著者
山田 健太 須鎗 弘樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.759, pp.83-88, 2005-03-22

Taniのrecurrent neural network with parametric bias(RNNPB)モデルによるロボットの運動パターンなどの学習において自己組織化されるPB空間の性質について述べる.RNNPBモデルは, ロボットの一連の運動パターンを低次元のPB空間で表現し, その空間上のPB値によって容易に学習パターンを生成できる.このとき, PB空間が学習した運動パターンと対応関係をもつように自己組織化される.本研究では, この自己組織化されるPB空間の性質を述べ, PB空間の特徴を利用した応用の可能性について議論する.
著者
鷲野 宏治 中山 弘隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.253, pp.1-6, 2002-07-19

実際の工学設計の問題では目的関数が設計変数の陽な関数として表すことができず,設計変数の値を与えたとき,適当な解析(構造解析,流体解析など)あるいはシミュレーションによって初めて目的関数の値が求まることが多い.このような目的関数を本論文ではブラックボックス目的関数と呼ぶ.通常,解析等のシミュレーションによってプラックボックス目的関数f(x)の値を求めるには多大の時間を要するため,多くの目的関数評価回数を要する従来の最適化手法をそのまま用いれば,解を得るまでに膨大な時間を要することになる.そこで,本論文ではいくつかのサンプル点から関数fの形を近似させ,近似された目的関数に対して最適化を行うことにより最適解を予測するという繰り返しによって解を求めるという方法について論ずる.以下,目的関数の近似には近年注目を浴びているサポートベクターマシンを用い,近似目的関数に対する最適化には遺伝アルゴリズムを用いた手法を紹介する.
著者
寺島 裕貴 岡田 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.461, pp.325-330, 2011-02-28

神経細胞の受容野が秩序を持って並ぶ地図構造は大脳皮質感覚野に共通の特徴として知られるが,整然とした一次視覚野(V1)のレチノトピーに対し,一次聴覚野(A1)のトノトピーは乱雑であることが明らかになってきた.一方,過去の研究はV1とA1で見られる受容野構造の違いが自然界の刺激が持つ統計性の違いの反映に過ぎないことを示唆している.そこで我々は,この地図構造の乱雑さの違いもまた,自然刺激の統計性の違いの反映であるという仮説を提唱する.本研究では,V1のモデルであるトポグラフィック独立成分分析を「聴覚らしい」刺激に適応させることで,同モデルがA1のように乱れた地図も生成し得ることを示す.
著者
加藤 英之 深井 朋樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.466, pp.31-38, 2000-11-17
被引用文献数
2

Abeles et al.(1993)によるサル前頭葉からの多電極神経活動測定により, 1msec程度の時間幅に集中した神経細胞の集団発火(パルスパケット)が集中度を保ったまま数十段のシナプスを伝わる現象が示唆された.Diesmann et.(1999)はパルスパケットの伝播における集中度の安定性が2次元空間内のアトラクターで表現できることを示した.我々は集中度の変化をFokker-Planck方程式で計算し, 2次元空間での特徴的な流れとそのアトラクターは自発神経活動によるシナプスノイズで決まることを示す.さらに, 伝播するパルスパケット同士の相互作用により, 同期検出や時間競合が可能となることを示す.
著者
片岡 桂太郎 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.758, pp.185-190, 2005-03-21
被引用文献数
2

本論文では, 自然言語を扱うための手法として, 自然言語文を入力とし、推論を行える新しいニューラルネットワーク(LPNN : Language Processing Neural Network with Inference Ability)を提案する.LPNNに入力された文は, 前処理として形態素解析・構文解析が行われ, 三つ組表現という意味ネットワーク形式に分解される.LPNNは, 記憶部と制御層からなるネットワークである.記憶部は, 3層からなる階層構造で三つ組表現と文を記憶し, 想起することができる.また, 制御層は想起の結果の記憶と, 想起の制御を行なう層であり, これによって, 様々な推論を実現している.新聞記事を入力として用いた実験により, 自然言語処理に対する提案システムの有効性が確認されている.
著者
乾 敏郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.392, pp.19-24, 2003-10-17

アリストテレスは模倣こそが人間の基本的機能であると説き、社会心理学においては親子関係のような社会関係にある場合、模倣学習が重要であることが指摘されている。一方、バンデューラは、観察学習を、社会現象を説明する一つの基礎過程として注目した。さらに人間は、日常生活において適切な行動を選択するためにさまざまなエピソードを内的にシミュレートする能力を持っている。そして、このようなメンタルシミュレーションは高度な創造性の基礎をなす機能であると考えられる。本論文ではまず、身体部位道具化現象に関する臨床検査の結果を報告する。ここでは、左頭頂葉障害の患者と健常者において、身体部位道具化現象の理解や、生成、検出などを比較した。次に模倣と行為の系列の予測学習に関するfMRI実験の結果を紹介した。最後に、模倣とパントマイムの脳内メカニズムについて考察を行った。
著者
中村 雄一 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.109, no.461, pp.467-472, 2010-03-02

フィードフォワードネットワークを適当に構築すれば,与えられた連続関数を十分な精度で近似できることが関数近似定理として証明されている.しかし,この定理では関数を近似した場合の具体的な構造についての情報は扱われていない.本報告では,近似対象となる関数を多項式に限定し,それを近似する3層ネットワークのーつの具体的な構造を求める.ネットワークの構造はシステムパラメータで決定する.活性化関数が十分に滑らかな場合,システムパラメータは活性化関数のテイラー展開および行列演算から系統的に導かれる.提案方法から得られる3層ネットワーク構造は,学習則に対しても有効な情報を与えるものと期待できる.
著者
前原 洋祐 川原 宏太 塩谷 浩之 郷原 一寿
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.500, pp.13-17, 2007-01-18

フーリエ反復アルゴリズムは位相回復の有効な手法として用いられており,最急降下法と対応付けられている.最急降下法に基づいた機械学習においては,複数の学習済みの予測機械を組み合わせるアンサンブル学習法が汎化能力の向上に有効である.本研究では,アンサンブル学習の枠組みを位相回復法に適応し,その有効性について検討する.
著者
橋口 友美 井上 真郷 岡田 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.55-60, 2008-03-05

一次視覚野(V1)における輪郭抽出の性質は,特定の傾きに対しての方向選択性を持つモジュールの働きによるものであり,この性質を現す単純なモデルとしてGaborフィルタが用いられる.本研究では,視覚画像にGaborフィルタをかけて得られたフィルタ出力から,Bayes推定によって視覚画像を逆推定するという実験を試みた.これは,V1での脳活動情報を観測することで,今見ている視覚画像を推定することに相当する.Bayes推定を用いた画像修復の問題において,事前確率やノイズに並進対称性がある場合はFourier変換を用いて簡単に画像修復をすることができるが,畳み込みフィルタであるGaborフィルタも,Fourier変換を利用することで計算量を減らし,解析解を導くことができる.また,モデルに含まれるハイパーパラメータも,観測画像より推定が可能なことを示す.
著者
日高 慶太 片山 統裕 石川 大晃 辛島 彰洋 中尾 光之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.298, pp.27-32, 2012-11-09

マウス用没入型バーチャルリアリティシステムを開発した.このシステムを用い,無限に広がるバーチャル空間におけるマウスの自由行動を計測した.その結果,動物の移動運動の計測に用いる球式トレッドミルの力学パラメータが移動軌跡の形状に大きな影響を与えることが分かった.パラメータを適切に調整したトレッドミルを用い,移動運動と海馬脳波を同時記録した.解析の結果,実空間の場合と同様に,海馬脳波の周波数スペクトルが移動運動と関連して変化することが確認された.さらに,バーチャル空間においても移動速度と海馬シータ波の周波数が相関することを見出した.
著者
岡田 望邦 堂園 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.382, pp.61-66, 2014-01-13

現在,インターネットの普及によりマルウェアの危険が身近になり,個人情報が漏洩する恐れすらある.これらの不正通信に対して,パケットからヘッダ情報とペイロードを取得し,それらの変化によるトラフィック異常の検知を試みる方法が提案されている。本研究では,パケット得た情報を入力ベクトルとし,自己組織化マップを適用したIPパケットの新たな解析手法を提案する。この手法を用いて,IPパケットの時間的遷移の可視化や不正通信の検出実験を試みた。
著者
高畠 一哉 赤穂 昭太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.588, pp.151-154, 2007-03-07

多変数確率モデルの最尤推定に最急勾配法を用いた場合,勾配ベクトルの評価に多大な計算が必要となることがよくある.contrastive divergence法は勾配ベクトルの評価に近似とモンテカルロ法を用いて計算量を削減した手法であるが,この近似のために結果が真の最尤推定値からずれてしまうという欠点がある.本論文では真の最尤推定値が得られるようにcontrastive divergence法を改良したprogressive contrastive divergence法を提案する.確率モデルにボルツマンマシンを使い実験を行った結果を示す.
著者
久田 正樹 作村 勇一 石井 信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.687, pp.63-70, 2001-03-15
被引用文献数
2

シナプス前細胞と後細胞の発火のタイミングに依存してシナプスの伝達効率が変化することが明らかになってきた。さらに近年、大脳皮質錐体細胞間シナプスへの連続した入力によってシナプスの伝達効率が指数関数的に減衰する現象が発見された。TsodyksとMarkramは減衰シナプス (Depressing Synapse)と呼ばれるこの現象を伝達物質の放出回収過程によってモデル化し、放出された伝達物質の回収の遅延がシナプス伝達の減衰の原因となることを示した。このモデルは生理学的な実験によって得られたシナプス後細胞の膜電位の平均的な応答をうまく近似できることが分かっている。本報告では、シナプス伝達物質がシナプス小胞によって量子化されている事実に基づき、シナプス小胞の放出回収過程による減衰シナプスモデルを示す。このモデルではシナプス小胞の放出は確率的事象であり、それにより試行ごとにばらつく膜電位の挙動が再現できる。また、シナプス小胞の放出確率の変化に伴なぅニューロンの情報処理の変化について議論する。
著者
藤田 昌彦 雨海 明博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.191, pp.1-5, 2000-07-11
被引用文献数
8

視覚的に提示された刺激は一定時間, 瞬時記憶に蓄積されると考えられている.100msを超えると急速に減衰し, 約200msで消失する.減衰前に提示された刺激は空間的に構造をもつ刺激と知覚されることが知られている.そこで我々は眼球運動の最中に縦一列の発光ダイオードを適時点灯させて網膜上にドットパターンを描いてその識別を問うた.問題は, サッカード抑制といわれるような視覚抑制機構が働くのか, 場所知覚が歪むのか, 眼球静止時と異なる統合時間帯を持つのかという諸点である.暫定的な結果では, 視覚抑制はないこと, 知覚場所に歪みはなくパターンが正しく知覚できることを示した.統合の時間が眼球運動最中は長い傾向を見出したが, これは用いたパターンが部分から容易に全体が推定できるものであったことによると思われる
著者
尾田 十八 酒井 忍 羽場 吉博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.94, pp.47-51, 2001-05-18

従来使用されているアーム式または, 2ローラ式のピッチングマシンでは投球の速度とコースを同時かつ即座に変更することはきわめて困難である. そこで本研究では, 3個のローラを用いそのローラの回転数を各々独立に制御することにより, 従来得ることのできなかった様々なコース, 速度を極めて正確に投げ分けることのできるピッチングマシンを試作した. なお, その制御法にはニューラルネットワークを用い, 的の各コースおよび速度を入力データ, 各ローラの回転数を出力データとして学習を行い, 使用者(バッター)が希望する投球をピッチングマシン自身が適応して投げ分けてくる. このような機械は知的機械と呼ばれており, ここでは, そのようなピッチングマシンのシステムとその性能について記述する.
著者
外山 純一 安藤 惇 田村 健 北崎 充晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.383, pp.113-117, 2009-01-12

脳波を用いたブレインコンピュータインタフェースでは,定常視覚誘発電位(SSVEP),事象関連電位(P300),および事象関連同期/脱同期(ERS/ERD)などの特徴的脳波が用いられている.これまでに,SSVEPを用いてステアリング操作を行うドライビングシミュレータを開発した.さらに,速度制御を実装するために,運動想起時のERD/ERSに着目し,その基礎実験と実装検討を行った.その結果,9日間の学習によって,反側半球の運動野で顕著な運動想起ERDが見られた.ERDによる速度制御を実装したドライビングシミュレータを開発し,実際に制御可能なことを示した.
著者
宮林 穎夫 船田 哲男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.94, pp.7-12, 2001-05-18
被引用文献数
1

本論文では, 我々が提案する帯域フィルタ対(BPFP)バンクを利用する方法(BPFP法)やBPFPバンクとニューラルネットワーク(NN)を組み合わせた方法(BPFP-NN法)において, 耐雑音性の向上策として, パワースペクトルの周波数方向の傾斜を3値化するための閾値をBPFP内に導入する. 白色雑音やピンク雑音を付加した実音声に対して, BPFP法, BPFP-NN法による有声/無声判定およびピッチ抽出がどのような性能を示すかを, 変形相関法などの既存の方法と比較し検討する. 実験の結果,BPFP法, BPFP-NN法は変形相関法などと比べて遜色のない有声/無声判定付きピッチ抽出法であることがわかった.
著者
眞鍋 慧太 上垣 利果 田向 権 関根 優年
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.483, pp.209-214, 2012-03-07
参考文献数
7

発声器官の形状は筋肉により複雑に変化し,その違いによって,言葉として認識できるような様々な音声が生まれる.我々は,音の伝達・反射・重ね合わせを行う仮想的な物理空間を論理回路でFPGA内に構成し,音声,筋肉の動きをパルス密度によって表現,それを最終的にニューラルネットで制御することを目指している.これまで声道部分回路のレジスタを3並列構成とすることで声道内での波の重ね合わせを表現してきた.また,口腔部の広がりをモデル化し,分岐するレジスタを持つように改良を行った.しかしながら,自然な音声は得られていない.本稿では現在のモデルをより精密化し,制御を行うためにモデル化した声道内で起きている物理現象を解析し,以前の合成システムにおいて明らかになっていなかった各調音パラメータとの対応関係について報告する.
著者
山田 美穂 岩佐 要 Kugler Mauricio 黒柳 奨 岩田 彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.372, pp.37-42, 2008-12-13
参考文献数
4
被引用文献数
1

我々は人間の聴覚機構を模倣したパルスニューラルネットワークによる聴覚情報処理システムを提案している.このシステムを用いることで,周波数的特徴によって音源種類の識別が可能である.しかし,識別に競合学習である自己組織化マップを用いているため,入力に最も周波数的特徴の近い一つの音しか識別されず,複数の音が同時に入力される場合においても,それぞれの音源の識別は困難であった.そこで本研究では複数音からの目的音抽出方法を提案する.また,一般的に複数の音が存在する屋外環境の音に対して提案手法を適用し,従来手法との比較実験を計算機上で行い,提案手法の有効性について確認した.
著者
加賀 洋介 クグレ マウリシオ 黒柳 奨 岩田 彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.461, pp.415-420, 2011-02-28
参考文献数
3

我々は周辺の環境を把握するため,聴覚などの知覚情報を用いているが,人間の聴覚情報処理を工学的に応用出来れば様々な利用法があると考えられる.本研究室ではニューラルネットワークを用いた聴覚情報処理システムの研究をこれまで行っており,その中でバイナリベクトルを特徴量として学習を行う音源識別システムが提案されている.本システムは簡易的かつ,ハードウェアの軽量化という利点をもつが,複数音源に対応させる手法は現段階で確立されていない.そのため本論文では,音源の生成と分類が比較的容易である楽器の音源を題材として取り上げ,システムのアルゴリズムの改良を検討し,複数音源から各音階を識別したのちに音源種類を識別する手法を提案する.提案した手法を用いてシミュレーション実験を行った結果,識別されたそれぞれの音階情報を削減することで,複数音源識別が可能であることが確認された.