著者
吉田 剛 鷲尾 隆 大城 敬人 谷口 正輝
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

急速に発展している先端計測技術の膨大な出力は複雑でノイズが多く,計測対象の高精度推定やノイズ除去のために機械学習技術を適用する必要性が高まっている.ところが既存の標準的機械学習は対象の母集団分布が変わらないことを前提とするベイズ推定を基にしている.そのため例えば,統計的に非定常な計測ノイズを除去するには,対象分布に依存しない最尤推定原理に基づいた新しい手法が必要となる.本研究では計測ノイズ除去のために,最尤推定原理に基づき多数のラベルなし事例と少数の正例からPU分類器(Positive and Unlabeled Classification)を学習する原理の検討を行った.そしてこの検討PUC手法を,現実の計測ノイズ除去問題に適用し,高精度・高ロバストな性能を得た.
著者
赤間 怜奈 渡邉 研斗 横井 祥 小林 颯介 乾 健太郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究は,教師なし学習によりスタイル(言葉遣いや文体など)の類似性を捉えるを試みる初めての研究である.本研究では「スタイル」の類似性を捉えるベクトル空間を構築するに当たり,「同一発話内に含まれる単語は同一のスタイルを持つ」という仮定を置く.この仮定に基づき,同一発話内の単語を予測できるようなベクトルを構成することで,スタイルの類似性を捉えた単語ベクトル空間を獲得する手法を提案する.我々が期待する単語ベクトル空間とは,(「意味」は近くとも)「スタイル」が大きく異なる``俺''と``私''は遠くに配置され,(「意味」は異なっているとしても)「スタイル」が似ている``俺''と``だぜ''が近くに配置されるような空間である.さらに本研究では,スタイルの類似性を包括的に定量評価する手法を提案し,そのための評価データセットを新たに作成する.提案手法により獲得した単語ベクトルが,スタイルの類似性を捉えていることを定量的および定性的に示す.
著者
尾崎 僚 谷口 忠大
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

幼児の語彙獲得の過程において,連続音声信号からの単語分割が重要なタスクであると知られている.音声言語は,音素と音素の組み合わせによって単語を構成する二重分節構造を持つ.二重分節構造を持つ時系列データを解析する手法の一つに,ノンパラメトリックベイズ二重分節解析器がある.ノンパラメトリックベイズ二重分節解析器は計算コストが非常に大きく,大規模な音声データの解析には非常に長い時間を要するという問題があった.本研究では,ノンパラメトリックベイズ二重分節解析器の高速化を図る.本研究ではルックアップテーブルを導入することで,ノンパラメトリックベイズ二重分節解析器の高速化を実現する.本研究では,推論計算過程の効率化により,計算量オーダを3 次オーダから2 次オーダに削減し,実行時間を90%削減した.
著者
佐藤 信夫
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

我々は人間の行動やコミュニケーションの定量計測を可能にするセンサデバイスの研究を2007年から行っている.研究内容は,センサデバイスの開発だけでなく,行動分析からその利活用までと多岐にわたる.本報告では、我々が今まで取り組んできた行動計測/行動分析手法,及び,ビジネスの事例から,顧客の課題をどのようして解決に導いてきたのかを実例を交えて紹介する.
著者
小田 利彦 今井 紘 内藤 丈嗣 竹林 一
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

IoTデバイスから集まるセンシングデータに基づくアプリケーションを開発するデータ利用者に対して、センシングデータ流通市場に対するニーズが高まりつつある。データ利用者に対しては、AIなどのデータ分析を行うために、センシングデータのみならず、そのメタデータも重要な情報である。我々は、センシングデータのメタデータの定義、生成・配信し、データ利用者が活用に関する課題を検討するとともに、Iotシステム上にプロトタイプを作成して評価した。
著者
中川 慧 今村 光良 吉田 健一
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

時系列およびクロスセクションの属性を持つデータセットに対する時系列勾配ブースティング木を提案する。我々の時系列勾配ブースティング木は、内部ノードに時系列およびクロスセクションの属性を持つ弱学習器をもち、時系列間の非類似度に基づく基準例分割テストまたは通常の不純度に基づく分割を行う。時系列間の非類似性は、Dynamic Time Warping(DTW)または金融時系列に対してはIndexing DTWによって定義される。TOPIXを対象とした株価予測の結果は、提案手法は収益性、精度ともに優れていることが確認できた。
著者
亀岡 孝治 塚原 茜 亀岡 慎一 伊藤 良栄 橋本 篤
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

従来の鮮度・品質計測手法の多くは分離分析であり,計測に非常に時間が掛かる等の問題点が多数存在した.そこで,本研究では元素と有機物に着目し,レタスの劣化過程の定量を試みた.さらに表面色彩と水分計測から,外観品質による鮮度(劣化)評価と客観的評価の関係性を把握し,将来的に機械学習に繋がる鮮度評価のためのデータセットと評価方法を検討した.この結果、レタス表面色彩(色相,彩度)の変化と内部品質の関係性が認められたため,実験データを蓄積し機械学習・深層学習を用いて色彩の変化点と内部品質の関係性の解析を行うことで、表面の色彩情報だけを用いてレタスの鮮度を定量・予測できる可能性が示された.
著者
石王 拓斗 神田 智子
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では、人間の視線行動の分析に基づく視線モデルを眼球の操作可能なロボット及びCGエージェントに実装し、エージェントの実体性と凝視量の変化が、ユーザーのエージェントに対する性格特性認知に与える影響を分析した。その結果、同じ視線行動でも凝視量を変化させることにより、エージェントの外向性や自信に関するパーソナリティを表出することが可能であることが示唆された。また、凝視量の増加に伴う外向性評価の変化はエージェントの実体性により異なり、CGエージェントは凝視量の増加に比例して外向性の評価が上昇するのに対し、ロボットは凝視量の増加に対して外向性の評価が対数的に上昇する傾向となることが示された。
著者
佐藤 遼河 杉本 徹
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究の目的はコーパスとシソーラスを用いてユーザが指定した被喩辞と特徴語の組に対応する比喩を生成し、提案するシステムを構築することである。本研究では、2つのプロセスから喩辞を求める。1つめはword2vecを用いて被喩辞と特徴語の単語ベクトルを取得し、コサイン類似度を基に喩辞の選択に用いる。word2vecを用いることで任意のコーパスから単語ベクトルを作成することができ、ユーザの執筆する文章に合わせたことば選びが可能である。2つめは分類語彙表のカテゴリを用いて特徴語とカテゴリの共起行列を作成し、特徴語と共起しやすいカテゴリに属する単語を喩辞とする。共起行列により特徴語に適した多様な喩辞を提案できる。システムが生成した喩辞を適切性と有用性の観点から評価した。結果として、適切な比喩の割合は低いもののユーザが文章を作成するに当たって有用な比喩を生成することができた。次に、青空文庫をコーパスとした単語ベクトルを用いた場合の喩辞と国語研日本語ウェブコーパスの単語ベクトルを用いた場合の喩辞を比較した。その結果コーパスを変えることでユーザの執筆する文章に合わせた喩辞が出力できることが分かった。
著者
松江 清高 野田 英樹 近藤 浩一
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

個人行動データを用いて各個人がビル内の食堂を利用するかどうかを推定するモデルを作成し、それを食堂食事数予測問題へ適用したときの効果を分析した。従来は、個人行動データを用いず、機械学習の一つであるランダムフォレストにより食堂利用率を推定するモデルを作成し、その結果とビル在館者数から食堂食事数を予測していた。従来手法で食堂食事数を予測した場合の予測誤差は約47食であるのに対し、個人行動モデルを適用した場合は約44食となり、従来手法を若干上回る結果が得られた。
著者
永田 鴻流 黒木 康能 岡田 昌也
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

取り得る行動の選択肢が膨大に存在する実世界において,人は取得した状況情報から行動生成に関する制約条件を見出し,適切な行動を決定できる.本研究では,人が多様な状況のそれぞれに適応した行動を生成することを「状況論的知能の発現」と考える.本稿では,人が状況論的知能を発現させる際の計算構造を理解するために,人をある種のロボティクスシステムとして見なした研究手法を提案する.具体的には,人の知能発現状況に関して生態学的妥当性を有する実験環境において,(1)実世界における人の知能についてその仮説をもとに行動と状況の視点で確率・数理モデルを構成すること,(2)そのモデルを実践的に検証して得られた知見から新たな仮説(モデル)を生成すること,の二点を繰り返すものである.
著者
水岡 良彰 中田 康太 折原 良平
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

テレビ視聴者の長期的な視聴パターンの推移に関する調査・分析は,シーズンやイベント,ライフステージといった視聴者の長期的な習慣の変化を考慮した番組やCMの制作に有効と考えられる.近年のネットワーク対応テレビの普及により,ユーザの利用許諾を得たテレビ機器から視聴データの取得が可能となっている.本研究では,まず視聴パターンにクラスタリング手法を適用することで特定の期間から典型的な視聴パターンを抽出する.次に抽出した視聴パターンをテンプレート化し,特定の期間以上の長期間に渡ってテンプレートに合致するか判定する.さらに判定結果を再度クラスタリングすることで多くの視聴者に共通する視聴パターンの推移を抽出し,抽出した視聴パターンの長期的な推移を分析する.この推移は,長期間継続する習慣や習慣が変化したタイミングなどを一目で把握できるよう可視化して観察する.1年以上に渡る実データの分析結果を示し,本アプローチがテレビメディアの魅力向上に活用できる可能性を示す.
著者
佐藤 紗都 伍井 啓恭 奥村 学
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では、製品マニュアル文から関連する質問回答対を自動的に生成するシステムを開発するための第一歩として、マニュアル文から質問文を自動的に生成する方法を提示する。 約1400文のデータセットを用いた実験の結果、生成された文章と人手で作成された質問文とを比較することにより、BLEUスコア62.11を得た。
著者
日和 悟 廣安 知之
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

Well-beingを促進するためには、自身のwell-beingの状態を認識することが重要である。 そのためには、well-beingを定量化し、視覚化する必要がある。本研究では、心理的well-beingの定量化に焦点を当て、fMRIやfNIRSなどの脳機能イメージング技術に基づいてこれを実現することを検討する。本稿では、特定の認知状態にある際の脳活動パターン(メタ状態)を抽出する方法を提案する。メタ状態は脳機能ネットワークとしてモデル化され、進化的計算によりその特徴的な構造が決定される。 提案手法の有効性を確認するため、心理的well-beingを改善するとされる瞑想を行っている際のfMRIデータに本手法を適用した。 実験結果から、提案方法により決定された瞑想のメタ状態に対して、被験者の実際の脳活動状態との類似度を計算することで、被験者がどの程度瞑想できているかを定量化できる可能性が明らかになった。この結果は、提案手法がwell-beingの定量化に貢献できることを示唆した。
著者
大山 英明 床井 浩平 城間 直司 中村 壮亮 米村 朋子 鈴木 夏夫 大森 隆司 岡田 浩之
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

現実に様々な経験を体験している人(実体験者)の感覚情報を記録・送信し,それを体験者が体験した状態(体勢)で,再生することによって,実体験者の経験を仮想的に追体験できる.これを我々は体験共有と呼んでいる.全ての感覚を伝えることが理想であるが,当面,視覚・聴覚による体験共有を目指し,実体験者用のヘッドマウンテッドカメラと姿勢センサ,追体験者用のヘッドマウンテッドディスプレイから構成される,体験共有システム試作機を開発中である.本発表では,体験共有技術について紹介し,追体験者の手と実体験者の手や追体験者の手のCG表示との間の投射・異投射について述べる.さらに,体験共有における投射・異投射について本格的実験を行うための,体験共有システム試作機を用いた準備的な評価実験の結果を報告する.
著者
西田 知史 西本 伸志
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を用いた脳情報解読は実世界における様々な応用が期待されているが、新たな解読をするたびにfMRIによる脳活動計測が必要となり、その計測コストが応用の大きな障壁となっている。そこで本研究では、視覚コンテンツに誘起される知覚経験を推定するための脳情報解読として、解読モデルを構築後は追加のfMRI計測を必要としない、全く新しい形の解読手法の提案を行う。提案手法は、個人脳データから構築される、視覚情報が誘発する脳活動を予測するモデルと、予測した脳活動から知覚内容を解読するモデルから構成される。学習済みの2つのモデルを連結することで、新規の視覚情報に対して、追加のfMRI計測なしに個人の知覚内容が推定可能になる。検証の結果、提案手法は知覚内容を適切に推定し、かつ知覚の個人差も推定することが示された。これにより、提案手法は、任意の視覚入力により誘起される個人の知覚経験を、脳内知覚表象を介して推定する計算システムとして機能することが示唆された。
著者
作田 尋路 工藤 卓
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

脳の情報処理機序の解明には,非線形な神経電気活動パターンのダイナミクスを理解することが重要である.また,近年ディープラーニング(DL)が多分野で高い識別精度を発揮している.そこで本研究では,ラット海馬から調製した生体神経回路網に対して,電気刺激を印加することで観察される誘発応答電位を含む神経電気活動を計測し,異なる刺激に対する応答パターンの識別に対するDL手法の有効性を検証した.時空間的情報の連続性を保持するようにしながら,入力データを画像として作成し,事前学習手法として積層オートエンコーダを用いた積層人工ニューラルネットワークで,神経電気活動パターンの特徴抽出を試みた.その結果,パターン識別の精度は充分ではなかったが,刺激直後2秒のデータのみを識別対象とすることで,識別精度は刺激直後10秒のデータを対象とした場合と比較して約2倍に向上した.神経電気活動のように「ゆらぎ」の大きい現象について,DLの手法によってパターン識別を行う場合は,分類判別基準に対するデータのゆらぎに応じた相当数の入力データが必須であることが確認された.
著者
山田 真徳 Kim Heecheol 三好 康祐 山川 宏
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

ラベルなしの系列データからDisentangleされた表現を抽出するモデルであるtime convolutional variational ladder autoencoder (TCVLAE)を提案する. シンプルな2次元のデータで提案手法は時系列の意味の分離が可能なことを実験的に示した.
著者
近藤 瑠歩 山川 俊輔 増岡 優美 田島 伸 旭 良司
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて材料の物性予測に必要な特徴を微視組織から自動的に抽出することを試みた.まず,実験で得られた電子顕微鏡像およびイオン伝導度を訓練データとして用いてCNNを訓練した.次に,訓練後のCNNに電子顕微鏡像を入力した際のGlobal Average Pooling(GAP)レイヤー直後の発火と,与えた電子顕微鏡像の教師データ(イオン伝導度)との相関を調べ,正(負)の相関のあるものを高(低)イオン伝導体に特有の特徴と定義した.それぞれの特徴のGAP適用前の特徴マップを比較したところ,結晶欠陥の少ない領域および径の大きなボイドが高イオン伝導体に特有の特徴であり,径の小さなボイドが低イオン伝導体に特有の特徴であることが分かった.この知見は材料技術者の持つ知識と一致しており,CNNによる特徴の自動抽出が有効であることを示すことができた.
著者
朴 柄宣 居林 香奈枝 松下 光範
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,キャラクタの性格に基づいたコミック検索支援システムの実現の端緒として,エゴグラムを用いたキャラクタ性格分類を試みる.現状のコミック検索システムでは,コミックの内容情報に基づいた検索が困難である.そこで,Web 上のリソースから抽出したデータを用いて,エゴグラムに基づくキャラクタの性格分析手法をについて提案する.提案手法では,性格を表す語にエゴグラムの自我状態を基底とするベクトルを付与し,そのベクトルの値によって,キャラクタの性格を分類する.実験により,本手法のキャラクタ分類精度は 55.0% を示した.