著者
水上 拓哉
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.4N2OS26a03, 2020 (Released:2020-06-19)

本発表では、ソーシャルロボットの倫理を基礎づけることを目的に、その道徳的行為者性をどのように理解するべきかという概念工学的な問いに取り組む。メディアの等式が示唆してきたように、ソーシャルロボットにおいてはユーザ側の感情や想像力の存在を無視することはできない。最近では、ロボットの道徳的身分をユーザとの関係性の中に見出そうとする立場もあり、これは関係論的転回と呼ばれている。中でもCoeckelberghはこのアプローチの延長線上で「仮想的行為者性」という概念拡張を試みている。しかし、このような拡張は、既存の道徳的責任の帰属という観点では混乱をもたらしてしまう。そこで本発表では、道徳的行為者性の関係論的な拡張を批判的に検討しつつ、代替案を示唆する。具体的には、ロボットに対する感情をフィクション感情のパラドックスに接続したRodognoの議論をもとに、関係論的に見いだされる行為者性を既存の行為者性と区別する。ソーシャルロボットに道徳的行為者性を帰属させようとするユーザの心的傾向をフィクション論の枠組みで捉え直すことで、人間がこれまで行ってきた責任帰属の実践の構造を保つことが可能になる。
著者
市川 淳 三輪 和久 寺井 仁
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.585-594, 2015-05-01 (Released:2015-05-01)
参考文献数
25
被引用文献数
3 1

For skill acquisition that needs periodic body movements as cascade juggling, the establishment of stable body movements seems crucial. We investigated them in each of the learning stages defined by the Beek and van Santvoord (1992) framework. In addition, we investigated participants' verbal reports about what was intentionally concerned for achieving optimum learning in practice. In the experiment, novices practiced three-ball cascade juggling over a period of one week. We focused on two types of stabilities: the stability of chest movement representing torso movement, and another stability of wrist movement representing arm swing. The result revealed that the skills for establishing stabilities of torso movement and arm swing were acquired sequentially. In this case, the stability of arm swing emerged between Stage 2 (by 50 successive catches) and Stage 3 (by over 100 successive catches), and another stability of torso movement emerged between Stage 3 and the expert stage in which jugglers had acquired complete skills for performing five-ball cascade juggling. The result also showed that in the establishment of stable arm swing, the development of the stability occurred only in passive catching behavior, but did not in active tossing behavior. Additionally, we found that the participants who did not develop beyond Stage 1 (by 10 successive catches) trained themselves while focusing on their specific physical movements.
著者
内山 光太 伊藤 毅志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.SKL-22, pp.07, 2016-03-04 (Released:2021-08-31)

ジャグリングの3ボールカスケードを題材に、初心者7名を2週間に渡って練習をさせ、言語報告と動画の解析などにより、気付きや問題意識による身体知の獲得過程を詳細に調査した。
著者
大本 義正 植田 一博 大野 健彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.3M1OS19, 2009 (Released:2018-07-30)

人間と自然なコミュニケーションをする人工物を実現するための問題の一つとして、非言語情報などを用いて無意識に伝達している意図の自動推定がある。本研究では、意図の推定として難しい状況である「嘘」に焦点を当て、コミュニケーション中に機械的に計測された情報を判別分析した結果と、同じ状況において人間が判別した結果を比較検討した。その結果、人間と比較しても高い確率で嘘を自動的に判別できる可能性を示した。
著者
三宅 剛史 松本 和幸 吉田 稔 北 研二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料
巻号頁・発行日
vol.2017, no.15, 2017

<p>近年,ソーシャルメディア上での炎上と呼ばれる現象が問題となっている.発生を未然に防ぐことが望ましいため,投稿内容に炎上の原因になる表現が含まれているかを確認し,訂正を促すシステムは有用と考えられる.本研究では悪口表現や差別表現といった侮蔑表現と,口論になりがちな表現の2つの有害表現を対象とする.提案手法は,メディアを基に作成した有害表現辞書を用いてSVMにより分類器を構築し,炎上の可能性がある文の判定を行う.</p>
著者
鶴田 大 豊島 裕樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2H3GS3b03, 2021 (Released:2021-06-14)

金融機関においてアパートローンの残高が中長期的に増加してきており、金融機関ではアパートの収益性を適切に把握し、リスク管理を行うことが課題となっている。収益評価においてはアパート賃料の予測が必要となる。本研究では、機械学習手法を用い、物件属性情報に加え、緯度経度や住所に紐づく情報を活用することで精度が改善することを示す。具体的には緯度経度情報や住所情報などを用い、周辺の同種物件の過去賃料を用いることで短期的な賃料の予測精度が向上することを示す。また、緯度経度情報を活用し各物件が属する災害情報などの地理空間情報(GIS)データを取り込み、周辺の過去賃料に災害情報を加えることでは、賃料予測の精度が改善しないことを示す。
著者
橋詰 謙
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料
巻号頁・発行日
vol.2012, no.12, 2012

<p>著者はトップアスリートの身体知(長年の経験によって身体に刻み込まれた知能)に興味を持っている.これまでに吉田孝久氏(陸上競技・走り高跳び・元日本記録保持者)と冨田洋之氏(体操競技・アテネ五輪団体金メダリスト)にインタビューを行ない,その要旨をこの研究会で発表してきた.今回は水泳競技の中西悠子氏の身体知を紹介する.彼女は165cmというさほど大きくない体格ながら,「楽に速く泳ぐ」をモットーに世界の強豪たちと戦ってきた.そこには従来の常識に囚われない泳法,すなわち自身の身体特性や身体感覚を活かした泳法があった.それは日々の練習において多くのことを強く意識(制御)する中で,カスタマイズされたものであった.</p>
著者
朱 成敏 武田 英明 竹崎 あかね 杉野 利久
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-056, pp.07, 2022-03-11 (Released:2022-03-24)

本研究では,牛の飼養衛生管理に必要な共通語彙をオントロジーを用いて構築する.さらに,畜産現場における共通語彙の利活用のために情報提示サービスを開発し,公開する.最後に領域専門家による評価を通じて畜産分野における共通語彙の有用性と可能性について考察する.
著者
森川 祐介 仁禮 和男 福田 悠貴 関根 聡 松本 裕治 古崎 晃司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-056, pp.05, 2022-03-11 (Released:2022-03-24)

The automobile industry is in a VUCA world called "era of revolution once in 100 years". To respond to the VUCA world, development sections require to concentrate human resources on development of future main products and accelerate development. Therefore it is required to manage existing business and ensure the quality of products with fewer human resources than ever before. To resolve this problem we considered to use accumulated knowledge of expert engineers to assist development. A part of the knowledge of expert engineers is that concerning failures occurred during development such as causes and solutions of the failures. A failure ontology proposed in this paper helps to extract the knowledge concerning failures from accumulated documents. In this paper we introduce how to construct the failure ontology and use it.
著者
勝島 修平 穴田 一 江上 周作 福田 賢一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-056, pp.17, 2022-03-11 (Released:2022-03-24)

In recent years, there is an interpretability problem that even experts cannot explain the reasoning process of machine learning. A contest featuring interpretability, "First Knowledge Graph Reasoning Challenge 2018." was held in Tokyo. A previous study presented a method based on embedding with triple for learning the sense of words. However, information about object simultaneity, such as location and time, which should be learned at the same time, is lost. Therefore, we propose an inference method that learns the graph structure by means of a graph convolutional network (GCN) and explains important connections on the graph by means of layered relevance propagation (LRP). The experimental results show that the proposed approach indicates the reasoning process using additional knowledge and the propagation of relevance by LRP.
著者
江上 周作 山本 泰智 大向 一輝 奥村 貴史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-056, pp.16, 2022-03-11 (Released:2022-03-24)

COVID-19の感染拡大防止に向けて,日本国政府では「3つの密」(以下,三密)や,「5つの場面」を提言してきた.これらの提言に基づき,各人の感染リスクを自動で評価できれば,追跡調査対象者の順序付けやスクリーニングといった保健所で行われている業務を大幅に効率化できる.本論文では,場所や行動に紐づくCOVID-19感染リスクを整理し,個別の行動事例における感染リスクを推論可能なオントロジー(CIRO)を開発した.また,CIROに基づいたナレッジグラフから,追跡調査に有用な三密リスクの推論とグラフ検索が可能であることを示した.さらに,追跡調査業務の現場における実用化に向けて,データサイズと条件を変更しながら推論実験を行い,CIROの十分性や拡張性,実現可能性を考察した.
著者
児玉 謙太郎 山際 英男
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第31回 (2017)
巻号頁・発行日
pp.1O1OS30a2, 2017 (Released:2018-07-30)

本研究では、綱渡りを競技化したバランス・スポーツ“スラックライン”がバランス能力に及ぼす影響を調べる。スラックラインでは、不安定なラインの上で全身を協調させ動的にバランスをとる必要があり、アスリートやリハビリテーション対象者の体幹・姿勢バランスのトレーニングとして着目されている。本発表では、スラックラインでのトレーニング(週1回20分×4週間)を行った事例研究の結果を報告する。
著者
山田 雅之 栗林 賢 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回 (2012)
巻号頁・発行日
pp.1O1OS66, 2012 (Released:2018-07-30)

スポーツフィッシングにおいて,勝敗の行方を左右する大きな要因の一つにポイント移動が挙げられる.ポイント移動は「なぜ移動するのか?どこへ移動するのか?」といった問題に対し,状況を総合的に考慮し決断される.このような過程は暗黙的であり,その決断は極めて身体的な感覚によってなされている.本研究では,元プロの湖上での振る舞いを記録し,身体知獲得を支援するツールのデザインを実施した.
著者
江村 憲夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料
巻号頁・発行日
vol.2018, no.9, 2018

<p>本人工頭脳は人の脳の振舞いを模倣したものであって、真似ではなく、良いとこ取りである。人工頭脳が、自分の意思で情報を収集し、考え(意志の生成)、Action(行動、発話、さらなる思考)するという観点では汎用AIを目指している。但し、ディープラーニング(数値計算モデル)ファーストではなく、人の脳の振舞いを観察、極力、模倣し、究極の目標は「鉄腕アトムの頭脳」を創ることにあ る。[ 脳の振舞いの模倣事例 ] 1人は視野がAIと違って狭いため、全体を把握しつつ、注目した対象にフォーカスして行動する。このため、見えない、見ていないものまで連想/階層記憶で見てしまう。更に、視野情報以外に音声(会話)/音源/文字情報、手足の感触情報までイメージ情報(見た結果に変換)として取り込む。2外部情報(視野/音源/音声/感触)、内部情報に対し意思、記憶情報が活性化すると、自らの意思の意向に沿って、課題を生成、解決手段を見出し、具体的実行計画に落とし込む。「(視野情報)洗濯物がベランダに干してあり、雨が降り出した。(経験-連想記憶)洗濯物がずぶ濡れになる。(意思-危機感覚)大変なことになってしまう。」(課題)と考え、「家の中に取り込む。」(解決手段-人の意志)これは、雨によって危機感覚(このままでは大変なことになる)が活性化したからである。人工頭脳は、脳の振舞い(有機的情報処理)を観察・模倣し、機能分割された機能群が互いに連携しあい、全体で上手く機能する様にすると共に、上記情報処理を標準化(OS化)し、汎用のヒューマノイドロボットに搭載することで、「人と共存し、倫理・危機感覚/常識の範囲内で自発的な手助け、命令服従できる人工頭脳」を提供することが目標である。</p>
著者
松井 藤五郎 蔦木 宏斗 加藤 準平 後藤 卓
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.2L5GS1301, 2020 (Released:2020-06-19)

本論文では、株価時系列データを対象として、企業をクラスタリングする方法を提案する。企業の中には、事業を多面的に展開し、単一の業種には留まらないものもあるが、従来の業種分類ではいずれか1つの業種に分類されており、業種分類が実態とは乖離しているものが存在している。また、業種分類の中には本来は異なる複数の業種が1つの業種としてまとめられている業種もある。これまでに、投資信託のリターンを対象として同一ベンチマークのインデックス型投資信託をクラスタリングする手法が提案されている。そこで本論文では、業種ごとに企業をクラスタリングできるようにこの手法を拡張し、株価時系列データを対象として企業をクラスタリングする。また、提案手法を実際の株価データに適用し、その有効性を確認する。