著者
浦中 慎二 穗刈 治英 島田 正治
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.6, pp.440-444, 2011-06-01

直線型スピーカアレーにおいてスピーカの逐次切換による実音源移動音と波面合成法を用いた仮想音源の逐次切換による仮想音源移動音の連続性を,受聴試験とIaTD,IaLD,頭部中心位置におけるパワーの時間変化より検討した.受聴試験より,仮想音源間隔をスピーカ間隔よりも狭くすることで受聴位置rightで移動音を連続的に知覚した回答率が向上した.また,IaTD,IaLD,パワーの時間変化と標準偏差から受聴試験結果を評価した.
著者
傅 暁宇 浦浜 喜一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.4, pp.303-306, 2011-04-01

主要物体の形状を保って画像のサイズを変える重要度拡散リサイジング法において,重要度を複数の行や列に拡散させ,同時に画素値の色も拡散させる拡張法を提案し,重要度を両隣の行や列に拡散させるだけの方法よりも画素値の不連続や物体ひずみ,ジャギーなどが低減されることを実験で示す.
著者
白井 啓一郎 池原 雅章 岡本 正行
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.4, pp.275-284, 2011-04-01

暗所での撮影の問題点としてノイズの増加が挙げられる.フラッシュ撮影によりノイズを減少させることは可能であるが,フラッシュにより画像中のスペキュラ光が増して色彩が失われる問題がある.また,長時間露光によってもノイズを低減できるが,対象物またはカメラの動きに敏感となりぼけを生じやすくなる問題がある.本論文では上述の問題を解決するため,ノンフラッシュ画像の色彩と陰影をフラッシュ画像の成分に反映する手法を提案する.色彩については,色線形性画像特徴の概念に基づき,フラッシュ画像の局所的な色分布をノンフラッシュ画像の色分布に投影し,色変換を行う.陰影については,光源位置によって画像間にオクルージョン領域が生じるため,オクルージョンに対応したフラッシュ画像の局所的な輝度をノンフラッシュ画像の輝度に投影する手法を示す.
著者
福永 圭司 穗刈 治英 島田 正治 杉山 精
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J94-A, no.3, pp.222-225, 2011-03-01

剛体球-円板モデルによる数値解析と6種類の耳介模型を用いた耳介伝達関数(PRTF)の測定により,耳介形状の影響の少ない音源入射方向について検討を行った.結果として,耳介方位角を耳介傾斜角と同等,また耳介仰角を220°付近とする音源入射方向で耳介形状の影響が少なくなる傾向にあることが示唆された.
著者
杉田 泰則 吉川 敏則 相川 直幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.12, pp.795-804, 2010-12-01

ディジタル信号処理の分野において,処理目的に応じてリアルタイムでフィルタ特性を変化させたいことがある.この要求を満たすために,使用時に周波数特性を容易に変えられる可変ディジタルフィルタに関する研究が近年盛んに行われている.本論文では,阻止域において部分的に大きい減衰量を複数もち,かつ,それら大きな減衰の領域がそれぞれ可変な低遅延FIRディジタルフィルタの設計法を提案する.提案法では,重み付き最小二乗法を用い,重み関数を更新して最小二乗問題を繰り返し解くことで準等リプル特性を得る.
著者
峰村 今朝明 後藤 理 東山 三樹夫 白井 克彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.12, pp.833-834, 2010-12-01

単母音スペクトルのz変換表示からべき級数展開表現への拡張を検討した.単母音スペクトルはべき級数展開において周波数幅約120 (Hz)ごとに基点を置いた6次関数で表現できる.更にべき級数展開表現を用いた多項式の零点分布により,話者の違いを確認した.
著者
二宮 洋
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.12, pp.828-832, 2010-12-01

本研究では準ニュートン法に基づくニューラルネットワークの新たな学習法を提案する.従来,準ニュートン法はこう配法に基づく強力な収束特性をもつバッチ学習法であった.近年,大規模なデータを扱う問題への応用としてオンライン準ニュートン法が提案された.本研究ではオンライン準ニュートン法の学習データの与え方を改良することで,準ニュートン法の収束特性を向上させた学習法を提案する.
著者
密山 幸男 高橋 一真 今井 林太郎 橋本 昌宜 尾上 孝雄 白川 功
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.6, pp.397-413, 2010-06-01

面積効率の向上を目指したヘテロジニアス構造を有する粗粒度再構成可能アーキテクチャは,アプリケーション分野を特化することで高性能化と小面積化を実現することができる.そこで我々は,対象アプリケーションをメディア処理に特化したヘテロジニアス粗粒度再構成可能アーキテクチャARAMを開発してきた.本論文では,ARAMによって複数の動画像復号処理を実現できることを示すため,MPEG-2デコーダ,MPEG-4デコーダ,H. 263デコーダを設計対象として,各処理過程のマッピングについて述べる.更に,動画像復号処理の高性能化要求に対して,ARAMのスケーラビリティと動画像復号処理の画素並列性を用いた性能拡張について述べる.またフィルタバンクのマッピングについて述べ,動画像復号処理以外にも適用できる機能拡張性を示す.
著者
井原 雅行 金田 洋二 上野 圭一 金山 英明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J82-A, no.5, pp.717-725, 1999-05-25

本論文では,ユーザの潜在的好みを推定する手法を提案する. 同手法では,ユーザ本人のアクセス履歴に加え,好みの似ている他ユーザ(=類似ユーザ)を探し,そのアクセス履歴も活用する. そのため,ユーザ本人が未アクセスの情報集合の中に埋もれていて潜在的好みに合致する情報を推薦提示できる. 本推定手法は「直接的類似ユーザ探索手法(SUSM:Similar-User Search Method)」と 「間接的類似ユーザ探索手法(ISUSM:Indirect Similar-User Search Method)」から構成される. SUSMはユーザ本人と他ユーザのアクセス履歴を比較し,共通にアクセスされた情報が最も多い他ユーザを探す手法である. ISUSMはSUSMにより探し出された類似ユーザの情報を用いて間接的に類似ユーザを探す手法である. 本手法を音楽検索システムに適用し,潜在的好みに合致する情報を類似ユーザのアクセス履歴から探して推薦曲とした. 実験の結果,ユーザ本人のアクセス履歴のみから推薦曲を選ぶ場合と比較して,提案手法の場合はユーザ本人の好みに合致する推薦曲(=有効推薦曲)が2倍以上に増加することを確認した.
著者
広田 裕 川島 英之 梅澤 猛 今井 倫太
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J89-A, no.12, pp.1090-1103, 2006-12-01

本論文は,複数のアプリケーションが共通参照可能なセンサネットワークの設計モ デルとしてセマンティックセンサネットワークを提案する.センサからのデー タは単なる数値の時系列であり,数値のみから意味のある情報を引き出せない. センサと物体の取付け関係のもとで解釈して初めてデータが意味のある単位と なる.セマンティックセンサネットワークは,センサと物体の取付け関係 を管理し,メタデータとセンサデータの対を環境記述の最小単位とする.また, 論理表現に基づく推論規則をもち,物体同士や物体と環境との関係を記述する. 環境記述は時系列データとして蓄えられ,アプリケーションに提供される.特 徴的な点は,物体に関するクラス定義をもち,センサと物体の取付け関係を インスタンスとすることで,物体を中心とした世界モデルをセンサネットワー ク上に構築できることである.実装例として,実世界指向メタデータ管理シス テムMeTを構築した.RFIDタグを用いて物体とセンサの取付け関係を拾得し, クラスからインスタンスの生成を可能にした.更に,アプリケーションとし て知能ロボットとGUIを用意しMeTの動作を検証した.
著者
菅 喜岐 森田 長吉 中村 修 岡崎 清
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J85-A, no.5, pp.509-517, 2002-05-01

体外衝撃波結石破砕療法は非侵襲的という画期的な特長をもっているため極めて短期間で一般療法として臨床に定着した.しかし,衝撃波による結石破砕に伴う詳細メカニズムや生体への影響はいまだ完全に解明されているとはいえない.これら未解明の部分を解決するためには人体内超音波パルス伝搬のメカニズムをできるだけ正確に再現する手法を確立することが重要である.筆者らは最近FD-TD(Finite-Difference Time-Domain)法に基づく非線形パルス伝搬の数値解析法を提案した.しかし,この方法には水の非線形パラメータ値を通常知られている値よりかなり大きく設定する必要がある点や小さな振動部分が再現できないなどの問題点があった.本論文は基本式の変更も含めたいくつかの改良によってこのような問題をほぼ解決でき,この手法が少なくとも焦点付近の実験波形に関してはこれをかなり正確に再現できる手法となったことを報告するものである.
著者
関川 浩 白柳 潔
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J89-A, no.3, pp.199-216, 2006-03-01

区間多項式 F に対し,与えられた領域D内に零点をもつ,Fに属する多項式が存在するか否かの厳密な判定法を与える.領域 D が実であるときは,有限個の多項式を調べれば十分であることを示す.領域 D が複素であるときは,D の境界が長さ有限な単純閉曲線かつ区分的に有理関数で表現されているという仮定のもと,係数も変数として扱うことにより多変数多項式の零点判定問題ととらえ,この多変数多項式がもとの多項式の係数を表す変数について一次であること,領域の境界が有理関数で表示されていることを利用し,厳密に判定できる手法を提案する.
著者
五島 洋行 増田 士朗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J90-A, no.3, pp.190-200, 2007-03-01

本論文では,後続ジョブとの資源非競合を考慮したオンラインスケジューリング方法に関する提案を行う.検討対象はMIMO-FIFO型で繰返し処理を行う離散事象システムとする.このようなシステムの挙動は,MPLシステムと呼ばれるmax-plus代数系での線形な方程式で記述できる.従来のMPL表現は,前のジョブとの資源非競合を考慮した定式化を行うもので,途中工程での最早開始時刻が求められる.しかし実用的なスケジューリングを行うには,工程の余裕度の把握や,ジョブの進捗に応じてスケジューリング結果をオンラインで更新する必要があり,各工程の余裕時間やシステムの内部状態の変化まで把握できることが望ましい.最近我々は,単一ジョブの場合についての計算方法を提案したが,後続ジョブとの資源非競合までは考慮されておらず,一度に多くのジョブを処理する場合などには,最適な結果を与えないこともあり得る.そこで本研究では,後続ジョブとの非競合性も考慮した,最遅開始時刻を求めるMPL表現の一般形を導出し,更に,加工開始後にシステムのパラメータに変化が発生したときの,効率的な再スケジューリング方法についても考察する.
著者
角尾 幸保 岡本 栄司 植松 友彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J78-A, no.3, pp.407-415, 1995-03-25

ネットワークセキュリティを確保するための基盤技術の一つに暗号がある.しかし,ビジネス分野での情報の安全性確保のためには,だれもが使いやすい暗号が要求される.米国商務省標準局が公布したDESやNTTから提案されているFEAL暗号は,鍵を秘密とし暗号アルゴリズムを公開した暗号であり,秘密鍵を用いて64ビットの平文を64ビットの暗号文に暗号化するインボリューション型のブロック暗号である.またMAP 1方向性関数は,NTTから提案された,やはりインボリューション型の変換である.本論文では,インボリューション型暗号に対する新たな暗号解析法を検討し,その解析法をMAP 1方向性関数の暗号文攻撃に応用した解析例を示す.インボリューション型暗号は,データランダム化部の構成段数を増加させることにより,各段で使用する秘密鍵を増加させ,秘密鍵の推定に対する計算量的な安全性を確保しようとしている.しかしながら,データランダム化部を構成する関数の特性に注目すれば,秘密鍵に依存しない方法で関数の入出力値を特定した後,逆関数を使って秘密鍵を算出することが可能となる場合がある.この方法を中間メッセージ法と呼ぶ.中間メッセージ法は,従来法と異なり解読に必要なデータ量が少ないことを特徴としている.
著者
宮林 直樹 茂呂 征一郎 森 真作 笹瀬 巌
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J82-A, no.2, pp.289-293, 1999-02-25

近年,カオス発振器の結合系に生じる同期現象は, カオスの初期値鋭敏性の観点から興味深い現象として注目を集めている. しかし,カオスの同期現象についての研究は始まったばかりであり, 種々の結合系の同期現象について実験, 及び数値計算から検証することが必要である. 本論文では, 二つの異なったカオス発振器の結合系に生じる同期現象を調べることを目的とし, Chua回路と稲葉らによって提案されたカオス回路を抵抗によって結合した系を提案する. そして,回路実験と数値計算結果から, 提案回路から非同期のカオスと同期した周期解が確認される. 興味深い現象として, 稲葉の回路の負性抵抗の増加によって, 非同期であったカオスが同期した周期解に遷移するという現象を報告する.