著者
池上 貴久
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

キチナーゼを、Pf1-ファージとアクリルアミドゲルを配向剤として用い、静磁場中で配向させ、残余双極子相互作用値(RDC)を測定し、これらを使った系が有効であることを実証した。さらに、この配向状態での緩和分散法の適用法を開発するため、構造交換していることが確実な複合体の系を用いた。これらのstoichiometryを変えると、RDCの値も複合体の比率に依存して変わることを確認した。
著者
内藤 林 高木 健 細田 龍介
出版者
大阪大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1986 (Released:1987-03-31)

船舶が大洋中を航行し種々の事態に遭遇した時、船舶としての機能を喪失しないように航行するためには高度に知能化された船舶にする必要がある。従来、船長を始めとする人間がこの役割を果たしていたが無人化船を考えた場合にこの代役をどのようにシステム化するか考えることが重要な課題となる。本研究成果の概要は次のとおりである。(1)大洋航行中の船舶の航海能力という概念を明確にすることができ、そのことによって評価方式に一つの指針を与えることができた。(2)船体運動、抵抗増加、船速低下及びそれらの計算の基礎になる流体力の計算、船体主要目の入力、計算結果の出力形式など既開発プログラムの統合化を行い、一貫した計算が可能になった。(3)荒天中を航行する船舶にとって台風(低気圧)情報は大切である。この台風情報の精度がどの位の精度で必要なのか、情報の不正確さの度合が船速などの予測精度にどのように効いてくるのか等を数量的に明確にした。(4)船長の持っている知能をプロダクションルールの形式で表現した。次に数理計算(SUMUT法)で求められた最適航路(最短時間航路)に一致するように前記のプロダクションルールを修正あるいは付加した。その結果、多大な時間を要する数理計算の結果とほとんど変わらない航路をプロダクションルールの方法で決定でき、計算時間の短縮を実現できた。(5)計算結果をデータベース化して「データベース型避航システム」を作成した。これにより経験をデータベースの型で保存でき学習能力を身につけることになった。(6)これらの研究を通じて、船舶耐航性分野の研究成果と持絶操船分野の研究成果を容易に取り込めるシステムの考え方を操縦することができた。
著者
佐々木 仁 曽我 祥子 磯 博之 井上 徹
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998 (Released:1998-04-01)

色覚刺激が生体に及ぼす影響について、以下の、4つの実験を実施した。1)色の単純反応時間:色相、彩度、輝度を変化させた刺激を用いてヒトの単純反応時間を計測した。有彩色では赤と緑に対する反応時間が速い傾向が認められ、無彩色と有彩色の比較では、青を除いて有彩色の方が反応時間が有意に速かった。他方、彩度による反応時間の相違は認められなかった。また、SD法を用いて調べた色彩刺激の嗜好度は青が最も高く、黄が最も低く、反応時間との相関は認められなかった。以上より、色相は覚度、情動に影響することが示された。2)色の記憶:異なる色相の刺激を用い、ヒトで遅延見本を合わせ課題を行った。明所視下に標本刺激を中心窩に提示し、3秒の遅延後、同一色相で、明るさ、または彩度が異なる比較刺激を同時提示して標本選択の正答率を求めたところ、緑の正答率が高く、青では低かった。一方、比較刺激だけを提示した弁別は緑で低く、青で高かったことから、色相により記憶の困難さに相違があることが示された。3)閃光刺激が脳波に及ぼす影響:ポケモンTV放映によって入院した患者について3-20Hzの閃光刺激を提示し、脳波を解析したところ、特徴的な、α波成分の引き込み現象が観察された。色刺激に対する反応については、今後の課題である。4)色が驚愕性眼瞼反射に及ぼす影響:角膜への空気の吹き付けによって生ずる驚愕反射を記録した。空気の吹き付けに100ms先行させて、色相の異なる刺激を提示したところ、1)いずれの先行刺激も、驚愕反射の振幅を有意に減少させ、2)黄色に対する振幅は他に比べて小さかったことから、黄色は情動反応の抑制効果が高いことが示唆される。
著者
高木 達也 安永 照雄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001 (Released:2001-04-01)

非線形要因解析を行うため、従来の誤差逆伝播型ニューラルネットワークとは異なり、Ojaらが提案したHebbian学習型ニューラルネットワークを改良して、効果的な独立成分解析法のアルゴリズムを開発、プログラム化した。アルゴリズムはおおよそ以下のようである.まず、学習は、基本的にはOjaらの方法に従ったが、ただ1個の動作関数を用いたOjaらの方法とは異なり、複数(p個)の動作関数を用いたため、下式、 W_p(t+1)=W_p(t)+εxf_p(x(t)^tW_p(t))diag(sign(c_<pi>(t))) に従って、行った。ここで、εは学習率、tは学習回数であり、分散が最大となるとき(t=t^*)のωを採用することにより、分散が最大になる方向への学習が効率的に行われる。アルゴリズムをまとめると以下のようになる。(1)元のデータに対してPCAを行って得られた主成分得点行列、あるいは、成分行列を入力データとする。(2)データの標準化を行う。(3)更新式に従い、wの値を計算し、ノルムを1にするために、w(t)=W(t)/||w(t)||とおきかえる。(4)式に従って、cの値を計算する。(5)動作関数pを用いてt回学習を行ったときのc_iとc_jの符号が異なっていた割合の、全ての動作関数の割合に対する比率をr_pとし、主成分得点を計算する。(6)z_iの分散を計算し、分散最大となるt^*を求める。(7)収束するまで(3)〜(6)を繰り返す。作成されたプログラムにより、押収覚せい剤の不純物のGC-MSデータによるProfiling Analysisを行った。PCA, CATPCA, MDS, SOM、5層砂時計型ニューラルネットワークの結果と比較したところ、今回のHEPネットの結果が、国内で4つの手法で合成された既知データとの比較の結果、最も適切な結果を与えることが見出された。他の方法では、既知データが4つに分類されなかったのに対し、HEPでは座標上に適切な位置を与えることが示された。これらのことより、HEPネットが、要因解析法として適切な結果を与えることが示された。
著者
長井 圭治
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999 (Released:1999-04-01)

レーザー核融合に置ける燃料球には、1.低原子番号元素材料からなること2.真球性が高いこと3.壁厚が均一であることが求められ、これまで有機高分子で加工性に優れるポリスチレンによって以上の性能を満たすターゲットが開発され実験に供されている。一方で低原子番号元素材料である有機材料の分野では近年さまざまな機能材料(耐熱性、高弾性率、導電性等)が発見、開発されており、実用に供されているものも多いが、レーザー核融合には活用されていない。以上の状況を踏まえ、次の研究を行い成果を収めた。1.高性能燃料球へ向けた機能性有機材料開発導電性材料、光電子材料ではキャリヤによるプラズマのためレーザー照射による不均一なダメージを抑制し、核融合反応に必要な高密度が期待される。このための材料に関する基礎物性とレーザーアブレーション制御の可能性を明らかにした。1-1.有機光起電力材料として知られるPV/H2Pc積層薄膜の反射スペクトルを初めて明らかにした。1-2.PV膜の蛍光のH2Pc積層による消光測定から、PVの励起子とPV-の強い相互作用を明らかにした。1-3.PV/H2Pc積層薄膜をポリスチレンにコートするとレーザー入射側から、均一に、しかもポリスチレンにダメージを与えることなくアブレーションが起こることを明らかにした。2.エマルジョン法による燃料球の精密作成法2-1.エマルジョン法による燃料球作成における、真球性・均一性発現機構に関して、エマルジョン相間にごくわずかの密度不整合が存在することが、均一性向上に有用なことを理論的に明らかにした。2-2.エマルジョン法による燃料球作成における、溶媒の除去過程において、加熱よりも、水相への溶媒の溶解が律速であることを明らかにした。3.いわゆるフォームハイブリッド爆縮方式は流体不安定性を抑制すると期待されているが、その実験には低密度プラスチックをコートした燃料球が必要である。低密度プラスチックを通常のプラスチックにコートするような、球殻構造に精密化したターゲットを作成し、爆縮実験に供した。
著者
仲野 徹 木村 透
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003 (Released:2003-04-01)

PGC7/Stellaは、初期胚、始原生殖細胞、卵細胞で特異的に発現し、受精後に細胞内局在が細胞質から核へと変化する。また、遺伝子改変マウスを用いた解析から、PGC7/Stellaは、卵子に存在する初期発生に必要な「母性因子」であることが明らかにされている。我々は、PGC7/Stellaの機能を解析するために、結合因子の探索を行い、タンパク質の核内輸送に関与するRanBP5(Rallbinding protein 5)を同定した。培養細胞を用いた実験から、RanBP5はPGC7/Stellaの核移行を促進することが明らかになった。次に、RanBPSとエストロゲン受容体のリガンド結合ドメインを融合させることにより、核に移行することができない細胞質局在型RanBP5を作製した。細胞質局在型RanBPSを受精卵に発現させると、PGC7/Stellaの核移行を阻害しただけではなく、PGC7/Stellaを欠損する卵子とほぼ同様の発生異常を示した。この発生異常は、核局在型PGC7/Stellaを同時に発現させることにより正常化することができた。PGC7/Stellaが受精直後の核内で機能することから、受精卵おけるゲノムのメチル化状態を検討した。その結果、PGC7/Stella欠損の受精卵において、DNA複製が開始される前に雌性ゲノムの脱メチル化が生じていることが明らかとなった。また、PGC7/Stella欠損の受精卵において、いくつかのインプリント遺伝子のメチル化が低下していた。以上のことから、PGC7/Stellaは受精卵におけるエピジェネティック不均等性の成立および初期発生におけるインプリントの維持という、ゲノムの不均等性維持に重要な機能を有することが明らかとなった。
著者
清水 健太郎 中島 和江 高橋 りょう子 小倉 裕司 和佐 勝史 大西 光雄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

【視察】低栄養の病態解析のためトレーサーや間接熱量計などを用いた先進的な臨床研究を行っているUniversity of Texas Medical Branch (UTMB)に訪問・視察した。UTMBでは、臨床研究のための独自の病棟をもっており、医師・看護師などの医療スタッフなどの人的配置のみならず、食事を作るキッチンはもとより、間接熱量計、筋生検、動静脈採血などの手技ができる設備面でも、臨床研究の登録から実施までの手続きも整った体制になっている。研究テーマとして、高齢化と栄養に焦点をあてており、同化を促すための遺伝子発現や治療法の開発に非常に熱心に取り組みを行っていた。このような実践的、臨床的な栄養の研究体制は日本では見当たらず、隔世の感があった。視察だけでなく、日本でのアミノ酸、脂肪、代謝におけるテーマについて日本側からも講演、質疑応答を行い情報交換を行った。【研究】昨年に引き続き後向きの低栄養患者の解析のため、当院の栄養管理計画書を調査した。データの抽出可能であった約7000人の患者のうち、低栄養状態から心停止にいたる可能性があるリフィーディング症候群の基準のひとつであるBMI 16kg/m^2以下の患者は、約3%に認められた。このデータを元に、入院患者全体に対して新たな低栄養への予防対策を講ずることが可能である。【学会】第27回日本静脈経腸栄養学会では、ICUの栄養管理についてのシンポジウム「リフィーディング症候群の早期発見・早期対応~心合併症を伴う症例から」と題して講演及び意見交換を行った。以上の訪問・視察と現在の当院での状況を基に、病院全体のスクリーニング体制や多職種によるかかわりのさらなる整備を検討している。
著者
師岡 友紀 谷浦 葉子 三木 佐登美
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

看護基礎教育の臨地実習で「身体侵襲を伴う看護技術」を実施することは、新卒看護師にとってどのような意義があるか検討した。対象者175名のうち103名の同意を得、3ヵ月後・6ヵ月後・1年後に調査を行った。結果、身体侵襲を伴う看護技術を実施した場合、実施した技術に対する自己評価が高まるが、その傾向は全ての技術に当てはまらないこと、身体侵襲看護技術の経験のない場合はある場合と比較し就職1年後の離職願望が強いことが示された。実施の意義として「技術向上のための学習意欲が増す」と評価する割合が大きかった。
著者
伊敷 吾郎
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究の目的は、この世界に存在する四つの力(重力・電磁気力・強い力・弱い力)を記述できるようた理論(統一理論)を構成することにある。超弦理論は統一理論の候補として期待されているが、その構成は非常に困難であることが分かっている。そこで、AdS/CFT対応という関係が注目されている。この関係は、超弦理論が超対称性を持ったゲージ理論によって記述される、という予想である。この対応が正しければ、ゲージ理論を用いて超弦理論を理解することができる。本研究ではこれまで、この対応を示すために、N=4SYM理論というゲージ理論をある行列模型のラージN極限として定式化した。この行列模型による記述を用いることで、強結合領域(相互作用が非常に強いような領域)においても物理量を計算することができると期待される。原理的には、このような領域での計算結果を、超弦理論側の計算結果と比較することで、AdS/CFT対応の成否を確かめることができるのである。私は、強結合領域の解析に向けて、この方法の有効性をいくつかの側面からチェックした。まずウィルソンループや場の相関関数などの期待値が、行列模型から正しく計算されることを示した。また、有限温度領域で、弱結合極限で知られていたSYMの相転移を行列模型を用いて再導出することができた。今後、この行列模型によるゲージ理論の定式化を用いて、様々な物理量を計算することを計画している。例えば、超弦理論で見られるブラックホールの相転移が、ゲージ理論側の計算で確認されるかどうかを確かめたい。
著者
森田 浩 刀根 薫 福山 博文 上田 徹 廣津 信義 関谷 和之 実積 寿也 刀根 薫 福山 博文 上田 徹 廣津 信義 実積 寿也 関谷 和之 高橋 新吾 篠原 正明
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

DEAにおける理論と応用の両面からの展開とその融合研究を行った。ネットワークDEAや不確実性下のDEA、評価指標の開発などの理論的貢献とこれらの成果の多様な分野への適用による事例研究における応用面での貢献を得ることができた。さらに、国際シンポジウムの開催や外国人研究者の招へいなどによる国際交流の活性化および国内におけるDEA研究の中心的役割を果たすことができた。
著者
上倉 庸敬 藤田 治彦 森谷 宇一 神林 恒道 渡辺 浩司 永田 靖 天野 文雄 奥平 俊六
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999 (Released:1999-04-01)

最終年度をむかえるにあたって本研究が直面していた課題は以下のとおりであった。現在、日本の「芸術」は二極化している。ひとつは純粋化を維持しようとする「芸術」であり、いまひとつは「あたらしさ=総合」という視点からクロスオーバーをめざす「芸術」である。それは実は、日本のみならず、世界の各局地における「芸術」概念の共通構造である。「芸術」の事象における世界的な傾向とは、各局地に通底する先述の構造を孕みつつ、各局地で独自の展開をくりひろげている多様さのうちにこそある。では、(1)日本の近代「芸術」概念が成就し、また喪失したものはなんであるか。(2)なぜ、近代の芸術「概念」は死を迎えねばならなかったか。(3)「ユニ・カルチャー」の傾向にある現代世界で、日本に独自な「芸術」概念の現況は、どのような可能性をもっているか。(4)その可能性は日本のみならず世界の各局地に敷衍できるかどうか。解答の詳細は成果報告書を見られたい。解答をみちびきだすために準拠した、わたくしたちの基本成果はつぎのとおりである。(1)西欧で成立した「芸術」概念が19世紀半ばから100年、世界を支配した。(2)その支配は世界の各局地で自己同定の喪失をもたらした。日本も例外ではない。(3)20世紀半ばから世界の各局地で自己「再」同定がはじまった。(4)再同定は単なる伝統の復活ではなく、伝統による「死せる芸術概念」の取り込みである。(5)再同定は芸術「事象」において確立され、芸術「概念」において未完である(6)日本における「芸術」概念の誕生と死が示すものは、2500年におよぶ西洋美学理論の崩壊である。
著者
菅井 勝雄 黒田 卓 西端 律子 前迫 孝憲 三宅 正太郎 山内 祐平 黒上 晴夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999 (Released:1999-04-01)

初年度(平成11年度)は、総合学習における本研究テーマをめぐって、理論的検討を実施した。すなわち、J.Deweyの「児童中心」教育を中心に、近年の社会的構成主義、文脈主義、研究方法論やアプローチなどを討議した。その結果、総合学習における設計と評価では、「コミュニティにおける協同活動」や、「ポートフォリオ評価」などが理論上重要であることが確認され、論じられた(菅井)。また、試行期間にある総合学習の実践校として、大阪府下の2校をはじめ、研究分担者がそれぞれの地域校で研究を開始することにした。第2年度(平成12年度)は、密接な打ち合わせと連絡のもとに研究を推進したが、大阪府下の中学校と大阪大学との間で連携の試みをスタートさせるとともに、大阪大学(前迫)と富山大学(黒田)との間で、情報ネットワークを利用した交換指導の試みを実施した。このような経緯の結果、最終年度(平成13年度)の3年間にわたる研究成果報告書には、下に示す研究成果を公表することができた。(1)総合学習における児童・生徒の学習意欲と授業設計との関わりについて、調査法を用いて明らかにした(三宅)。(2)総合学習における小・中学校の情報活用能力をめぐるカリキュラム編成法や評価法を探求し、併せて自然環境の中での生徒の体験活動とメディア利用の実践を展開し、ひとつのモデルを提示した(黒田)。(3)総合学習との関連で、学校図書館の捉え直しが論じられ(森田)、メディアリテラシーのアプローチが探求された(山内)。(4)最近の脳研究から総合学習の基礎研究が試みられ、興味ある知見が得られた(村井)。(5)中学校と大学の連携のモデルが示された(西端)。
著者
内田 善彦
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

第一に、解析的な価格式を持たないヨーロピアン・オプションを対象にした並列化コードを実装し、並列化による計算速度の向上を確認した。ここでは、漸近展開を用いた分散減少法付きモンテカルロ法のアルゴリズムとしてTakahashi and Uchida(2006)で提案済みのものをアルゴリズム利用した。漸近展開や分散減少法を用いない既存アルゴリズムとしてオイラー・丸山法によるモンテカルロ法のアルゴリズムを利用した。並列・分散処理にかかる制御手法はsocketをもちいたサーバー・クライント型とした。数値実験の結果として、並列化手法を用いれば、一般的なモンテカルロ法では計算時間が長くて現実的でない「実用的な精度のキャリブレーション」が低次の漸近展開式を得るだけで可能になる、と考察した。第二に、漸近展開法とモンテカルロ法を組み合わせたアルゴリズムの応用範囲を広げることを目的として、漸近展開法を用いてヨーロピアン・オプションの初期値微分(グリース)を計算する計算式を導出した(Matsuoka, Takahashi and Uchida(2006))。この計算式を上記の並列化手法を用いて並列化することは容易である。第三に、アメリカン・オプションを対象にした漸近展開を用いたモンテカルロ法の開発を目的として、Rogers(2002)の方法に漸近展開法を組み合わせたアルゴリズムについて、基本的な数値実験を行った。この結果、単純なペイオフをもつアメリカン・オプションに対してはマルチンゲール項としてヨーロピアン・オプションの漸近展開式が有効であることが分かった。さらに、一般的なペイオフを持っアメリカン・オプションに対して有効なマルチンゲール項の計算を統一的な方法で行うことは必ずしも容易でないことが分かった。
著者
池田 光穂 太田 好信 狐崎 知己 小林 致広 滝 奈々子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01 (Released:2010-08-23)

私たちの研究は、メキシコとグアテマラ両国における先住民(先住民族)について、先住民運動の中にみられる政治的アイデンティティについて現地に赴く民族誌調査を通して明らかにしてきた。具体的には、世界の他の地域での民主化要求運動、すなわち自治権獲得運動、言語使用の権利主張や言語復興、土地問題、国政への参加、地方自治などの研究を通して、(a)外部から見える社会的な政治文化としての「抵抗」の実践と(b)内部の構成員から現れてくる文化政治を実践する際の「アイデンティティ構築」という二つのモーメントと、その組み合わせのダイナミズムからなる資料を数多く得ることができた。
著者
筒井 義郎 大竹 文雄 藤田 一郎 晝間 文彦 高橋 泰城
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

時間割引は多くの経済実験において、少額を早く受け取るオプションと多額を遅く受け取るオプションのどちらを選択するか、というタスクで測定される。本研究課題は、(1)遅れ(現在から最初のオプションまでの時間)と期間(2つのオプションの間の時間)を明示的に分離して、それぞれが時間割引に与える効果を特定する、(2)喫煙が時間割引に対してもたらす効果について明らかにする、という2つの課題を主たる目的とする。(1)については、これまでに行った実験の結果を論文にまとめ、本年度6月にJournal of Risk and Uncertaintyに掲載した。(2)については、昨年度早稲田大学で行った、非喫煙者と喫煙者、断煙者と非断煙者を比較する実験の結果を分析した。その結果、喫煙者は非喫煙者に比べて高い時間割引を示すことが明らかにされた。また、断煙者は非断煙者よりも、お金に対しては高い割引率を示すが、タバコについては、むしろ忍耐強くなるという結果を得た。この後者の結果の頑健性については疑問があり、詳細な実験条件設定に問題がある可能性を検討して、それらを改良した実験を本年1月と2月に大阪大学において実施した。その結果は現在解析中であるが、おおむね、喫煙者は非喫煙者に比べて高い時間割引を示す点にでは早稲田実験と同じである。断煙者と非断煙者を比べると、お金については両者の時間割引には差がなく、タバコについては、断煙者の方がよりせっかちになるという結果が得られた。今年度の実験結果の方が直観に整合的であるが、両方の結果をどのようにまとめていくかは検討中である。一方、fMRI実験については、早稲田大学健康科学部の正木教授の協力が得られ、本年2月と3月に、異時点間選択を行っている喫煙者の脳画像を撮像した。引き続き、行動実験の結果をまとめつつ、断煙者および非喫煙者についても撮像していく。
著者
工藤 眞由美 金田 章宏 狩俣 繁久 木部 暢子 佐藤 里美 山東 功 林 明子 吉村 裕美 吉村 裕美 三ツ井 崇
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007 (Released:2007-04-01)

本研究では、国際的にも大いに多様化の進んでいる日本語のバリエーションの問題について、言語類型論(Language Typology)、言語接触論(Contact linguistics)の立場から包括的に考察を試みた。具体的には、格やとりたて構造に関する言語項目調査について、諸方言に適用できる「統一した調査票」の改善についての検討を行った。また、ボリビア共和国サンタクルス県オキナワ移住地を対象とする言語的日常実践を描くエスノグラフィー的研究や、ドイツをフィールドワークとする、言語接触論的観点からの在外駐在日本人の言語生活調査を実施した。
著者
田中 宏光 西宗 義武 奥山 明彦 辻村 晃 宮川 康 田中 宏光
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

実験動物(マウス)における精子細胞特異的遺伝子の解析からヒト男性不妊症の診断・治療法の開発を進めるため、以下の二点に焦点を絞って研究を進めてきた。1. 現在までに我々が単離したマウス精子細胞特異的遺伝子についての詳細な構造・コードする蛋白質の機能・特異的発現機構をさらに多くの新たな遺伝子について解析し、精子形成過程における役割を明らかにする。さらに、それらのヒト相同遺伝子をすべてクローニングし、その機能解析を進める。2. 精子形成機構の分子生物学的研究を通じて、ヒト男性不妊症の原因を究明する。基礎研究の成果を応用し、遺伝子変化と男性不妊症との関係を明らかにし、最新の遺伝子解析(マイクロアレー法)、蛋白質解析技術(プロテオミクス法)を用い、その診断法及び治療法の確立に役立てる。平成19年度我々は、1.マウス遺伝子の解析結果から、男性不妊症に関係することが考えられる精子細胞特異的解糖系遺伝子のヒトオーソログをクローニングし、ORF内のポルモルフィズムの解析を進めた。ヒト精液を用い、男性不妊症で有意に変化を示す蛋白質とmRNAの解析を進めた。その結果、男性不妊症特異的に変化をする蛋白質の存在を確認した。また、ヒト精液から得られたmRNAを抽出し、ヒト精子形成関連遺伝子を乗せたマイクロアレーを用いて遺伝子発現を調べる系を確立した。確立した系を用いて個体差や生活条件に影響なく妊孕性の確認された男性に安定的に発現が確認される遺伝子群を同定した。今後これら遺伝子と遺伝子産物に注目し不妊症男性不妊症特異的マーカーを確立したい。
著者
岩居 弘樹 久保田 美生
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

iPhoneやiPadのような小型情報端末はコンピュータ環境のない教室でもICT活用アクティブ・ラーニングを効果的に実現できる。従来型のCALLシステムの機能に機動性と創造性を備え、外国語学習環境を大きく変える可能性があることが明らかになった。小型情報端末は単なる電子教材の提示やビデオ・音声の再生装置ではなく、ビデオ撮影や編集、ナレーション付きスライドショー作成などの課題制作、学生自身による外国語音声の確認、学生との双方向コミュニケーションなどを実践しその効果を確認することができた。
著者
會田 茂樹 長井 英生 永幡 幸生 桑江 一洋 日野 正訓 廣島 文生 KOHATSU-HIGA Arturo 日野 正訓 桑江 一洋 廣島 文生 吉田 伸生 数見 哲也 長井 英生 KOHATSU-HIGA Arturo 永幡 幸生
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006 (Released:2006-04-01)

研究成果としては(1)ウィーナー空間内の領域で定義されたホッジ・小平型作用素の研究(2)無限次元空間上のシュレーディンガー作用素の最小固有値の準古典極限の研究の二つがある。(1)ではウィーナー空間内のある非凸領域でのポアンカレの補題の証明のため、凸領域で定義されたホッジ・小平型作用素のアダマール変分を用いるアイデアを提起した。(2)では、コンパクトリーマン多様体のパス空間上のシュレーディンガー作用素と場の量子論に現れるP(φ)型のハミルトニアンの最小固有値の準古典極限を決定した。