著者
白川 功
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.10-19, 2011-07-01 (Released:2011-07-01)
参考文献数
20
被引用文献数
1

IEEE が認定する Milestones は,2010年10月現在,全世界で106件(我が国では14件)に達する.まず,我が国以外で認定されたものについては主なもの,我が国で認定されたものについては全て,のタイトルを記す.次いで,筆者がnominator として申請し,認定された関西発のイノベーション4件(①電卓の開発,②自動改札機の開発,③黒部川第4水力発電所建設,④太陽電池の商用化)について,その概略と歴史的意義について記述する.
著者
出口 弘 西村 仁志 吉村 浩 河田 亨 白川 功 大村皓一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.944-952, 1984-11-15

コンピュータグラフィックスで動画制作を行うには 画像生成速度の飛躍的向上と画像の生成・合成・編集が効率的に行えるトータルシステムが必要である.そこでわれわれは物体の三次元形状や材質感をリアルに表現できる陰影表示による動画制作システムLINKS-1を開発した.そのサブシステムである高速画像生成システムは マルチマイクロコンピュータによる分散型並列処理システムである.高品質な三次元画像を生成するためには 影・反射・透過・屈折の処理が必要不可欠であり これらを一貫して処理できるアルゴリズムとしては視線探索法があり 並列処理に適しているのでこれを生成アルゴリズムとした.視線探索法を実現するうえで問題となる交差判定の高速化のために マルチコンピュータシステムによる並列処理・パイプライン処理のほか 物体データの階屈化 各種コヒーレンスの応用 非屈折透過処理などを行った.本論文では システムの概要と これらの高速化手法とその評価を報告する.
著者
Hirosuke Miki Morgan 藤田 玄 尾上 孝雄 白川 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.1352-1361, 1998-10-25
被引用文献数
3

本論文では低ビットレート画像符号化アルゴリズムH.263用コーデックコアのVLSI化設計について述べる.特に携帯端末での利用を目的として設計された本コアは, コーデックの各処理過程を特定のASICアーキテクチャによって実現する.すなわち, 各演算回路は, 高い符号化効率を達成する符号化オプションをとり入れ, しかも小面積かつ低動力周波数を徹底的に追求する新しいアーキテクチャにより実装した.本コアをトップダウンASIC設計システムCOMPASS Design Tools ver.9を用いてVLSI化設計した結果, 0.35μmCMOS4層メタルテクノロジで4.94mm^2, 15MHz動作時の消費電力は84.18mW(電源電圧3.3V)となった.
著者
吉田 幸弘 宋 宝玉 奥畑 宏之 尾上 孝雄 白川 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.765-771, 1997-05-25
被引用文献数
4

本論文では, オブジェクトコード圧縮によるプロセッサの低消費電力化手法について, 特に組込み用プロセッサへの適用を前提として考察する. 本手法は, 実行するプログラムに対し, 重複する命令を単一化して圧縮し, これによって生成された疑似コードからオブジェクトコードを再編成する命令伸長回路を付加的に構築するものである. この命令伸長回路とプロセッサコアを1チップ内に集積化することにより, 外部メモリとのインタフェースで必要となる帯域幅を削減することができ, 低消費電力化が大幅に達成できる. 実験結果では, 例えば, 32bitRISCプロセッサARM610に本手法を適用した場合, 62.5%のコード圧縮が得られ, 命令メモリでの消費電力が42.3%削減でき, 更に, 付加的に実装した命令伸長回路の面積は0.983mm^2であった.
著者
中川 克哉 佐康二 津森 靖 花田 恵太郎 白川 功
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.88, pp.19-24, 2001-09-13

近年,ネットワーク接続可能な情報端末が急激に普及し,複数台の情報端末を所有するユーザも急増している.しかしながら,それらの中に記憶されている情報は,ネットワーク端末であるにもかかわらず通常独立している.本稿では,ネットワーク接続可能な種々の情報端末に記憶されたオブジェクトを互いに連係させることにより,ユーザの冗長な操作負担を軽減するとともに,複数ユーザでオブジェクトを共有することによるコミュニケーションを可能にし,さらに,不安定な無線接続や,通信にコストが発生する接続,安定した有線による常時接続等,多様なネットワーク環境に対応する,Object Communication Environment for Arbitrary Network (OCEAN)を提案する.In recent years, information terminals with network communication ability become very popular, and many people actually have such plural terminals. Those information terminals, however, keep users' data independently in spite of their communication ability. In this paper, we propose "Object Communication Environment for Arbitrary Network (OCEAN)", which provides liaison of objects stored in each terminals. It eliminates redundant user operation on information terminals, enables group communication among users by sharing common objects in those terminals, and is still adoptive for various network environment such as unstable wireless connection, low cost performance connection, or stable permanent wired connection.
著者
白川 功 稲田 紘 有馬 昌宏 西村 治彦 中野 雅至 東 ますみ 川向 肇 水野 由子
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

感染症の爆発的流行を含む災害時の要援護者支援や迅速かつ正確な住民の安否確認ならびに避難所での避難者の医療・看護・介護などを含む生活支援には、機微情報を含む個人情報の事前登録と状況に応じた個人情報の更新が不可欠となる。本研究では、QRコードと地理情報システムと無線通信技術を活用して、避難経路の安全確保も含め、個人情報保護に配慮した避難支援システムを構築し、避難者のストレス軽減を考慮に入れつつ、医療・健康管理データを記録するシステムのプロトタイプも構築して、防災訓練などでの実証実験で有効性を確認した。
著者
密山 幸男 高橋 一真 今井 林太郎 橋本 昌宜 尾上 孝雄 白川 功
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.6, pp.397-413, 2010-06-01

面積効率の向上を目指したヘテロジニアス構造を有する粗粒度再構成可能アーキテクチャは,アプリケーション分野を特化することで高性能化と小面積化を実現することができる.そこで我々は,対象アプリケーションをメディア処理に特化したヘテロジニアス粗粒度再構成可能アーキテクチャARAMを開発してきた.本論文では,ARAMによって複数の動画像復号処理を実現できることを示すため,MPEG-2デコーダ,MPEG-4デコーダ,H. 263デコーダを設計対象として,各処理過程のマッピングについて述べる.更に,動画像復号処理の高性能化要求に対して,ARAMのスケーラビリティと動画像復号処理の画素並列性を用いた性能拡張について述べる.またフィルタバンクのマッピングについて述べ,動画像復号処理以外にも適用できる機能拡張性を示す.
著者
内田 好弘 谷 貞宏 橋本 昌宜 築山 修治 白川 功
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.1665-1673, 2006-06-15

システム・オン・パネルなど配線とグラウンド平面の距離が大きい構造では,配線間の容量結合の割合,影響範囲が大きく,容量の見積りが困難である.これまでに容量抽出の高精度化のためにいくつかの手法が提案されているが,実用的な計算量では十分な精度は得られていない.複雑な計算処理による抽出精度の向上を目指すだけでなく,配線間容量そのものを低減する設計も効果的と考えられる.本稿では,配線間容量低減技術として一般的なグラウンド平面,シールド配線の追加,配線間隔の調整をシステム・オン・パネルに適用して,容量成分と見積もりやすさについて評価を行った.その結果,配線間容量のミラー効果を考慮した実効最悪容量を改善しつつ,抽出を容易にすることが可能であることが分かった.In system on panel circuits, coupling capacitance is much significant since a ground plane locates far away unlike LSI designs. To solve difficulty in capacitance extraction, which comes from wide-range coupling in system on panel circuits, some methods have been proposed, but still their efficiency and accuracy are not sufficient. This work focuses on interconnect design to reduce coupling capacitance instead of improving accuracy and efficiency by complex computation and enhancing algorithm. Using an effective worst-case capacitance which considers mirror effect of coupling capacitance, the effectiveness of adding ground plane and insertion of shield wires are evaluated from the aspect of weakening capacitive coupling and simplifying capacitance extraction. Experimental results reveal that ground plane and shield wires contribute both to reduce the effective worst-case capacitance and to simplify capacitance extraction.
著者
密山 幸男 Andales Zaldy 尾上 孝雄 白川 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.146, pp.89-94, 2001-06-22

AES(Advanced Encryption Standard)をはじめとする次世代128ビットブロック暗号の高性能化を実現する"burstモード"と呼ばれる新しい暗号モードが提案されている. burstモードは, ストリーム暗号型の暗号モードであり, 16回のブロック暗号処理によって64ブロックの平文に対して暗号処理を行うため, 従来の暗号モードと比較して, 処理速度を大きく向上させることができる. 本稿では, ブロック暗号アルゴリズムにAESを用い, burstモードをソフトウェアおよびハードウェアによって実装し, それぞれの実装結果について比較評価を行う. burstモードのすべてをソフトウェアで実装する場合には, 従来の暗号モードと比較して約2倍の処理速度が達成できることがわかった. 一方, ハードウェアで実装する場合, すなわち, ソフトウェアで実装したAESとburstモードのアクセラレータコアを併用する場合には, 処理速度が4倍まで向上でき, 最大1.3Gbpsの処理速度が達成できることがわかった.