著者
上村 卓也 澤山 正貴 西田 眞也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

自然な視覚刺激には光沢・半透明性・物体の素材などの豊富な質感が含まれる。一般に物を視る際には数多くの視覚特徴が処理されるため、多様な質感属性を統一的に説明することは難しい。本研究では、質感知覚に用いられる視覚特徴を説明するために、質感弁別課題の実験データを分析した。実験参加者の回答が刺激の画像特徴に基づいていると仮定し、画像特徴は画像分類に最適化された深層ニューラルネットワーク(DNN)によって計算した。画像分類に最適化されたDNNでは、深い層ほど複雑で抽象的な特徴が表現される。実験参加者の反応を最も良く説明したのは、中間の層の特徴であった。この結果から、質感知覚には比較的高次な特徴が重要であることが示唆される。また、質感の属性ごとに用いられる特徴が異なることもわかった。これらの結果から、DNNによって質感知覚に用いられる視覚特徴を効果的に説明できることが示唆される。
著者
高野 雅典 水野 寛
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

現実の社会関係では相談しにくいことも匿名のオンラインコミュニケーションではしやすくなる。しかし日本の若者が主に利用するオンラインコミュニケーションツール(Facebook、Twitter、LINE)は現実の社会関係を多く含む。そのような現実とその拡張の社会関係を補完するコミュニケーションツールは重要であろう。本研究は、アバターチャットサービス「ピグパーティ」におけるソーシャルサポートについて考察することが目的である。そのためにサービス運営者によるインタビュー結果をオンラインソーシャルサポートの観点から整理した。
著者
両角 貴弘 大囿 忠親 新谷 虎松
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

スポーツなどのスキルの習得に関して,練習者に対して熟達者のような指導が可能なシステムの実現が望まれている.本研究では,弓道を題材として,練習者に対する指導を可能とするシステムの実現を目指している.本稿では,弓道において基本となる型である射法八節を,システムが認識するために必要なデータの収集について述べる.また,射法八節習得支援システムの試作について述べる.弓道には段位が存在するため,初段以上を取得している者を熟達者として扱い,射法八節におけるフォーム(射形)の骨格情報を収集した.射形を評価する際に,重点的に評価したい節が撮影した動画において,どの部分であるかを把握するのは手間である.そこで,基本の型における各節の自動認識は有益である.本研究では,射法八節を認識するためのデータセットを作成するために,1)射法八節の映像・骨格情報の収集,2)骨格情報の評価・可視化,および3)映像上における各動作に対するタグ付けの3点を行った.また,射形評価を支援する射法八節習得支援システムの試作を行った.
著者
谷口 忠大
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

汎用AIは本来,地球上の生命がそうであるように,自律的に環境で活動しその感覚・運動情報から適応的かつ発達的に知能・機能を形成すべきである.記号創発ロボティクスは感覚運動情報から言語利用までをボトムアップに繋げ,トップダウンな社会からの制約も考慮に加えて記号創発システムの理解に構成論的にアプローチする学問領域である.階層ベイズモデルや深層学習をさらに統合し,より統合的な汎用AIに向かっていくための記号創発ロボティクスが目指す自律適応型AIアーキテクチャについて議論したい.
著者
木村 昭悟 Zoubin Ghahramani 竹内 孝 岩田 具治 上田 修功
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本論文では,少量の訓練データのみからニューラルネットワークを学習する新しい手法を提案する.提案手法では,一般的な少数ショット学習の問題設定とは異なり,所与の少数訓練データ以外のデータ資源は仮定しない.提案手法では,少数の訓練データで学習した非NNモデルを参照モデルとして用いる知識蒸留を行うと共に,少数の訓練データから生成した大量の疑似訓練データを導入し,この疑似訓練データをモデル学習の過程で更新する.
著者
外園 康智 長谷川 貴博 渡邉 知樹 馬目 華奈 簗 有紀子 谷中 瞳 田中 リベカ Mart'ınez-G'omez Pascual 峯島 宏次 戸次 大介
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では、日本語・英語のテキストを論理式に変換し、自動推論を行う意味解析システムccg2lambdaの基本的な機能を解説し、特にこのシステムを金融ドキュメントの処理へと応用する試みについて紹介する。ccg2lambdaでは、統語・意味解析から推論までの各モジュールが明確に区別されており、統語情報・意味合成・意味表現をCCG導出木としてグラフィカルに表現する機能をサポートしている。このため、処理プロセスのどの部分で解析エラーが起こったのかを容易に同定することが可能である。ccg2lambdaの意味解析と推論システムについて紹介した上で、特に金融ドキュメントを対象とした含意関係認識と矛盾検知について具体例に基づいて説明する。
著者
池田 宥一郎 飯塚 博幸 山本 雅人
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年の情報科学の発展は,動物行動学の研究に大きく寄与している.我々は札幌市円山動物園において人工知能により動物を管理する負担の軽減を試みを行っている.我々の目標の1つは,健康管理と飼育環境の整備のためにチンパンジーのエソグラムを自動的に作成することである.エソグラムとはある特定の個体や種の全行動パターンの目録であり,動物の行動を研究するうえでもっとも基本的な記録である. エソグラムの作成には個体識別が必要があるため,本研究では画像認識分野で高い精度を出している畳み込みニューラルネットワークを用いて個々のチンパンジーを認識できるか検証した。 実験の結果,我々のシステムはチンパンジーの個体識別が可能であることを示した。
著者
児玉 涼次 中村 剛士 加納 政芳 山田 晃嗣
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

画像生成手法としてニューラルネットワークの生成モデルが注目されている.本研究ではイラスト画像に着目し,GANの課題の一つであるcollapseの発生を抑える手法を提案する.一般的な画像生成のように,イラストの自動生成が可能になれば,創作支援やエンターテイメント等様々な産業応用が期待できる.我々は,GANによって生成した出力イラストについて,collapse抑制に関する定量的評価を行い,その有用性を確認した.
著者
米田 英嗣 市村 賢士郎 西山 慧 西口 美穂 渡邊 智也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

物語を読むことは、物語に記述された世界、登場人物が経験する出来事を疑似的に体験することであり、読者の脳の中で行われる現実世界のシミュレーションとも言える (米田, 2010; Mar & Oatley, 2008)。本研究では、小説を読むことによって社会的能力の向上がみられるかどうかを、教育介入前のプレテスト、介入直後のポストテスト、介入一ヵ月後のフォローアップテストを用いて検討した。小説読解トレーニングにおいて、ストレンジストーリー課題で心情理解の成績が向上したのに対し、アニメーション課題では、介入の効果が出なかったことから、近転移のみが見られることが明らかになった。社会的能力は、小説読解をトレーニングをしたときのみ向上することがわかった。本研究から、プレ・ポストデザインを用いた小説読解トレーニングによる社会的能力向上の長期的効果を明らかにした。
著者
茂木 貴弘 中澤 友哉 田原 鉄也
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では、時系列一次元信号の分類タスクによる異常検知アプリケーションとして、調節弁に取り付けた振動センサデータを分析した事例について報告する。振動信号から調節弁内部の異常(キャビテーションと呼ばれる現象)を自動で分類する手法として、一次元CNNとLSTMに着目した。これらを組み合わせ、教師あり学習により、異常の特徴量を自動で抽出し分類するタスクを試みた結果、99.5%の分類精度を達成できた。
著者
堀田 大地 成冨 志優 丹野 良介 下田 和 柳井 啓司
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,深層学習技術を用いて,食事の見た目はそのままに,カテゴリのみを変える食事画像変換を実現する.例えば,牛丼をどんぶりの形状や見た目はそのままに天丼や親子丼,海鮮丼などに自由に変換することを実現した.本研究では,CycleGANの手法を拡張し,1つの変換ネットワークで複数のカテゴリへと変換可能とするconditional CycleGANを用いた食事画像変換手法を提案する.Twitterから長期間にわたって収集した23万枚の食事画像を利用することによって,高画質な食事画像変換が実現できることを示す.
著者
大田 和寛
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

画像に対し人が抱く感情はその画像の持つ視覚的特徴に大きく依存する.具体的には,写真の被写体となっている人間が笑っていたら幸せそうな印象を抱くであろうし,凶暴そうな異形のエイリアンが描かれたイラストに対しては恐怖を感じるかもしれない.そんな画像に対する人々の感情・印象をスコア付けしデータセットとして提案されたのがBehance Artistic Mediaであるが,本稿ではこのデータセットを利用し,教師なし学習の枠組みにおけるImage-to-Image技術であるCycleGANによって感情ドメイン間での画風スタイルの転送を行った.これは画像に対し感情を付与することと考えることもでき,例えば広告クリエイティブの素材バリエーションの拡張など,様々な応用が期待される.
著者
久保 静真 岩澤 有祐 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では、Generative adversarial networks(GANs)に基づく写真上の自動着せ替えの新しい手法であるSwapGANを提案する。Conditional Analogy GAN(CAGAN)は、GANに基づく自動着せ替えの手法として既に提案されているが、複雑なパターンの服の生成は難しい。衣類の領域を考慮することで、SwapGANはCAGANよりも服のパターンをよりよく反映させることが出来る。このSwapGANは、大規模なデータセットで訓練されたセグメンテーションのモデルを使用してして、写真上の人物の衣服の領域を最初に取得する。次に、取得した領域を用いて衣服部分を人間の画像から除去する。そして、空白領域に所望の衣服を描写する。このようにネットワークは新しい服を人の服の領域に適用出来るようになる。さらに、テスト時にCAGANで必要であった人物が元々着用している服の画像はSwapGANでは不要になる。
著者
丸崎 恒司 津田 和彦
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年,企業の特許戦略が量から質へと変換しつつあること,企業間の特許係争が増加傾向であることを受け,不要な特許出願の抑制や,競合他社の保有する特許の無効化のため,特許調査の需要はますます増え続けている.中でも外国特許調査の需要は高い. これらの特許調査においては,漏れのない調査のために,調査対象となる発明に関連した用語のみならず,その同義語や上位概念あるいは下位概念の用語を検索語として調査することが一般的である.よって,特許文書に特有の上位概念化・抽象化した用語を網羅した同義語辞書を作成することができれば,特許調査における最適な検索語の抽出や,類似文書の自動抽出ツールにおける精度向上などに有益と考えられる. そこで本研究では,欧州特許出願のEuropean Patent publication,European Patent Specificationから自動的に英文の同義語辞書を構築する方法を提案する.
著者
牧 良樹 白鳥 裕士 佐藤 剣太 中村 聡史
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

ストーリーコンテンツにおいて,未知であるストーリー部分を明らかにすることはネタバレと呼ばれ,多くの研究で防止する手法が提案されてきた.しかし、そのネタバレがコンテンツを楽しんでいるひとに対しどのような影響を与えるのか,またコンテンツの進度によりネタバレの影響は変化するのかについては調査されていなかった.我々は以前の研究で,コミックを対象としたネタバレ影響調査を行ない,作品によってネタバレの影響が変化することを明らかにしてきたが,ネタバレの本質的な影響については調査できていなかった.そこで,本研究ではネタバレ直後の影響を調べることによってネタバレの本質的な影響について明らかにした.また,ネタバレページの特徴を分析することによって,ネタバレページ推定実験の手法についての検討を行なった.
著者
中井 眞人 角田 善彦 孫 財東 村越 英樹 林 久志 網代 剛
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

昨年夏にCVPR2017 で発表されたOpenPoseは,簡単なWeb カメラを使ってリアルタイムで多人数の同時姿勢認識ができる.OpenPose の応用研究としてバスケットボールの投入予測と脳梗塞初期診断判定(FAST)システムを構築した.その結果、投入予測モデルでは先行研究と比較してかなり優位であることが分った.従来は全体の姿勢データを時系列で取得するにはモーションキャプチャーの様なセンサーが必要で、サンプリングが極めて少なく回帰分析等の統計モデルを使った分析ができなかった.OpenPoseでは容易に多くの姿勢データが取得でき統計モデルを使った分析が可能になった.さらにOpenPoseを使った投入予測モデルでは有意な精度が得られたので、OpenPose の認識するリアルタイムの姿勢データは統計モデルに耐え得る精度を持つことも判明した.もう一つのFASTシステムの成果については今後報告する予定である.
著者
小松 里奈
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

オフライン手書き文字認識は、AIによる技術・アルゴリズムにとって未だに残る難しい課題となっている。これは手書きのドキュメントにて、スキャン処理を行う間に、画像内で頻繁にノイズがいくつか生じてしまうためである。スキャンされた画像にあるノイズの存在は、画像を濁らせたりぼやけさせたりし、読みにくくなってしまう。本研究では、3,036種類の日本語を含んだ607,200枚のサンプル画像の分析に、U-Netと呼ばれるCNNアーキテクチャの一つを用いて試みた。結果を通じて、U-Netには多種多様な手書きのスタイルに対しても、文字からノイズを除去し、ストローク部分を強調できるという十分な能力を持つことを示すことができた。
著者
太田 貴久 南 拓也 山崎 祐介 奥野 好成 田辺 千夏 酒井 浩之 坂地 泰紀
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では,発明の新たな用途先を探す手法を提案した.提案手法では,はじめに,技術的特徴とそれに対応する効果を抽出する.その後,ユーザが指定した発明と,技術的特徴が類似し,かつ効果が類似しない他の特許を検索する.このような手法によって,発明の新たな用途先を探索する.提案手法に対して実験を行った結果,実際に別用途へ展開された特許の例を再現することでできた.
著者
田中 大貴 馬場 雪乃 鹿島 久嗣 齋藤 朋也 大久保 雄太
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本研究では、運転時の位置情報や速度・加速度等の運転データを用いたドライバー識別に取り組む。既存研究では十数人のドライバー識別を対象にしていたのに対し、本研究では、最大1万人という大規模なドライバー識別を扱う。実データを用いた実験により、提案法がベースラインよりも精度良くドライバーを識別できることを示した。特に、位置や時間に関する特徴量が大規模ドライバー識別に極めて有効であることを示し、また、速度や加速度情報もドライバーの識別に一定の寄与があることを示した。
著者
飯塚 重善 高森 千恵子 山浦 美輪
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

将来の人間とロボットの共存のため,双方の円滑なコミュニケーション,インタラクションを実現するためのロボットのデザイン要件を導出することを目的に,SF映画を素材にして,ロボットと相対する人間の対ロボット心理を考察し,そこから,『70デザイン項目』をベースにしてロボットデザイン原則の導出を試みた.その結果,『70デザイン項目』に当てはまる項目を多数見いだすと共に,既存項目のロボット向けアレンジ,そして新たにロボット向けに必要と考えられるデザイン原則を提案するに至った.そして自律型ロボットに関して,インプリメントすべきと考える倫理的なデザイン項目を導出することができた.