著者
島村 隆夫 前田 直昭
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
ドクメンテーション研究 (ISSN:00125180)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.555-565, 1983
被引用文献数
1

SIST 07「学術雑誌の構成とその要素(案)」に対する学術雑誌32誌,技術ジャーナル8誌の適用調査および評価を行なった。その結果,全調査項目の4分の3が準拠していることが判明した。また,非準拠の主なものとしては,(1)誌名が日本語の場合に,ローマ字書きおよび国際的に広く通用する言語による誌名を奥付またはマストヘッドに明記する,(2)表紙に発行地名・書誌票を記入する,(3)論文第1ぺ一ジに研究が行なわれた機関名を記入する,等であった。一方,学術雑誌,技術ジャーナルの間には,大きな相違はなく,準拠・非準拠ともおおむね共通であった。
著者
三沢 岳志 小池 秀雄 小林 和人
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.73-77, 2019 (Released:2019-06-14)

特許出願の件数の推移は、その特許出願が技術的に関連する製品の出荷台数推移や製品のライフサイクルステージと大きな相関を持つことが考えられる。本稿では、明細書にその応用製品が記載された特許出願の件数推移とその将来予測、製品コア技術の特許出願件数推移とその将来予測から、製品の将来の出荷台数を予測することで、製品ライフサイクルステージの特定が可能であることを示す。なお予測の基本方式としては、それぞれの特許出願件数推移にBassモデルによる近似式を適用した。現状では市場の状況の事後的な把握でしか確認することのできない製品ライフサイクルステージを、知的財産の情報に基づいて予測できれば、知的財産戦略の立案にも有効であるとともに、事業戦略の転換時期の決定においても参考にもなるものと考える。
著者
河西 由美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.10, pp.514-520, 2017-10-01 (Released:2017-10-01)

「情報リテラシー」の原語であるinformation literacyという用語について,英語圏では,図書館に関係した概念・運動と認識されるのに対して,日本では,情報機器やデジタルデータの取り扱いなど「ITリテラシー」という狭義の概念として定着しているように思われる。本稿では,1980年代の米国において重要な教育概念となり,その後世界的な潮流となった情報リテラシーの意義と,日本の教育,ことに情報教育に及ぼした影響について歴史的経緯を解説し,日本の学校図書館における情報リテラシー教育の課題と展望を述べることとしたい。
著者
田森 秀明 人見 雄太 田口 雄哉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.12, pp.591-595, 2018-12-01 (Released:2018-12-01)

朝日新聞社メディアラボは,新規ビジネスの開発や出資・投資,研究開発などを主なミッションとし,2013年9月に発足した新しい部署だ。発足当初より研究開発(R&D)がスコープにあり,新技術を積極的に取り入れ,将来のビジネスにいかす活動を進めている。近年では自然言語処理への取り組みは新聞社には必要な技術分野として,メディアラボのみならず社内のIT部門である情報技術本部,更には社外のベンチャー企業などとともに取り組みを広げている。本稿では,メディアラボの人工知能,特に機械学習や自然言語処理の取り組みについて発足当初の取り組みや,最近の成果を紹介する。
著者
榎 孝浩
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.382-386, 2019-08-01 (Released:2019-08-01)

日本,米国,欧州,中国の科学技術・イノベーション政策の動向を調査するときに,便利な資料を紹介する。まず,公的機関の刊行資料を中心に,日本語資料を紹介する。続いて,国際機関,米国,欧州,中国の外国語資料を紹介する。最後に,日米欧の議会と科学技術・イノベーション政策の関わりを説明しながら,議会資料を紹介する。
著者
笹原 信一朗 松崎 一葉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.404-408, 2010-10-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
32

研究・調査など,専門性の高い業務に従事する図書館員の労働は,高度知的労働と呼ばれる特殊なものであり,そのメンタルヘルス対策にあたっては,研究者の職業性ストレスの特徴を参考にする必要がある。われわれの筑波研究学園都市における一連の調査研究結果からは,仕事の量的負荷,質的負荷などといった職業性ストレス増強要因に対して,仕事の達成感,裁量権などといった職業性ストレス緩和要因が,仕事量を減らせない高度知的労働者には重要であり,その緩和要因に対しては,個人の認知様式が大きな影響を与えていることが示唆されてきた。したがって,図書館員のような高度知的労働者には,今後SOC(首尾一貫感覚)などの個人の認知様式に働きかけていくような対策が,求められると考えられた。
著者
白楽ロックビル
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.109-114, 2016

研究不正(本稿ではねつ造・改ざん・盗用をまとめて「研究ネカト」と呼ぶ)に対する日本の防止策は,米国に約25 年遅れ,現在も,遅れたままである。研究ネカトに対する日本の「関心」はとても低い。「関心」が低ければ,対策も不十分で,知識・スキル・考え方は貧弱になる。本稿では,日本の現状を少しでも良くするために,海外から学ぶ点を指摘した。それらは,米国・研究公正局(ORI),学術出版規範委員会,出版後論文議論サイトの設立・活動・対処であり,また,ミレーナ・ペンコーワ,ドンピョウ・ハン,ディーデリク・スターペル,アンジェラ・エイドリアン,スコット・ルーベンなどの事件例,捕食出版社,査読偽装の新動向である。
著者
長野 裕恵
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.105, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)

図書館では古くから貸出や入館者などの図書館利用データを使って利用者を把握し,サービス改善に役立てようとしてきました。より多く貸し出されている資料や分野は何か,何時頃入館者が多いかなど,収集されたデータを分析して得られた情報で,蔵書の構成を検討し,サービス体制などを整えている館も多いことと思います。一方で,前述のような図書館の業務フローの中で集まってくるデータばかりでなく,近年はセンサーなどを活用し積極的にデータを収集して利用者の行動や反応を把握しようとする試みも行われています。図書館にもいわゆるビッグデータの波が到来しているのです。このような状況を踏まえ,本特集では以下のような構成で図書館における利用データ解析の移り変わりを検討しました。はじめに,岸田和明氏に図書館利用データを用いた研究の動向を過去から現在にわたり概観していただきました。そのうえで,従来の図書館利用データでは可視化できない部分を新たなデータを用いて把握しようとする実験的事例を2件とりあげました。1件目は電気通信大学附属図書館に設置された革新的アクティブラーニングスペース『UEC Ambient Intelligence Agora』の取り組み,2件目は慶應義塾大学理工学メディアセンターで行われているビーコンと専用スマートフォンを用いた利用者行動把握実験です。このような,センサーや人工知能といった技術を用いて新しく収集されたデータは,今まで図書館員の直観に頼っていたことがらをデータとして可視化するだけでなく,図書館員には見えていなかった利用者行動を知る手掛かりとなる可能性もあります。今後このような実験が広がることが期待されます。なお,従来の図書館業務フローで収集されるデータはもちろんのこと,利用者に紐づくデータについては,個人情報の取り扱いに注意する必要があります。ビッグデータを用いる研究・解析事例が増える中,個人情報保護法ならびに著作権法の改正が行われています。そのため,本特集でも最後にコラムとして,利用データや書誌データなどを用いる際に法的に注意するべき点について弁護士の澤田将史氏にご執筆いただきました。本特集が,図書館においてサービス改善や新たなサービス創出のために,様々なデータを積極的に活用するヒントとなることを願っています。(会誌担当編集委員:長野裕恵(主査),今満亨崇,稲垣理美,久松薫子,古橋英枝)
著者
岸田 和明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.106-110, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)

図書館の館外貸出についての業務記録は,図書の利用の実際を知るための貴重なデータであり,それを解析して業務やサービスの改善に活用する試みは,長年に渡ってなされてきた。最近のデータマイニング技術の発達やビッグデータへの関心の高まりから,この種の図書館利用データの解析とその活用は,新たな局面を迎えた感がある。本論文では,これに関する過去から現在までの動向を概観する。具体的には,計量書誌学やデータマイニング,ビッグデータについて触れた後,廃棄・別置,蔵書評価,図書の推薦に対するデータの解析例を紹介する。また,その他の種類の利用に関するデータの収集などについても論じる。
著者
村田 輝 中田 はるみ
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.111-116, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)

電気通信大学附属図書館では,AI(人工知能)研究との協働により,学生がグループや個人で能動学修,セミナー,ワークショップなど様々な場面で利用できる革新的なアクティブラーニングスペース『UEC Ambient Intelligence Agora』(AIA)を構築した。このスペースでは,多様なセンサーを設置することで,学修環境の状態を反映した様々なデータを取得し,ディープラーニングマシンを用いたAI研究によって,解析及び可視化できるようになっている。AIAがAIやビッグデータとどのように関わり,次世代型図書館の実現を目指していくのか,アンビエント環境,アクティブラーニングとAI研究,ロボットによる知的インタラクションの3つの観点から,その現状と将来像について紹介する。
著者
豊田 健太郎 五十嵐 由美子 今井 星香 笹瀬 巌
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.117-120, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)

大学図書館では,貸出ログや入館ログといった利用データを用いて,図書館利用者の行動やニーズを分析し,サービス改善に繋げることは従来までも行われてきたが,それらのデータからでは,施設の空席情報や滞在時間,館内での利用者の行動など,可視化できていない部分も多い。本研究では,種々のIoT(Internet of Things)デバイスを用いて,慶應義塾大学理工学メディアセンター(図書館)における利用状況把握の実証実験を行っている。本稿では,利用者の資料探索行動に焦点を当て,BLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンと専用スマートフォンを活用した資料探索時の行動,移動軌跡を推定する手法について報告する。
著者
桐山 勉 栗原 健一 藤城 享 川島 順
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.91-96, 2019 (Released:2019-06-14)

空飛ぶタクシー技術の研究が、世界規模の開発競争にて行われている。日本でも2020年の東京五輪の特別イベントとして空飛ぶタクシーのデビュー実現化が構想されている。中国Ehang社が米国CES2018に実物を展示して、中国とサウジアラビアにて実証テストを重ねている。非特許情報を手掛かりに特許情報にて裏付けしながら、5つの主要開発グループ(Ehang、Zheijiang Geely Group、Airbus、BOEING、Uber等)を中心にIPランドスケープ研究を行った。その報告をINFOSTA-SIG-PDG部会の活動報告として発表する。特許情報価値評価を7社(Sareresearch、Japio-GPG/FX、THE調査力、Derwent Innovation、ANAQUA、XLPAT、PatentSight等)の検索システムを利用して俯瞰可視化図と発想法を組み合わせて、IPランドスケープ研究の工夫をした。「海外のプロバイダーの検索システムには標準機能として各種グラフ化機能と各種俯瞰可視化図の機能が備わっている」ことに注目した。結論として、「それらを駆使することでかなりのレベルのIPランドスケープ研究が達成できる」ことが、この研究で実証できた。具体的には、Derwent Innovation図とPatentSightの評価図の組合せ採用することを推奨する。
著者
西尾 潤 安藤 俊幸
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第16回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.37-42, 2019 (Released:2019-06-14)

特定技術分野における「特許請求の範囲」を入力文とし、人為的に分類ラベルを付与したデータセットを自作し、教師あり機械学習で文書分類を行うとき、機械学習モデルに入力する文書ベクトルの違いが精度に及ぼす影響について報告する。機械学習モデルは、TensorflowをバックエンドとするKerasで1次元CNNを使用するニューラルネットワークと、非線形SVMとを実装した。形態素解析はMeCabとsentencepieceとを比較検討した。また、入力ベクトルは辞書ID列をKerasのエンベッド層に入力する方法、形態素頻度情報、TF-IDF、Word2Vecによる分散表現のそれぞれをKerasの全結合層に入力する方法及びSVMに入力する方法を比較検討した。また、入力文字列の長さがが文書によってまちまちである点について着目し、文字列の後方をカットしたときの影響についても考察する。本検討はアジア特許情報研究会における2018年のワーキングである。