著者
広重 徹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.27, no.10, pp.792-793, 1972-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
2
著者
和田 純夫
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.393-400, 1989-06-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
17
被引用文献数
1

水素原子を波動関数で表すということと同じレベルで, 時空やその中のすべての物質を含む宇宙全体を波動関数で表そうとするのが, 量子宇宙論である. 古典的な宇宙論では, 宇宙は big bang から始まった事になっているが, ほんとうに始まりを議論しようとすれば, どうしても量子論が必要になる. ここ数年, インフレーション宇宙というものの後に big bang が生じたという模型が議論されてきたが, これを量子論で考えようとしたのが, 最近の量子宇宙論の研究の直接の動機である. ここでは宇宙論的側面と, 付随して問題になる量子力学そのものの解釈論など原理的側面を含めて, 最近の発展を解説する.
著者
菅野 浩明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.524-525, 2016-08-05 (Released:2016-11-16)
参考文献数
8

現代物理のキーワード数え上げ不変量の母関数から見えてくるもの
著者
小山 信也
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.436-443, 2004-07-05 (Released:2008-04-14)

数論,ゼータ関数論と量子カオス,ランダム行列理論の関わりについて概説する.前半部では量子カオスが数論的であるという意味,そして数論におけるスペクトルの重要性とその研究の方法について概説する.後半部では量子カオスの主要テーマである量子エルゴード性を解説し,それらが数論的多様体に関して解かれてきた歴史を振り返るとともに,最近の結果を報告する.また,ランダム行列理論と数論の関わりを,その端緒から振り返り,末節では最近の結果について述べる.
著者
一柳 正和
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.734-740, 1996-10-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
13

局所平衡理論を越える目的で提案された拡張された熱力学の特徴について解説する. 新しい理論では散逸流束を加えた熱力学的変数の組を用いて一般化されたエントロピーを定義する. 系の力学は, 示量変数に対するバランス方程式の形式で記述される. 散逸流束に対するバランス方程式は, 熱力学第2法則と抵触しないように決定される. 一般化されたエントロピーと統計力学的エントロピーの関連性が論じられる.
著者
小島 智恵子
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.509-512, 2020-08-05 (Released:2020-11-14)
参考文献数
21

歴史の小径少数派物理学者としてのド・ブロイ
著者
伏屋 雄紀 勝野 弘康
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.817-822, 2022-12-05 (Released:2022-12-05)
参考文献数
26
被引用文献数
1

コーヒーにミルクを入れると,最後には均質なカフェオレができる.拡散が系を均質化することは,誰もが日常生活を通してよく知っている.しかし1952年,数学者のアラン・チューリングは,この日常経験に反する驚くべき現象が起こりうることを示した.拡散によって系が“非”均質化し,パターンが形成されるのである.さらにチューリングは,生物における形態形成のメカニズムは,この拡散に誘発される非均質化にあると予測した.1970年代には生物学分野でチューリング・パターンの研究が加速し,キリンやヒョウ,熱帯魚など様々な生物の模様がチューリング・パターンとして説明された.1990年代には化学分野で溶液反応を用いて実験的にチューリング・パターンが確認された.ところ変わって現代の固体物理学では,トポロジカル物質の研究が大変熱心に進められている.ビスマス原子1つ分の厚さしか持たないビスマス単原子層は,スピンだけの流れを室温でも生成できるトポロジカル物質の有力な候補として注目されている.2018年,スタンフォード大のグループが均質なビスマス単原子層の作製を試みる中で,これまで見たこともない奇妙な模様が原子レベルで現れていることを発見した.原子が描く模様の幅はわずか1 nmで,なぜそのように奇妙な原子模様が現れるのか,その理由は全くの謎であった.ビスマス単原子層におけるナノスケールの奇妙な模様は,見た目の上では,熱帯魚の縞模様によく似ている.熱帯魚の模様はチューリング・パターンとしてよく説明できることが知られている.ならば,ビスマス単原子層の奇妙な模様も,チューリング・パターンとして説明できるのではないか? そう考えた我々は,原子層におけるパターン形成の理論研究を行った.熱帯魚とビスマスの模様の見た目が酷似しているとはいえ,材質はもちろん,そのスケールが決定的に異なる.かたや幅約1 cm,かたや1 nm.7桁も異なるスケールが単一のチューリング理論でともに説明できるかは全く自明でない.我々は試行錯誤の末,ビスマス単原子層に本質的な三種の原子間ポテンシャルからなる有効模型を構築した.そこから得た時間発展方程式の数値シミュレーションにより,ビスマス単原子層で観測された模様と非常によく一致するパターンが形成されることを示した.さらに解析を進め,我々の時間発展方程式がチューリング・パターンの方程式と本質的に等しいことを数理的に証明した.すなわち,ビスマス原子が描く奇妙な模様の正体は,熱帯魚と同じ,チューリング・パターンであったことが明らかとなった.実際に観測されたチューリング・パターンとしては,世界最小である.今回の結果は,チューリング理論がcmからnmまで極めて広いスケールで有効であることを示している.そればかりでなく,チューリング・パターンがソフトマターだけでなく,原子スケールのハードマター(固体)でもみられることが明らかになった.今回の発見は,これまで考えられてきたよりもずっと多くの対象でチューリング理論が有効であることを示唆している.さらに,固い単原子膜に傷をつけても,生物と同様に自然治癒する性質があることもシミュレーションによって示された.生命科学で見られる現象が,無生物の固体で見られたのは驚きである.本研究のほかにも,生命現象に類似した現象が無生物の固体で見出される可能性が高く,今後の展開に注目したい.
著者
古川 和男 加藤 義夫
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.467-475, 2002-07-05 (Released:2011-02-09)
参考文献数
22

再生型太陽エネルギーが主力となるのは世紀末であり, 化石燃料との中間は核分裂エネルギーで埋めざるをえない. その安全性・核廃棄物・プルトニウム問題等の決定的改善に向け, 照射損傷なく核反応・熱輸送・化学処理媒体を兼ねる7LiF-BeF2系熔融フッ化物塩を液体核燃料に利用して, トリウム増殖サイクルの熔融塩核エネルギー協働システムを世界に展開すべきである. これは, 黒鉛減速燃料自給自足型の公共施設的小型原発と, スポレーション反応利用で核転換増殖する加速器熔融塩増殖施設からなる. 世紀末の太陽エネルギーへの本格的交代期 (即ち, 核分裂エネルギーの終焉期) には, この協働システムから出る余剰中性子 (核燃料) を利用して経済的に核廃棄物を消滅しつつ, 地球環境・貧困解決のみでなく, 着実な核兵器完全廃絶を目指すことができよう.
著者
高安 秀樹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.48-49, 2019-01-05 (Released:2019-07-10)

ラ・トッカータ シリーズ「人工知能と物理学」AIの弱点を補うのは物理の人材だ
著者
清野 健 勝山 智男
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.247-256, 2000-04-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
33

蛇口からポタポタと落下する水滴.時計仕掛けと感じられる水滴落下のリズムにも,実際には多様なゆらぎが含まれ,そこには低次元カオスが確かに存在する.これまでに実験によってカオス力学系としての多くの興味深い現象が確認されてきたが,それを生み出す水滴形成の物理とのつながりには多くの謎が残されていた.だが,最近行われた実験と流体力学的数値シミュレーションによって,系の力学的構造がしだいに明らかになってきた.さらに,これらの知見に基づいたバネのモデルは,系の多様な振舞に一次元離散力学系としての統一した説明を与えることを可能にした.最近の研究に基づき,水滴落下系の長時間挙動とその力学的構造について概説する.
著者
斯波 弘行
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.735-743, 2011-10-05 (Released:2019-06-14)
参考文献数
48

超伝導の理論はカマリング・オネスによる発見から40数年間の実験研究の上に提出されたギンツブルクとランダウの超伝導の現象論(GL理論,1950年)とバーディーン,クーパー,シュリーファーの超伝導のミクロな理論(BCS理論,1957年)の2つの画期的な仕事によって基礎が築かれた.その後の半世紀にこれらの理論の深化,拡大が進み,超伝導のメカニズムについての現在の理解はBCS理論直後とはずいぶん違っている.また,物性科学の他の問題との接点へ研究者の目が向きつつある.この小論では超伝導現象の理解に向けた現在までの理論研究を(1)超伝導はなぜ多くの物質で普遍的に起こるのか,(2)超伝導にはどれほどの多様性があるのか,それは物性物理の他の分野の発展とどのように関係しているか,の2つの観点から整理したい.
著者
Aurora Simionescu Norbert Werner 満田 和久
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.707-711, 2014-10-05 (Released:2019-08-22)

銀河団は,差し渡し数百万光年の空間に数十個から1,000個もの銀河が集中している宇宙最大の天体です.普通の物質(バリオン)に限ると,銀河団の主たる構成要素は実は銀河ではなく,温度数千万度の高温ガスです.銀河団中のバリオンのほとんどは,X線を発する高温ガスとして銀河と銀河の間の空間に存在します.銀河団は,X線を放射する高温ガスの海の中に個々の銀河が浮かんでいるような天体と言えるでしょう.「すざく」衛星は,2005年に日本が打ち上げたX線天文衛星であり,現在も,世界中に開かれた国際X線天文台として活用されています.「すざく」衛星は,特に,天球面上に広がった表面輝度の低い放射を検出する感度に優れています.我々はこの特長を活かし,距離2.5億光年という近傍にあるペルセウス座銀河団の大規模観測を行いました.すべての銀河団の中で最も明るく,大きく広がったこの銀河団は,詳細な研究には最適です.X線観測からは銀河団の淡いガスの密度や温度を始めとする多くの重要な物理量を得ることができます.今回,「すざく」を用いたペルセウス座銀河団の大規模マッピング観測により,銀河団の中心から銀河団の縁であるビリアル半径に至るまでの高温ガス(バリオン)の分布を精密に得ることができました.その結果,銀河団の縁では,エントロピー分布は理論が予測するよりも平坦であり,密度は理論予測や電波観測で得られた値よりも高いことが初めて明らかになりました.この矛盾は,宇宙の大構造から銀河団に落ちてくるガスが塊を作って存在しており,熱化されるビリアル半径を通過した後も,この塊が残ると考えると説明できることがわかりました.さらに,ペルセウス座銀河団の広い範囲にわたって鉄の組成比を調べたところ,その場所ごとのばらつきが非常に小さく,ほとんど一様であることを発見しました.重元素の発生源である星の分布とは相関していません.1,000万光年にもおよぶ広い範囲について鉄の割合がほぼ一様であることから,鉄のほとんどは,銀河団が形成された時代よりも前に宇宙に大きく広がり,よく混ざっていたと考えられます.銀河団の誕生は宇宙誕生から約40億年後(いまから約100億年前)だと考えられているので,いまから100億年以上前に,鉄などの重元素が星々から大量にまき散らされ,宇宙中に拡散した時代があり,現在の宇宙に広がるほとんどの重元素はその時代にまき散らされたものであると考えるのが妥当です.数多くの星が生まれ,巨大ブラックホールが急成長したこの時代,星々から生み出された重元素は,超新星爆発や銀河中心の超巨大ブラックホールによって引き起こされた銀河からの強い風に乗って宇宙中に拡散して行ったと考えられます.
著者
谷口 義明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.744-752, 2014-11-05 (Released:2018-09-30)

私たちは銀河系(天の川銀河)という銀河に住んでいる.銀河系には約2,000億個もの星があり,その大きさは10万光年にも及ぶ(1光年は光が1年間に進む距離で,約10兆km).宇宙には銀河系のような銀河が1,000億個程度あると考えられている.銀河には渦巻構造を持つ円盤銀河と回転楕円体構造を持つ楕円銀河(天球面に投影して観測すると見かけ上が楕円に見えるため楕円銀河と呼ばれる)がある.円盤銀河の円盤はもちろん回転運動をしている.楕円銀河の構造は星々のランダム運動(速度分散)でサポートされている場合が多いが,少なからず回転運動もしている.角運動量を持たない銀河はないということである.回転している銀河には中心があり,その場所は銀河中心核と呼ばれる.確かに銀河の写真を見てみると,銀河の中心部は明るい.そこには星の集団があるのだろうと考えられていたが,どうもそうではないケースがあることがわかった.1960年代のことである.銀河の中には,中心部が異様に明るく輝いているものがあり,それらは活動銀河中心核と呼ばれる.これらの中心核から放射されるエネルギー量は星の集団では説明できない.そのため,超大質量ブラックホールによる重力発電が有力なエネルギー源であると考えられるようになった.つまり,銀河中心核にある超大質量ブラックホールに星やガスが降着し(質量降着と呼ばれる),そのときに解放される重力エネルギーを電磁波に変換して明るく輝いているというアイデアである.では,活動銀河核を持つ銀河は特別で,普通の銀河の中心核には超大質量ブラックホールはないのだろうか?答えはノーである.最近の10数年の研究によって,ほとんどすべての銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在することが明らかになってきたのである.その結果,驚くべきことがわかった.超大質量ブラックホールの質量は銀河の回転楕円体成分(スフェロイド:円盤銀河の場合はバルジと呼ばれる構造であり,楕円銀河の場合は銀河本体)の質量と非常に良い比例関係を示すことである.両者のサイズは約10桁も異なっているので,なぜこのような驚くべき関係があるのか大きな問題としてクローズアップされたのである.なぜなら,この事実は,ブラックホールが銀河と共に進化してきたことを意味するからだ.ブラックホールの重力圏は銀河のスケールに比べれば極端に小さいので,共進化はブラックホールと銀河とがお互いに何らかのフィードバックを与えつつ進化してきたことを意味する.さらに,最近では,宇宙の年齢がわずか8億歳の頃に,太陽質量の10億倍を超える超大質量ブラックホールが既に形成されていることが発見され,その起源も謎となっている.このような超大質量ブラックホールを短期間で作るには,種となるブラックホールの形成のみならず,どのような物理過程でブラックホールが大質量を獲得していくのかは不明のままである.銀河衝突などのトリガーの要素も取り入れた研究が行われている.本稿では,観測的な進展も合わせて,超大質量ブラックホールと銀河の共進化についての現状を解説し,今後の研究の展望について言及する.