著者
伏木 享
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.488-494, 2007-07-01 (Released:2009-05-25)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2
著者
古谷 将彦 西村 岳志 森田(寺尾) 美代
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.624-630, 2017-08-20 (Released:2018-08-20)
参考文献数
40

植物は生活環のほとんどで移動することはないが,「運動」する.さまざまな植物の運動の中でも「屈性」という成長運動は,進化論で有名なDarwinなど多くの研究者の興味をひ引いてきた,植物生理学の課題である.屈性の特徴は,植物が光,重力,水分,接触などの刺激の方向を認識したうえで成長方向を変化させる,という点にある.屈性は,刺激受容,細胞内シグナル伝達,細胞間シグナル伝達,器官屈曲の順に反応が進むと考えられる.後に紹介するが,細胞間シグナル伝達や器官屈曲とオーキシンとの関連性は,近年分子・細胞レベルの研究が進んでいる.本稿では重力屈性を中心に,最新の知見を概説する.また最後に,植物の側方器官が重力を指標に一定の角度を保って成長をする傾斜重力屈性と呼ばれる現象についての解説も加える.
著者
高見 千歳 下司 淳 小林 彰夫
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.1349-1354, 1990-08-15 (Released:2008-11-21)
参考文献数
12
被引用文献数
4 4

ウンカ食害葉より作られる椪風ウーロン茶の香気成分の解明を行うために官能評価およびGC, GC-MS分析し,一般ウーロン茶,紅茶との比較により検討を行った.揮発性成分として51成分を同定し,18成分を推定した.リナロール,およびその誘導体化合物,ゲラニオール等を主成分とし,香気成分組成は一般ウーロン茶より紅茶に類似することがパターン類似率により明らかになった.また官能評価においても同様な傾向が認められ,よい一致性がみられた.リナロールに対するリナロールの誘導体の量比では椪風ウーロン茶のみに高い値が得られ,ウンカの食害による影響と推察された.

1 0 0 0 OA 酒類と金属

著者
戸塚 昭
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.229-234, 1975-04-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
9
著者
幹 渉 藤田 孝夫
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.640-648, 1985-10-10 (Released:2009-05-25)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1
著者
中村 彰男 河原田 律子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.319-325, 2017-04-20 (Released:2018-04-20)
参考文献数
42

胎児期の子宮内環境が生まれてきた子どもの将来の疾病に影響を及ぼすことがいくつかのコホート研究により明らかになりつつある.現在では妊娠期の低栄養環境が生活習慣病の発症に深く関与するというDevelopmental Origins of Health and Disease(DOHaD)という概念が提唱されている.では,糖尿病の妊婦のように子宮内が高血糖という過栄養環境ではどのようなリスクがあるのだろうか? 本稿では妊婦の子宮内高血糖環境がもたらす子どもへのリスクとそれを改善するω-3系不飽和脂肪酸の役割について解説する.
著者
中村 豊彦 黒川 隆則 中津 誠一郎 上田 誠之助
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.159-166, 1978
被引用文献数
9 43

<i>Aspergillus niger</i>-12株の生産する3種の細胞外イヌラーゼのうち,イヌリン分解力に特にすぐれているP-III酵素について精製を行い,硫安による結晶化に成功した.本酵素について,一般的性質および作用機作の検討を行い,次の結果を得た.<br> (1) 本酵素は硫安により結晶化され,結晶酵素は,4&deg;C,冷蔵庫内で2か年にわたり安定であった.<br> (2) 本酵素の最適pHは5.3付近,最適温度は45&deg;Cで,pH4.0~7.5の範囲では安定であった.<br> (3) 熱安定性については, pH 5.0, 30分間で, 40&deg;C以下で安定であった.<br> (4) 本酵素はMn<sup>2+</sup>, KCNで活性が強められ, Ag<sup>+</sup>, Hg<sup>2+</sup>, Fe<sup>3+</sup>およびPCMBによって顕著な阻害が認められた. PCMBによって活性が阻害を受けることから,本酵索の活性中心にSH基が存在するものと思われた.<br> (5) 本酵素のイヌリソに対する作用はendo型であり,主な分解生成物はD. P. 3, 4, 5および6のイヌロオリゴ糖であり,イヌリンの分解限度は約45%であった.<br> (6) 本酵素はイヌリンのみに特異的に作用し,ショ糖,ラフィノース,バクテリアレパンおよびメレチトースには全く作用しない酵素であった.<br> (7) 本酵素のイヌリンに対するMichaelis定数(<i>Km</i>)は1.25&times;10<sup>-3</sup>Mであった.