著者
藤田 節子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.113-117, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
5

図書の索引がどのように作成されているのか、その実態を把握するために、 編集者へのアンケートとインタビュー調査、および著者へのインタビュー調査を行った。その結果、学術書に索引が必要であるということについては、編集者も著者も認識しているが、編集者は、時間の制約や体系的な索引作成技術の欠如などから、十分な索引編集を行なえない状況にある。一方、著者は、図書内容については熟知しているが、索引作成の技術や経験が少ない。その結果、総じて適切な索引作成が行なわれていない現状が明らかになった。今後、著者や編集者、出版社に対して、索引作成技術の普及やガイドブックの整備が求められる。
著者
静野 健一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.284-289, 2015-07-01 (Released:2017-04-13)

特許調査,特に権利調査は,企業の海外展開の加速,世界の特許出願件数の増加,技術の高度化・複雑化を背景に,近年その重要性・困難性を増してきている。権利調査は,概念を調査するという特殊性から出願前調査等とは全く異なる調査アプローチがとられ,完全網羅的な結果を得ることは困難である。また,調査にあたっては,リスク許容度や掛けることのできるコスト等を明らかにし,実施技術,特許文献双方についてリスク評価を行い,合理的・効果的な調査設計を行うことが求められる。本稿では,権利調査の特殊性を説明し,その基本的なアプローチの紹介をするとともに,権利調査に関する現状の課題について取り上げた
著者
菊池 信彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.156-163, 2015-04-01 (Released:2017-04-13)

本稿では,西洋史学にとっての「古典籍」の一つ,ヨーロッパにおける中世写本をテーマに,その「最前線」としてのデジタル化と公開の現状を論じた。ここでは,ヨーロッパにおける資料デジタル化等の統計調査プロジェクトであるENUMERATEの成果や,Europeanaをはじめとする各種のオンラインデータベースからデジタル化写本の公開点数を確認した。さらに,デジタル化の「その先」にある,写本画像の利用実態を知るべく,「研究」「教育」「広報」の3つの観点から,様々なデジタルヒューマニティーズのプロジェクトを論じた。
著者
内田 浩史 郭 チャリ
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.428-433, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

本稿の目的は,日本における創業と創業金融の実態を明らかにすることである。4つの異なるアンケート調査から得られた5つの創業企業サンプルを用いて比較分析を行った結果,創業企業には様々なタイプが存在すること,タイプによって創業金融の実態も異なることが明らかになった。特に,創業企業の多くは創業資金を経営者の自己資金に依存しているが,その程度はサンプルにより異なり,他の資金調達手段の利用にも違いが見られること,資金制約に直面している企業は少数派であるものの,サンプルによりその程度に差があることが示された。本稿ではこうした結果を詳述し,日本における創業の課題に対処するための政策的含意を導く。
著者
Liz ALLEN
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.404-407, 2021-09-01 (Released:2021-09-01)

学術出版システムは変革を遂げている。研究のオープンアクセス(OA)化を求めるポリシーや,研究を迅速に発見・アクセスでき,利用可能な形式やフォーマットで提供することへの需要が高まっていることを背景に,ほとんどの学術雑誌がデジタルソリューションを提供するために動いている。F1000などの多くの出版社は,単なるOAの提供に留まらず,知識へのアクセスと使用を民主化できる出版ソリューションの開発に取り組んでいる。本記事では,学術出版における最近の変化の要因とその影響を説明し,考えられる今後の動向について考察する。また,F1000を例として,出版社と研究システムにおけるその他の利害関係者(特に研究助成機関)との密接な連携がもたらすことができる,研究の使用,再利用,およびその影響の可能性を最大化する上で鍵となるイノベーションやカスタマイズされた研究出版ソリューションについて説明する。
著者
西尾 啓
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.197-202, 2020-04-01 (Released:2020-04-01)

最近,特許分析の比重が高まり,かつ扱うデータの量と種類が多くなっているのを実感している。それに伴い,使うツールもエクセルやパテントマップ作成ソフトから,Pythonといったプログラミング言語に移る必要が出てきた。これらのツールは高速にデータを処理でき,自動化に役立つだけでなく,毎回の手作業を排除することができ,分析の再現性,信頼性を高めることができる。そのため,今回はデータ分析によく用いられるプログラミング言語である「Python」,特にその中のデータ分析ライブラリである「pandas」を用いた特許データの処理(前処理,集計,可視化)について紹介する。
著者
岸 和良
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.290-295, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

DX(Digital Transformation)は客との良好な関係の維持,企業や団体の業績向上,将来に向けた継続成長に必要である。しかし,日本ではDX導入に成功している事例はまだ少ない。今後成功事例を増やすためには,DXの成功要素を見つけることが重要である。DXが成功するか失敗するかは,DXの本質を理解しているかに依存する。DXの手段と目的を混同しないようにすることが重要である。DX成功要素は,客や社員に価値を提供する経営面での課題解決を実施すること,企業や団体の上層部が深く関与すること,適切な組織を設定すること,DX人材の能力定義を行うこと,適切な人材育成を行うことが必要である。
著者
李 易寧 長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.67-72, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
14

現在、各国で大学図書館が提供する資料のデジタル化が大きく進展している。中国の大学図書館は「インターネット+」の政策の下で、資料のデジタル化と図書館の価値の再構築を目指してきた。この過程のなかで、図書館の空間利用の見直しの大切さがだんだん注目されるようになってきた。また、近年、貸出冊数は減少しているが、入館者数は少しずつ増加している。このような状況の変化も図書館空間の再構築の大切さを示している。今後の方向性としては、現在の図書館の空間を新たなサービスが実現できるように調整したり、コレクションをデジタル化し、館内空間を新たなサービスに利用するほかに、新たな遠隔サービスと館外サービスを提供する必要がある。本研究は、中国大学図書館が利用者に提供する館内空間の利用の現状に注目し代表的な五つの大学図書館を調査して、空間利用の現状を明らかにした。今後の大学図書館は利用者のニーズを反映した将来に向けての発展計画を作成する必要があると考える。
著者
佐川 穣 中村 栄
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.310-316, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

コロナ,第4次産業革命・DX,気候変動やグローバルサプライチェーンの寸断等の影響により,「不確実性」が高まる環境下,企業は,競争力を高めるDXと同時に,持続可能性が求められている。当社では,「持続可能な社会への貢献」と「持続的な企業価値の向上」との好循環を目指すという考え方の下,「事業高度化」のためのデジタルトランスフォーメーション推進の1つの柱としてIPランドスケープ(IPL)を導入し,その活動を推進している。本稿では,サステナビリティ時代のIPLの貢献として,短期,中期,長期の3段階でのアプローチを紹介する。
著者
出村 雅彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.252-257, 2021-06-01 (Released:2021-06-01)

材料分野においてもデータ駆動研究への期待が大きい。本稿では,データ駆動材料開発の最近の取り組みを概説する。材料データは必ずしも豊富にあるわけではないものの,データ駆動による材料・プロセスの探索は,金属,高分子,無機化合物等々へ広がり,自動実験・計測との連携も始まっている。メカニズムの探究など高度な活用や独自のツール開発も進んできている。基盤となる材料データプラットフォームについては,今後,全国的な展開が期待される。
著者
上村 順一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.516-522, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)

国立情報学研究所は,前身である学術情報センター時代から電子図書館事業を行ってきた。冊子体の学術雑誌/研究紀要を裁断し,スキャナで電子化したのち,メタデータを付与して検索に供するものであった。運用当初は電子図書館サービス「NACSIS-ELS」として独立したサービスであったが,後年,検索を受け持つフロントエンドとして,学術コンテンツ・ポータル「GeNii(ジーニイ)」の一つの機能であるCiNii(サイニィ)と,コンテンツを保管しておくバックエンドとに分離する改変を行った。その後,文部科学省の施策として,バックエンド部分をJ-STAGEに移管し,CiNiiはCiNii Articlesに移行して,学術論文を検索するサービスに特化した。
著者
粕谷 直
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.214-219, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)

researchmapは,科学技術振興機構が運営する日本の研究者総覧データベースであり,多くの研究者および研究機関が利用している。国を代表するデータベースとして,また研究業績管理サービスとして10年以上運用しているシステムであるが,特に近年は政策的な背景を受けて,競争的資金の応募・審査時に利用される等,その重要性はますます高まってきている。researchmapの概要と沿革,現在の利用状況,今後の展望について解説し,登録・利用をするメリット,またより負担無く快適に利用できるようなワークフロー等を紹介する。