著者
池田 京子 大谷 真 香山 瑞恵 東原 義訓 山下 泰樹 谷塚 光典
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

通常,正しい発声法は,熟達したプロのヴォイストレーナーによる個別訓練によってのみ習得できるとされており,このことが教育現場において,歌唱指導の壁となっていた。そこでこれまで研究代表者らが開発してきた「声の見える化技法」を応用したソフトウェアを開発し,改良を重ねた。また、それを用いた指導法を構築し、附属学校園での「歌唱指導」の授業実践を重ねてきた。これにより,児童・生徒たち自身が自分の声を評価し,友だち同士の相互評価ができ,プロのヴォイストレーナーがいなくても,自分たちが目的を設定することで,主体的な学びに発展させるシステムの端緒を構築した。
著者
渡邊 勉
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.15-31, 2006-03-15

ライフコース研究におけるライフイベント分析は,単純集計やクロス集計による記述か,イベントヒストリー分析が主であった。本稿では,学卒,初職,離家,結婚,第1子誕生,最長職の6つのライフイベントの順序パターンをクラスター分析によって抽出した。その際,各サンプル間の順序パターンの距離を一対比較によって定義した。クラスター分析の結果得られた順序パターンをもとに,性別,学歴,職業によってパターンが異なることを明らかにした。特に性別によって学歴,職業の影響の仕方が異なることが明らかとなった。
著者
小野 和彦 岩田 靖
出版者
信州大学
雑誌
教育実践研究 : 信州大学教育学部附属教育実践総合センター紀要 (ISSN:13458868)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.77-86, 2002-07-31

The purpose of this paper is to report the lesson of "net-type(especially dual-type)" game practiced in elementary school. The reason that net-type game is selected to physical education curriculum depends on the theory of "tactical games approach". In this lesson, decision making process in the game context was emphasized as learning objective. Learning outcome was considered from the viewpoint of formative class evaluation scored by learners.
著者
氏原 暉男 森本 昇司 小野 珠乙 南 峰夫 池橋 宏
出版者
信州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1998

ミャンマー東部の山岳国境地帯はケシの栽培地帯として有名で,アヘン生産の原料となるケシ栽培を根絶することが重要課題となっているが,十分な成果が上がっていない.これは現地の自然および社会的条件に合致したケシに代わる換金作物が導入,確立されなかったからである.ケシは現地農民の唯一の収入源であり,ケシと同等以上の収入が得れれる代替作物の開発普及が不可欠である.このような観点から,平成10年8月から9月にかけて約2週間にわたり,シャン州コーカン地域のケシ栽培地帯の拠点の一つであるターシェータン村を中心に農家の経営実態と農作物の栽培状況などを調査した.さらに具体的な換金作物,薬草あるいは動物資源などについて,視察と聞き取り調査を実施した.その結果,シャン州の平地部では中国の雑種イネ品種を導入した先進的な稲作が行われているのに対して,ケシ栽培地帯の山岳地域では焼き畑が行われ,主にトウモロコシが栽培されていた.明らかに地域格差が認められ,ケシ栽培に頼らざるを得ない状況が認められた.そこで具体的に収入源となる可能性が有る代替作物あるいは動物製品について調査した.山岳地域から市場までの道路事情が悪く,特に雨期には通行止めもしばしばである.従って,果樹,野菜など保存がきかず,重量のある生ものは除外された.少量で価格が高く,保存がきくものとして薬草が考えられるが,聞き取り調査では有望な薬草は見つからなかった.一方,この地域は有名な茶の産地で,半発酵のコーカン茶は調製法などの工夫,向上により換金作物として可能性がある.また,山岳地帯の環境に適した作物としてソバについて日本産品種を試作した結果,十分な収量と品質が認められた.現地農民はソバの栽培経験を持っており,日本の需要家との価格交渉,およびヤンゴンまでの輸送法を確保できれば代替作物として可能性があることが明らかとなった.
著者
野村 俊明
出版者
信州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

1 銅(11)などと錯体を形成するジフェニルカルバゾンやジフェニルカルバジドを水晶発振子上に塗布した場合、pH緩衝液によりわずかずつ溶出し、繰返し実験に耐えない。銅(11)錯体としての塗布は、溶出がほとんどなく、EDTA溶液などの溶離剤を用いれば、銅(11)と反応して重量を変化させるが、付着した銅(11)が次第に溶出するので、感度が悪い上に再現性も悪い。サリチリデンジアミノベンゾフランをアセトン溶液にして水晶発振子上に塗布した場合、pH緩衝液による溶出は認められず、亜鉛(11)と反応して非常に大きな振動数変化を与えるる。しかし、付着した亜鉛(11)に対する適当な溶離剤がないので、定量には用いられない。酢酸セルロースとの等量混合溶液として塗布し、溶離剤として0.01M硝酸溶液を用いれば、試薬のみの時よりも感度は悪くなるが再現性よく亜鉛(11)を定量できる。2 サリチリデンジアミノベンゾフラン-酢酸セルロースを塗布した水晶発振子をフローセル装着し、0.01Mベロナールナトリウム-塩酸緩衝液(pH8.4、試薬ブランク液)を流速4.4ml.【min^(-1)】で流し、振動数を一定(【F_1】)にする。つぎに亜鉛(11)試料溶液(pH8.4)を5分間流したのち、再び試薬ブランク液を流して振動数を一定(【F_2】)にする。亜鉛(11)による振動数変化量(【F_1】-【F_2】)と、あらかじめ求めた検量線とから亜鉛(11)量を求める。付着した亜鉛(11)は0.01M硝酸溶液を約10分間流して除去し、つぎの実験に備える。3 この定量法によりμΜ濃度の亜鉛(11)が簡単迅速にしかも再現性よく定量できる。本法の確立により、水に不溶でしかも金属イオンと特異的に反応する有機試薬は、酢酸セルロースなどの樹脂との混合物として塗布することにより、水中の微量金属イオンを特異的に定量するための塗布剤として利用できることがわかった。
著者
張 兵 丸池 信弘 仲間 秀典 山本 美由紀
出版者
信州大学
雑誌
信州大学教育システム研究開発センター紀要 (ISSN:13419714)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.57-75, 2000-03

現代は共生・共存が多くの分野で共通課題であるが,現実は専門指向の分析科学的発想のため,社会現場と学問現場の関心が共有できてないことが多い。この問題意識を解決するため,本稿は従来の公衆衛生の基礎知識を踏まえながら,価値観の転換を教育的にどう計るか10年間の試行錯誤の経過と成果を報告する。共生の願いを生かすには,文化と科学技術を融合する文化規範を取り入れ,WHOの新しい健康の定義の試案を理論仮説とすると,住民参加の時代の保健政策の理念を形成できる。次に,それに見合った新しい経済観を作業仮説とすると,新しい保健経済の理論と事例研究の方法論を提案できることを討論する。この人間中心の現代ニーズを受け入れるには,講師と学生が前向きな対話による問題解決指向の教育形態が必要になり,その基本精神が社会現場での学際・職際・国際的な共同作業を可能にするので,これは二十一世紀的な価値転換の共通課題となるだろう。
著者
藤山 静雄
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1999年度には塩尻市東部、鉢伏山一帯で成体が、すなわち霧ヶ峰から美ヶ原に至るヴィーナスライン沿いで成体の大発生が観察された。特に9-10月にかけて側溝、コンクリート製の切土斜面に多数の成体が観察された。鉢伏山の周辺では比較的密度が低く、森林内、道路周辺では成体が散見されたに過ぎなかった。これらの調査では、採集個体はすべて成体であり、幼虫は全く観察されなかった。一方、霧ケ峰から蓼科高原に至る一帯では、7齢幼虫が大発生した。観察された幼虫は大部分が白色の個体で成体のように黄赤褐色をした個体はごく少なかった。これらの個体も含めて観察されたものは全て7齢幼虫の個体で成体や6齢の個体は全く見られなかった。採集された成体については、交尾個体は全く見られず性成熟していないことは明らかである。染色体調査では、分裂像が観察できず、染色体数を確認することは出来なかった。これらの結果はこれまで交尾等の繁殖行動の1過程としての群遊行動であるとする説と、分布拡大を主体とする分散行動であるとする説があるが、後者の説を支持する有力な証拠である。また、成体、7齢幼虫の存在など8年周期は今回の調査でも厳密に維持されておりその周期性の厳密さは筆者がこれまで指摘してきた周期決定メカニズムが良く働いていることを示すものである。また、それらの分布域は24年前の分布域の境界線とほとんど変わっていない。このことは本種が土壌中に生息することを考えれば当然といえるが、近隣の個体群が他の個体群の発生経過に何らの影響も及ぼしてはいないことを示すと考えてよいだろう。次ぎに、岐阜県側での調査では6齢幼虫が見つかっているがヒダヤスデと考えられる。シ化し厳密な同定は出来ていない。その他、伊那地方では1齢幼虫が、山梨県塩山市では3齢幼虫が観察され、それぞれ8年周期の発生が予想される齢の個体群が生息していた。今後、地域の個体群間の関係、染色体数の決定等さらに詳しく解析する必要がある。
著者
長谷川 孝治 浦 光博 前田 和寛 浦 光博 前田 和寛
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.53-63, 2009-03-15

本研究では,低自尊心者における下方螺旋過程に対する友人関係の進展段階の調整効果が検討された。長谷川(2008)は,低自尊心者の下方螺旋過程の存在について明らかにした。すなわち,低自尊心者は,友人が本当に自分のことを大切に思ってくれているかどうかを繰り返し確認するという安心さがし行動をとり,その結果,その友人から拒絶されているという認知が高まる(肯定的に評価されているという認知が低下する)ことが示された。本研究では,このような不適応な相互作用プロセスは,低自尊心者が二者関係の進展段階を考慮していないために生じると予測し,検討を行った。パス解析による検討の結果,低自尊心者は,つきあいの浅い友人に対して安心さがしを行うほど,友人からの反映的自己評価が低下することが示された。また,親しい友人に対して,低自尊心者が安心さがしを行っても,反映的自己評価の低下は見られなかった。高自尊心者は,友人の親しさに関わらず,安心さがしを行うことが反映的自己評価を下げることはなかった。これらの結果について,アイデンティティー交渉の観点から考察された。
著者
山田 明義 久我 ゆかり 小倉 健夫 増野 和彦
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

1.マツタケ菌根合成系にエビオス(窒素源)を添加することで,苗の生育不良を回避できることを明らかにした.2.新たに開発した二層培養法により大量調製したマツタケとショウロの土壌接種源を野外の自然土壌条件下でアカマツ実生に接種した結果,ショウロでは外生菌根の形成に成功し本技術が実用的側面を有することを明らかにした.3.アミタケ,ショウロ,シモフリシメジ,ホンシメジの菌根苗を直接野外条件下に大量に植え付けた結果,菌株によっては十分な菌根の増殖が見られ,菌根苗定着の実用的な技術になりうる事を明らかにした.4.マツタケ類、イグチ類、チチタケ類を含む39種64菌株について菌根苗をポット培養し順化した結果,シモフリシメジ,ミネシメジ,クマシメジ,スミゾメシメジの4種で子実体発生に成功した.5.マツタケ,アミガサタケ,チャナメツムタケで複数の菌株を確立し培養特性を把握した.このうちマツタケでは,チョウセンゴヨウ,ヒメコマツ,ならびにドイツトウヒとも菌根形成する事を明らかにした.6.ハルシメジがウメの実生根系にも菌根を形成することを明らかにし,また,ウメ苗木根系に胞子散布することで菌根形成させうる事も明らかにした.これにより,ウメ苗木とハルシメジ胞子を用いた実用的な菌根苗作出が可能なことを明らかにした.7.マツタケのシロに接してアクリルチューブを埋設し,ミニリゾトロンを用いて継続観察した結果,チューブ近傍でのシロの回復は必ずしも速やかではなく,他の菌根菌が散発的に増殖しうることを明らかにした.8.ミニリゾトロンを用いてクリタケの土壌中での動態を長期継続観察した結果,菌糸束の発達,分枝,分解と再形成といった動的挙動があり,菌糸束が地中での菌糸体拡散において重要な役割を果たしうることを明らかにした.発達した菌糸束の顕微鏡観察により,主に外層と内層からなる二重構造が形成されることを明らかにした.
著者
菊池 聡
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

個人特性としての「あいまいさ耐性」は、クリティカルシンキングの態度を構成する主要要素の一つだと考えられている。この特性と、疑似科学を中心とした超常現象信奉との関連性を明らかにするために、中・高生を対象に質問紙調査を行った。その結果、「あいまいさへの不寛容(非耐性)」は超常信念と正の関連性を示したが、疑似科学や超常信念の種類などによって、関連性が異なっていることが明らかとなった。
著者
吉田 治人
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

スクールバンドの現場において、指導法に問題及び悩みを抱える指導者は少なくない。本研究では、申請者が現場に赴き、実際に生徒達に指導するプロセスを指導者に観察してもらい、懇談を繰り返すことで、指導力を向上させることを試みた。1年目は申請者が提唱する「fWO(フォー)」という息の出し方の説明に主眼を置き、音質の統一に向けた指導、2年目には音程を合わせることに主眼を置いた指導、3年目には総合的な合奏力を養うことを主眼に置いた指導を行った。成果としては、懇談及び指導中の指導者の発言から意識向上が見られ、吹奏楽コンクールの審査評価及び成績においても、ほとんどの団体が前年度と比較し、向上が見られた。
著者
沢木 幹栄
出版者
信州大学
雑誌
地域ブランド研究 (ISSN:18812155)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.95-99, 2005-12-04
著者
山本 もと子
出版者
信州大学
雑誌
信州大学留学生センター紀要 (ISSN:13467433)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-13, 2003-03

「感謝」と「謝罪」という異なった言語行動が日本語では両方とも「すみません」で表現できるという事象を、Brown and Levinson(1987)が「感謝」と「謝罪」をFace Threatening Act=FTA として同じカテゴリーに分類していることを切り口に「丁寧さのストラテジー」によって説明する。そして、日本語学習者用テキストやドラマのシナリオから感謝の意味を持つ「すみません」と「ありがとう」との使い分けを分析し、特に日本語では話し手と聞き手の相対的力関係や社会的規範がこれらの言語行動の違いに強く影響していることを言及する。また、アンケートの結果から、近年では感謝の気持ちを表すのに「すみません」より誤解の少ない「ありがとう」を用いる者が多いことが明らかになった。
著者
岡田 匡史
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

次の課題4点,「図像体系の構築」,「テキスト研究」,「指導法研究」,「鑑賞題材開発」を,当初計画を適宜修正・調整しながら進めた。研究遂行に当たり,図像学的分析が進む西洋絵画を厳選し,選定作品を学習材とする鑑賞授業を基本的枠組として設け,その枠内で上掲4課題の重点的かつ相互連関的な探求を継続した。その結果,西洋絵画(特に宗教画)の読解に要す基本図像の体系的整理,絵を読むのに要す諸テキストの整理,段階型鑑賞プログラムに基づく各種鑑賞題材の提案,そして,授業検証が達成できた。最終的に図像学的読解メソッドの概念を拡張でき,「自由解釈,テキスト準拠型鑑賞,図像学的読解」で成立する学習モデルも明示できた。
著者
細野 高史
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

半導体デバイスをウェーハから切り出す「ダイシング」に応用することを目標に,レーザ溝加工を検討した.シリコンに形成した溝を評価したところ,腐食液中で加工した場合,空気中や水中での場合より熱により変質した層が少なかった.また低繰り返し・高ピークパワーのレーザと高繰り返し・低ピークパワーのレーザを比較した結果,後者の方が溝幅を小さくできたものの,繰り返し数が大き過ぎると溝周囲が過剰にエッチングされた.このような過剰エッチングは,腐食液の循環により抑制できた.さらに,シリコンばかりでなく4H-SiCについて,強酸化剤を含む溶液中で加工することで効率的に溝加工できることが分かった.