著者
内村 公大 鹿野 和彦 大木 公彦
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.120, no.Supplement, pp.S127-S153, 2014-08-31 (Released:2014-12-26)
参考文献数
114
被引用文献数
6

鹿児島湾沿岸は現在もリフティングを続ける地域であるが,湾奥にあってマグマが集積して隆起している姶良カルデラ縁や,開析が進んだ姶良や国分の谷などで,リフトを充てんする火砕流堆積物と湖沼成堆積物,内湾~浅海堆積物が観察できる.このサクセッションは,鹿児島リフトのリフティングと火山活動,そして海水準変動とが連関したプロセスの中で形成されたもので,複雑な火山堆積システムをなしているように見える.いまだ未解明な点が多々あるが,島弧内リフトの火山堆積システムを紐解くひとつの事例として観察すると,思わぬことが見えてくる可能性がある.
著者
阪上 雅之 國友 優
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.5, pp.283-289, 2017-05-15 (Released:2017-07-25)
参考文献数
32

Once the volcano erupted, fallen ash accumulated on the ground flew easily even by slight rainfall and generated lahar, which sometimes caused disaster. Therefore, certain criteria are required to evaluate the possibility of lahar after the eruption. It is, however, not well understood under which process or conditions lahar were occurred in the past. For the purpose of future volcanic disaster prevention, we reviewed the historical records of the lahar in japan related to phreatic or phreatomagmatic eruption. Totally 60 records were investigated, and the process of the lahar could be classified into 12 patterns. The most frequent type was secondary lahar (triggered by rain) and the next was primary lahar (induced by hydrothermal water). According to the research of rainfall records on four volcanoes, initial secondary lahar may be produced particularly when the rainfall rate was approximately 11-35 mm/hour which was maximum experienced hourly rainfall after the eruption.
著者
古沢 仁 木村 方一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.849-852, 1982-10-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4
著者
後藤 和久
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.4, pp.193-205, 2005 (Released:2005-08-01)
参考文献数
64
被引用文献数
2 1

今から約6500万年前の白亜紀/第三紀(K/T)境界に地球外天体が衝突したとする説は,その後のメキシコ・ユカタン半島における衝突クレーターの発見や衝撃変成石英などの衝突起源物質の発見により現在では広く認知されるようになり,この衝突こそがK/T境界の生物大量絶滅の原因だったのではないかと考えられている.ところが,この衝突はK/T境界より約30万年前に起き,K/T境界での生物大量絶滅とは無関係だったとする説が一部の研究グループから近年報告され,K/T境界での衝突を支持する研究者との間で論争となっている.そして,衝突がK/T境界より約30万年前に起きたとする説に対して数多くの矛盾点が指摘され,この衝突はやはりK/T境界で起きた可能性が高いことが再確認されつつある.本論では,地球外天体衝突とK/T境界の同時性をめぐる一連の論争を紹介し,この問題を検討する.
著者
加藤 誠 安井 敏夫
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.85, no.10, pp.651-653, 1979-10-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1
著者
太田 亨 新井 宏嘉
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.4, pp.298-299, 2006-04-15 (Released:2014-02-07)

訂正地質学雑誌112巻3月号掲載の太田・新井論文(Vol.112, No. 3, p.173-187)中で,校正段階でのミスにより数式等に誤りがありました.訂正し,お詫び申し上げます.
著者
赤石 和幸
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.105, no.12, pp.XXIII-XXIV, 1999 (Released:2010-11-26)
参考文献数
1

平安時代の十和田火山最新噴火では, 北日本の広い範囲に十和田aテフラが降り, 続いて毛馬内火砕流が発生した(町田, 1981). 火砕流は泥流化して米代川沿いに流下し, 途中で堰止湖を作って大洪水を引き起こし, 流域を火山泥流堆積物で覆い尽くした. 1999年7月29日に秋田県大館市道目木の圃場整備工事現場でこの堆積物を調査中, 大洪水による災害を生々しく物語る古代の埋没家屋を発見した. この遺跡は米代川流域で現存する古代の庶民の埋没家屋としては唯一の例であり, 当時の庶民の生活を知る上で貴重であるだけでなく, 火山泥流の特性と大洪水による被害の実態を知る上でも重要な手がかりとなり, 今後の災害予測にも役立つものと期待される.
著者
南部 暁生 稲垣 静枝 小澤 伸介 鈴木 由香 井龍 康文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.11, pp.617-634, 2003-11-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
54
被引用文献数
2 5 3

北大東島の礁性堆積物は,大東層と海軍棒層からなる.大東層は3つのユニットに区分される.ユニット1は主にframestoneよりなり,中央盆地に分布する.ユニット2はユニット1を不整合に覆い,2つのサブユニットから構成される.下位のサブユニット2aは,島外縁の環状丘陵地の主体をなし,主にframestoneよりなる礁芯相と,中央盆地縁辺部の急崖に露出しmdstoneの卓越する背礁相からなる.上位のサブユニット2bは,島の最高所付近に露出するframestoneとpackstoneからなる.ユニット3は東海岸に点在し,斜交層理の発達したoackstoneよりなり,下位層を不整合に覆う.海軍棒層は東海岸の標高10m以下に分布し,framestoneからなる.ユニット1は卓礁の堆積物である.サブユニット2a堆積時には,厚い環礁堆積物が形成されたが,その後,礁は著しく減退した.ユニット3堆積時,島の東部に浅瀬や造礁サンゴのパッチが広かった.海軍棒層は小規模な裾礁の堆積物である.