著者
西島 幹博 山口 孝之 森 晃徳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.115-120, 2008-03-05
被引用文献数
1

注視点移動の基本的特性に関する従来の心理物理的実験を調べ、現象論的法則群の相違点、実験手法・条件の相違点などを明らかにした。相違点は、実験条件にあるとし、適切と思われる新しい実験条件を設定して心理物理学的現象の確定を試みた。次に、サッカードに関する神経生理学的研究を調べ、サッカード決定の概略的仮説の設定を試みた。最後に、高次過程の例として漢字の崩壊現象と注視点移動の関係に関する仮説設定と漢字の崩壊現象を用いた検証実験を試みた。
著者
千歳 雄大 小川 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.130, pp.1-6, 2008-07-08

周囲刺激と色や形などの基本的な特徴次元で異なる刺激は目立ち(visual saliency、視覚的顕在性)、我々の注意を自動的に惹きつける。視覚情報は各特徴次元ごとに用意された二次元脳内地図(feature map)で処理され、それらの信号が統合されることによって特徴次元に依らない視覚的顕在性の地図表現(saliency map)が形成されると考えられている。この統合過程における計算様式を明らかにするため、色次元のみ、形次元のみ、もしくは色・形次元の両方で目標刺激が妨害刺激と異なる視覚探索課題をヒト被験者に行わせ、特徴次元の組合せによって目標刺激の視覚的顕在性がどのように変化するのかを調べた。視覚的顕在性の強さは、目標刺激へのサッカード眼球運動が開始されるまでの潜時を指標として評価した。その結果、色次元のみで異なる目標刺激と形次元のみで異なる目標刺激への潜時が同程度のときは、潜時の絶対的な大きさにかかわらず、2つの次元を組合せることによってサッカード潜時が短縮した。しかしながら、組合せ前の潜時が色と形次元で大きく異なっているときはそのような短縮効果が生じなかった。この結果は、複数のfeature mapからの情報がsaliency mapで統合される従来の注意モデルに、feature map間の相互抑制回路による競合過程を新たに付加すると上手く説明することができた。
著者
斉藤 和巳 中野 良平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.490, pp.13-18, 2003-12-01

本報告では,統計モデルとして定式化した2種類のニューラルネットを用いて,文書が属すると思われるトピックの推定とトピックを特徴づける単語群の抽出法を論じる.これら推定と抽出法の特徴は,事後確率の最大化によるトピック抽出に着目した目的関数を採用して学習し,その結果として得られたパラメータの大きさに基づいて特徴語を抽出することである.Web上のテキストヘの適用事例を通して,トピック抽出性能と特徴語抽出能力を評価する.
著者
大武 美保子 新井 航平 前田 貴記 加藤 元一郎 高木 利久 淺間 一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.590, pp.41-44, 2007-03-09

意志作用感(sense of agency)とは,ある動作や思考などを,他人ではなく自分の意志によって為しているという感覚をさす.統合失調症患者は,この意志作用感が障害される。ある時は,自分の動作や思考が他者の意図によるものと感じ,また逆に,自分が制御していない事柄を自分が引き起こしたと感じることがある.本稿では,意志作用感の障害を説明する認知モデルを構築し,シミュレーションを行うことにより検討を行う.
著者
斉藤 和己 石川 眞澄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.465, pp.13-18, 2003-11-14
被引用文献数
1

本稿では,単語頻度ベクトルで表現される文章と,自己組織化するニューロン参照ベクトル間の距離として,通常のユークリッド自乗誤差,多項分布に基づく対数ゆう度,およびコサイン類似度のそれぞれを用いる自己組織化マップ(SOM)について考える.これら距離定義を用いたSOMを統計モデルの観点で定式化するとともに,それらの学習アルゴリズムを導出する.3種のベンヂマーク文書データを用いた評価実験では,定式化した各SOMモデルにおける分類性能や自己組織化マップを比較する.
著者
渡邊 栄治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.544, pp.31-35, 2006-01-17
被引用文献数
4

本報告では, 計算機にログインする際のパスワード入力動作から抽出したキーストロークダイナミクス(keystroke dynamics)に基づいて, 個人認証を行うための手法について検討する.キーストロークダイナミクスによる認証方法では, キーボードのみを入力装置として利用できる長所を持つものの, 行動的な特徴を利用するために, 同一人物であっても試行ごとに揺らぎが存在する.したがって, このような行動的な特徴から個人ごとの適切な特徴を抽出することが, 認証手法の精度を改善するために重要である.本報告では, キーストロークダイナミクスの統計量に基づいた認証手法およびキーストロークダイナミクスに基づいた階層型ニューラルネットワークによる認証手法について検討し, 実験結果から両手法を定量的に比較検討する.
著者
和久屋 寛 Zurada Jacek M.
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.684, pp.109-116, 2000-03-13
被引用文献数
3

これまでの時系列予測に関する研究は、その大部分が神経回路モデルの構造や学習アルゴリズムに注目したものである。これらは、主として"一方向型"計算様式あるいはそれを改良したものが中心であるが、本稿では、これらとは異なる視点から未来-過去情報の統合作用を利用する"双方向型"計算様式を提案し、実際の課題への適用を試みる。ここで提案する双方向型モデルでは、未来予測系と過去予測系の結合効果によって時系列予測の精度向上が期待でき、従来の一方向型モデルよりも良好な予測結果が得られると考えられる。標準的なベンチマークテストとしてよく用いられる太陽黒点数の予測課題に応用したところ、実際に提案手法が有効であることを確認できた。
著者
石井 信 佐藤 雅昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.616, pp.31-38, 2002-01-22
被引用文献数
2

関数近似器である正規化ガウス関数ネットワークは混合指数分布族として定式化される。よって、最尤推定法におけるEMアルゴリズムの自然な拡張である変分法的ベイズ学習法が導入される。本研究では、変分法的ベイズ学習法に階層的事前分布と確信度を導入した。また階層的モデル選択法を導入した。簡単な2次元の関数近似問題とカオス力学系の再構成問題に適用して良い結果が得られた。
著者
柏手 章宏 石田 文彦 島井 博行 和田 克己 阪口 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.659, pp.67-72, 2006-03-10
被引用文献数
3

ヒトがタスク条件に応じて関節スティフネスを調節していることを検証するため,質量の異なる4種の球を掌で打撃する際の筋活動を計測した.その結果,球の質量の増加に応じて手首関節に関わる筋の同時活性度が高まることがわかった.次に,関節スティフネスが球の初速度に与える影響を調べるために,手首関節のトルク生成源を弾性要素を持たないトルク生成要素とした条件と受動的な弾性要素とした条件を設定して数値実験を行なった.その結果,初速度の最大値は前者の方が大きいものの,運動軌道のばらつきによって生じる初速度の変動は後者の方が小さく,また,球の質量が大きいほど後者の方が平均的パフォーマンスが高くなることが明らかになった.以上の結果は,ヒトが平均的な運動パフォーマンスが向上するように関節スティフネスを調節している可能性を示唆する.
著者
山田 武士 斎藤 和己 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.729, pp.143-148, 2003-03-10
被引用文献数
2

ネットワークで表現されたデータを低次元ユークリッド空間へ埋め込む新たな方法を提案する.本手法では,望ましい配置と現在の配置との間のクロスエントロピーを最小にすることによって最適な配置を求める.あわせて,ノードの接続関係が埋め込みによって如何に忠実に再現されているかを定量的に評価する新たな評価尺度を提案する.実際のネットワークデータを用いた実験によって,本手法の有効性を検証した.
著者
長島 久幸 茂木 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.627, pp.13-18, 2003-01-27

日常生活において、我々は日々多様な運動を連続的に行っている。その運動を微視的に観察すると、人の意思に反して、その運動を躊躇したり、その軌道を他の物の方向に変えてしまったりするなどの、無意識的な運動が起こることがある。このような現象をmicroslipsとよぶ。このmicroslips発生前後の手の軌道や形をデータグローブを用いて定量的に解析した結果、microslipsの発生は軌道のデルタ関数的な曲率変化によって特徴づけられ、その前後は通常の運動と区別できないということが判った。 また、それまでの運動が修正されてはじめて今までなされた運動がmicroslipsであると知覚されることもわかった。