著者
山中 敬一
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.397-437, 2015-03

詐欺罪成立要件につき、「財物」または「財産上不法の利益」の移転につき、「財産的損害」を必要とするかどうかについては争いがあるが、通説は、一項、二項ともに「財産的損害」を既遂の要件とする。判例においては、近時、重大な錯誤があり、財物や財産的利益の移転があれば既遂を認め、財産的損害が発生したかを問わないように見えるものが多くなっている。本稿では、実質的個別財産説を採りつつ、その実質の内容とその判断基準を明らかにしようと試みた。 本稿では、詐欺罪を近代の取引社会の所産と見て、取引の中で、詐欺罪は、たんに給付と反対給付という狭義の取引関係から生じるものではなく、寄付金詐欺、補助金詐欺のような片務的な行為も、これも取引関係に含めることができるとする。片務的行為の場合、財産的損害が発生したかどうかは、「社会的目的」が「不達成」に終わったかを基準とするという理論が唱えられているが、寄付行為者の「満足感」などといった「社会的」目的の達成は、財産犯における基準ではありえない。本稿では、それを経済的な取引目的の不達成の場合に財産的損害が発生するとする構想(取引目的不達成理論)を展開し、その理論を判例において実証する。
著者
佐藤 進一
出版者
中央大学
雑誌
中央史学 (ISSN:03889440)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.166-172, 1987-03
著者
安念 潤司
出版者
中央大学
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.33-61, 2013-06

日本音楽著作権協会(JASRAC)は、多年にわたり、ライセンスの方法として「包括許諾」「包括徴収」と呼ばれるブランケット方式を採用してきた。これに対して公取委は、私的独占に当たるとして排除措置命令を発したが、JASRACの審判の申立を受けた公取委は、原処分を取り消す審決をなした。この審決に対して、JASRACの競争事業者がその取消しを求めて東京高裁に出訴した。競争事業者は、排除措置命令取消審決を争う原告適格を有するのであろうか。本論文は、独禁法、行訴法はもとより、特許法、民訴法など関連の法分野の制度や議論を鳥瞰しつつ、競争事業者に原告適格はないとする結論を導いたものである。
著者
林 弘正
出版者
中央大学
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.599-644, 2015-03

児童虐待は、個々に生起する保護者等による自子に対する侵害行為に「児童虐待」との呼称を付与し社会現象として共有される。児童虐待の公的データは、児童相談所での児童虐待相談対応件数の一九九〇年一、一〇一件から二〇一三年七三、七六五件の推移及び警察庁の児童虐待の罪種別・態様別検挙状況の一九九九年一二〇件から二〇一三年四六七件の推移である。両データは、相談対応件数及び検挙件数であり社会に生起している実相とは程遠いものでありナショナルデータの集積が喫緊の課題である。 本稿は、二〇一二年から二〇一四年までの三年間に裁判実務に顕在化した児童虐待事案から行為態様類型別に身体的虐待二事案、ネグレクト及び児童期性的虐待各一事案を考察の対象とする。具体的事案の分析を通して、児童虐待の問題の所在と児童虐待防止の方策について検討する。児童虐待事案は、ケースにより裁判員裁判の対象となり、厳罰化傾向の指摘されるなか最高裁第一小法廷平成二六年七月二四日判決は量刑に関する判断を示した。 本稿の基本的視座は、「児童虐待は、犯罪であり、刑事制裁の対象である。」、「被害者のサポートは、最優先課題である。」、「加害者に対する治療プログラムの提供は、児童虐待防止のため不可欠である。」との三点である。
著者
井ノ口 哲也
出版者
中央大学
雑誌
紀要. 哲学科 (ISSN:05296803)
巻号頁・発行日
vol.57, no.257, pp.37-61, 2015-02
著者
石橋 賢太
出版者
中央大学
巻号頁・発行日
2016

著者は学位授与報告書による
著者
鎌倉 稔成 庄司 裕子 渡邉 則生
出版者
中央大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

映像コンテンツに関する評価履歴データに対してパラメトリックな潜在因子モデルを適用することによるレコメンドシステムにおける予測精度の検証と,評価性能の向上化を目指した統計モデルの改良を行った.ここで考えているレコメンドシステムは,評価データに基づいて消費者(ユーザ)に対して商品やサービス(アイテム)を個々に推薦をするというものである.ユーザとアイテム間の関係を確立するために,評価履歴データのようなユーザのアイテムに対する過去の行動情報を分析する手法として潜在因子モデルと近傍モデルの2つが挙げられる.潜在因子モデルがユーザとアイテムの両方を直接プロファイルするのに対し,近傍モデルではユーザとアイテム間の類似性を解析している.本年度は潜在因子モデルに注目し,Ho and Quinn(2008)が提案している潜在因子モデルを利用したパラメトリッグな回帰モデルを基礎としたベイズモデルの方法を利用した.映像コンテンツに関する評価データとして,「キネマ旬報」の評価データおよび米国のDVDレンタル会社Netflixの評価データを用いていた.キネマ旬報における総合評価とモデルによって推定した作品の潜在品質にはほとんど差異なく,その作品の潜在品質は,その作品を評価した評価者間の系統的差異すなわち評価者の評価における特徴(評価基準や品質識別力)をもとに決定されるということが分析結果として得られた.また,評価者の特徴は大きく2つ,多くの評価者がベスト10に選んでいる作品に対して,高い評価を与えるという識別力がある平均的な評価傾向の評価者と,多くの評価者がベスト10に選んでいる作品に対しては低い評価を与え,選んでいない作品に対しては評価をするという識別力がない個性的な評価傾向の評価者とに分類できることが判明した.
著者
棚瀬 孝雄
出版者
中央大学
雑誌
中央ロー・ジャーナル (ISSN:13496239)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.3-38, 2014-12

本稿は、著者が退職にあたり40年あまり法社会学研究に従事した、その研究の総体を自らふり返ったものである。当初、川島武宜の問題意識を受け継ぎ、法が理念的な形で機能する社会実現のために、法の機能化を妨げる日本人の法意識や、裁判・弁護士等の法制度の問題点を実証的に明らかにする仕事を行ったが、比較のために、法がより大きな役割を果たしているアメリカ社会を分析する中で、個々の法や制度を、背後の法秩序の中に位置づけて理解する視点を身につけていった。弁護士論や、裁判手続、司法制度、裁判外紛争処理などの制度分析がこの時期の研究である。 その後、社会科学全般の大きなパラダイム転換があり、解釈主義、批判理論、ポストモダン、共同体論などの理論を著者も積極的に摂取し、法のより深い分析を行った。法社会学は、これらの現代社会理論を援用することで、法を所与のものとして、その実現のみを対象とする研究と一線を画し、また、社会を法に対して受動的な、一義的な記述が可能なものでなく、重層的な意味の体系に覆われているものとして見ることで、社会に埋め込まれたものとしての法の現実の姿により肉薄することができる。 著者は、その研究生活の後半を、こうした視点で、法の理論だけでなく、その応用としての法解釈理論の分析を行い、憲法から民法まで法律学者との学問的対話も行ってきた。 最後に、今、弁護士として法実務を行っている著者が、この法社会学の研究をどう実務に活かしているのかを述べている。After 40 years of academic career, the author reflected upon his socio-legal studies. First, he started as a modernist, in the sense that to modernize Japan by establishing the rule of law and to get rid of the feudalistic elements in Japanese society was an urgent task. So, the author analyzed the Japanese legal consciousness which hindered the people to access to law, and the legal institutions which were not well attuned to promote the rule of law. Alternative dispute resolutions were also studied.Then, in social sciences the big paradigm change occured, so-called ""interpretive turn"". The human society is made up of the thick layers of meanings, and the people interact, and build institutions and organizations by interpreting the actions of each other to make sense and react to what he understands to be the other's intention. The author incorporated this new social science paradigm into the studies of law, and analayzed the legal institutions in much deep level as immersed and entrenched in society.The postmodernism, communitarianism, and critical legal studies were the perspectives that the author was guided in these in-depth analysis of the institutions. Legal rules and precedents of various laws, such as constitution, contract and tort were also analyzed by positing the interpretation of laws itself was a part of, and in consequence of such human interactions, and thus amenable to interpretive social science analysis.Finally, as the author is now engaged in legal practice as a lawyer, he reflected upon how his socio-legal studies were made relevant to the practice.
著者
高橋 直哉
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.1-27, 2015-03

本稿は、犯罪化の正当化条件の総体を体系的に示す「犯罪化論」の構築を試みるものである。犯罪化は、国家が刑罰という峻厳な制裁を用いてある行為を規制するものであるから、それが正当化されるためには、そのような行為を規制することが国家の果たすべき役割に含まれるといえ、かつ、そのように強制的に規制するだけの特別な理由がなければならない、という認識を出発点として、犯罪化の正当化条件を、「国家の介入の正当性」「犯罪化の必要性」「全体的な利益衡量」「刑罰法規施行後の検証」の四段階に分けて、それぞれの意義・内容、および、それらの相互関係について考察を加えている。従来、わが国ではあまり理論的分析が加えられていなかった刑事立法のあり方について、道徳哲学・政治哲学の知見も交えながら一試論を展開するものである。
著者
岩田 重則
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017年度の本研究は、前年度2016年度に行なった調査・研究を継続し、本研究のために3地域でフィールドワークを行ない、また、研究成果を発信するための単著の執筆と国際会議での発表を行なった。フィールドワークについて。三重県における両墓制と火葬墓制、また、三重県に隣接する滋賀県における両墓制と火葬墓制の調査・研究を行ない、遺体埋葬の両墓制と遺体火葬の火葬墓制との間の同質性を抽出するための作業を行なった。また、滋賀県から北側に隣接する福井県では、その越前地方では火葬墓制が、その若狭地方では両墓制が顕著であるので、福井県でもその同一県内での両墓制と火葬墓制の調査・研究を行なった。これらによって、両墓制と火葬墓制ともに、仏教民俗としての性格が色濃い墓制であることが確認できた。従来の研究では、両墓制は仏教的性格のない「固有信仰」とされてきたが、そのような従来の通説とは異なる調査・研究を行なうことができた。単著の執筆について。2017年度は、上記の調査・研究の成果として、単著の執筆を行なった。『日本鎮魂考―歴史と民俗の現場から』(2018年4月刊行、青土社。四六版上製363頁)、および、『火葬と両墓制の仏教民俗学』(仮題。2018年6月刊行予定、勉誠出版。A4版上製330頁予定)の2冊を執筆した。学会発表としては、2017年11月9日―10日国際会議、The Death of Funeral Rites in Est Asia(韓国、The Academy of Korean Studies) で″The Tomb of the Tenno in Modean Japan″を行なった。
著者
森 光
出版者
中央大学
雑誌
中央大学史紀要 (ISSN:09162119)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-41, 2013-03

1 0 0 0 IR 丁謂と茶

著者
池澤 滋子
出版者
中央大学
雑誌
中央大学論集 (ISSN:03889033)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.27-33, 2015-02