著者
大塚 基広 平 博順 真貝 寿明
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,解答解説機能付き微積分ソルバの開発を行った.開発した自動解答ソルバは,主に大学生1年生レベルの微積分学について,教育目的として開発された.今まで,数式処理ソフトは多数開発されてきたが,解説を付与するものは少なく,答えのみを返すものが多かった.そこで本研究では,計算結果を出力するだけではなく,導出過程も出力し,加えて,グラフ描画や,接線を求める機能,Taylor展開や偏微分といった問題にも対応できるソルバの開発を行った.本ソルバでは,本学部1年生の講義「微積分学I」の期末試験の過去問について,70%の精度で解答として通用するものを作成できた.また現在,ソルバで解けない問題に対しても,ヒントを提示するようにして,対処している.
著者
田草川 智秋 内田 英明 藤井 秀樹 吉村 忍
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年、環境保護の観点から電気自動車(以下EV)と再生可能エネルギーへの期待が高まっているが、将来的なEVの大規模な普及に対して、大都市におけるEVの充電需要やそれに対する太陽光発電の重要性をシミュレーションにより明らかにする必要がある。本研究ではEVエージェントを実装した交通シミュレータを用いて、EVの普及による岡山市周辺の電力系統への影響を定量的に評価し、現状の太陽光エネルギーによる発電量と比較した。結果として、EVによる消費電力を太陽光発電によって安定的にカバーするためには充電時間の適切な誘導やEVの性能向上を行う必要があることを示した。
著者
原 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

深層学習モデルはその複雑な内部のネットワーク構造がゆえに、モデルがどのような認識機構に基づいて画像認識を行っているかを人間がうかがい知ることはできない。このモデルのブラックボックス性を緩和して説明性を高めるために、特に画像認識の分野において視覚的な説明性を向上させる方法の研究が進めらている。これら視覚的な説明では、深層学習モデルが画像中のどの領域を根拠に認識を行なっているか、その認識対象を特定してハイライトする。本研究では鮮明なハイライトを得るための前処理方法として活性固定化を提案する。活性固定化ではまず前処理として深層学習モデルの認識に寄与している主要な構造だけを残して、残りの非主要部を枝刈りする。その後で既存の視覚的説明法でハイライトを生成する。このように前処理として活性固定化によりモデルの非主要部を枝刈りすることで、非主要部に由来するノイズを除去した鮮明なハイライトを生成できる。
著者
松吉 俊 内海 彰
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

メタファー写像と後編集を利用した物語自動生成のフレームワークを提案する。このフレームワークは、以下の手順からなる。1. メタファー写像データベースの構築、2. 複数シミュレーターによる状態遷移列の生成、3. メタファー写像を利用した言語化、4. 後編集、5.アーカイブ化。本提案手法の主な特長は次の通りである。内部表現を一切利用しないことが選択可能、モジュールごとの評価が比較的容易、不適切な表現が出力されないように事前に制御可能、物語文章を逐次生成する場合、読者からの質問に回答可能であり、読者からの要望に応えて物語の現状を途中改変可能。
著者
坪田 亘記 小川 徹 山崎 俊彦 相澤 清晴
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では個別の漫画でのキャラクターの分類を目的とする.キャラクターの顔とコマのバウンディングボックスが与えられているという条件で,深層距離学習によって個別の漫画への適応した特徴量を作成してクラスタリングを行う手法を提案する.深層距離学習に必要な正ペアと負ペアを,漫画特有の性質である同じキャラクターは近くのページやコマに登場しやすく,同一のコマに現れるキャラクターはほぼ異なるという性質を考慮して推測する.個別の漫画に適応したことによりクラスタリングが改善した.
著者
斉藤 絢基 中村 聡史
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

コミックの創作を行う際,キャラクタのセリフやナレーションなどで用いられる文字をキャラクタの性格や場面の雰囲気に合わせた文字デザインを行うが,日本語フォントはその文字数の多さから,英語フォントに比べバリエーションが少なく,また高価であるため,その場その場にあった文字デザインをすることは容易ではない.そこで本研究では,任意の既存のフォントを組み合わせて新たなフォントを作り出す手法を実現し,そのフォントの組み合わせ度合いを自在に変化させることによって,新たなフォントを生成する手法を提案する.また,提案手法を用いたコミックで使用する文字のデザインを支援するプロトタイプシステムを実装し,提案手法の有用性を議論する.
著者
平岡 誉史 山西 良典 西原 陽子
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では,コミックのコマの重要度を推定する手法を提案する.提案手法はPage-Rankのアイデアを応用したものであり,コマ同士のリンク関係を用いてコマの重要度を推定する.コマ同士のリンク関係はキャラクターの画像情報や台詞情報などのコマ中に含まれるメタデータをもとに構築される。各コマの重要度はコマのリンク数によって求められる。実際のコミックに対して提案手法を適応し,どのようなコマが高い重要度を持つと推定されるのか検証を行った.また実験結果より提案手法の有用性を検討した.
著者
近藤 まなみ 長谷川 拓 森 直樹 松本 啓之亮
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,AIの分野で人狼ゲームが注目を集めている.人狼ゲームはコミュニケーションゲームの一種であり,不完全情報ゲームに分類される.人狼ゲームには未知の情報があるため,このゲームを攻略する戦略の一つとして,未知の情報を予測に基づいて判断することが挙げられる.人狼ゲームにおいてプレイヤが知ることができる情報は限られており、その中には虚偽が存在する可能性がある.本論文では限られた情報を学習することで不確実な情報下での予測を試みるため,人狼ゲームの持つ時系列性を考慮し,LSTMを用いた.また,得られた予測モデルを用いてゲーム分析をした.
著者
村上 佳菜子 橋本 典明 木戸 尚治 平野 靖 間普 真吾 近藤 堅司 小澤 順
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,Deep Learningを用いた医用画像の解析の手法が多く提案されており,その中でも画像認識に優れているCNNが用いられることが多い.CNNを用いてびまん性肺疾患を識別する際,陰影ごとに関心領域を切り出す必要がある.しかし,びまん性肺疾患の診断においては識別とともに検出が重要である.そこで本研究では,関心領域を設定せず,CT画像からびまん性肺疾患の領域を検出・抽出する方法を提案する.本研究では,U-NetとFCNを用いて6つの陰影パターンの領域抽出を試み,CNNと比較した.
著者
高橋 慧 沼尻 匠 曽我部 完 坂本 克好 山口 浩一 横川 慎二 曽我部 東馬
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を非画像データに適用する方法を提案する。 CNNは、画像処理や音声認識などの多くの分野で成功しています。一方、csvファイルなどの非画像データにCNNを適用することは困難でした。画像のような低次元グリッド構造のデータの順序は意味を持ち、CNNはその順序を画像の特徴として認識して処理する。したがって、CNNは、構造を変更できる非画像データに対して特徴認識を行うことができなかった。我々は、非画像データのシーケンスに意味を与えることによってCNNを適用可能にする方法に焦点を当て、改善を加えることによって提案手法の有効性を実証した。
著者
JIANWEI XIE Fujio Toriumi
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

Structuring of a medical report has various applications. But most of them are only for supporting professionals to write well-structured reports, which means it cannot structurize reports without manual checks. In this study, we propose an automatic method to structurize medical image report findings. It extracts important information like disease names or symptoms in sentences and marks them with proper tags. With these tags, professionals can easily get the information they need from the report. Furthermore, we apply the method to a real dataset and get remarkably good results.
著者
河田 尚孝 磯崎 秀樹 菊井 玄一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

パラメータの最適化は、統計的機械翻訳のパフォーマンスを向上させるために不可欠です。 MERTは標準的な目的関数としてBLEUを使用する最適化ツールです。 しかし、日本語と英語のように語順が非常に異なる言語間の翻訳では、BLEUは人間の判断との相関が非常に低いです。したがって、BLEUの代わりにRIBESのような人手相関の高い評価関数を最適化プロセスの目的関数として使用する方がよい。 本稿では、MERTの目的関数として用いたRIBESの効果を調べ、SMTが原文とは大きく異なる語順を決定する際に、RIBESがBLEUよりも優れていることを見出した。
著者
池田 流弥 安藤 一秋
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

旅行者が土産を選ぶ際,その場所でしか手に入らない土産の需要が高まっている.その理由として,オンラインショッピングサイトで様々な土産が購入できることが挙げられる.しかし,現地でしか購入できない土産情報をまとめたWebサイトやサービスは存在しない.そこで,本研究では,現地でしか購入できない土産の情報を提示するシステムの構築を目的とする.本稿では,ブログ記事から土産の品名および販売店舗名を自動抽出する手法を提案する.そして,実験により提案手法の有効性を確認する.
著者
宮崎 邦洋 村山 菜月 山本 裕樹 牛山 史明 大澤 昇平 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

サブスクリプション方式のサービスを採用している企業が増えつつある昨今,ユーザ離脱予測はより重要な課題となっている.既存研究では既に多くの機械学習モデルを用いた研究が行われているが,ユーザ離脱予測は時系列データと非時系列データなどの多様なデータ組み合わせて学習させねばならず,それらを上手く組み合わせた学習モデルは十分に研究されていない.一方で,深層学習の技術は依然発達しており,その特徴としては様々なデータとモデルをEnd-to-Endで学習できることが挙げられる.本研究では,ロボアドバイザーのサービスを運営するウェルスナビ株式会社のデータを用い,深層学習を用いたユーザ離脱予測モデルを提案する.具体的には時系列データや非時系列データを一つのモデルで学習させる手法を提案する.実験ではベンチマークとなる既存研究の分類器の精度を上回る結果を得たことで,本手法の有効性が実証された.
著者
鶴田 穣士 岡 夏樹 田中 一晶
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

音楽を用いたコミュニケーション手段として,ジャムセッションというものがある.それを人間と機械の間でも可能としたものがジャムセッションシステムであり,今まで多く研究がなされてきた.ジャムセッションではボーカルがスキャットと呼ばれる歌唱法を用いることがある.本稿では,ユーザの演奏に対してシステムが初音ミクを用いてスキャットを返すという形態のジャムセッションシステムを提案する.また,この提案システムでは,ジャムセッションを通してユーザが好むスキャットの言葉を強化学習することを目指した.提案システムの実装を行い,ユーザが好むスキャットの言葉の学習を確かめた.
著者
宮本 和典 福島 宙輝
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では,嗜好品飲料を対象とし,その味わいの表象を図形と形容詞による複層的な記述として問う実験の手法を提案する.本手法は,従来の手法に比べて二次元図形を多数提示することからタブレット端末を用いて選択肢を提示する.二次元図形はシンメトリ/アシンメトリ,尖り/丸みなどの特性をふまえて選定した100種の図形から,各試行25種をランダムに提示する.図形の選択の後,形容詞の選択を行う.形容詞群は味覚表現において頻出する形容詞100語から,25語をランダムに提示する.全国大会の口頭発表においては,この手法によって得られた,対応のある図形と形容詞の選択結果を分析し,結果を提示する.
著者
Sun Mingfei 辻川 剛範 大西 祥史 Ma Xiaojuan 西野 淳 橋本 哲
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

瞬きやまぶたの垂れ下がりなど眼に関連した動きが眠気の顕著な症状であるとの報告は多くある。 しかしながら、これらの運きによって説明される眠気推定のための計算上の有効性を調査した者はほとんどいない。この論文では、まぶたの動きと眼球の動きの2つの典型的な動きを分析し、CNN-NetとCNN-LSTM-Netという異なるニューラルネットワークモデルを用いて調査する。 実験において、まぶたと眼球の両方の動きを用いることは、短時間での眠気推定において、まぶたの動きだけを用いるよりも良好な性能を示す。また眼球の動きのみを用いた場合、ベースライン(PERCLOS法)よりも悪化することを示す。 さらに、CNN-Netは、CNN-LSTM-Netよりも正確な眠気度の推定に有効であることを示す。
著者
篠田 広人 仲榮眞 一朗 難波 英嗣 竹澤 寿幸
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,研究者数の増加および学問分野の専門分化と共に学術情報量が爆発的に増加している.研究者が入手できる学術論文の量が増える一方で,そのすべてに目を通すことが困難である.そこで論文の内容を効率的に把握するための読解支援システムが求められている.これまでに,様々な観点から論文読解を支持するシステムが提案されてきたが,本研究では, 論文内の図表に着目したシステムを構築する.図表は,論文中の説明文の要点を表したものと捉えることができ,被験者に説明文だけを提示するよりも,図表とともに説明文を提示したほうが,内容の理解に有用である.本研究では,論文中の図表と,個々の図表に対応する文を自動的に対応付け,ユーザに表示することで論文読解の支援を行う.提案手法の有効性を調べるため,実験を行った.実験の結果,精度0.65,再現率0.13が得られ,提案手法の有効性が確認できた.
著者
内田 脩斗 吉川 大弘 ジメネス フェリックス 古橋 武
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

文書分類は,現代の情報化社会において重要な技術である. また,Word2vecを用いて単語の意味関係をベクトルへ埋め込む分散表現が近年注目を集めており,文書分類へ適用する手法も報告されている. 分散表現は一般的にWord2Vecと呼ばれるツールを用いて生成される.そして,Word2Vecはニューラルネットワークを用いた学習構造をしており,ネットワーク内の入力側の重みを分散表現として利用している.しかし,Word2Vecでは,分散表現とは別にネットワーク上で学習される出力側の重みが存在し,異なる性質を持っていると考えられるが一般的に利用されていない. そこで本稿では,分散表現と出力側の重みを利用したアンサンブル学習による文書分類手法を提案し,提案手法の有用性を示す.
著者
加藤 拓也 稲本 万里子 小長谷 明彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

源氏絵とは,『源氏物語』を題材とした絵画の総称である.源氏絵の絵師には土佐派をはじめ狩野派,岩佐派,など多数の流派があり,各流派独自の個性がある.これまでに見つかった作品にはどの流派の絵師が描いたかわからないものがあり,美術史の専門家たち中でも意見が分かれている.そのため新たな知見から流派を判断する手法が望まれる.近年,深層学習の一種である畳み込みニューラルネットワークの画像分類能力の向上は著しく,一部の分野では人間よりも高いという報告もある.深層学習では特徴量がデータから学習されるため,これまで人間が発見していない特徴量に基づく分類をすることが期待できる.本稿では,深層学習による物体検出手法を用いて顔を自動認識し,畳み込みニューラルネットワークにより流派を推定する.5分割交叉検証を行った結果,96.5%の精度で分類することに成功した.