著者
和泉 博
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.22-23, 2015

有機分子の立体構造を表示する多くのソフトウェアではクリック操作で光学活性分子のキラリティーを簡単に表示することが可能である。一方で、ゴーシュプラス、トランスなどの有機分子のコンフォメーションを簡便に表示するソフトウェアは存在していない。クリック操作であらゆる有機分子の立体配座をコード化できるプログラム(CCOM)を作成し、その最適化分子構造ファイルの自動抽出機能によるプラバスタチンナトリウムの赤外円二色性(VCD)立体配座解析を行った。CCOMによる各コンフォマーの出力は、立体配座コードとギブズ自由エネルギー値の情報を含むsdfファイル形式として整理した。さらに、2次元の化学構造式の部分構造検索が可能なSMARTS記法と立体配座コードを結び付けることにより、メバスタチンX線結晶構造データのような異なる分子でも 3Dフラグメント構造検索が出来た。
著者
早瀬 修一 松本 恵 吉村 研 伊藤 敏幸 上谷 保則
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第34回情報化学討論会 長崎
巻号頁・発行日
pp.P19, 2011 (Released:2011-11-06)
参考文献数
6

様々な置換基を持つ一連のフレロピロリジン誘導体(1)について,密度汎関数理論を使った電子状態計算をおこなった.その結果,(1)をアクセプターとするポリチオフェンベースの太陽電池の開放端電圧が,(1)のLUMOエネルギーと比較的強い正の相関を示すことが分かった.このことは,上記太陽電池の光起電力生成過程がバルクへテロジャンクション機構に支配されていることを示唆している.
著者
堀 憲次
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.42-45, 2015

我々は研究や分子化学教育の現場における量子化学計算結果の利用を容易にするため、理論計算結果を集めたデータベース(QMRDB)の構築を行ってきた。このシステムは、WebブラウザとPostgreSQLを使用し、php言語で記述され、ネットワークを介してどこからでも容易にアクセスが可能である。分子名やキーワードによる検索だけではなく、OpenBabelを用いた構造検索機能も実装している。このデータベースの利用を促すためには、データ数増加やそれらの正確性を担保することは重要である。その目的で、データ登録作業の効率向上を目指したWebブラウザベースのプログラム開発をおこなった。更に、QMRDB中データを反応記述子で関連付けることにより、遷移状態データベース(TSDB)も構築している。このデータベースは、TOSP等の合成経路設計システムが網羅的に発生する合成経路で目的化合物が合成できるかどうか検証を行う理論計算(in silicoスクリーニング)を支援するために利用される。
著者
田中 るみ子 中山 伸一
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P5, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
2

特許公開公報に記載されている化学物質名は、多様であり、記載法も書き手に委ねられているため共有化を妨げている。化学物質名を自動抽出できれば、共有化に役立つ。現状を把握するために特許公開公報(化学分野)において、化学物質名の出現頻度、記載法を調査、分析した。化学物質を単一物質、混合物、高分子など種類別にタグ付けを行い、各文書における種類別の化学物質名の頻度を比較した。化学物質名を抽出する試みとして、まず形態素解析を用いた化学物質名の単離と、化学物質名に特有な文字に着目した化学物質名の選出結果を示した。
著者
山本 博之 津川 裕司
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P3, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

メタボロミクスでは、化学構造が不明な未知ピークが疾患バイオマーカー候補となることがあり、未知ピークの構造推定を行うためのケモインフォマティクス手法が様々提案されている。本研究では、結合が切断するか否かを目的変数、インシリコフラグメンテーションによって得られた構造ペアのフィンガープリントから計算した特徴ベクトルを説明変数とし、正則化ロジスティック回帰を用いてフラグメンテーション予測を行った。
著者
堀 憲次
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O12, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

我々は、これまで開発を行ってきた遷移状態データベース(TSDB)を活用して合成経路の評価を行う手法(in silico スクリーニング)を適用する研究で、東京大学船津教授を代表研究者とするCREST プロジェクトに参加している。我々のサブプロジェクトでは、遷移状態データベースに採録されている遷移状態構造をテンプレートとし、その構造中の3 つの原子を指定することにより置換基の異なる系における遷移状態候補構造を作成する。この方法により、短時間でのTS 構造計算が可能となり、その結果として多反応の可能性評価を可能としている。反応の類似性の検索には、OpenBabel 及びgWT プログラムを用いている。本研究では、CREST プロジェクトを実施するうえで新たに開発した関連プログラム、TSDB の現状とサブプロジェクト間の関連プロジェクトについて報告する。
著者
井手尾 俊宏 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P14, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

Fatty Acid Synthase (FAS) 阻害剤である33 個の分子について電子状態計算を行い、電子的類似度を算出して、各分子の活性を示す数値(半数阻害濃度)との相関を調べた。また、分子の構造的類似度についても同様に半数阻害濃度の数値との相関を確認した。電子的類似度の相関係数は0.79、構造的類似度の相関係数は0.47 となった。従って、今回検討した分子群の薬理活性に対しては、電子的類似度がより優れた記述子であると言える。
著者
⼩杉 侑誠 杉本 学
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P16, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
6

機能性分⼦の探索のためには、物質に関する構造、電⼦状態に関する情報を集積したデータベースが有⽤であると思われるが、数値データだけでは物質開発の戦略を提⽰することはできない。我々は、物質探索において⾔語によって表現された知識情報の活⽤が本質的に重要であると考え、分⼦構造、電⼦状態、知識情報の三つを含む知識情報統合型電⼦状態データベースを開発しているので、その現状を報告する。
著者
吉田 智喜 山乙 教之 広野 修一
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P8, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
6

リガンドとタンパク質との間の相互作用を、アミノ酸残基フラグメントレベルで量子化学的に解析することが可能なフラグメント分子軌道(FMO)法は、阻害剤とタンパク質との間の相互作用を取り扱う創薬において非常に有用な手法である。本研究で我々は、FMO 法によって得られるフラグメント結合エネルギーを記述子としたPLS 回帰によるCDK2 阻害剤の三次元定量的構造活性相関を報告する。阻害活性既知リガンドと最も類似しているリガンドが結合しているCDK2 タンパク質X 線結晶構造に対してドッキング計算を行うことによって信頼できる複合体構造を作成してFMO 計算に使用した。幅広い活性の多様なリガンドについて阻害活性を予測することができるPLS 回帰モデルを作成することができた。
著者
和泉 博
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P2, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
14

立体配座探索にはMerck 社からの報告に代表される分子力場(MM)計算が一般に使用されている。ところが、日本の製薬企業に協力して水素結合を有するキラル医薬候補分子の解析を進めたところ、三割以上予測赤外円二色性(VCD)スペクトルが実測のものを再現しない結果が得られた。そこで、最大共通部分構造(MCS)で表されるフラグメントをもち自由度が高い分子にむけて、フラグメント分子のデータベースの中から立体配座探索を行い、環構造に対応した密度汎関数法計算のための初期構造を自動作成するプログラム(RingFragGeneration)を構築した。プログラムを用いて、49 個の回転可能な単結合を有し、マクロライド環構造をもつラパマイシンの初期構造を自動作成し、VCD 立体配座解析を行った。
著者
山﨑 広之 西端 芳彦 市村 博信 山乙 教之 広野 修一
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O3, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
14

Fragment-Based Drug Design (FBDD) では、従来実験手法により活性フラグメントを同定し、それらのフラグメントを組み合わせて化合物設計を行う。計算機的手法でフラグメントを同定する場合、数多くの候補フラグメントの数が同定され、その組み合わせは爆発的な数となる可能性がある。以前、我々は多数の候補フラグメントから絞り込むknowledge-based な手法を提案した。これにより候補フラグメントに優先順位をつけることができるが、本手法は用いる化合物ライブラリの化合物数が多いと計算コストが大きくなってしまう。今回はさらにデータベースに含まれる化合物数を絞り込んだ代表化合物ライブラリの開発を検討する。これにより高速に最適な組み合わせを選択したり他のFBDD 手法に適用したりすることが期待できる。
著者
高橋 崇宏 倉 陸人
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.O17, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

化学気相堆積法の研究開発の自動化を目指して、反応装置内部において原料ガスが気相反応や表面反応を経て薄膜になる反応機構(反応モデル)を明らかにするための実験計画を自動的に立案するシステムを開発した。立案アルゴリズムは共分散行列適応進化戦略法を用いて実現した。そして、システムの提案結果の妥当性を化学気相堆積法の仮想的な実験結果を用いて検証した。
著者
長谷川 清 深海 隆明 大田 雅照 白鳥 康彦
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.O5, 2009

医薬品候補化合物としては、ターゲットに対する活性だけでなく、バランスがとれたADMET (absorption, distribution, metabolism, toxicity)特性も必要とされる。プロジェクトでの構造最適化の過程で、種々のADMET end pointsが測定され、これら特性を事前に予測できるローカルモデルがあると効率的である。われわれは、MOE descriptorsと統計パッケージRからプロジェクトごとのADMETローカルモデルを構築した。また、ケミスト用のWeb GUIを開発し、ISIS/draw, sdf fileを入力すると、予測値が自動的に出力される仕組みを構築した。
著者
上岡 千紋 由井 芹菜 山本 栞 山崎 広之 西端 芳彦
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.O9, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
10

化学構造データベースは、化学に関する研究情報の蓄積・公開には必須のシステムであるが、商用システムは導入・運用コストが高く、大学などの研究機関にはあまり普及していなかった。非営利研究機関向けライセンスやオープンソースソフトウェアの登場により、大学などでの利用も可能にはなったが、実用に供するシステムを開発するには大きな労力が必要である。一方、システム開発の効率化のためにアジャイル開発が注目を集めている。我々は、アジャイル開発と親和性の高いWebフレームワークであるDjangoに注目し、DjangoとRDKit database cartridgeの組み合わせによる化合物データベースシステムの開発を試みた。我々の研究は、コンピュータプログラミングについての知識のない薬学部の学部学生が、短期間で実用的な化学構造検索システムを開発可能であることを示し、DjangoとRDKit database cartridgeの組み合わせによる化学構造データベースシステム開発の有用性を明らかにした。
著者
和泉 博
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.P14, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
12

立体配座探索にはMerck社からの報告に代表される分子力場(MM)計算が一般に使用されている。ところが、日本の製薬企業に協力して水素結合を有するキラル医薬候補分子の解析を進めたところ、三割以上予測赤外円二色性(VCD)スペクトルが実測のものを再現しない結果が得られた。そこで、共通するSMARTS記法で表されるフラグメントをもち自由度が高い分子にむけて、フラグメント分子のデータベースの中から立体配座探索を行い、密度汎関数法計算のための初期構造を自動作成するプログラム(ConfFragGeneration)を構築した。フラグメント分子であるcyclohexyl nonanoate の立体配座データからキラル分子であるcholesteryl pelargonateの初期構造を自動作成し、コレステリック液晶状態の赤外円二色性(VCD)解析を行った。
著者
山﨑 広之 西端 芳彦 山乙 教之 広野 修一
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.O10, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
12

fragment-based drug designでは、従来実験手法により活性フラグメントを同定し、それらのフラグメントを組み合わせて化合物設計を行う。近年、活性フラグメントの同定や化合物設計に用いる実験手法の代替案として計算機手法を用いることが期待されている。計算機的手法でフラグメントを同定する場合、数多くの候補フラグメントの数が同定され、その組み合わせは爆発的な数となる可能性がある。この全ての組み合わせに対して計算機手法による化合物設計を行うことは、計算コストが非常に高く、組み合わせを絞り込むための計算コストの低い手法が必要である。そこでフラグメント組み合わせの選択条件を検討するために、我々はフラグメントライブラリから取り出した全ての3個の組み合わせが既知化合物および物理化学特性を特定した化合物中に存在するかどうかを解析した。
著者
横山 直己 小野 直亮 有田 正規 太田 大策 金谷 重彦
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.P20, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
5

ミドリムシ(Euglena gracilis) は、嫌気条件下においてバイオジーゼルの燃料の原料となるワックスエステルを生合成し、細胞内に蓄積することが知られている。しかしその調節メカニズムについてはいまだ不明な点が多い。本研究では、トランスクリプトームデータのもとづいてベイズアノバ法によりミドリムシにおける代謝動態におけるシステム解析を行った。