- 著者
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新妻 実保子
- 出版者
- 中央大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2015-04-01
ロボットの愛着行動モデルの堅牢性に課題があり,長時間安定してロボットを動作させることが困難であることが実験の準備を通じて明らかになった。また,「なつき度」としてモデル化している人とロボットの関係性を,人とロボットのインタラクションの履歴から更新する処理が適切に計算されていないことがわかった。そのため,今年度は,長時間の実験実施に向けた愛着行動モデルの改良を行った。その結果,長時間安定して動作できることを確認し,愛着行動の有無によるロボットとのコミュニケーション実験を通じて,新しく改良した行動モデルによって,適切に愛着行動が示され,さらにロボットやロボットの振る舞いについて事前知識のない被験者であっても,ロボットが誰に対して懐いているかといった愛着行動の特徴を適切に理解していることを確認した。なつき度の適切な変化に関しては引き続き取り組んでいく。また,生活空間でのロボットの利用を考え,ロボットの愛着行動に加え,見守り機能を実装した。3次元測域センサによる人の位置,姿勢の計測,及びカメラとの統合による人の視野推定を新たに実現し,環境の構成と人,ものなどの動物体の移動履歴を表した環境地図を生成し,不審者,不審物,人の危険などを検出し,ロボットが人へ伝達する。この機能は,生活空間でのロボットの長期利用を想定しやすくするものと位置付けられる。さらに,不審物の存在などを非言語情報で伝達できることを確認し,また愛着行動をベースとして見守り行動を導入した際も被験者はロボットの愛着行動を理解していることを確認した。