著者
野崎 篤志
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.333-339, 2010-08-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
18

特許情報を調査・整理・分析して視覚化・ビジュアル化したものがパテントマップであり,R&D戦略立案や特許出願戦略の策定に欠かせないツールである。数多くの統計解析型パテントマップ作成ソフトやテキストマイニングによるビジュアル化ソフトが販売されているが,パソコンに通常インストールされているExcelを用いてもパテントマップを作成することが可能である。本稿ではExcelに搭載されているピボットテーブルというクロス集計機能の概要,パテントマップの中でも作成が難しいバブルチャートの作成方法,そしてパテントマップのビジュアル表現について述べる。
著者
藤垣 裕子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.102-108, 2004
参考文献数
15

レビュー誌とは,すでに出版された学術情報を再考し,批評し,回顧し,概説を与える(統合して評価する)雑誌を指す。レビュー誌にとりあげられることによって,もとの学術情報は再考され,全体における位置づけを得る。それでは,「もとの学術情報が再考され,全体における位置づけを得る」とは何を意味するのだろうか。この問いを考えるために,本稿では次の2つの考察を行った。まず,もとの学術情報とは何かという問いについて,知識生産論,ジャーナル共同体論の側面から考察した。続いて,もとの学術情報が再考され,全体における位置づけを変えることの意味について,引用論をもとに考察した。これらの2つの方向からの考察をもとに,レビューとは何を意味するかを再考した。
著者
李 慧瑛 下髙原 理恵 峰 和治 田松 裕一 緒方 重光
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.10, pp.515-521, 2020-10-01 (Released:2020-10-01)

近年,医学系分野でテキストマイニングへの関心が高まっている。この手法は看護学領域においては,臨床で起こる現象を掴むための定性的調査手法として,アンケート調査の自由記述やインタビュー調査の逐語録分析に用いられることが多い。また,文献データベースから得られる情報を基に,研究動向を概観する研究にも使用される。本稿では,研究対象として医中誌Web上で検索可能なテキストマイニングを活用した全論文を例に挙げて,研究動向をテキストマイニングの手法を使って分析した。この過程を通して,具体的にどのような新知見が得られるかについて考究し,これをベースとして医学系分野におけるテキストマイニング全般の将来展望について概括する。
著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.492-496, 2019-11-01 (Released:2019-11-01)

研究者の成果公開メディアとして数百年にわたって重要な役割を果たしてきた学術ジャーナルは,電子化,オープンアクセス化を経て,本格的にデジタルトランスフォーメーションする時代に突入した。過渡期にある現在において,日本の各学会と学術ジャーナルは,プレプリントサーバー,オープンアクセスとそれに伴う著作権やライセンスの対応,およびデータポリシーの制定を早急に行う必要がある。また,はじめに学術ジャーナルや査読の枠組み自体が変容することを前提とした長期的展望を踏まえた準備が必要であり,学会・出版機能のデジタルトランスフォーメーションに主体的に取り組むことになる。
著者
岡山 将也 岩崎 一正
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.484-488, 2018-10-01 (Released:2018-10-01)

近年,オープンサイエンスという言葉がいろいろな場所で聞かれるようになった。これを受けて,企業も他社及び大学等の外部研究機関と業務提携を実施して研究開発を進めている。一方,企業は基本的に右肩上がりの営利活動を持続することを志向している。しかし,近年の様々な外的環境の急速な変化に対応するために,新規事業の開発においても,オープン化戦略に舵を切り始めている企業が増えている。本稿では,企業におけるオープンサイエンスを利活用した場合のメリットと課題について考察を述べ,オープン化戦略を進める上で何をすべきかを検討する。
著者
境野 哲
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.560-565, 2017-11-01 (Released:2017-11-01)

いま国内外でIoTやAIの活用が進み,その用途は,生産,物流,小売,設備保全,交通,医療など多岐にわたる。その背景には,コンピューターの小型高性能化,クラウドコンピューティングやモバイル通信の普及,ソフトウェア技術の進化がある。先進国では企業収益が伸び悩みコスト削減も限界に近づく中,ITで新事業を創出したいという企業や政府の期待も高い。しかし,IoTやAIにも,運用事故,サイバー攻撃,不正使用,軍事利用,依存症といったリスクがあることも忘れてはならない。IoTやAIを公共の福祉に役立て安全適切に運用するには,技術の標準化,法制度の整備,技術者と利用者の教育,そして産官学の国際協力が必要である。
著者
佐藤 有紀 砂田 有史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.546-551, 2020-11-01 (Released:2020-11-01)

近年,企業にとって情報,データは重要な資産となり,特に消費者をターゲットとする企業にとっては,購買履歴をはじめとする個人に関するデータを蓄積,分析し,マーケティングや広告にいかに活かしていくかが重要なテーマとなっている。このような中,個人の関与の下でデータ流通・活用を進めることにより,個人に関するデータの利活用と個人の権利・利益保護のバランスを図ることができる,情報銀行という制度が注目を集めている。そこで本稿では,情報銀行の概要と情報銀行から個人情報等を取得することを検討する事業者における注意点について概説したい。
著者
深見 嘉明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.501-506, 2010-12-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
3

図書館情報の関係者においては以前から重要視されてきたメタデータ,しかしその存在は専門家の間だけで認識されてきたものであった。しかし,ウェブの普及がこの状況を一変させた。e-commerceにおける商品レビュー,ソーシャルブックマークや写真共有サイトにおけるタグの活用など,一般生活者が自覚的にメタデータを生成,共有,活用するようになったのだ。本論文ではウェブというインフラの進化によって,日常生活にいかにしてメタデータの利活用が広がったのか,そのプロセスを概観するとともに,この変化への対応について検討する。
著者
清水 勇喜
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第5回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.45-49, 2008 (Released:2008-10-30)
参考文献数
13

法曹教育におけるコンピュータを用いた図的表現の活用を提案する。具体的な図的表現の例として、(1)条文間の関係等のグラフ構造での提示、(2)価値対立構造等の表での提示、(3)手続きの流れ等の動的な流れ流れ図による提示、(4)静的な構造の提示、(1)∼(4)の統合的な提示の重要性を述べる。またこれらを統合するインターフェースの必要性と、学習段階における提示する情報の絞込みの必要性について述べる。
著者
柴山 明寛
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.458-463, 2020-09-01 (Released:2020-09-01)

2011年東日本大震災が発生した以降,災害記録を残すべく,自然災害デジタルアーカイブが数多く構築された。証言記録,行政文書,写真記録,動画など数百万点にも及ぶ災害記録を今後の防災・減災に活かすためには,災害記録がどのようなものであるかを知ることが重要である。本稿では,自然災害デジタルアーカイブで公開されている数百万点に及ぶ災害記録を活かすために,災害記録の活用方法やその注意点について述べる。さらに,東日本大震災デジタルアーカイブを中心に,近年の様々な自然災害デジタルアーカイブについても紹介し,利用方法についても合わせて概説する。
著者
稲葉 洋子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.64-70, 2008-02-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
8

世界の文化を比較研究するファイル資料としてアメリカ・イェール大学で開発され,現在も世界中で利用されているHuman Relations Area Files (HRAF)がある。国立民族学博物館は1976年HRAFの正会員となり,大学共同利用機関としてファイル情報の提供や利用法の研修会を開催し,利用促進や広報に努めてきた。また,館内においてはHRAFを研究に活かしていくだけでなく,標本資料や文献図書資料等所蔵資料の分類にHRAFの分類法の一つであるOWC分類を付与している。紙ファイルからWeb版に媒体変更しつつあるHRAFは会員数を着実に増やしているが,民博でもより研究に活かしてもらう方法を考える時期にきていると考える。
著者
徳野 肇 田端 泰広 西 誠治 丹羽 麻里子 福士 洋光 渋谷 亮介 伊藤 徹男
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.119-123, 2019 (Released:2019-06-14)

中国の特許制度の特徴の一つに、特許と実用新案の同日出願(9条1項)がある。この制度の活用により、権利化が早い実用新案と審査に時間を要する特許とを同時に出願することで、出願の初期から権利の活用を有効に図ることができることが利点とされている。本報告では、上述の制度の利用状況を複数のデータベースを用いて詳細に調査するとともに、その利点とされる内容が機能しているのかを訴訟との関係等で検討し、今後の活用や対策のための情報として提供する。
著者
本田 正美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.65-70, 2020 (Released:2020-06-19)

2012年に電子行政オープンデータ戦略が策定されて以降、日本政府および自治体においてオープンデータの取り組みが推進されている。オープンデータの推進が唱導される前から情報提供として情報を能動的に公開している自治体が存在している。本研究は、オープンデータと情報提供の関係に着目する。情報提供というかたちで情報を能動的に公開してきた自治体はオープンデータの推進という新たな政策課題を前にして、より適合的な動きを取ることが出来たのではないかという問いを立てる。かような研究上の問いについて、本研究では日本の都道府県を対象に実証分析を行った。その結果、47都道府県において情報提供を積極的に行ってきた団体がオープンデータにも積極的に取り組んでいるという関係は見出せなかった。情報公開担当部署とオープンデータ担当部署が異なることがその原因として考えられる。