著者
金井 裕
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.9-15, 2012-09 (Released:2013-10-08)
著者
衛藤 真理子
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.9-15, 2002-10-01
被引用文献数
3

わが国では、高病原性鳥インフルエンザ(家禽ペスト)は1951年の発生以来認められず、約50年間清浄状態が保たれている。しかし、海外では、1980年以降に米国、メキシコ、イタリア、香港などでの発生がある。一方、わが国には海外から年間約100万羽の初生ひな、約60万羽の愛玩鳥、約65万トンの家禽肉、約15万トンの卵、約8千トンの羽毛類が輸入されている。これら輸入動畜産物を介して家禽の重要疾病が海外から侵入する危険性は高く、動物検疫所では疾病発生国からの輸入停止措置を講じたり、動物のけい留検査や畜産物の精密検査および消毒などの措置による水際防疫を行っている。防疫対策の一つとして、2001年より中国産家禽肉等についてサンプリング検査によるウイルス保有状況調査を実施しているので、ウイルス分離の現状と分離株の性状について紹介する。また、米国では昨年末より低病原性鳥インフルエンザの発生が数州で認められているので、その発生状況とわが国の防疫対応について概説する。
著者
大久保 喜美 東條 秀徳
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.84-90, 2009-08-25
参考文献数
4
被引用文献数
1

消石灰による「待ち受け消毒」効果を検証することを目的に、消石灰粉末および1%消石灰液による踏み込み消毒について、鳥インフルエンザウイルス(AIV)ならびに病原性細菌であるSalmonella Typhimurium(ST)およびStaphylococcus aureus(SA)を用いた感作試験により、その効果を調査した。1%消石灰液をAIVに感作させると、感染性を消失させることはできたが、赤血球凝集能(HA)への影響はなかった。STに対し消石灰は粉末、1%消石灰液および0.1%消石灰液で消毒効果はみられたが、SAは容易に消毒できなかった。消石灰の消毒効果は、乾燥粉末状態であれば強アルカリ性(pH12以上)を示し長期間保たれるが、一度濡れた後乾燥すると炭酸カルシウム(炭酸Ca)へと変化し失われた。即ち、降雨にさらされる屋外での粉末散布では、降雨後晴れて地面が乾燥すれば、再度散布が必要であると示唆された。また、有効散布量は1m2当たり300g以上で、かつ均等に散布することが重要である。踏み込み消毒に用いた1%消石灰液は強アルカリ性を保持し、一般細菌や大腸菌群に対し長期間有効であった。さらに1%消石灰液に1%(v/v)の逆性石鹸を追加することで、芽胞桿菌および真菌も発育を抑制し消毒効果が増強された。以上のことから、養鶏農場外縁部および鶏舎周囲への消石灰の粉末散布は、AIV等病原性微生物を含んだ野鳥糞便の鶏舎周囲への落下および体表に病原性微生物が付着した野生生物が鶏舎に侵入する際の「待ち受け消毒」として、また1%消石灰液は鶏舎内に立ち入る人に対する「待ち受け消毒」である踏み込み消毒槽に用いる消毒剤としての有効性が確認された。
著者
片山 雅一 橋本 信一郎 渡邊 理 細川 みえ 御領 政信 伊藤 裕和
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.275-284, 2013-02-25
参考文献数
33

1992年4月から食鳥検査が施行されている。また2003年5月には食鳥検査法が改正され,食鳥検査の対象疾病が,家畜伝染病予防法の規定する監視伝染病に改められた。これにより対象疾病が拡大され,より厳密な食鳥検査の必要性が高まった。一方,食鳥検査を振り返ると,マレック病,原虫性疾患等大きく減少したが,細菌性疾病が急増している。また,食鳥肉を介したカンピロバクターによる食中毒は減少せず,公衆衛生上大きな問題となっている。これらの課題を解決していくには各自治体で公衆衛生部局と農林部局の連携が必要であると考え,食鳥検査の実態を紹介するとともに連携事例について検討した。その結果,両者が連携することにより(1),伝染病の摘発,清浄化(2),農場の生産性向上(3),処理場での廃棄率減少(4),食中毒菌の汚染状況把握(5),正確な診断,法的措置等の成果がみられていた。食鳥検査の課題を解決するためには,今後も両者のより一層の連携が必要不可欠であると考えられた。
著者
竹原 一明 江口 郁夫 種市 淳 鴻巣 泰 渡辺 理 斉加 啓三 山田 淳志
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.14-21, 2003-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
2

昨今の諸外国での鳥インフルエンザの発生、わが国での大規模養鶏場等におけるニューカッスル病の発生、また、加齢により産卵能力の低下した親鳥(廃鶏)のレンダリング化などに際して、わが国においても、鶏の大量殺処分および処分鶏の適正な処理方法が求められている。そこで、鶏病研究会では、実際に大規模養鶏場において大量殺処分を実施するにあたり、どのような留意点があるか、作業上の問題点、防疫上の問題点、動物福祉の観点から整理し、さらに、殺処分鶏の処理方法に関し、「家畜伝染病予防法(以下、家伝法」ならびに「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法)」等を参照し、疾病の予防、まん延防止や環境保全の観点からも検討し、わが国で実施可能な「鶏の大量殺処分および処分鶏の適正な処理方法」をとりまとめた。実際の適用に当たっては、既存の法令に照らし合わせて、実施することとなるため、各自治体の関係部署による指導の下に適切な処置をとる必要がある。本解説は、具体的な鶏の大量殺処分および処分鶏の適正な処理方法の現状と問題点を概説したものであり、今後必要に応じ参考にして頂きたい。
著者
谷村 信彦 御領 政信 佐藤 優 星野 富男 鴻巣 泰 片岡 稔雄 渡邊 紀之 小谷 猛夫 渡邊 理
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.125-135, 2002-11-25
参考文献数
81
被引用文献数
2

近年の養鶏産業においては、規模拡大と飼育密度の増大に伴う飼育環境の悪化によって日和見感染症や複合感染症あるいは非感染性疾病が増加する傾向にあり、これはブロイラーの皮膚疾病にも当てはまる。皮膚病変を有する鶏は食鳥検査時にと体の品質の格下げ、部分廃棄または全廃棄処分となるため、皮膚病変による廃棄率を低減することはブロイラー産業にとって重要な課題である。また、皮膚病変部に付随する微生物が食鳥処理場に持ち込まれると鶏肉の安全性を損なう可能性があり、食鳥処理場における微生物制御の観点からもブロイラー農場で皮膚疾病の発生を抑える衛生対策が必要である。ブロイラーの皮膚疾病は、病原微生物および宿主要因、環境要因などが複合して発症に関与し、病変も多様である。対策は各々の疾病の原因に基づいて選択しなければならないが、原因や発病機序が未解明の疾病もある。これらの諸問題を整理し、農場における衛生管理および食鳥検査時の疾病摘発に資するため、食鳥検査で廃棄原因となり得る主要な皮膚疾病について病変の特徴および病因、対策を概説する。
著者
塚本 健司 伊藤 裕和 林 志鋒 稲垣 修司 斎加 啓三 森 昌昭
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-13, 2003-05-25
参考文献数
12
被引用文献数
4

チャボ、シャモ、オナガドリ等の貴重な日本鶏を観賞用・品評会用に、手塩にかけて育てている愛鶏家が全国各地に多く存在する。また、地場産業活性化の一環として都道府県が開発した高級鶏肉用地鶏を、飼育し始めた養鶏家が近年増加する傾向にある。これまで鶏病研究会ではウズラ、キジ、七面鳥、ホロホロ鳥、烏骨鶏、アヒル、ガチョウ、バリケンについて、疾病と衛生対策の解説をまとめてきた。しかし、飼養規模は小さくても、飼養戸数が比較的多い愛玩鶏や地鶏の衛生対策についてはまとめられていない。そこで、鶏病研究会専門委員会では、2001年8~11月にかけて都道府県の養鶏試験場・種鶏場等、地鶏農家および愛鶏家を対象にして、愛玩鶏・地鶏の飼育や衛生対策の実態についてアンケート調査を実施した。また、鶏種によってワクチン抗体応答に違いがあるかについて調べた。本解説では、これらの情報と資料を基に、愛玩鶏・地鶏の衛生対策とその取組み方についてまとめた。
著者
Leok Chen Sau 井上 勇 正村 京子 武田 繁幸 DARMAN H.
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.181-187, 2001-02-25
参考文献数
11
被引用文献数
1

1995年9月から1998年9月の間,インドネシアの3地区で地鶏に寄生している眼虫の疫学調査と分離虫体の同定および病理学的観察を行った。その結果,眼虫の検出率はジャワ島ボゴール地区20%,スマトラ島バンダルランポン地区93.3%およびカリマンタン島バンジャルバル地区6.7%であった。分離虫体は口唇がなく,口腔はひょうたん形で頭部側方に1対,正中面に2対の乳頭が,また尾部にも肛門前に4対,肛門後方に2対の乳頭がみられた。雄虫の体長は12.64±2.80mm,交接刺は左右の長さおよび形が著しく異なっていた。雌虫の体長は13.55±2.44mmで,子宮内には無数の含子虫卵が充満していた。以上の形態学的特徴から,今回インドネシアの地鶏の眼から検出した線虫をマンソン眼虫Oxyspirura mansoniと同定した。病理組織学的には虫体寄生鶏の眼結膜に細胞浸潤,リンパ濾胞形成,粘膜上皮の剥離脱落,細胞の空胞化,肥厚および結膜のポリープ状が観察され,慢性結膜炎および濾胞性結膜炎の病変がみられた。
著者
伊藤 壽啓
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.1-7, 2013-09-25
参考文献数
8

この10年間にH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスは世界64カ国におよぶ大流行を引き起こし,今尚,中国,ベトナム,インドネシア,エジプトなど一部の国々においては,家禽や野鳥間のみならず,家禽から人への直接伝播をも含めた流行が繰り返されている。一方,2013年3月,中国本土において,H7N9亜型の低病原性鳥インフルエンザウイルスが人に感染し,これまでに感染者134名,うち43名の死亡が確認されている(2013年7月20日現在)。その他にも,メキシコにおけるH7N3亜型,台湾におけるH5N2亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスの出現や,以前からアジアを中心に蔓延を続けるH9N2亜型の鳥インフルエンザウイルス,さらには2013年6月の台湾におけるH6N1亜型鳥インフルエンザウイルスの人への感染など,海外における鳥インフルエンザの流行状況は,近年一段と多様化,複雑化の様相を呈している。
著者
木本 彩美
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, 2013-05-25

本症例では腫瘤と脛骨との分離が困難であり,組織学的に脛骨骨頭における腫瘍細胞の浸潤性増殖が認められた。また,不規則な形態の類骨が右膝関節の腫瘤のほか,肝臓や肺,および腎臓の腫瘤にも形成されていた。骨肉腫の特徴は腫瘍細胞が骨または類骨組織を直接形成することである。また,組織像はきわめて多彩で,同ーの症例でも部位によって種々の像を示すことが知られている。本症例においても正常筋組織との境界部から脛骨骨頭へ移行するにつれて,線維肉腫様の部分や鍍銀染色で箱入り像を示す部分など,様々な像が観察された。以上より,本症例を骨肉腫と診断した。わが国における鶏の骨肉腫の報告はきわめて少ない。不明な点が多々あるので,今後も症例数を重ね,検討を続けていくことが重要だと思われる。
著者
大槻 公一
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.63-71, 1997-08-25
参考文献数
64
被引用文献数
5
著者
村野 多可子 青木 ふき乃 脇 雅之 椎名 幸一 石原 克己 小俣 友紀子
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.171-180, 2001-02-25
被引用文献数
6

市販Salmonella Enteritidis(SE)不活化油性アジュバントワクチン(SEワクチン)の生産性に及ぼす影響と有効性について検討した。採卵鶏5銘柄を各々100羽づつ供試し,各銘柄の50羽に104日齢でSEワクチンを肩部皮下接種した。その後,474日齢まで体重,飼料摂取量,産卵諸性能,抗体価を経時的に調査した。生産性に及ぼす悪影響は各銘柄とも接種後1週以内に最も顕著に認められたが,回復状況は銘柄により異なり,銘柄4のように初期産卵まで影響が継続するものもあった。抗体の産生性と持続性は銘柄により大きく異なり,銘柄1はピークも低く,持続性も悪かったが,銘柄3は調査終了時でも高い値を示した。さらに475日齢に各銘柄のワクチン接種群と無接種対照群の各々8羽にSE ZK-2a株のリファンピシン耐性株を経口接種により攻撃した。その結果,拝菌数は銘柄2,3,5で,調査日によりワクチン接種群と無接種対照群の間で有意な差が認められたが,肝臓,脾臓,卵巣,卵管における生菌数は各銘柄とも明らかな差はみられなかった。以上の成績からSEワクチンの使用にあたっては,鶏の銘柄によってワクチン接種に対する応答の異なることを考慮する必要のあることが示唆された。
著者
山田 果林 竹原 一明 中村 政幸
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.13-21, 1999-05-25
被引用文献数
22
著者
白石忠明
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.162-167, 1989-09
被引用文献数
3
著者
塚本 健司
出版者
鶏病研究会
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.43-45, 2003-05-25
被引用文献数
2

オランダとベルギーで発生した高病原性鳥インフルエンザについてProMed情報を基にまとめた。ProMed情報によれば、2003年2月28日にオランダ南東部、ドイツ国境に面したGelderland州において、高病原性鳥インフルエンザが発生し、4月26日現在までに、可能性の高いものを含めて240農場が被害を受けた。4月末日の段階で、発生地域はオランダ南東部の3州(Gelderland、Utrecht、Noord-Brabant)に広まっており、終息の目処はたっていない。死亡鶏には典型的な病変(頭部・鶏冠・肉水の水腫と全身の出血斑など)が観察され、養鶏場での死亡率(80%)も高い。発生農場の半径1km(後に3km)の円内の家禽は全て殺処分の対象であり、これまでに2400万羽が処分された(5月2日現在全鶏の24%)。また、移動禁止は当初発生農場の半径10km以内とされていたが、その後オランダ全土に拡大されており、移動禁止の対象は家禽ばかりでなく馬・牛・羊・豚も含まれている。
著者
浦本京也
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.247-253, 1990-12
被引用文献数
17