著者
小柳 めぐみ
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.24-27, 2020-01-20 (Released:2021-01-01)
参考文献数
10

高等学校「化学基礎」の教科書では,ろ過,蒸留,抽出,再結晶及びクロマトグラフィーに加え,昇華法が扱われている。これらの分離・精製法のうち,小学校ではろ過,中学校では再結晶及び蒸留を学習している。本稿では,小学校から高等学校で児童・生徒が学習する流れを踏まえて,教科書で扱われている分離・精製の実験等を紹介する。
著者
右田 俊彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.214-217, 1998-04-20 (Released:2017-07-11)
参考文献数
3

炭化水素はさまざまな条件下で空気中の酸素と反応し酸化生成物を与える。ラジカル発生剤存在下ではラジカル連鎖反応によって非芳香環の部分がヒドロペルオキシ化される。増感剤存在, 光照射下では芳香族および不飽和炭化水素は分子反応を通して環状過酸化物やヒドロペルオキシドなどを与える。また, ある種の遷移金属化合物を触媒とする芳香族炭化水素の空気酸化によって, マレイン酸やフタル酸の無水物など工業化学的に重要な中間体を得ることができる。
著者
浜田 祐次 佐野 健志 藤田 政行 藤井 孝則 西尾 佳高 柴田 賢一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.7, pp.879-883, 1993
被引用文献数
3

二座配位子(N-salicylidenealkylamine),あるいは四座配位子(N,N'-disalicylidenealkanediamine)を用いて,亜鉛イオンと配位子が1対2,および1対1のアゾメチン亜鉛錯体を新しく合成して,有機エレクトロルミネヅセンス(EL)繁子の発光材料としての詐価を行った。この中で,1対1錯体である(N,N'-disalicylidene-1,6-hexanediaminato)Z121C(II)を発光層に用いて,二層構造素子[ITO/ホール輸送層/発光層/MgIn]を作製したところ,最高輝度1460cd/m2を示し,錯体系発光材料としては初めて高輝度青色発光(ピーク波長462nm)を得ることができた。同時に,錯体を発光材料に用いるためにはa錯体が昇華性のある分子内錯塩を形成していなければならないことがわかった。
著者
荘司 隆一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.192-193, 2014-04-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
4
被引用文献数
1
著者
阪口 恵藏 福谷 征史郎 神野 博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.12, pp.2037-2044, 1988-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1

メタン-空気同軸拡散火炎の各部の温度および安定化学種の濃度を測定し, その結果を基にして, 25種の化学種の間に82組の素反応を仮定した詳細な化学反応モデルを用いて計算機シミュレーションを行ない, その燃焼反応機講を解析した。火炎基部では, 燃料と空気とが巻き込みによってすみやかに混合し予混合燃焼が生じている。この領域でメタンは CH4→CH3→CH30→HCHO→CHO→CO→CO2 と酸化される。これらの反応は速度が大きく,火炎の温度もすみやかに 1140K にまで上昇し, ここで生成した活性化学種と熱エネルギーとが火炎をノズル口に保持しているものと考えられる。輝炎領域では, 90%以上の燃料は CH4→CH3→C2H4→C2H3→C2H2 と熱分解し, 一旦アセチレンを経由してそののち酸化される。火炎基部において巻き込まれた酸素は, OH ラジカルとなってこの領域でメタンの脱水素反応に消費される。酸素の量を実測値から変化させて化学反応を計算すると, メタンの消費反応の速度が大きな影響を受けるので, 火炎の内部に巻き込まれた空気がメタンの熱分解反応を促進すると考えられる。
著者
岩本 裕之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.384-387, 2013
参考文献数
3

ハチやハエのような進化した昆虫は,毎秒数百回の頻度で羽ばたくことができる。この羽ばたきを担うのは,高速振動に適するよう非常に特殊化した非同期型飛翔筋である。非同期型飛翔筋は,通常の収縮弛緩のサイクルを繰り返すのでなく,常に活性化された状態で自励振動を行うことにより,高い羽ばたき頻度を実現している。この自励振動を行うために重要な機能が,伸張による活性化である。非同期型飛翔筋を構成するタンパク質分子は結晶のように規則正しく配列するが,これは伸張による活性化を効率よく起こすための適応と考えられる。
著者
高木 春光
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.608-609, 2016-12-20 (Released:2017-06-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1
著者
野場 重都
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.584-587, 2019-12-20 (Released:2020-12-01)
参考文献数
8

ビールは酵母によるアルコール発酵で造られるお酒であり,発酵中に生成する香りに着目すると,それは「酵母の酵素が作り出す香気成分,つまり低分子の揮発性成分の集合体」である。本稿ではその代表的な成分をごく一部紹介し,ビールの香りの奥深さを感じていただきたい。
著者
荻野 博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.143-147, 1990

分子の輪が二つ組み合わされた化合物を[2]-カテナンという。トポロジー異性体と呼ばれるものの一種である。[2]-カテナンも, あるいは三つの輪を組み合わせた[3]-カテナンも, 化学者の努力により合成できるようになった。アウディの車のマークや五輪マークに相当する[4]-および[5]-カテナンの合成はまだである。ここでは, トポロジー異性体の合成に化学者が知恵をしぼってきた歴史を概観する。この方面は, 最近になって大きな発展が見られ, 数学と化学がドッキングしたこの新しい分野の今後の展開が, 大変楽しみである。
著者
沼野 雄志 北川 徹三
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.1431-1433, 1957-11-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
7

アセチレンの爆発範囲を知ることは,工場の安全上重要な問題である。空気中のアセチレンの爆発限界に関してはすでに多くの報告があるが,酸素中でのアセチレンの爆発限界,および空気-アセチレン混合ガスに他の不活性ガスを加えた3成分系混合ガスの爆発範囲が測定された例は少ない。著者らは,前報の爆発限界測定装置を用いて,これを測定し,常温,常圧の酸素中における爆発下限界2.3%,爆発上限界94.5%,常温常圧の空気中における爆発下限界2.3%,爆発上限界72.3%,空気中で不活性ガスとして窒素を加えた場合の爆発臨界点70.5%,炭酸ガスを加えた場合の爆発臨界点50.0%をえた。