著者
鈴木 崇平 武石 直也 岸本 政徳 吉谷 尚久 沖野 健太 河原 吉伸 廣島 雅人
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.4M3GS1305, 2020 (Released:2020-06-19)

わが国では2011年の東日本大震災を契機に脆弱性が表面化した中央集権型エネルギーシステムの見直しが進んでいる。特に、環境への配慮から再生可能エネルギーを活用した分散型エネルギーシステムへの転換が求められるようになり、一つの解法としてVPP(Virtual Power Plant)と呼ばれる構想が注目されている。2021年に国内に創設される需給調整市場に向けて、本研究は世帯別の消費電力の高精度な予測手法の開発を目的としている。一般家庭における消費電力予測は住人の生活リズムに起因する変動を捉えることが重要となるため、本論文ではデータサンプルの重み付けを考慮した自己回帰モデルを提案する。複数世帯から取得した30分粒度の電力時系列データを利用し、提案手法の有効性を確認した。
著者
加藤 大貴 平山 高嗣 道満 恵介 井手 一郎 川西 康友 出口 大輔 村瀬 洋
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.D-KC7_1-10, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
18

The Japanese language is known to have a rich vocabulary of mimetic words, which have the property of sound symbolism; Phonemes that compose the mimetic words are strongly related to the impression of various phenomena. Especially, human gait is one of the most commonly represented phenomena by mimetic words expressing its visually dynamic state. Sound symbolism is useful for modeling the relation between gaits and mimetic words intuitively, but there has been no study on their intuitive generation. Most previous gait generation methods set specific class labels such as “elderly” but have not considered the intuitiveness of the generation model. Thus, in this paper, we propose a framework to generate gaits from a mimetic word based on sound symbolism. This framework enables us to generate gaits from one or more mimetic words. It leads to the construction of a generation model represented in a continuous feature space, which is similar to human intuition. Concretely, we train an encoder-decoder model conditioned by a “phonetic vector”, a quantitive representation of mimetic words, with an adaptive instance normalization module inspired by style transfer. The phonetic vector is a dense description of the intuitive impression of a corresponding gait and is calculated from many mimetic words in the HOYO dataset, which includes gait motion data and corresponding mimetic word annotations. Through experiments, we confirmed the effectiveness of the proposed framework.
著者
田和辻 可昌 布川 絢子 山川 宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.2H1GS3a02, 2021 (Released:2021-06-14)

これまでオントロジカルAIにおいて機能を捉える枠組みは人工物をドメインとして提案されてきた.一方で,脳を参考にしたアーキテクチャを開発する上では,人工物のような合目的的な機能を設定するのではなく,自然物としての物理的構造に矛盾しない形で合目的的に機能を設定する必要がある.このような機能は一意に与えることができず,多元的にならざるを得ないという性質を有する.そこで本研究では,脳型アーキテクチャの構築を志向して,合目的的自然物における機能を多元的に解釈する枠組みに必要な概念を整理することを目的とする.本研究では,従来の関連する重要な概念として,David Marrの提唱した三つの水準を再考し,開発者と設計者間で合意が取れる概念の整理を試みた.この結果,David Marrの提案した三水準では,実質的ではあるものの機能的な観点と物理的な観点が未分化であり,またこの暗黙的な混同はソフトウェア開発一般における問題であることが明らかとなった.本研究の整理によって,脳型アーキテクチャの設計者・開発者間で合意が取れる概念が整理され,機能と構造を一貫した関係で捉えることが期待される.
著者
松本 流星 吉田 稔 松本 和幸 北 研二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.AM-15, pp.08, 2017-03-03 (Released:2021-08-28)

本研究の目的は,Twitterから感染症に関する発言を抽出し,感染症マップを作成することである.その手法として,抽出した発言に対して事実性解析を行い,その結果から感染者の過去のツイート抽出をし,その人物の住んでいる場所を推定する.既存研究と比べより多くの感染症に対応することができ,さらに位置推定に対しても事実性解析を行うことで,より正確な位置推定を実現する.
著者
大和 祐介 鈴木 麗璽 有田 隆也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.1D4J104, 2019 (Released:2019-06-01)

人間は,特定の知識が自分の記憶に存在するかどうか,あるいはどれだけ正確に存在するかを認知する事が出来る.このような主観的な記憶に対する認知能力はメタ記憶と呼ばれる.Hamptonは遅延見合わせ課題を用いてサルが回避応答パラダイムにおけるメタ記憶の基準を満たすことを示した.しかし,これらのパラダイムはメタ記憶の判断を被験者の主観による報告ではなく,振舞いによって行っている.回避応答パラダイムにおいては,特定の刺激と回避行動を関連付けて覚えて難しい課題を回避することでメタ記憶判断の基準を満たし得ることが指摘されている.本研究の目的は,構成論的アプローチによって,メタ記憶能力を持つニューラルネットワークを進化させることである. 最初に,回避応答パラダイムにおけるメタ記憶の基準とメタ記憶を持つニューラルネットワークの最小要件の基準を明確にする.次に,遅延見合わせ課題によって進化したニューラルネットワークに対してメタ記憶の基準を軸に分析を行う.メタ記憶の基準を満たすニューラルネットワークの動作メカニズムを追求することで,ネットワークのメタ記憶的判断のメカニズムを明らかにした.
著者
井上 克巳
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.48-59, 1992-01-01 (Released:2020-09-29)
著者
西岡 寛兼 鳥海 不二夫 石井 健一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.3G3OS127, 2009 (Released:2018-07-30)

信頼性の高い人工市場シミュレーションを行うために,人工市場が十分に実市場を近似しているか評価する必要がある.そこで本研究では,板情報に基づいて市場の時系列分析を行う手法を考案した.本手法では,板情報から注文の規模を推測し,注文規模の分布がどのように変化するかという点に注目して時系列分析を行う.時系列データの類似度に基づき市場の時刻識別を行ったところ,十分な精度で識別可能であることが確認できた.
著者
菅原 真悟 新井 紀子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第23回 (2009)
巻号頁・発行日
pp.3E3NFC21, 2009 (Released:2018-07-30)

情報共有や協調学習を支援するために、さまざまなWebベースの教育情報システムが開発され、教育現場に導入されている。これらのシステムは、学びの場におけるユーザ参加型ウェブサービスであるといえる。本研究では、学生がこのようなシステムをどのように活用するのかを分析すると共に、学生間のつながりや学習過程を可視化するツールを開発することで、学生の主体的な学びを引き出すことを目的としている。
著者
佐野 仁美
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.2I3OS15a03, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では、2015年2月より開催されているAI社会論研究会の社会的な役割について検討を試みる。人AIが社会に浸透し、大規模に人々とAIが混在する社会が形成されるにつれて予期し難い影響が生じるのであれば、あらかじめ多くのステークホルダーとの対話の中でリスクや不確実性を回避することが求められる。人とAIが織りなす新たなエコシステムを検討するには、限られた分野に閉じた議論ではなく、分野共創、マルチステークホルダー、調和 などのキーワードとともに、異分野が対話する‘場’の設計が新たなエコシステムのフレームワークとして有効である。AI社会論研究会は、これまでAIと社会の接点としての、その場を担っているとすれば、どのような効果をAI技術と社会のあり方の議論に波及してきたのかをAI社会論研究会の特徴である「HELPS」を指標に取り入れ、その議論とステークホルダーの多様性を中心に分析し、今後のあり方についても示唆する。
著者
福田 貴三郎 小柳 佑介 福田 茂紀 大倉 清司 藤重 雄大 岩下 洋哲 大堀 耕太郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.SWO-053, pp.05, 2021-03-15 (Released:2021-09-17)

近年説明可能AI(Explainable AI)の技術が注目されており、ホワイトボックス型の機械学習モデルを設計する場合、モデルの予測結果の精度向上を追求するだけでなく、解釈性の高いモデルを設計する事が重要である。本研究では、学習データのリソースとしてナレッジグラフを使用する場合を想定し、エンティティ間の上位概念の関係性を利用した、解釈性の高いモデルを実現するための説明変数を選択する手法を提案する。また、実際にプロ野球選手の実データを利用した実験により、意図した通りの説明変数が選択出来る事を確認した。
著者
宮本 友樹 磐下 大樹 遠藤 水紀 永井 望 片上 大輔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.AG21-I_1-14, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)
参考文献数
48
被引用文献数
3

In this paper, we investigate the acceptability of a non-task-oriented dialogue system that uses utterances to get closer psychologically. We defined utterances to get closer psychologically as “utterances that express intimacy with the other person or a favorable feeling toward the other person, such as joking, sympathy, compliment, or non-honorifics utterances (like a friend)”. Conventional research has reported that jokes, non-honorifics utterances, and compliments are useful for building a smooth relationship between a dialogue system and a user. On the other hand, individual differences in acceptability to utterances to get closer psychologically are considered to be large. In particular, we believe that the personality characteristics of the user affect the acceptability of utterances to get closer psychologically. So, we set research question 1: “How do user personality traits affect the acceptability of a non-task-oriented dialogue system with utterances get closer psychologically?” Also, utterances get closer psychologically has the risk of making the interlocutor uncomfortable. Therefore, in considering the implementation of utterances gets closer psychologically in a dialogue system, it is useful to examine how different strategies of utterances get closer psychologically affect the acceptability of a chatting dialogue system. So, we set research question 2: “How do different utterance strategies to get closer psychologically affect the acceptability of chatting dialogue systems?” To discuss these research questions, we conducted a dialogue experiment using a rule-based non-task-oriented dialogue system (n = 82). The results showed that for RQ1, among the five personality characteristics targeted in this experiment, the user’s diligence was related to the evaluation of the non-task-oriented dialogue system for utterance strategies to get closer psychologically used in this experiment in the subjective index, and extroversion, neurotic tendency, and openness in the objective index (likability based on user utterances). For research question 2, the experimental results showed that the acceptability between utterance strategies to get closer psychologically was significantly different in the viewpoint of the subjective index. These findings contribute to the design of a non-task-oriented dialogue system.
著者
大塚 裕子 諏訪 正樹 山口 健吾
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015)
巻号頁・発行日
pp.2N5OS16b5, 2015 (Released:2018-07-30)

本研究では、感じ方や表現方法の個人差を重視した言語化プロセスについて研究することを目的に、複雑で多様な日本酒の味わいを対象とした言語使用のデータを作成する。作成にあたり、個人が直感的に創作したオノマトペで味わいを表現し、その後、その言語音の創作理由を弁別的に分析し、言語化する。創作オノマトペと分析的用語の対応により、従来の味覚表現を超えた、個人差の反映された味わい表現リストを作成する。
著者
水野 貴之 土井 翔平 土屋 貴裕 栗崎 周平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4H2GS11c05, 2021 (Released:2021-06-14)

約6600万ノード(企業とその株主)で構成されるグローバルな株所有ネットワークに,約80万種の投資ファンドを結合する.投資運用会社は,投資家の投資ファンドを運用することにより多くの企業の直接的または間接的な株主になり,収益を得る.そして,株主として企業を支配する.我々は,複雑でグローバルな株所有ネットワークを紐解き,社会的責任を伴うESGの投資ファンドとヴァイス企業(たばこ,軍需産業など)とを繋げる経路が存在することを指摘する.投資をやめれば,ヴァイス企業からの収益はなくなるが,支配することができず野放しになる.一方で,投資をおこなえば,ヴァイス企業からの収益を受け取ることになる.このジレンマは,グローバル株所有ネットワークで線形におこなわれる収益の配分と,多数決を通じて非線形におこなわれる支配力の配分を定量化し,収益と支配力とのバランスで投資の可否を決断することにより解決できる.