著者
庄野 逸 福島 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.93, no.537, pp.57-64, 1994-03-25

手書き英文筆記体連結文字列認識を行うシステムの一つとして選択的注意機構を用いたシステムが今川らによって提唱された.本研究では今川らの認識システムを拡張し,更に高い認識能力をもつシステムを作成することを試みた.ところで,パタ-ン認識システム"ネオコグニトロン"において,エッジ抽出回路と折れ点検出回路を導入すると認識能力の向上が認められることが報告されている."選択的注意のモデル"の一部分は,パタ-ン認識システム"ネオコグニトロン"に類似しているので,我々は今川らのシステムにエッジ抽出回路と折れ点処理回路を導入したシステムを作成した.さらに本システムに対して種々のテストパタ-ンを与え,コンピュ-タシミュレ-ションを行い,筆記体連結文字列の認識に対して有効であることを確認した.
著者
渡部 修 福島 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.95, no.598, pp.235-242, 1996-03-18

視覚系によって外界の構造を推定するときには, オクルージョンという問題が存在する. 両眼視では, オクルージョンによって, 一方の眼からは見えている領域が, もう一方の眼からは遮蔽によって見えなくなるという状況が起こりうる. このような両眼非対応領域上の点は, 偽対応しか生成しない. 心理物理学的知見からは, オクルージョンの処理は初期視覚の段階で行われていることが示唆されている. 本稿では, オクルージョンの存在を考慮した, 視差推定アルゴリズムを提案する. 本稿で提案するアルゴリズムは, 対応点問題を解く最も基本的なアルゴリズムである, Marr-Poggioの第1アルゴリズムを拡張したものである. このアルゴリズムは, オクルージョンが生じる幾何学的性質を考慮し, 両眼非対応領域のような対応が与えられない領域の視差推定も行うことができる.
著者
横田 正恵 横田 康成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.501, pp.81-86, 2007-01-19

Filling-inが発生することにより,視覚系では効率的な情報獲得・処理が実現されていると考えられる.その発生機構を解明するために,これまでに視野周辺部で発生するfilling-inを対象に,呈示する動画像に対するfilling-inの発生特性が調べられている.こうした実験では,filling-inの起こりやすさの尺度として,filling-inが起こるまでの時間(filling-in時間)が採用されている.これまでの著者らの研究から,filling-in時間は被験者の固視の状態に影響を受けることが示唆されている.しかし,これまでに眼球運動をモニタリングしながらfilling-in時間を計測した例はなく,眼球運動とfilling-inの起こりやすさとの関連は,明らかになっていない.本研究では,被験者の固視を容易に保つ環状filling-in対象を用い,時空間周波数が異なる複数の動的テキスチャに対しfilling-in時間を記録した.このとき,EOG法により,同時に被験者の眼球運動を記録した,Filling-in時間と眼球運動の関係を解析したところ,視線変位とfilling-in時間との間に弱い相関が認められた.
著者
大山 賀己 竹之内 高志 石井 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.337-342, 2008-03-05

近年,ECOCの枠組に基づき,多値判別問題を複数の二値判別問題に分解することによる多値判別手法が考案されている.確率モデルに基づく復号法が提案され,有効に働くことが報告されている.これらの手法においては,前もって与えられた符号表と呼ばれる行列を用いて二値判別問題への分解が行われるが,符号表をどのように設計するかは未解決問題であり,そのため用いる符号表の大きさに起因する計算コストを削減することが重要な課題となっている.本研究では,上記の問題を解決するために符号表の一部を階層的に用いる新たな多値判別手法を提案し,また提案手法を複数回行った結果を上手く混合して最終的な復号を行うアンサンブル手法も提案する.提案手法を人工データやUCIデータセットを含む様々な多値判別問題に適用した数値実験を通じて,提案手法がハミング復号や多クラスSVMのような他の多値判別手法に対して優越または匹敵する性能を有し,またクラス数の大きな多値判別問題に対して高速な計算時間を実現していることを示す.
著者
廣瀬 哲也 Schmid Alexandre 浅井 哲也 Leblebici Yusuf 雨宮 好仁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.419, pp.53-58, 2005-11-12

減衰シナプスを用いることで、ノイズ環境下でも高い精度で同期する神経ネットワークモデルが提案されている[4]。本稿では、これまで著者らが開発を行っていたシリコンニューロン回路[5]とアナログ減衰シナプス[6]を用いてリカレントネットワークを構成し、ニューロン回路間の同期精度について数値的に調べた。減衰シナプス回路を用いた場合、通常のシナプス回路を用いた場合と比べて、同期精度が大幅に向上することが分かった。また、外界のノイズに対してロバストな高精度同期ネットワークを構成するために、シンプルなアナログSTDP回路を新たに開発した。シミュレーションにより、提案回路が正しく動作することを確認した。
著者
麻生 英樹 小野 智弘 本村 陽一 黒川 茂莉 櫻井 彰人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.279, pp.55-59, 2006-10-04
被引用文献数
4

ネットワーク上に存在する、誰もが簡単にアクセス可能な電子化された情報の量が爆発的に増加するにつれ、それらの情報の中から、ユーザが必要とするものを必要なときに適切に提供するための技術である情報検索および推薦の必要性が非常に高まっている。適切な推薦を行うためには、システムがユーザの嗜好やニーズを適切にモデル化する必要がある。そのための技術として、多くのユーザの過去の履歴の関連性を利用する協調フィルタリングと、対象となるコンテンツの属性とユーザの評価の関連性を利用するコンテンツベースフィルタリング、ユーザの属性とユーザの評価の関連性を利用するデモグラフィックフィルタリング、などが提案されているが、いずれも、推薦に利用できる情報の一部しか用いていないという問題点がある。本報告では、この問題点について検討し、既存の研究を整理しながら紹介するとともに、推薦に利用できる各種の情報を統合的に用いる新たな推薦方式を提案する。
著者
萩原 直洋 塚田 稔 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.96, no.584, pp.183-188, 1997-03-18

実際の生理実験結果によれば、海馬神経回路の可塑性は時空間パターンに依存しニューロン間結合荷重が変化する事が知られている。海馬は外界の時間的・空間的情報を一つの文脈として一時的に保持する短期記憶の場所と言われている。ニューロン間の結合の重み(荷重)を変える事(学習則)によって、その情報は神経回路の荷重空間に一時的に貯えられる。本研究では、海馬の短期記憶のモデルとして単純な一層全結合のニューラルネットを用いた。入力は順序の組合わせの異なる時空間系列パターンとし、学習則に関しては、海馬CA1回路の長期増強(LTP)のデータに基づき、事象の生起の一致性と時間的履歴現象を考慮して提案された塚田らの時空間学習則とHebb則およびHebb則の時間への拡張則とする。これらの学習則による出力パターン分離機能をハミング距離を比較する事によって評価した。この結果、塚田らの時空間学習則は最も優れている事が明らかとなった。
著者
三浦 健一郎 坂戸 勇介 河野 憲二 小川 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.96, pp.61-66, 2011-06-16
参考文献数
11

日常の視覚環境において、興味を惹く対象物が視野の中で動いている場合には、その対象物を見るために2種類の眼球運動が起こる。一つは対象物に視線を向ける高速で一過性の眼球運動であり、サッケードと呼ばれる。この眼球運動は対象物の像を網膜中心窩に捉えるように働く。もう一つは、対象物の像を網膜中心窩に保持し続けるように働く、ゆっくりとした滑らかな眼球運動であり、追跡眼球運動と呼ばれる。これら二つの眼球運動は、通常一つの対象物に向かって起こるが、その協調動作を実現する神経機構はまだ良くわかっていない。本研究では、この二つの眼球運動の基盤となる視標選択が、同一の神経機構に支配されているか否かを調べるために、動く6つの刺激を用いた、視標選択の難易度が異なる二つの視標探索課題(ボトムアップ的手掛かりが利用できるか否か)を行っている時のヒトの眼球運動を調べた。その結果、追跡眼球運動系にはサッケードの実行とは無関係に働く視標選択の機構があること、サッケード系の視標選択と追跡眼球運動系の視標選択におけるボトムアップ的手掛かりの重要性が異なること、サッケード系と追跡眼球運動系で異なる視標を選択する可能性があることを示唆する所見を得た。これらの結果は、サッケードと追跡眼球運動の視標選択が完全に同一の神経機構に支配されているのではないことを示唆する。
著者
川畑 宣之 徳永 憲洋 古川 徹生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.413, pp.141-146, 2008-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
2

本発表では自己進化型モジュラーネットワーク(SElf-Evolving Modular network: SEEM)を提案する.SEEMは進化型のモジュラーネットワークであり,入力データに対応できる能力を持ったモジュールが存在しない場合にモジュールを増加させる機能,およびモジュール間の関連性を入力データから動的に獲得する機能をもつ.さらにSEEMは外部から時々刻々と入力される情報の分節化および分節化された情報の関連づけをオンラインで行う特徴も持つ.これによりSEEMは,自律行動型ロボットが環境との相互作用により機能を進化させるような課題,大規模情報の分類問題などに応用できると期待される.本稿はSEEMのアーキテクチャ,アルゴリズム及び3次元オブジェクト画像のオンラインクラスタリングへの応用について報告する.
著者
吉田 英司 三田 誠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.157, pp.29-34, 2007-07-17
参考文献数
8

本論文では四元数ニューラルネットワークと実数ニューラルネットワークの性能比較について扱う.主に数字認識と顔認識実験についての比較をする.その際に四元数ニューラルネットワークには実数ニューラルネットワークに見られない興味深い性質が現れたのでその説明を行う.
著者
土井 泰次郎 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.457, pp.1-6, 2005-12-09
参考文献数
13

知覚に相関した神経活動を探るために, 強制2択課題を用いて弁別閾値付近でのサルの知覚判断のゆらぎとニューロン活動のゆらぎとの相関を調べる研究が多くなされている.しかし閾値付近では自覚的な知覚がなくとも弁別の成績が良いことがあるので, より直接的に知覚に相関した神経活動を求めるにはサルに検出課題をさせる必要がある.そこで本研究ではサルに図形検出課題を訓練し, この課題を遂行中のサルの下側頭皮質からニューロン活動を記録した.サルの刺激検出の成否とニューロン活動のトライアル間変動の相関を信号検出理論にもとづいて評価したところ, 下側頭皮質のニューロン活動のゆらぎは刺激の検出の成否と有意に相関していた.この結果は, 下側頭皮質の神経活動が「刺激の形が見えている」というアウェアネスに関わっていることを示唆している.
著者
田中 慎吾 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.79-84, 2008-03-05
参考文献数
9

観察者から物体までの距離が変化するとその物体の網膜投影像の大きさが変化するにも関わらず、ヒトはその物体の大きさをほぼ一定であると知覚することができる。これは大きさ恒常性と呼ばれる知覚現象であり、脳は網膜投影像の大きさと物体までの距離を用いて、物体の大きさを計算していると考えられている。本研究では距離情報として両眼視差に注目し、サルV4野における両眼視差表現と大きさ表現の関係を調べた。単一細胞活動を記録した結果、約半数の細胞で両眼視差選択性と大きさ選択性の間に相互作用がみられた。この相互作用は、ヒトを被験者として行った心理物理学実験の結果と一致していた。これらの結果は、大きさ恒常性に対するV4野の寄与を示唆する。
著者
池添 貢司 森 理也 喜多村 和郎 田村 弘 藤田 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.108, pp.59-64, 2012-06-21
参考文献数
11

一次視覚野(V1)の神経細胞は方位選択性を持ち、方位選択性の強さは細胞によって異なる。方位選択性細胞はその最適方位に従って皮質内で規則的に配列している。本研究では、サルV1で2/3層細胞の選択性の強さが細胞周辺の方位マップの構造、特に局所領域内の細胞が持つ最適方位の多様性と関係するかを検討した。本研究では、鎮痛不動化したサルにおいて方位刺激に対する個々の細胞の応答を2光子カルシウムイメージングで計測した。互いに似た最適方位を持つ細胞が集まる領域では様々な方位選択性をもつ細胞が集まっていたが、互いに異なる最適方位を持つ細胞が集まる領域では方位選択性の弱い細胞が集まっていた。この結果から、サルV1細胞の方位選択性は細胞周辺の方位マップと関係することが示唆される。
著者
森田 昌彦 村田 和彦 諸上 茂光 末光 厚夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.733, pp.103-108, 2004-03-11
参考文献数
2

伝統的な多層パーセプトロンは,入出力関係が文脈に強く依存する場合や2つの独立な入力情報を統合する必要がある場合,学習・汎化能力が著しく低下する.別の言い方をすれば,2変数の関数の近似能力は極めて乏しく,学習サンプルとほぼ同数の中間層素子が必要である上に,サンプル数をいくら増やしても汎化誤差はほとんと減らない.このことを数値実験で示すと共に,その本質的原因を論じる.また,このような多層パーセプトロンの限界が,入力素子の選択的不感化という簡単な手法によって乗り越えられることを示す.
著者
片山 冬馬 夏目 季代久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.227, pp.79-84, 2012-09-27
参考文献数
12

「飽き」はヒトが感じる情動で有り脳で処理されていると考えられる.「飽き」は学習効率低下の要因かもしれないが,もし科学的に素早く「飽き」を検出できれば,学習者に休憩を取るように助言したり,学習教材を変更する事で効率を下げずに学習できるようになると考えられる.そこで被験者に英語リズム学習を繰り返し行なってもらい,脳波(EEG)で「飽き」を検出出来るかどうか実験を行った.その結果,被験者が「飽き」を自覚する前に,前頭と後頭,頭頂と後頭のコヒーレンス値,及び頭表面の多くの場所でのα波,β波,γ波パワーが低下した.従って,コヒーレンス値減少及びパワー値減少が「飽き」と関連する脳の反応と考えられる.
著者
内田 肇 宮脇 陽一 山下 宙人 佐藤 雅昭 田邊 宏樹 定藤 規弘 神谷 之康
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.588, pp.79-84, 2007-03-07
参考文献数
13

近年,機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)と機械学習アルゴリズムを用いることで,視覚刺激の傾きや動き方向などヒト視知覚の一部を復号化できることが示されている.本研究では,ヒト視知覚の復号化を目的とし,被験者に提示した任意の画像をfMRI信号から再構成する.まず,fMRI信号から提示画像の局所平均コントラストを推定する局所画像復号器を解像度ごとに学習させた.次にそれら局所画像復号器の統合を,1)ピクセル基底表現,2)多重解像度基底表現, 3)fMRI信号の生成モデルに基づいたベイズ推定,の3種類で行った.その結果,任意の画像を高い精度で再構成できることがわかった.本手法を用いることで視覚野の詳細な情報表現・情報処理過程の解明が期待される.
著者
上坂 吉則 新堀 恭裕 渡辺 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.93, no.537, pp.245-252, 1994-03-25

遺伝的アルゴリズムによって生成される集団の列が有限マルコフ連鎖を成すことを指摘し,比較的緩い条件のもとで,したがって広範囲の遺伝的アルゴリズムを含む形で,それが唯一つの極限分布を持つことを示す.また,ごく簡単な例についてその極限分布を数値計算によって与え,その結果から,最適解を得る確率を高めるための淘汰・交叉・突然変異の仕方に関していくつかの示唆を与える.
著者
張 誠 木村 陽介 東 広志 田中 聡久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.315, pp.41-46, 2011-11-17
参考文献数
28

ブレイン・コンピューターインタフェース(BCI)は,脳から有効な信号を何らかの方法で取り出し,それによってロボットなどの機械やコンピュータを制御する装置およびその技術のことである.この論文では,インターネットを通じて移動ロボットを制御できる定常的視覚誘発電位(SSVEP) BCIを提案する.フィードバックであるロボットからの映像とBCIコマンドはAndroidスマートフォンを介して脳波測定・解析サーバとロボット間で転送される.このシステムを用いて実際にオンライン実験を行い,BCIによる移動ロボット制御が可能であることを示す.
著者
高橋 英之 速水 則行 内山 祐司 石川 悟 大森 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.177-182, 2009-03-04
被引用文献数
2

自動車運転において,人間は様々な危険を知覚しながら運転行動を行う.運転中の危険知覚は,運転場面に存在する不確実性だがありうる危険の知覚と,確実に生じる危険の知覚,という二つの脳過程が関わっていると考えられる.今回の研究ではこれらの脳過程に関わる脳部位特定の為に,自動車運転場面のシミュレータにおいて被験者が感じる衝突に対する不確実性を被験者の衝突判断から定量化し,不確実性が大きい場面における衝突判断時の脳活動と,確実に危険が生じると判断可能な場面における脳活動をそれぞれfMRIにより計測することを試みた.その結果,不確実性が大きい場面における衝突判断には前頭葉内側部が関わっていることが示唆された.また統計的には弱い結果であるが,確実に危険が生じると判断可能な場面においては島皮質に賦活傾向がみられる.この結果は,先行して行われてきた神経経済学の研究の知見と矛盾しないものであり,今後,自動車運転のような複雑な認知タスクの理解においても神経経済学的知見を応用することが可能であるという示唆を得た.
著者
高橋 大樹 伊藤 秀昭 澤 繁美 中村 清彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.658, pp.25-30, 2006-03-16
参考文献数
7

機械学習の一つである強化学習は条件付けのモデルとして提案された計算モデルである。中脳のドーパミン細胞活動が強化学習における時間差分予測誤差を表現しているという報告がされている。また、近年、確率的に報酬が与えられる場合、不確実さを表すドーパミン細胞活動が示された。本研究の目的はこの不確実さの活動を計算モデルを用いて再現する事である。大脳基底核の計算モデルとして強化学習を仮定し、正の時間差分予測誤差より負の時間差分予測誤差を重視して学習を行う事で不確実さを表す活動を再現する事ができることを示す。また、このモデルが人間の行動特性であるプロスペクト理論の一部をも再現できる事を示す。