著者
安達 雄裕 山田 大樹 中村 智 徐 哲俊 内藤 英樹 秋山 充良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.10-19, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
21

近接目視に代わり,ドローンを用いた撮影に基づく点検が可能になった.一方,現状はひび割れの確認に留まっており,その画像を用いた対象部材の健全性,特に耐荷力の評価には至っていない.塩害環境下の鉄筋コンクリート(RC)構造物は,鉄筋腐食に伴い部材表面に腐食ひび割れが生じるため,これをドローンにより撮影し,RC部材内部で生じている鉄筋腐食量を推定できれば,劣化RC部材の耐荷力評価が可能となる.本研究では,有限要素解析,確率場理論,および機械学習に加えて,ドローン撮影により取得した腐食ひび割れ幅の情報を用いることで,劣化RCはり部材の耐荷力の確率論的評価を可能にした.また,ドローンを用いて撮影した画像では,近接撮影したものよりも腐食ひび割れの同定が難しく,それがRC部材の耐荷力の推定結果に及ぼす影響を検証した.
著者
小濱 健吾 中村 秀明 神田 信也 水谷 大二郎 杉崎 光一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.1, no.J1, pp.261-269, 2020-11-11 (Released:2020-11-18)
参考文献数
48

近年,土木の分野において積極的なAI技術の導入が期待されている.しかしながら,AI技術に関する知識不足は,AI技術の導入による効果の適切な把握や,AI技術を利用するために必要な各種データの収集を困難なものとし,AI技術の導入の障壁となってしまう.本論文は,AI技術を実業務において直面する様々な課題に活用したいと考えている土木技術者のために,教材の作成を目標として,理解に必要となる基礎的な知識の概要を説明する.具体的には,AIという言葉により示されているAI技術を適切にイメージできるようにAIの歴史を説明する.また,AI技術を利用するために必要な考え方やインプット・アウトプットを整理する.最後に,実事例の紹介を通じてAI技術に対する理解の定着を図る.
著者
熊谷 宗一郎 片山 直道 全 邦釘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.142-148, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
15

橋梁の診断において過去の損傷事例を参考にすることは重要であるが,その手法については未だ確立されておらず,撮影した損傷画像をキーとして過去の類似した損傷画像をデータベースから検索するシステムが現在求められている.そこで本研究では,LSTMを組み込んだネットワークにより,撮影画像から損傷特徴を意味的に抽出するDeep Learningモデルを構築し,実際の橋梁損傷画像を用いて学習を行った上で類似画像検索を行った.その結果,LSTMによる意味的特徴の抽出を行うことで既往の類似画像検索手法と比較して精度が大幅に高くなり,より橋梁の診断に役立つ類似画像検索を行うことが可能となることが分かった.
著者
早見 俊紀 木村 拓憲 西牟田 裕介 山脇 正嗣
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.119-124, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
7

近年,ナンバープレート情報の読取り調査において,少子高齢化に伴う人員不足や調査に多くの時間を要することから,AI(人工知能)技術を活用した調査の効率化・省力化が進んでいる.近頃急速に進化しているAI技術により,高精度の文字認識を可能としている.しかし,その精度は撮影環境やカメラ性能に大きく依存しており,取得画像の解像度が低い場合に精度が著しく低下する課題がある.そこで本研究では,AI技術の一種であり画像の高解像度化を可能にするSRGANを用いて,低解像度のナンバープレートを高解像度化する手法を検討し,文字認識精度の向上を図った.その結果,精度向上に本研究で開発した手法が有効な技術となり得る可能性を示した.
著者
馬場 優大 藤生 慎 森崎 裕磨
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.942-951, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
20

我が国において,人口減少と少子高齢化が進行する地方では,地域の機能を維持し,活性化させていくことが課題となっている.こうした中,観光産業はこれらを解決する施策として注目されており,観光産業を発展させていくためには,観光客が抱いた観光地の改善点を把握し,これに即した新たな施策の立案・実施を行う必要がある.そこで本研究では,旅行情報サイトの観光地に関する口コミデータを収集し,深層学習を用いたセンチメント分析を行うことで口コミから観光客のネガティブな感情が伺える文を抽出し,テキストマイニングを行うことで観光地の改善点の抽出を自動的に行うシステムを構築した.また,システムに関して観光の研究を行う専門家へのヒアリングを行うことで得た評価を基に,システムの有意性や改良すべき点を考察した.
著者
三好 崇夫 吉田 大唯 土田 隼之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.414-424, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
17

全国の河川に存在するとされる管理者不明橋では,その不具合により利用者を巻き込む事故が発生しており,老朽化や災害による損壊も懸念されている.河川の総延長は膨大であるため,人員,予算面から管理者不明橋の実態把握に難色を示す自治体もある.近年,高解像度の航空写真や地理空間情報の入手が容易となっていることから,それらを用いて深層学習により直接的に橋梁を検出することや,道路や河川を検出し,互いの交差部や河川を分断する地物として橋梁位置を推定し,その位置情報をデータベースと照合することによって,管理者不明橋を自動的に特定することが考えられる.本研究ではそれに向けて,航空写真や地理空間情報,それらの重ね合わせ画像から河川や道路,橋梁の深層学習による検出精度について検討した.
著者
窪田 諭 横尾 達哉 安室 喜弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.629-637, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
15

施工現場では,資源の有効な利用のために,土砂の発生量を正確に管理することが必要である.本研究では,簡易に土砂量を推定することを目的に,土砂運搬中のダンプトラックの荷台内に積載された土砂に注目し,LiDARを用いて計測した3次元点群データから土砂の体積を推定する手法を提案した.まず,施工現場における計測により,LiDARデータの特性を示した.次に,3次元点群データからダンプトラックの荷台の土砂量を推定するために,複数のダンプトラックの3次元点群データをダンプトラックのみに切り取り,メッシュ化して体積を算出した.推定体積値の妥当性を評価するために,オベリスクの式を用いて土砂量を算出した結果,提案手法との差分が,評価対象11台のうち9台において約±1.5 m3の範囲となる結果が得られた.
著者
平松 佑一 山脇 正嗣 田頭 直樹 北川 照晃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.897-908, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
22

近年の建設分野ではBIM/CIMが推進されており,そこでは3次元点群データの有効活用が大きく寄与する.一方で,大容量の点群情報の取り扱いは課題が多く,計算負荷を抑制しながら効率的に処理する必要がある.そこで本研究では,AI(Artificial Intelligence)技術の一種である深層学習(Deep Learning)を用いて,点群をクラス分けする技術である点群セグメンテーションを適用した.実務上のニーズを踏まえ,河川構造物設計および維持管理分野での活用を想定した点群のサーフェスモデル化を検証した.実データを用いて実際のモデル化の流れを提示し,必要な情報を失うことなく効率的にモデル化することで,3Dモデリングによる高度化および省力化に寄与する可能性を示した.
著者
大関 誠 中村 聖三
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.97-102, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
41

各種業務の効率化や高度化の観点から,土木工学分野でのAI研究および活用が進められている.画像から損傷の判定や領域の抽出を行うアプリケーション等,維持管理分野において様々な研究がなされて既に実用化されている技術がある一方,AI活用が期待されているものの研究自体があまり進んでいない分野も存在する.本稿では,AIの適用対象を鋼構造に限定し AI活用の現状と課題,および展望と期待を述べる.AI活用の現状と課題では,土木分野全般におけるAI活用事例やコンクリート部材を対象とした事例と比較することで,鋼構造におけるAI活用状況を整理する.展望と期待では,様々な分野でのAI活用事例を参照し,鋼構造でのAI活用の方向性の検討や活用を進める上で関連しうる技術,検討活性化に向けたアイディアを提示する.
著者
新保 弘 尾関 智子 溝渕 利明 野嶋 潤一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.337-343, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
10

調査点検の生産性向上に向けた打音検査の自動化や機械化には,まず打音評価の定量化が必要である.短時間フーリエ変換等により時間-周波数領域で画像化した打音データをCNN(Convolutional Neural Network)により教師あり学習させることで,健全部と欠陥部の打音を精度よく分類することは可能であるが,部材の特性や環境が異なると分類性能が低下する.ここでは画像化した打音について学習したCNNを特徴抽出器としてのみ利用し,テストサイトの健全打音データの特徴ベクトルから同サイトのテスト打音の特徴ベクトルをマハラノビス距離により評価する方法を提案・検証した.その結果,提案手法により条件の異なるサイトでも健全データからのマハラノビス距離により健全度を定量的に評価できる可能性を示した.
著者
青島 亘佐 宮内 芳維
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.274-284, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
34

今後の生産年齢人口の減少が進行する社会情勢の中で,社会インフラの維持管理においては,構造物点検の省力化および効率化を図ることが喫緊の課題の一つとなっている.近年,その課題の対応策の一つとしてAIの活用が注目を集めており,画像データ,波形データ等を中心に多くの研究が進められている.しかし,自然言語データに関する研究はまだ少ないのが現状である.そこで,本稿では,昨今の対話型AIの普及を踏まえて,大規模言語モデルを活用した橋梁点検調書作成の省力化について検討を行った.検討の結果,大規模言語モデルの活用が,橋梁点検調書作成の省力化に有効であることを確認した.
著者
藤井 純一郎 大久保 順一 緒方 陸 天方 匡純
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.779-785, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
17

ChatGPTをはじめとして,大規模言語モデル (Large Language Model, 以下 LLM) を用いた文章生成モデルの発展が目覚ましい.土木分野においても,LLMを活用した業務効率化が期待されるが,LLMの学習は主にWebで集めた文書を中心としているため,土木分野の専門知識に対しての学習不足が予測され,正確な文章を生成できない懸念がある.そこで,土木分野において正確な文章生成を実現するための基礎的な研究として,本研究ではLLMを土木ドメインに適応することを試みた.正確性の評価手法を提案した上で,LLMの事前学習済み公開モデルと,ファインチューニングによるドメイン適応を行ったモデルで,土木分野に関する文章生成の正確性を評価し,LLMを土木ドメインに適応するための課題について論じた.
著者
箱石 健太 一言 正之 善光寺 慎悟 西口 亮太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.539-546, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
11

AI技術の発展により様々な流入量予測手法が提案されているが,より信頼性を高め社会実装を実現するためには予測に至るまでの根拠を示し,予測結果の妥当性を確保する必要がある.本研究では対象流域を江の川水系土師ダム流域とし,気象庁の解析雨量を入力条件とする畳み込みニューラルネットワークによる流入量予測モデルを構築した.このモデルに対し,XAI(説明可能なAI)の技術を適用し,どのような根拠に基づいて予測を行ったかを可視化し考察を行った.考察の結果,流入量予測モデルの妥当性を確認した.
著者
原田 紹臣 永井 雅章 櫻井 崇光 吉田 恭平 石原 孝雄 家戸 敬太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.233-244, 2023 (Released:2023-11-14)
参考文献数
47

藍子の皿ねぶりとして知られている藻食魚類のアイゴは,美味として珍重されている未利用魚の一種である.一方,モクライ(藻食らい)としても知られており,磯枯れの原因の一つとして考えられている.本稿では,徳島県美波町における地域活性化及び沿岸域の磯焼け対策の一つとしてのアイゴを用いた地場商品の開発と,その際にChatGPTを実践的に活用して考察されたChatGPTの適用性等について報告している.なお,アイゴ料理の試食を通じた官能検査の結果,燻製,リゾット等が高評価であった.一方,被験者の属性によって,料理の嗜好が異なる傾向であることが分かった.また,一般的に課題であったアンケート調査における自由記述文(意見)の分析に対してChatGPTを活用したところ,妥当性のある分析結果を簡易に得られる可能性が示唆された.
著者
酒井 直樹 田口 仁 六川 修一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.4, no.L1, pp.9-18, 2023 (Released:2023-03-01)
参考文献数
6

災害時の最大のニーズは「どこで何が起きたのか」の把握である.その情報がすぐに災害対応者の意思決定に必要な情報として提供されるべきである.そのためには各種衛星に関して「いつ・どこのエリアをどの衛星で観測するか」をマネジメントする必要がある.特に,広範囲にわたる災害では必要不可欠な技術である.そのためには,各衛星の特性を知った上で,複数機体制の実現とその運用管理の一元化が求められる.緊急観測依頼から衛星データ入手までの時間を短縮する必要もある.観測の精度や手順を標準化することも求められる.SAR衛星や小型衛星を使い,AI解析技術の確立することが重要である.今後ユーザーのニーズに応じて衛星データの選択が可能となり,必要な時に入手できるようになることを踏まえ,平時はインフラのモニタリングをして情報を蓄積し,災害時にはその延長で対応できるようなフェーズフリーな利用が進むと考えられる.
著者
亀田 敏弘 岡本 健宏 新田 恭士 秋山 成央 二宮 建 森川 博邦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.1, no.J1, pp.554-559, 2020-11-11 (Released:2020-11-18)
参考文献数
11

センサ・通信デバイスの進歩により,社会基盤の多様なデータは,無線接続での取得が可能となっている.LPWA通信でのデータ取得方法は,設置に際して無線局免許が不要で,低消費電力かつ安価なハードウェアが供給されており,大量のセンサをローコストにて設置可能なため,大きな期待を集めている.しかし,社会基盤データの特徴として,災害時などの非常時にこそ昀も必要とされるものも多く,電源喪失の極限状況であってもデータ収集・配信の継続が求められる.著者らは,スーパー台風襲来による長時間停電が発生し公衆通信が途絶する危機的状況下であっても,複数の水門の開閉状況データを継続的に取得し一元監視可能なシステムの実現を目標に研究を進めており,LPWAネットワーク型データ取得における電源喪失時のレジリエンス向上について議論する.
著者
高橋 良輔 角野 拓真 東条 かおり 岡崎 慎一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.1053-1058, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
8

近年,極端豪雨により激甚化する豪雨災害の一つとして,局所洗掘による橋脚の損傷やそれに伴う落橋等が日本各地で頻発している.この種の災害に対する維持管理では,被災リスクが高い橋脚を抽出し,計画的な予防保全措置を実施するとともに,橋脚の健全度を把握するために適切な残存耐力評価が必要となる.本研究では,機械学習を援用し実効雨量を説明変数とした河川水位予測モデルを提案するとともに,局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存耐力評価モデルを提案する.これらモデルを組み合わせることで,気象変動により変動する河川水位および局所洗掘の進展に応じた橋脚の残存評価が可能となる.
著者
髙森 真紀子 大久保 順一 藤井 純一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.2, no.J2, pp.113-120, 2021 (Released:2021-11-17)
参考文献数
9

公共空間利活用によるまちづくりが注目される中,都市空間における行動観測のニーズが高まっているが,その解析作業は計測員によるビデオ観測や目視記録に依存しており,膨大な労力を要する.本研究は,歩行者の流動をより簡便,短時間で解析可能とすることを目指し,深層学習による物体検出技術と物体追跡技術を応用し,特に屋外の都市空間を想定した人流解析技術を低コストで開発したものである.三鷹駅北口地域での社会実験におけるビデオデータと人手による人流解析結果をもとに,実務での活用を想定した「メッシュ」や「丸め閾値」プログラムを設定し,AI解析における精度を検証した.結果,人手調査の1/4の解析時間で人流の傾向を概ね正確に把握でき,活用可能性が見いだされるともに,カメラ設置方法や映像のゆがみ補正の必要性など,実務で活用するための課題を明らかにした.
著者
石附 将武 高橋 翔 萩原 亨 石井 啓太 岩﨑 悠志 森 徹平 花塚 泰史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.642-649, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
17

本論文では,複数の車載センサーのデータを統合して冬期の路面状態を推定する手法を提案する.提案手法は,カメラとタイヤ内加速度センサー,路面温度計,マイクのそれぞれから路面状態を推定する複数の識別器に加え,それらの出力である路面状態確率をLate Fusionするマルチモーダルモデルである.推定する路面は道路管理において使用されている乾燥,半湿,湿潤,シャーベット,凍結,積雪の6路面である.提案手法は冬期の一般道で実車から得るデータを用いた実験によって,その有効性が確認された.
著者
中村 智 山田 大樹 新谷 美菜 Supasit Srivaranun 秋山 充良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
AI・データサイエンス論文集 (ISSN:24359262)
巻号頁・発行日
vol.3, no.J2, pp.117-127, 2022 (Released:2022-11-12)
参考文献数
24

塩害環境にある鉄筋コンクリート(RC)構造物は,塩化物イオンの作用により鉄筋腐食が発生し,コンクリート表面には腐食ひび割れが観察される.腐食ひび割れは,RC部材内部の鉄筋腐食の状況を知る貴重な観測情報であるが,かぶりや配筋などの構造細目の影響を受けるため,両者は複雑な非線形の関係にある.本研究では,構造細目の異なるRC部材を用いた電食実験により,部材軸方向と軸直角方向に相関性を有する鉄筋腐食分布を得た.その2次元確率場パラメータを実験結果に基づき同定し,3次元有限要素解析を実施することで,解析的に機械学習用(pix2pix)のデータベース(鉄筋腐食と腐食ひび割れ幅の関係)を構築した.これにより,劣化RC部材表面の腐食ひび割れ幅の分布と構造細目が与えられることで曲げ耐荷力の推定が可能となった.