著者
南 峰夫 氏原 暉男 根本 和洋
出版者
信州大学
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.37-43, 1998-09

ネパールにおいて、1984年以来、植物遺伝資源の収集と聞き取り調査を行ってきた。作物別の収集点数とその標高分布から、ネパールの農業における新大陸起源の作物の占める位置について考察した。新大陸作物は栽培の歴史が短いにもかかわらず、ネパールの農業において重要な位置を占めていた。トウモロコシはイネに次ぐ栽培面積と生産量を持つ丘陵地帯の最も重要な穀類となっており、多くの在来系統と、多様な作付体系が成立していた。バレイショはイモ類生産量の70%を占め、他作物の栽培が困難な標高3500m以上まで栽培されており、高地における重要な主食作物になっていた。さらにトウガラシはネパールの食生活に欠かせないものとなっている。これら収集した新大陸作物(トウモロコシ、インゲンマメ、アマランサス、トウガラシ)の在来系統の諸特性を栽培調査したところ、多様な変異が認められ、遺伝資源として有用であることを確認した。

1 0 0 0 OA 世代間問題

著者
ロネール ハミルトン 角尾 篤子
出版者
信州大学
雑誌
教育実践研究 : 信州大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13458868)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.237-240, 2000-07-31

多くの世代間問題は様々な年齢層の間における交流の欠如に起因し、今日の社会では、実際にこれら多くのギャップが引き起こされている。年齢層で分断された学校システム、特に日本では家族の規模が縮小し、拡大家族が一緒に生活することがますます少なくなっている現実が、今日存在する交流縮小の主要な一因となっている。今、世界の各地で世代間交流のニーズに基づいて促進されている、多くのプログラムを把握することが奨励される。加えて西洋の古典にあたる聖書には、世代間参加・交流に関連した恩恵についての多くの実例が書かれていることに注目する必要がある。
著者
戸田 任重 沖野 外輝夫 鈴木 啓助 茂木 信太郎 藤井 恒男 土田 勝義
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

わが国における環境コミュニティ・ビジネスの先進事例として,(1)新聞紙のリサイクルに関するビジネスモデル(福岡)及び(2)廃食用油のリサイクルに関するビジネスモデル(秋田)の二つの事例を取り上げた。前者は、地域ぐるみでの共生型社会システムの構築の実験例であり、後者は、公的な事業に比べて自由度の高いベンチャー企業の特性を生かしつつ,地域内のBDFに関するエネルギー循環システムを確立しようと試みている点が注目された。諏訪湖・天竜川流域の地域社会の発達過程を、統計データや人工衛星データ(LANDSAT TM)を用いて解析した。有料道路ビーナスラインが約30年前に開通し、平成14年に無料化され、霧ヶ峰観光の増大とそれに伴う収入の増大、その他周辺各地の観光地化、大量の観光客の到来に伴う草原破壊、ゴミ、尿尿問題などの環境問題(いわゆるオーバーユース問題)、霧ヶ峰の草原生態系の変化(景観の変化、森林化、植林地化、外来植物の繁茂)などが引き起こされてきた。これらの様々な問題への対処には、行政ばかりでなく、NPOや地元市民の協力が不可欠であると考えられた。諏訪湖、天竜川流域における物質循環調査では、天竜川水系小黒川源流域における河川水質変動の解析、天竜川隣接市町村における地下水の硝酸塩汚染の実態把握、遠州灘海岸の海浜砂の粒度変化と漂砂系の調査を実施した。また、人工衛星データ(Aster)を用いて、諏訪湖流域に存在する多数のゴルフ場がその周辺の自然環境に与える影響を調べた。さらに、固体29Si-NMRによる底泥中の生物態シリカ(BSi)の定量法の開発も行った。諏訪湖内の生物、環境に関する調査では、諏訪湖底泥柱状試料中における光合成色素を用いた藻類組成変遷の解析、トリブチルスズ(TBT)の水平分布、ミジンコの生活史に応じた殺虫剤(カルバリル)耐性の解明、底生生物相の変動解析を行った。底生動物のアカムシユスリカの発生時期には水温が大きく影響していること、成虫発生量は年変動が大きいが,減少傾向にあることが判明した。環境改善技術として、シクロアルカン類の光分解反応の解析、気相におけるクロロアセトンの光反応の解析、ベンズアルデヒドの粘土鉱物アロフェンへの吸着特性の解明、製材残滓充填カラム内における汚染物質の浄化特性の解明、硝酸性窒素による地下水汚染源の解明とモデル化を行った。
著者
今井 章 本田 仁視 本田 仁視
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.39-50, 2008-03-05

This study examined the relationships between apparent motion illusion of alpha movement and eye activities. Seven subjects reported motion impressions for retractability, smoothness, and dimentionality of alpha movement by applying Muller-Lyer figure. Under instructions of (a) fixating gaze to a center point of the figure, and (b) shifting gaze saccadically to each endpoint of the figure alternatively, subjects observed 15 conditions constructed by 5 angle conditions of fin part of the figure and 3 alternating rate conditions of ingoing and outgoing fin figures. Three kinds of eye activities as fixation, saccadic eye movement, and eye blink were identified. Under the condition of shifting-gaze, estimated value of the smoothness was significantly greater than that of fixating-gaze condition. Evaluations of the retractability and the dimentionality were not differentiated by the conditions of fixating-gaze and shifting-gaze. The retractability increased monotonically as the angle of fin part being acute and the dimentionality did not vary in response to any independent variables concerned. The results suggest that eye gazing alters the motion impression of smoothness in alpha movement, and motion perception may be influenced by the oculomotor controlling mechanisms.