著者
井奈波 良一 中村 秀喜 古野 利夫 有泉 誠
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
尿酸 (ISSN:03884120)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.165-167, 1984 (Released:2012-11-27)
参考文献数
8

We measured the levels of serum uric acid and serum lipid peroxides generated by oxygen radicals in 19 healthy young males.There were no significant correlations between serum uric acid levels and body weights, nor between serum blood urea nitrogen levels and serum creatinine levels. However, there was a significant correlation between serum uric acid levels and serum lipid peroxides levels. As uric acid is thought to be an important scavenger of singlet oxygen and radicals, these results suggests that serum uric acid competes with the increase of serum lipid peroxides.
著者
山田 裕一 Yong CHOI Ki Joong KIM Ja Wook KOO Il Soo HA 後藤 治子 小笠原 信明
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
プリン・ピリミジン代謝 (ISSN:09162836)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.13-21, 1995 (Released:2012-11-27)
参考文献数
19

Hypoxanthine guanine phosphoribosyltransferase(HPRT)が先天的にほぼ完全に欠損するとLesch-Nyhan症候群となる.Lesch-Nyhan症候群韓国人5家系におけるHPRT変異遺伝子を,ゲノムDNAの分析とRT-PCRによるmRNAの分析の2面から解析し,2例の新しい変異(533-9T→A,631delA)と3例のすでに報告のある変異(310insG,Q109X,289delGT)を同定した.また,Q109X,289delGTにおいては,すでに報告のある異常mRNAのほかにスプライシング異常から生じるエクソンスキップのある異常mRNAの存在を確認した.すべての家系において保因者診断を,2家系においては変異遺伝子の出生前診断を行なった.
著者
橋詰 直孝 小林 修平 井上 喜久子 香川 芳子 川原 貴 赤岡 家雄
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
プリン・ピリミジン代謝 (ISSN:09162836)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.93-98, 1992

血清尿酸値が一過性に上昇する運動性高尿酸が激しい運動を継続すると恒久的な高尿酸血症に進行するか否かを検討する目的で長距離・マラソンランナー11名(男性,年齢20~42才)を対象に,オーバートレーニングに近い月間走り込み大会前(9月30日),直後(11月1日)2週問後(11月15日),4週間後(11月29日)の血清尿酸値を測定した.<BR>走行距離は大会前の(9月)1日9.4±2.0km,大会中(10月1~31日)1日23.2±2.5kmで大会前の約2.5倍走り込んでいる.大会2週間後1日10.4±1.5km,大会4週間後1日9.1±1.8km である.摂取エネルギーは大会前1日2893±21kcal,大会中では1日3528.1±164.5kcalで,大会前の約1.2倍摂取している.それが大会後も続いている.それにもかかわらず体重の増加は認めなかった.このことは摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがとれているためである.血清尿酸値は大会直前6,1±0.2mg/dl,大会直後5.6±0.2mg/dl,大会2週間後5.4±0.3mg/dl,大会4週間後5.3±0.4mg/dlで大会前値に対して大会直後や大会後は有意に低下していた.<BR>これらの結果より,運動に見合ったエネルギーを摂取した場合,体重の増加がなく消費エネルギーとのバランスがとれていれば激しい運動を継続的に行っても恒久的な高尿酸血症に進行しないばかりか,かえって尿酸が低下することが考えられた.
著者
福内 友子 岩崎 円香 山岡 法子 金子 希代子
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.165-172, 2018-12-20 (Released:2018-12-20)
被引用文献数
2

患者の食事指導に役立てるため,これまで当研究室では日常的に食される多くの食品中のプリン体含量を測定し報告してきた.食品は生で食べるものを除き,多くの場合何らかの熱処理により調理され食されている.本研究ではプリン体(ヌクレオチド,ヌクレオシド,塩基)一斉分析法を用いて,食品に含まれるプリン体,特に旨味成分であるイノシン酸(IMP)・グアニル酸(GMP)の分解について,湯煎および電子レンジによる加熱温度・加熱時間・加熱方法の違いに着目し分析を試みた.食品試料として,IMPを多く含む鶏がらスープの素と鶏もも肉,GMPを多く含む乾燥しいたけを用いた.プリン体一斉分析の結果,鶏がらスープ中には,ヒポキサンチン(HX)類であるIMP,HX,イノシン(Ino)が多く含まれ,沸騰水(約100℃)の湯煎での加熱は,それ以下の温度と比較してほぼすべてのプリン体量が有意に上昇し,60分加熱し続けてもプリン体量に変化は認められなかった.電子レンジによる加熱との違いについて検討すると,鶏がらスープの素に含まれる核酸系旨味成分であるIMP,GMPは電子レンジより湯煎での加熱の方が分解しにくいことが示された.次に,鶏もも肉からの溶出を検討した結果,湯煎より電子レンジでの加熱の方がすべてのプリン体が多く溶出した.また,鶏もも肉を水にさらしたのみでも,アデニン類(ATP, ADP, AMP, アデノシン, アデニン)やグアニン類(GTP, GDP, GMP, グアノシン,グアニン)は溶出しなかったが,HX類は溶出した.さらに鶏もも肉中のプリン体と肉片から溶出したプリン体を塩基の量で比較すると,アデニン,グアニンは肉片中の1/10程度の溶出だったが,HXは湯煎で60%,電子レンジではほぼ100%溶出した.乾燥しいたけからは,どちらの方法も時間依存的に全てのプリン体が溶出液中で上昇したが,電子レンジの方が加熱後短時間で溶出し,また,分解しにくく,溶出液中に核酸系旨味成分であるGMPが多く残る結果であった.これらの実験より,食品の違いにより同じ加熱方法でもプリン体の溶出や分解に違いがあることが示された.高尿酸血症患者は,鶏肉を食べる時は湯煎や電子レンジで茹でて,尿酸値を上げやすい肉中のプリン体であるHX類を少なくすることを推奨する.
著者
橋詰 直孝 小林 修平 井上 喜久子 香川 芳子 川原 貴 赤岡 家雄
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
プリン・ピリミジン代謝 (ISSN:09162836)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.93-98, 1992 (Released:2012-11-27)
参考文献数
13

血清尿酸値が一過性に上昇する運動性高尿酸が激しい運動を継続すると恒久的な高尿酸血症に進行するか否かを検討する目的で長距離・マラソンランナー11名(男性,年齢20~42才)を対象に,オーバートレーニングに近い月間走り込み大会前(9月30日),直後(11月1日)2週問後(11月15日),4週間後(11月29日)の血清尿酸値を測定した.走行距離は大会前の(9月)1日9.4±2.0km,大会中(10月1~31日)1日23.2±2.5kmで大会前の約2.5倍走り込んでいる.大会2週間後1日10.4±1.5km,大会4週間後1日9.1±1.8km である.摂取エネルギーは大会前1日2893±21kcal,大会中では1日3528.1±164.5kcalで,大会前の約1.2倍摂取している.それが大会後も続いている.それにもかかわらず体重の増加は認めなかった.このことは摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがとれているためである.血清尿酸値は大会直前6,1±0.2mg/dl,大会直後5.6±0.2mg/dl,大会2週間後5.4±0.3mg/dl,大会4週間後5.3±0.4mg/dlで大会前値に対して大会直後や大会後は有意に低下していた.これらの結果より,運動に見合ったエネルギーを摂取した場合,体重の増加がなく消費エネルギーとのバランスがとれていれば激しい運動を継続的に行っても恒久的な高尿酸血症に進行しないばかりか,かえって尿酸が低下することが考えられた.
著者
大田 祐子 土橋 卓也
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.169-174, 2011 (Released:2012-02-14)
被引用文献数
1 1

高尿酸血症の病型を分類することは,患者個人に合った治療法を選択する上で有用であるが,24時間法や60分法による評価の実施は容易ではない.そこで簡便法としての随時尿中尿酸/クレアチニン(UUA/UCr)の有用性について検討した.利尿薬または尿酸降下薬服用者を除く外来高血圧患者1067名を対象に24時間家庭蓄尿により尿酸動態を評価した.さらに蓄尿と随時尿中UUA/UCrの評価を行った177名において,両方法に基づく高尿酸血症の病型分類について比較検討した.24時間蓄尿により高尿酸血症合併高血圧患者の92%が尿酸排泄低下型と判定された.高血圧患者,高尿酸血症合併高血圧患者のいずれにおいても蓄尿で産生過剰型と判定された例で24時間蓄尿中UUA/UCrが0.5未満を示した例はなかった.一方,随時尿実施者においても,随時尿中UUA/UCr が0.5未満を示した例の99%が蓄尿による評価で尿酸排泄低下型を示した.蓄尿中UUA/UCrは随時尿中UUA/UCrと有意な正の相関を認め(r=0.42, p<0.01),両方法に基づくUUA/UCr0.5をカットオフ値とした場合の病型分類の一致率は69.5%であった.高尿酸血症合併高血圧患者において随時尿中尿酸/クレアチニンに基づく病型分類は日常診療での薬剤選択の根拠となりうると思われた.
著者
伊藤 朗 古賀 由香 秦野 伸二 三上 俊夫 村上 秀明 後藤 浩史 丹 信介
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
尿酸 (ISSN:03884120)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.65-74, 1986 (Released:2012-11-27)
参考文献数
21
被引用文献数
2

各種スポーツマン, すなわち陸上競技の投てき(以後投てきと略),同短距離(以後短距離と略),同跳躍(以後跳躍と略),同長距離(以後長距離と略),器械体操,水球,水泳,ラグビー・フォワード( 以後フォワードと略) , 同バックス(以後バックスと略),野球,ハンドボール(以後ハンドと略),バレーボール(以後バレーと略),バスケットボール(以後バスケと略),サッカー,弓道,スキー,テニス,柔道,モトクロスの尿酸代謝について検討した.被検者は,18-29歳の男性211名とした.結果は以下のとおりである.1)全員の血清尿酸値(以後SUAと略)は,正規分布を示し,平均値は5.95mg/dl,2 S.D.は3.07-8.83mg/dlであった.種目別のSUAは高値順から投てき,水球,野球と続き,低値順からはモトクロス,跳躍,バレーと続いた.2)全員の高尿酸血症(7,5mg/dl以上)発症率(以後発症率と略)は9.95%,種目別発症率は,高率順から投てき,野球(各25%),テニス(20%)と続き,モトクロス,弓道,スキーなど7種目は発症しなかった.3)全員の尿中尿酸排泄量は,正規分布を示し,平均値は692mg/day,2S.D.は220-1,161mg/dayであった.種目別では,高値順から野球,柔道,バックスと続き,低値順からは器械体操,水泳,弓道と続いた.4)全員の尿酸クリァランス(以後CUAと略)は,対数正規分布を示し,平均値は7.87ml/min,2S.D.は3.35-18.49ml/minであり,種目別では高値順から長距離,バレー,バックスと続き,低値順からは器械体操,サッカー,テニスと続いた.5)全員のSUAとCUAには相関が認められ,相関係数は- 0.523 (p<0.001) であった.以上の結果および各種目の運動特性を考慮すると以下の示唆が得られた.1)アマの一流でない一般のスポーツマンのSUAは,一般人の平均値より高値が13種目,低値が6 種目, また発症率が一般人より高率が7種目,同率5種目,低率7種目であり種目間の差が著しく,なかには運動の影響のみられない種目があることが示唆された.本対象のSUA,発症率は最高でもプロ,アマー流選手より低く,活躍度が関係していることが示唆された.2)各種目の運動特性と尿酸代謝の関係は,パワー,有気的持久性,無気的持久性が多く含まれている種目の影響が大きく,なかでもパワーの影響が大きい.またパワー,有気的持久性が多く含まれ,無気的持久性の少ない種目は,尿酸産生過剰型であることが示唆された.一方,無気的持久性が多く含まれる種目は,尿酸排泄低下型であるが,パワー,有気的持久性の要素も含まれる種目では産生過剰の両型あることが示唆された.
著者
神原 彩 三浦 芳助 瀬山 一正
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
痛風と核酸代謝 (ISSN:13449796)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.95-103, 2012 (Released:2013-01-23)

我々は「食物成分の操作による尿のアルカリ化が尿酸排泄を促進する」ということを発見した.この発見を生活の場で具体化するためには,献立をたてる段階で,食物が代謝された時に尿酸だけでなくH+の生成量を予測することが必要不可欠となる.Frassetto等(1998)は,食事に含まれるタンパク質(g)とK+(mEq)の比率であるP/K比は,腎による正味の酸排泄量([滴定酸]+[NH4+]-[HCO3-])と直線的相関関係があると報告している.我々は,この仮説が過去4年間に得られたデータと一致するか検証した.得られた結果は彼らのデータを支持するものであった.そこで,プリン体含有量とP/K比で分類した食物を選択するための簡単な参照表を作成した.プリン体はすでに金子氏によって報告されたデータを使用し,P/K比は五訂増補日本食品標準成分表を用いて算出した.高尿酸血症予防のためによいとする食事のP/K比の境界線は,日本痛風・核酸代謝学会の治療指針に尿路結石予防のために尿pHを6.0以上に維持することが示されているので,尿pH6.0に相当する一日当たりの食事のP/K比1.5とした.