著者
小林 光 田中 章浩 岸田 悟 渡部 徹 長谷川 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.421-426, 2008-03-05
参考文献数
9

本研究では,バックプロパゲーション法による3層階層型ニューラルネットワークを用いて指紋と声紋によるハイブリッド認証システムを構築した.指紋認証では2次元高速フーリエ変換と逆フーリエ変換によって前処理を行い,ニューラルネットワークへの入力データとした.声紋認証では高速フーリエ変換によって前処理を行い,ニューラルネットワークへの入力データとした.それぞれ各認証を行い,中間層・出力層ユニット数がニューラルネットワークの性能の及ぼす効果を明らかにした.さらに,可変の重み付きAND結合を用いた指紋と声紋によるハイブリッド認証システムを構築し,性能を調査した.これらの結果より, 3層階層型ニューラルネットワークが個人認証システムに有効であることを示した.
著者
生田 智敬 上手 洋子 西尾 芳文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.388, pp.7-11, 2011-01-17
参考文献数
5

私たちは,人間の脳内に存在するグリアと呼ばれる細胞の特徴を模したグリアネットワークについて研究を行ってきた.このグリアネットワークは,グリアがそれぞれ異なった振動を発生しており,その振動が互いに影響し合うことによって階層型パーセプトロン(MLP)の性能が向上するというものである.本研究では,各グリアは振動を発生しておらず,一個のグリアに対して外部刺激が加えられたモデルを仮定した.この外部刺激が,グリアネットワーク内を伝搬し他のグリアに伝えられるとともにニューロンに対して入力される.このように外部刺激が加えられたときのMLPの関数近似性能,被ダメージ性能,および汎化性能を示す.
著者
小泉 恭平 板倉 直明 水戸 和幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.355, pp.47-50, 2010-12-12
参考文献数
5

繰り返し刺激を与えた際に発生する視覚誘発脳波を利用した脳波入力インタフェース(BCI)の研究が行われている.先行研究では,BCIに使える適切な特徴を抽出するため,光点滅刺激の呈示方法や脳波の解析手法が検討されてきた.本研究では,異なる位相の光点滅刺激を使い,FFTによるパワー値情報と同時に位相情報を利用することを提案した.実験では同一画面上に2つの異なる位相の光点滅刺激を使い,FFTによる位相情報の有効性を検討した.その結果,位相の異なる2つの光点滅刺激を注視したVEPを識別するBCIに,位相情報が有効であることがわかった.
著者
青西 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.97, no.116, pp.17-24, 1997-06-19
参考文献数
13

ホップフィールドモデルと同じHebb学習を用いた振動子ネットワークの相転移現象を解析した. このネットワークには, 相対的な位相情報であるin-phaseとanti-phaseを埋め込むことができる. self-consistent signal-to-noise analysis (SCSNA) を用いた解析の結果, 記憶容量がα_c=0.042であることが分かった. これは, Cookのモデルより高い. しかしながら, 想記の品質は悪くなっている. また, 位相方程式の非対称性による加速効果を摂動展開により調べた. それに, 弱く結合したBVP (Bonhoeffer-Van der Pol) 振動子の記憶容量をシミュレーションにより求め, 我々の理論と現実の現象との差を評価した.
著者
福島 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.457-462, 2008-03-05
被引用文献数
1

視覚パターンの一部がほかの物体で覆われて隠されていても,われわれ人間は,見えている箇所の輪郭をもとに,隠されている箇所の輪郭の形状を推測することができる.このようなアモーダル補完の能力を持つ神経回路モデルを提唱する.モデルは,ボトムアップとトップダウンの信号経路を持つ階層型多層神経回路である.特定の方位のエッジに選択的に反応するV1野の細胞や,輪郭の折れ曲がりの角度に選択的に反応するV2野の細胞などを持っている.モデルは,折れ曲がり抽出細胞の出力をもとに,隠されている輪郭の曲率と位置を予測し,輪郭を少しずつ外挿していく.種々の刺激パターンに対して,心理実験で観測されるようなアモーダル補完が行なわれることを計算機シミュレーションで示す.
著者
顧 漢忠 高橋 治久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.95, no.346, pp.63-70, 1995-10-28

本論文では、概念学習における学習曲線を評価するために仮説検定不等式を直接適用する近似手法を導入し、学習アルゴリズムの学習曲線の解析を行う。このため、最悪ではないが、Gibbs学習アルゴリズムよりも汎化性能において劣り、しかもoverfitting問題に関する評価に適するill-posed学習アルゴリズムを導入し、解析を行う。本文における学習曲線の上界の評価においてはVC次元ではなく、ネットワーク上でのパラメーター数以下の値を持つ係数(Regular Interpolation Dimension)が現れる。このためVC理論よりも良い上界となり、しかも、統計物理的な手法よりも一般的な結果が得られる。
著者
水野 繁 倉田 耕治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.95, no.599, pp.185-192, 1996-03-19

網膜から外側膝状体への神経の投射の, 自己組織的な形成を説明する新しいモデルを提案する. Meisterらによる発達中の網膜に関する生理学的知見に基づき, 網膜を進行波を生じる左右2枚の神経場としてモデル化し, 外側膝枕体は, その3次元構造のうちの2次元は進行波を生じるような結合, それに垂直なもう1次元にはメキシカンハット型の競合結合を仮定し, 次に挙げるこの神経投射の2つの特徴の形成を説明する. 1つは, トポグラフィックな投射で, もう1つは外側膝状体はいくつかの層から成っており, 各々の層は眼優位性を有するということである.
著者
宍戸 英明 三宅 章吾 佐藤 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.734, pp.91-96, 2004-03-12

近年の生理学的知見により,アセチルコリンが長期記憶の形成に重要な役割を果たしている事が示唆されている.アセチルコリンには海馬の情報伝達の制御やθリズムの生成,睡眠・覚醒のリズムの生成等の働きがあり,これらの働きによって長期記憶が形成されると考えられる.そこで本稿では,アセチルコリンの働きとそれに伴うθリズム及び睡眠の効果を全て取り入れた海馬-新皮質モデルを提案し,長期記憶の形成過程を数値実験を用いて検証した.その結果,長期記憶形成におけるアセチルコリンとθリズムの役割を明らかにした.
著者
小嶋 徹也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.97, no.623, pp.31-38, 1998-03-19

ボルツマンマシンの学習アルゴリズムは, 外界から与えられた確率分布を自らの平衡確率分布で近似するものであり, 統計学的には最尤推定量を勾配法により求めるプロセスと解釈できる.しかしその一方で, 莫大な計算時間を要するという問題点も抱えている.一方, フィッシャー情報行列をこの学習アルゴリズムに導入すると, 学習の収束が直線的になることが情報幾何学的考察などにより保証されている.本研究では, フィッシャー情報行列, およびその対角成分のみを用いた行列をボルツマンマシンの学習に導入し, 数値実験により, 計算時間や学習性能などの特性を分析した.また, これらのアルゴリズムを連想記憶モデルの学習過程に導入し, その効果を調べた.
著者
我妻 伸彦 清水 亮平 酒井 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.480, pp.165-169, 2009-03-04

初期視覚野への注意が、図方向知覚に重要な役割を果たすborder-ownership選択性細胞の反応変調に果たす役割を検証した。生理学的に忠実な計算モデルを構築し、図方向があいまいな図形を用いた心理物理実験と比較した。モデルは、心理物理実験で確認されたヒトの図方向知覚への注意の影響を定量的に良く再現した。これらの結果は、図地分離や形状知覚に、初期視覚野への注意が重要な役割を果たすことを示唆する。
著者
今井 繁 小倉 信彦 渡辺 澄夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.684, pp.1-8, 2000-03-13
被引用文献数
5

人間は言語を用いて互いにコミュニケーションを行う.しかし, 言語はその複雑さゆえに, 脳がどのように生成・獲得しているかは大きな謎となっている.一方, ある種の生物にみられるような単純な信号によるコミュニケーションを計算機により人工的に生成することが可能である.本研究では, 通信する2人のハンターによる獲物捕獲問題を分類子システムにより学習させる.次に, 分類子集合から決定木を生成することにより本質的なルールを抽出し, ハンター間のコミュニケーションについての分析を行う.実験の結果抽出されたルールは, 人間による理解が比較的容易であり, 元の分類子集合に対してわずか6%程度のルール数でほぼ同程度の獲物捕獲性能を獲得できた.
著者
船瀬 親王 毛利 元昭 Cichocki Andrzej 内匠 逸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.295, pp.43-45, 2010-11-11

We have been studied saccade-related EEG signal before eye movements to develop Brain Computer Interface. In previous studies, we tried to comfirm relationship between saccadic eye movement and EEG signals recorded in visually guided saccade task(The eye movement in visually duided saccade tasks is not a voluntary eye movement perfectly). In these results, we observed sharply changed EEG signals just before eye movements in occipital lobe. The saccade-related EEG signals have sharp change in right occipital lobe when subjects moves their eyes to right side and these EEG signals have shrp change in left occipital lobe when subject moves their eyes to left side. In this paper, we recorded EEG signals in memory guided saccade task(The eye movement in memory guided saccade tasks is a voluntary eye movement) and comfirmed relationship between EEG signals and brain processing in saccade. As this results, we observed differences of the sharply changed EEG signal just before eye movements between visually guided saccade task and memory guided saccade tasks. Next, in order to focus on another saccade-related EEG signals, we do not use hi-pass filter (cut-off: 4Hz). As this resutls, we observed EEG signals which resemble contingent negative variation.
著者
吉田 和子 石井 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.154, pp.41-48, 2001-06-22
被引用文献数
2

強化学習とは、試行錯誤を通じて環境に適応する学習制御の枠組であり、エージェントは環境との相互作用によって学習を行なう。モデル同定強化学習法は、環境のモデルに基づいて価値関数を計算する手法であり、複雑な環境を扱うのに適している。本研究では、環境のモデル、すなわち状態遷移確率の近似にベイズ推定を用いる手法を提案する。強化学習における重要なトピックに、より良いポリシーを得るために行動を試すexploration(探索)と、より効率的に報酬を得るためのexploitation(搾取)のバランスの問題がある。本研究では、この2つの相反する制御を効果的に行なうために、エージェントの行動選択に逆温度メタパラメータの制御機構、すなわちメタ制御と、explorationボーナスを導入する。本手法を2次元迷路探索問題に適用し、逆温度の制御を行なわない手法と比較した。実験の結果、我々の手法は環境の変動にうまく適応できることが分かった。
著者
勝木 孝行 鳥居 英 井上 真郷
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.83, pp.63-68, 2010-06-11

超解像は複数枚の解像度の低い観測画像から,より解像度の高い画像を推定する技術である.中でも本報告では,複層Markov確率場を用いたBayes超解像について扱う.先行研究では劣化変換パラメータ,または高解像度画像のいずれかについては周辺尤度の最大化による点推定を行っていた.しかし,それらの推定に加えてハイパーパラメータをも同時推定する場合,自由度が増加することによってオーバーフィッティングが生じやすいという問題があった.そこで,本報告では変分Bayes法にTaylor近似やLaplace近似を組み合わせた近似手法を用いて全変数をBayes推定することで,オーバーフィッティングを避けたより高精度な推定を試みる.
著者
川島 毅 石黒 章夫 大熊 繁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.613, pp.23-28, 2000-02-04
被引用文献数
4

本稿では, 小規模回路で実現可能なニューラルネットワークのハードウェア化手法を提案する.回路規模を低減するため, 入出力にパルス信号を用いたパルスニューロンとして配線領域を削減するとともに, 結合係数の乗算およびシグモイド関数演算を確率的に演算することで, 乗算回路とシグモイド関数用メモリを不要とした.入力信号値は, 複数の基準パルス列と入力パルス列間の相対遅延時間が正規分布となるようにコーディングする.提案手法をFPGA上にマッピングして提案を見積もった結果, 回路規模を従来の約1/13に小型化できることが明らかになった.
著者
田中 愛久 黒柳 奨 岩田 彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.688, pp.175-182, 2001-03-16
被引用文献数
10

大規模ニューラルネットワークを家電製品のレベルでシステムとして組み込むことを考えた場合、組み込みプロセッサ上でのソフトウェアとしてでは実時間応答が困難であることが予想される。そこで、ニューラルネットワークをハードウェア化することで、低コストでの高速化を実現する。またFPGAを用いることで動的なネットワーク構造の変化を目指した。低コストでの実現を目指し、ネットワーク全体の回路規模を抑えるために1ニューロンあたりの回路規模を抑えるハードウェア化手法で回路設計を行い、非常に小型のニューロンを設計できた。また、独立したシステムとしての運用のため、ニューラルネットワーク最大の特徴である学習のハードウェア化も行った。
著者
時田 洋輔 横井 博一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.466, pp.71-75, 2003-11-15
被引用文献数
1

本研究では,超大規模コラムネットワークをニューラルネットワーク用基本素子であるFolthretによって実現する方法を提案する.人間の持つ莫大な量の知識や知識構造を,一つの階層型ニューラルネットワークに担わせることは困難である.実際,人間の脳は単純な階層型ニューラルネットワークではなく,多くの階層型ニューラルネットワークが相互に結合した超大規模コラムネットワークを形成している.このようなネットワークをそのままハードウェア化しようとすると,配線の複雑化や計算回路の大規模化という問題がすぐに発生する.そこで,それらの問題を解決できるFolthretを用いると超大規模コラムネットワークがどのようにハードウェア化できるかについて検討する.
著者
柴田 直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.342, pp.25-33, 2006-11-04

ものを見て瞬時に理解し、即座に適切な行動をとる。これは生体の最も得意とする情報処理である。しかし、これは現在最も進んだコンピュータ技術をもってしても、その実現は非常に困難である。我々は、ヒトの心の情報処理をヒントに、心理学的脳モデルVLSIシステムを開発してきた。VLSIチップ上に過去の記憶を大量に蓄え、入力事象にもっともよく似た過去の事例を瞬時に連想想起することによって、柔軟な情報処理実現を目指す研究である。このシステムを用いてロバストな画像認識が行えるよう、64×64ピクセルのグレースケール画像を64次元の特徴ベクトルとして表現する、新たなべクトル化アルゴリズムを開発した。これは、入力画像より方向性エッジを抽出し、その空間ヒストグラムによって画像をベクトル表現するアルゴリズムである。人間の目によく似通って見えるものは、ベクトル空間においても近い位置にマッピングされるという優れた特性を持つ。手書きパターンの認識、医用X線写真解析、顔検出等、顔の個人認証への応用例で、大変ロバストな特性が実証された。本論文では、顔検出への応用を例題として取り上げ、視覚情報処理のハードウェアモデル化における課題について議論する。実時間処理実現に際しボトルネックとなるのは、入力画像から特徴を抽出する初期視覚処理であるが、専用チップの開発により、100MHzの動作で、2.2GHzプロセッサ搭載のPC上のソフトウェア処理と比較して、一万倍以上の高速化を達成した。
著者
阪口 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.99, no.494, pp.69-76, 1999-12-11

知覚的フィリングインのメカニズムを明らかにするために心理実験を行なった.具体的には,フィリングインが生じる領域(目標)を二つ提示し,それらの位置や輝度,方位を操作してフィリングインが知覚されるまでの時間を計測した.その結果,二つの目標の輝度が等しくそれらが近接している条件では,目標が一つである場合に比べてフィリングインに要する時間が長くなること,また,二つの目標で同時にフィリングインが生じる場合があることがわかった.さらに,このような相互作用の強さは目標の形状,性質や並び方に依存していることが明らかになった.以上の結果について,視覚野における神経連絡の視点から考察を加えた.
著者
唐澤 信司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.98, no.673, pp.193-200, 1999-03-18
被引用文献数
11

神経細胞のごときインパルスだけを信号どする知能システムでは、情報圧縮して応対を選択し、情報圧縮を解除して出力を司令する機能が必要である。神経細胞は、特定の条件の時だけインパルスを発生する解読器の接続で情報を圧縮する。他方、多出力の[OR]接続および抑圧性[AND]回路による多入力[OR]動作で情報圧縮を解除する。また、神経細胞でループ回路を作ると、ループに取り込まれたインパルスは循環し続け、循環する度に外部にインパルスを発生する。これらの回路要素を組み合わせて、脳と類似な動作機能を電子回路で実現することができることを示す。