また時間経過によるコンテンツ人気遷移により,複製を配置する事で負荷分散を試みても,複製を配置し終えたときには他コンテンツへクエリ集中が遷移してしまう恐れがある.そこで本研究では,地理情報に基づいた効率的な複製配置手法の提案を行い,エミュレーションによる評価実験を通して,コンテンツ人気遷移に追従する負荷分散が達成できることを示す.
著者
味呑 翔平 倉園 博樹 山本 寛 星 立人 吉武 晃一 山崎 克之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.444, pp.83-88, 2012-02-16

雪国における道路の除雪作業は,車による交通事故防止の観点から重要な意味を持つ.そのため,効率的な除雪を行うためには,どのエリアにどの程度雪が積もっているかを把握し,必要なときだけ除雪車を出動させる必要がある.そこで本稿では,除雪車の効率的な除雪作業を支援することを目的として,超音波測距センサーを用いた積雪・降雪観測システムを提案する.平成22年12月から平成23年3月の期間において実施した積雪計測実験の結果から,センサーによって積雪量の検出が可能であることを示す.また,本システムでは積雪量から一定時間あたりの積雪量の導出も行い,降雪量も除雪車の出動を判断するためのパラメータとして活用可能であることを示す.
著者
飯田 勝吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.309, pp.13-18, 2006-10-16
被引用文献数
3

東京工業大学(以下東工大)では、先進的な研究、教育環境を実現するための情報通信基盤(Information Communication and Technology: ICT) infrasturctureを整備している。その大きな3つの柱は、共通コンピューティング資源としてのスパコン・グリッドTSUBAME、ネットワークアクセス環境としてのキャンパス無線LAN、そして、キャンパス共通認証・認可システムがある。本稿では東工大の情報通信基盤の3つの柱を紹介し、その後キャンパス共通認証・認可システムを紹介する。キャンパス共通認証・認可システムは、キャンパス共通個人情報ディレクトリシステム(LDAPサーバ)、ウェブシングルサインオンシステム等から構成されるもので、東工大の在籍者に特別な手続きを強いることなく、東工大に在籍するだけで利用可能となる情報システムのアカウント(ICカード)を提供する。当該システムの特徴は、利便性、セキュリティ、管理性などを考慮にいれて設計されたことであり、2006年4月から運用を開始した。当該システムの設計理念や各種課題を克服するためのシステム設計等について説明する。
著者
宇井 隆晴 中山 雅哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.530, pp.19-24, 2006-01-12

LIVE! UNIVERSEでは2002年6月より世界各地で観測される金環日食や皆既日食のインターネット中継を行ってきた。2005年4月9日に観測された金環・皆既日食のインターネット中継(LE2005)に引き続き、2005年10月3日に観測された金環日食の中継(LE2005a)においても日本語JPドメイン名Webによるアクセス評価の実験を行った。その結果、4月に引き続き全Webアクセスの約10%が日本語JPドメイン名Webへのアクセスであった。また、前回明らかにできなかったIEユーザにおけるJWordプラグイン導入の割合はi-Navの導入と同程度あり、日本語JPドメイン名URLへのアクセスに大きく寄与していることが明らかとなった。
著者
油谷 曉 垣内 正年 藤川 和利 猪俣 敦夫 香取 啓志 眞鍋 佳嗣 千原 國宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.208, pp.55-58, 2009-09-18

本稿では,2009年7月22日に起こった皆既日食の全天映像を,非圧縮4K超高精細のまま朝日放送からインターネットを用いて奈良先端科学技術大学院大学まで伝送するという,世界最初のライブ中継伝送実験について述べる.この4K映像の中継伝送実験と同時に非圧縮ハイビジョン映像の中継伝送実験も行ったため,映像伝送に使用したネットワーク帯域は8Gbpsにも達した.大学のプライマリネットワークの帯域は10Gbpsであるが,大学の一般トラフィックを犠牲にすることなく,中継伝送実験は無事に成功した.
著者
藤川 賢治 太田 昌孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.260, pp.29-34, 2010-10-21

インターネットの大域経路表の増加を抑えるには、徹底した階層化アドレスと、経路制御に依らないマルチホームが必要である。経路制御に依らないマルチホームは、末端サイトだけで無く、中間レベルのISPやローカルISPが複数の上流からアドレス空間を取得し、それらを活用することで可能である。このようなマルチホームを我々はEnd-to-endマルチホームと呼んでいる。本稿ではEnd-to-endマルチホームを考慮しルータの手動設定を削減した階層的なアドレス割当プロトコルとしてHierarchical Automatic Number Allocation(HANA)プロトコルを設計し実装する。またDNSとの連携についても議論する。
著者
阿部 俊二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ
巻号頁・発行日
vol.110, no.206, 2010-09-14

国立情報学研究所は、日本全国の大学・研究機関等の学術情報基盤である、「学術情報ネットワーク(SINET: Science Information NETwork, サイネット)」の構築・運用を行っている。本講演では、2011年4月から運用開始を予定しているSINET4で提供するサービス並びにネットワーク構成について概説するものである。現在運用を進めている学術情報ネットワークはSINET3と呼称しており、2007年4月から稼動した。SINET3では、一般の研究・教育用のネットワークと高速大容量のデータ転送を必要とする研究プロジェクト用のスーパーSINETと統合すると共に、マルチレイヤでのVPN、QoSやマルチキャストなどの多様なサービスの提供を行っている。SINET4では、これまでの多様なサービスの提供を継承しつつ、以下の点を重点目標として構築・運用を進めていく予定である。(1)ネットワークの経済的高速化、(2)エッジノードの高安定化、(3)加入機関間の通信環境の格差解消、(4)各種学術アプリケーションの支援と展開。
著者
山内 正人 砂原 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.438, pp.97-100, 2010-02-22
参考文献数
18

センサの低価格化や高性能化が進み、様々なセンサの設置が進んできている。また設置されたセンサをネットワークで繋ぐことでセンサ単体では困難なことが可能となった。例えば気象センサネットワークでは高密度な気象データを集めることで、低密度なセンサデータでは困難であったゲリラ豪雨などの高精度な予測が実現可能となる。しかし、センサデータを応用するためには、データの信頼性も重要となる。従来では人手によってセンサデータの信頼性を確保していたが、本稿ではMicro blogを用いることで、自動でセンサデータの信頼性が向上できることの可能性について示した。これにより、今後規模が爆発的に増大するセンサネットワークへも対応が可能となる。
著者
相原 玲二 大塚 玉記 近堂 徹 西村 浩二 前田 香織
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.440, pp.131-138, 2001-11-14
参考文献数
13
被引用文献数
7

広帯域IPv6インターネット上での高品質画像伝送を行うため、マルチキャスト等に対応するMPEG2伝送システムを開発した。高品質画像をリアルタイムに伝送するには、パケットロスや伝送遅延ゆらぎのないネットワークが要求されるが、現実には実現困難であり、前方誤り訂正(FEC)機能等を持つ伝送システムが必要となる。本稿では、開発したFEC機能を持つMPEG2 over IPv6システムについて述べる。また、アフリカ南部で観測された皆既日食のJGN回線などを利用した中継実験について紹介する。この実験では、全国9地点(広島を除く)および広島市内4地点へMPEG2画像をIPマルチキャストにて伝送し、合計700名以上の参加者が2時間にわたりその中継映像を観察した。その際得られた実測データをもとに、誤り訂正機能が極めて効果的に機能したことを示す。