著者
小林 暁雄 桂樹 哲雄 伊藤 研吾 稲冨 素子 山崎 啓太 川村 隆浩
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3Yin214, 2022 (Released:2022-07-11)

ムーンショット型研究開発「フードロス削減とQoL向上を同時に実現する革新的な食ソリューションの開発」では、美味しく、かつ、一人ひとりの体質や体調改善に効果的な料理を自動的に提供する、AIシェフマシンの実現を目指している。農研機構では、このAIシェフマシンの実現に向けて、栄養・機能性食品データ、調理レシピデータ、プロファイルなどを適切に構造化した知識グラフ(ナレッジグラフ)を構築し、一人ひとりの嗜好、健康状態に合わせたレシピデータを3Dフードプリンタに出力するシステムを構築している。知識グラフの構築にあたっては、食に関する大規模オントロジーであるFoodOnとリンクすることで、コンソーシアムが独自に解析・収集したデータでは網羅しきれない成分や調理手法などについても取り込んでいる。知識グラフに基づく推論技術としては、食に関する知識をビックデータで確率的に取り扱う手法の適用を検討している。本稿では、構築された知識グラフ及び収録されたデータについて解説するとともに、知識グラフに対する推論手法の適用実験について解説する。
著者
浜田 梨沙 武田 征士 岸本 章宏 徐 祥瀚 中野 大樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3N4GS1005, 2022 (Released:2022-07-11)

ケモインフォマティクスにおいて,分子記述子は化合物の構造的な特徴を表現し、物性との関連を評価するQSPR(定量的構造物性相関)において広く利用されている.これまで種々の分子記述子が開発されてきたが,特定の原子や構造を数え上げるという分子の局所的な情報のものが主流である.一方で,化合物の物性は部分構造同士の位置関係に依存する分子内の相互作用に大きく影響を受けることが知られている.そこで本研究では,分子内相互作用を考慮した分子記述子を提案する.本発表では,提案した分子記述子のアルゴリズムと有効性の検証結果について紹介する.
著者
新川 栄二 永塚 光一 村田 祐樹 小野 多美子 細田 正恵 木下 聖子 渥美 雅保
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.4C3GS1002, 2022 (Released:2022-07-11)

近年,医薬データの増加に伴い,創薬分野において機械学習を用いた研究が盛んに行われている.特に薬剤と標的タンパク質のインタラクションを予測することは新薬開発において有用である.筆者らは先行研究において,タンパク質を修飾する糖鎖の頻度ベクトルを用いることでタンパク質と薬剤のインタラクション予測精度の向上を確認した.本研究では,糖タンパク質と薬剤のインタラクション予測において,事前学習言語モデルを用いた糖鎖エンコーディング手法を新たに提案する.事前学習では,全糖タンパク質の糖鎖データを用いて,それらをWURCS表記の系列データに変換し,MLMと生物分類タスクにより糖鎖言語モデルを訓練する.インタラクション予測モデルでは,まず,事前学習糖鎖言語モデルを用いてタンパク質を修飾する複数の糖鎖情報をエンコーディングし,糖鎖特徴ベクトルを生成する.次に,糖鎖,薬剤,タンパク質間で相互アテンションをとることにより薬剤特徴ベクトルとタンパク質特徴ベクトルを求めて,それらを結合し,インタラクション予測を行う.実験により,先行研究と比較して予測精度の向上が確認できた.
著者
兒玉 庸平 朱山 裕宜 宮崎 祐丞 竹内 孝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3G3OS15a04, 2022 (Released:2022-07-11)

鉄道事業者は新駅設置時の需要推定や駅改良の効果測定に際して,駅勢圏(駅周辺エリアで居住・就業する人がどの駅を利用しているかを示す商圏の一種)の推定を実施する.従来は駅中心ら半径数km以内を駅勢圏とし,国勢調査などの統計データを用いて鉄道利用者数を推定する手法が用いられるが,異方性を考慮しないため,実際の駅勢圏に即しておらず予測と実態との間に大きな乖離が生じている.近年,IC定期券サービスや経路検索サービスの登場により大規模な空間データの取得が可能となり,より空間的に細かい粒度で精度の高い駅勢圏の推定が期待される.本研究では,郵便番号ごとのIC定期券登録数から駅勢圏を定義し,郵便番号ごとの各駅のIC定期登録数を予測する問題として駅勢圏推定を定式化する.さらに対象エリア内の郵便番号から近隣駅までの所要時間,駅同士の地理的関係性などの地理空間情報を用いた教師あり学習によって駅勢圏の推定法を提案する.従来手法と比較し,提案法による新駅需要の推定誤差が削減されたことを示す.
著者
大塚 陽菜 横窪 安奈 ロペズ ギヨーム
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.3B3GS1105, 2022 (Released:2022-07-11)

これまでの教育現場では,授業の説明中や課題取り込み中,授業者は生徒の表情から精神状態や理解度などの要素をうかがって,授業内容の調整や,適切なタイミングでの声掛けなどが可能だった.しかし,昨今コロナ禍においてマスク越しでは常に生徒の表情が分からないため,授業内容の理解ができず困っているなどの要素が把握できず,授業者として,適切な指導が行いにくく,授業者・生徒も精神的な負担の増加につながっている.本研究では,コロナ禍における教育現場でマスク越しのコミュニケーション課題を改善するため,授業中における学生の気持ち通知システム「MaskForce」を開発した.システムは,学生のマスクに脈拍センサを取り付け,脈拍間隔情報を取得し,授業者の情報端末へ通信する.また,脈拍変動解析により,各学生の精神状態をリアルタイムに推定し,可視化することで,授業者はどの学生が困っているかを随時把握し,適切なタイミングでサポートに回ることができることがわかった.そのため,今後授業内容の理解向上,課題の達成効率向上などが期待できる.
著者
近藤 生也 黒木 颯 百田 涼佑 松尾 豊 顾 世翔 落合 陽一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.2M6OS19d01, 2022 (Released:2022-07-11)

物理世界の幅広い物体すべてをそのままの見た目や機能でデジタル化することは、仮想現実 (VR) の野心的な目標の1つである。現行のVRアプリケーションでは、物理世界の物体をメッシュなどの明示的なデータ形式に変換して活用し高速なインタラクションやレンダリングを可能にするが、このような明示的なデータ形式はVR内で表現できるリアルさの上界になっている。この限界を取り払うべく、ゲーム分野で使われる古典的なビルボードと呼ばれる技術から発想を得て、私たちはニューラルネットでリアルタイムにレンダリングされる2D画像だけで近似的に3Dオブジェクトを表現するDeep Billboardsを開発した。私たちのシステムは、一般的なVRヘッドセットでもクラウドレンダリングを活用することでリアルタイムかつ高解像度に、幅広い質感を持つあるいは変形するオブジェクトなどを利用することを実現し、物理世界と仮想世界の間のギャップを劇的に狭めることに貢献する。さらに、古典的なビルボードでは物理インタラクションが再現できなかった問題も単純な工夫により広く解決でき、DeepBillboardsが広く活用できることを示す。
著者
笹嶋 宗彦 石橋 健 山本 岳洋 加藤 直樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.1I1OS601, 2022 (Released:2022-07-11)

兵庫県立大学社会情報科学部では,実践力のあるデータサイエンティストの育成を目標に,学部1年生,2年生を対象として,連携企業の実データを用いた課題解決型演習(PBL)を実施している.本学部が育成を目指すデータサイエンティストとは,ITスキルを用いてデータを分析する力だけではなく,実社会において課題を発見・定式化し必要なデータを収集する力や,分析の結果を用いて社会をよくする提案が出来る社会実装力を備えた人材である.低学年は,データ分析力も,ITスキルも持っていないが,スキルに合ったやり方でデータを分析し,実店舗へ向けた販売施策を提案する過程を体験することで,経営を改善することへの興味を持たせることや,データだけでなく,現場を見て考えることの重要性を学ばせることを狙いとしている.2019年の学部創設以来,1年生向けのPBLを3回,2年生向けを2回実施し,それぞれ事後に学生アンケートを取ることで,演習を評価してきた.本稿では,今年度実施したPBL演習の概要と,これまでのPBL演習を通じて得られた,実データを利用するPBLの長所と課題について述べる.
著者
岩崎 祐貴 谷口 和輝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.1H4OS12b04, 2020 (Released:2020-06-19)

Webサイトやアプリの訪問者に対して各個人の嗜好に合わせた商品訴求が可能なオンライン広告の隆盛に伴い,大量のユーザに多様な配信が可能な広告配信プラットフォームの重要性が増している.各プラットフォームでは独自のアルゴリズムが構築されており,運用担当者は広告クリエイティブの運用による広告効果の改善に力を注いている.このような背景の中で,ユーザの反応が得られるようなより多くの広告クリエイティブを制作し入稿する作業が重要になる.しかし,各プラットフォームでは広告配信に利用できる広告数に上限があるため,広告クリエイティブを入稿する優先順序を決める必要がある.本研究では,オンライン広告の管理構造に着目し,広告間の相対的な順位を学習することで,どの広告から配信すべきかの推定を行う手法を提案する.まず,広告クリエイティブの画像や配信設定といったマルチモーダルなデータから広告間の相対的な順位を予測するモデルを構築する.そして広告の配信データを用いたオフラインでの予測検証を行い,提案手法の有効性を示す.
著者
益川 弘如 白水 始
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.4K3GS105, 2022 (Released:2022-07-11)

本報告では,学習科学を題材に授業などの学習環境をどうデザインするかという知が対話で生まれ,対話を通して能動的に使われ伝わる様を描き出し,以て「対話するAI」のモデルを構想したい。ある単元における特定の授業法がどのような学習成果を生むかという因果関係が一挙に理論化されていた学習研究に比べ,学習科学はそうした無理な一般化を避け,各状況での実践を関係者の対話を通して協調吟味し,対話を通して「デザイン原則」と呼ぶ仮説的実践指針を抽出し,次の現場の関係者が主体的に(まさに一人称的に)使って結果をさらに次の対話に活かすというデザイン研究の枠組みを採用している。ここでは知が対話の中で生み出され,それぞれの主体が自らの状況にあわせて使って,次の知を生み出す臨床の知が生成されているとも見てとれる。果たして主体を各AIに変えたときに,こうした社会システムをいかに実現できるか―人間研究者の立場から話題を提供したい。
著者
河村 郁江 白松 俊 大森 友子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.CCI-009, pp.02, 2022-07-09 (Released:2022-07-09)

In this paper, we have designed a system that shows how social studies and science are linked to local food, with the aim of creating a system that stimulates interest in social studies and science using local food as a starting point. Specifically, a class diagram of the relationship ontology between life sciences and local food was developed and a prototype user interface design was created.
著者
中塚 智哉 松田 浩一
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.SKL-23, pp.02, 2017-03-03 (Released:2021-08-31)

本研究では,和太鼓における重要な技能である「脱力」の学習支援のための,インパクト時の脱力技能の定量化アルゴリズムを提案する.定量化結果と指導者の知見の比較により,アルゴリズムの妥当性を確認した.
著者
Jin Michel OGAWA Tamao SAITO Ikuko Eguchi YAIRI
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4N3IS1b03, 2021 (Released:2021-06-14)

The microbiome drifting through the upper stream to downstream are considered to be affected by innumerable natural or artificial factors. Caching up the changing of microbiome from these factors has the great importance for social to make the novel index of environment pollution and health safety. Since DNA sequencing technology improved these days, the number of studying river metagenome are increasing and the feature of changing river microbiome are surveyed. However, the predictable models for river microbiome are still not understandable yet.In this study, we found the effective factors of microbiome from two river, Tama river and Sinos river, located from nature-close to city-close area and examined the possibility of constructing predictable models for river microbiome by comparing with each river.Our result showed that both Tama river and Sinos river preserved the microbiome in upper stream through the time, and in downstream of Tama river has the stable microbiome, and microbiome of Sinos river indicate that microbiome shift by longitudinal water flow.