著者
丸山 伸 小塚真啓 中村 素典 岡部 寿男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.6, pp.49-54, 2006-01-20
参考文献数
7

近年,複数のIPアドレスを同時に利用するトランスポート層のプロトコルが注目を集めている.SCTPはこのようなプロトコルの代表的なもので,「TCP同様の信頼性」「TCPに類似したAPI」でありながら,「両端が複数のIPアドレスを利用する」という特散を持つ.しかし,これまでのSocket AIPは「1つのSocketには1つのIPアドレス」が割当てられることを前提としているため,1つのSocketに複数のIPアドレスを割りあてるSCTPとは親和性の悪い部分がある.そこで本論文では,1つのsocketに複数のIPアドレスを割当てるためのPF_BUNDLE(AF_BUNDLE)型を提案し,それに対応するようSocket APIを拡張する手法を提案する.その上で,getaddrinfo(3)のようなライブラリがこれらのPF_BUNDLE型を利用するようにホスト名の表記を拡張することで,SCTPのような複数アドレスを用いるプロトコルも,従来の「プロトコル独立プログラミング」の枠組みで適切に扱えることを示す.Recently transport protocols which handle multiple IP addresses are focused. SCTP is a representative of such Protocol, and has not only features of "TCP like reliability", "TCP like API", but of"Multiple IP addresses on both ends". Since "Socket API" assume that "single IP address for each socket", they are incompatible with SCTP which allocates multiple IP addresses for a single socket. In this paper, we first propose "PF_BUNDLE (AF_BUNDLE)" which are new kinds of address Family and protocol Family, which handle muldple IP addresses within a single socket, and we also propose extentions to "Socket API' to suite for "PF_BUNDLE". Next , we also improve libraries such as getaddrinfo(3) to be capable of handling "PF_BUNDLE", and show that "Protocol Independent Programing" style is still suitable for protocols like SCTP.
著者
高井 範子 藤田 信子 池田 耕二 金子 基史 丸山 伸廣 中原 理 三木 健司 高橋 紀代 仙波 恵美子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.45-58, 2022 (Released:2022-02-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕新たに考案した3週間入院運動プログラムによる介入前後の線維筋痛症(FM)患者の心身の変化を調査し,理学療法士(PT)の適切な対応を明らかにすることである.〔対象と方法〕FM女性患者12名を対象とし,医療や心理学などの専門家による共同チームが考案した3週間入院運動プログラムによる介入を行い,その前後において質問票(日本語版線維筋痛症質問票(JFIQ),日本版ベック抑うつ質問票(BDI-Ⅱ),The 8-item Short-Form Health Survey (SF-8))による評価と心理面談による聴き取りを行った.〔結果〕本プログラムによりFM患者のJFIQでは11名,BDI-Ⅱでは10名,SF-8では9名(身体面),8名(精神面)が改善を示した.患者の語りからは,患者の痛みや辛さに寄り添う姿勢など,PTの対応が患者にとり重要であることが示唆された.〔結語〕本プログラムはFM患者の心身に変化を及ぼす効果があり,その遂行において患者の痛みや辛さに寄り添うPTの姿勢が重要である.
著者
漣 一平 山井 成良 岡山 聖彦 宮下 卓也 丸山 伸 中村 素典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.39, pp.79-84, 2005-05-05

電子メールにおいて大きな問題となっているspamメールへの対策方法として, spamフィルタがよく用いられている. この方法で用いられる代表的な技法のうち, 分散協調型フィルタは誤検出率が低いという利点を持つ反面, 検出率も低いという欠点がある. 本稿ではこの欠点を改善するため, 宛先不明メールを潜在的なspamメールとみなし, 分散協調型spamフィルタのspamメール認識率を向上させる方式を提案する. これにより, 従来の分散協調型spamフィルタでの利用者によるspamメール登録のみの場合に比べて, 認識率の向上が見込める. また, メールゲートウェイにおける提案方式の実装を行い, 提案方式の利用により分散協調型spamフィルタの認識率向上が期待できることを示す.
著者
漣 一平 山井 成良 岡山 聖彦 宮下 卓也 丸山 伸 中村 素典
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.39, pp.79-84, 2005-05-13

電子メールにおいて大きな問題となっているspamメールへの対策方法として、spamフィルタがよく用いられている。この方法で用いられる代表的な技法のうち、分散協調型フィルタは誤検出率が低いという利点を持つ反面、検出率も低いという欠点がある。本稿ではこの欠点を改善するため、宛先不明メールを潜在的なspamメールとみなし、分散協調型spamフィルタのspamメール認識率を向上させる方式を提案する。これにより、従来の分散協調型spamフィルタでの利用者によるspamメール登録のみの場合に比べて、認識率の向上が見込める。また、メールゲートウェイにおける提案方式の実装を行い、提案方式の利用により分散協調型spamフィルタの認識率向上が期待できることを示す。Spam filters are commonly used for a kind of protection measures of spam mail,which is one of the most serious problems on e-mail environment. As a kind of filtering methods,distributed collaborative filter is remarkable since its false positive rate is very small. However,this method has a significant drawback that its accuracy is considerably low. In this paper,in order to improve the accuracy of distributed collaborative filters,we propose a new method using mails sent to non-existent addresses that may potentially be spam mails. We have also implemented the proposed method on a mail gateway,and shown that the accuracy may be improved.
著者
波多野 純 小澤 弘 加藤 貴 丸山 伸彦
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究年報 (ISSN:09161864)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.191-200, 1996 (Released:2018-05-01)

本研究は,江戸の多様な住空間と都市空間を,屏風絵など当時の絵画資料から読み解くことを目的とする。絵画を歴史の資料として用いる際の分析方法は確立しておらず,絵画を当時の情景の直写と誤認している研究も少なくないのが現状である。絵画は,あくまでも絵師の創作物であり,絵師や注文主の意図-時代の意志-を読み解くことによって,はじめて生きた歴史資料となる。本研究の中心資料である歴博本『江戸図屏風』(国立歴史民俗博物館蔵)は,三代将軍徳川家光の事績顕彰を目的とし,明暦大火以前の江戸と近郊が描かれた。そこには,支配者側からみた江戸の都市構造-封建的身分秩序の空間的表現-が反映されている。しかし,制作年代は,不明である。後年の制作とすれば,制作年代における絵師や注文主の意図,つまり家光の事績や時代を,あらまほしき江戸の姿として捉えたい注文主は誰で時代はいつかが,次の課題となる。いっぼう,歴博本において,地図的な都市構造と具体的な景観は,段階を追って画面に定着された。まず,寛永江戸図をもとに,江戸の支配構造を空間的に理解し,画面に割り付ける。つぎに,地域ごとに地図概念を導入し,縮尺(武家地1/1000,町人地1/1000~1/1500)を定めて道や屋敷地割りを行なう。さらに,表現したい建築や印象的な景観を,縮尺(1/300)を変え,誇張して表現する。この場合,水平方向と垂直方向で縮尺を変え,高さを誇張(3階櫓の高さは1/100)して表現することも多い。絵画表現における誇張,なかでも縮尺の自在な変換を,コンピューター・グラフィックスを用いて整理し,統一した縮尺の立面図とすると,現実の景観と心象風景の差が明確になる。大名屋敏の表門や御成門は,長大な練塀のごく1部に過ぎないが,絵師の表現対象としてははるかに大きく,道行く人にとっても強く印象に残った。それを縮尺を変換して表現した。町人地の3階櫓では,さらに高さを誇張して,整備された武都のイメージを強調した。この心象風景こそ,徳川が目指した江戸の姿であった。
著者
丸山 伸 大平 健司 佐野 雅彦 谷岡 広樹 松浦 健二 上田 哲史
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2017-IOT-39, no.14, pp.1-6, 2017-09-22

端末教室における環境統一にはネットブート技術が適している.このネットブート技術を利用すると端末の一斉起動や一斉操作でサーバーやネットワークに負荷集中が生じるが,端末側にディスクイメージの複製を持つことで負荷集中を回避できる.しかしながら,各端末にディスクイメージの複製を持つように設計すると,ディスクイメージを更新した際に各端末が持つ複製が同期されるまでは負荷集中が生じがちとなり端末の高速性が失われることが課題となっていた.そこで本研究では,端末の高速化に必要最小限の領域のみを複製することでディスクイメージ更新後における端末側への同期処理を最小化し,ネットブートによる環境統一と端末の高速性を常に両立する手法を提案する.また,徳島大学の端末教室において提案手法の評価をおこない,本提案が有効であることを確認した.
著者
丸山 伸 小塚 真啓 中村 素典 岡部 寿男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.173, pp.31-36, 2006-07-13
被引用文献数
1

複数のアドレスを同時に利用して通信を行うSCTPによる接続に対して、動的にIPアドレスの増減を行うための拡張であるmSCTPは、トランスポート層におけるモビリティ実現技術として知られている。しかしmSCTPは仕様上の制約によりアドレス増減の通知を連続して行うことが出来ないため、ハンドオーバにおいて本来は不必要なはずの長い時間が必要となったり、相互に通信可能なアドレスを取得したにもかかわらず接続を維持できない場合が発生したりする。本研究においては、アドレス増減の通知の再送を複数個まとめて送信できるようにmSCTPを拡張する手法を示し、この変更により複数のアドレスが連続して増減した際においても、通信できるアドレス対が存在する限り実用的な時間内で確実にハンドオーバできるようになることを示す。
著者
丸山 伸 小塚真啓 中村 素典 岡部 寿男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.80, pp.31-36, 2006-07-20

複数のアドレスを同時に利用して通信を行うSCTPによる接続に対して、動的にIPアドレスの増減を行うための拡張であるmSCTPは、トランスポート層におけるモビリティ実現技術として知られている。しかしmSCTPは仕様上の制約によりアドレス増減の通知を連続して行うことが出来ないため、ハンドオーバにおいて本来は不必要なはずの長い時間が必要となったり、相互に通信可能なアドレスを取得したにもかかわらず接続を維持できない場合が発生したりする。本研究においては、アドレス増減の通知の再送を複数個まとめて送信できるようにmSCTPを拡張する手法を示し、この変更により複数のアドレスが連続して増減した際においても、通信できるアドレス対が存在する限り実用的な時間内で確実にハンドオーバできるようになることを示す。SCTP is a transport protocol which handles multiple IP addresses for each end, and mSCTP ,which is an extention of SCTP, supports the dynamic modification of IP addresses of SCTP association after it is established. mSCTP is an realization technology of transport layer IP mobility. When the IP addresses changes one by one with a certain interval, the handover of mSCTP is carried out within a practical time. When multiple addresses are deleted and added continuously, there is a case that an unnecessary delay is caused becaused of the feature of mSCTP definition. We show in this research that when the IP addresses are modified continuously, as long as there is an address pair which can communicate exists, an extention of mSCTP to bundle multiple retransmission of packets which carry the information of IP addresses change together enables to handover within a practical time.
著者
丸山 伸 中村 素典 岡部 寿男 山井 成良 岡山 聖彦 宮下 卓也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1021-1030, 2006-04-15
被引用文献数
5

電子メールが広く利用されるようになるにつれて,メールを遅延なく即時に配送することが求められている.しかし,メール配送エージェント(MTA)に大量のメールが送りつけられて負荷がかかったときには,メールの配送に遅延が生じるだけでなく,MTA の運用の継続すら困難な事態となってしまう.このような高負荷時においても特定のメールを優先的に配送する技術が求められている.本論文では,メールが配送される直前に行われるネームサーバ(DNS)に対する問合せに着目し,DNS問合せのソースアドレスに基づいて信頼できる発信者からのメールを他のメールから分離し,遅延なく優先して配送する手法を提案する.まずDNS の問合せに対してその応答として毎回異なる回答を送り,回答したサーバにメールが送られてくるのを待つ手順を繰り返すことで,DNS 問合せ元のIPアドレスとメールの発信者との対応表を作成する.次に優先して配送するべきメールの基準に基づき,優先して配送するべきDNS 問合せ元の一覧「White DNS Server List」を抽出する.この表に基づいてメールの配送先を振り分けることで,大量のメールが配送されてくる際にも信頼できる発信者からのメールを他のメールとは独立したサーバで取り扱うことができ,遅延を引き起こすことなく配送できる.そのためのシステム構築方法を示すとともに,実験により有効性を確認した.Delivering e-mails without unnecessary delay is one of the very important issues as the spread of e-mail service and its use become very common. But in case that a "Mail Transfer Agent (MTA)" is heavily loaded by huge amount of mails sent to the MTA, not only the delay on mail delivery is inevitable but also managing the MTA service becomes difficult. Thus, a delivery method that treats legitimate mails with priority is requested. In this paper, we focus on the query to the "Domain Name Service (DNS)" which is usually processed just before the mail transfer, and propose a new delivery method which separates legitimate mails from others according to the source IP address of the DNS query. That is, employing a crafted DNS server which responds to each DNS query with separate IP address, and wait for incoming mails at each address, we get a correspondence table between a DNS query and the incoming mail. And we also show that we can lead legitimate mails to the separated mail servers by dynamically changing the DNS response based on this table, and deliver them with short delay even in the case that others servers are loaded by many other mails.