著者
田中 敏郎 嶋 良仁 仲 哲治
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

アレルギー疾患の有病率が増加している現状において、その増加要因の解明と、発症を予防する手段の開発は急務の課題である。本研究においては、遺伝子多型がどのように喘息発症に関与するのか、また抗アレルギー作用を有するフラボノイドの適切な摂取によるアレルギー疾患に対する補完代替療法や予防法の確立を目指して、新たなフラボノイドの作用、作用機序に関して検討を加えた。IL-18の遺伝子多型IL-18-105A/Cは、アトピー型、非アトピー型喘息の発症に関与する多型であることが示された。IL-18-105A/Cは、IL-18遺伝子発現に関与するプロモーター領域のIL-18- -137G/C多型と連鎖不均衡にあり、これらの多型が末梢血単核球からのIL-18産生能に影響するのか検討したところ、遺伝子型がIL-18-105A/AやIL-18- -137G/Gである場合、それぞれ、IL-18-105A/C、IL-18- -137G/Cに比較して、単核球からのIL-18産生が上昇していた。このことは、IL-18が過剰産生されやすい遺伝子背景が、喘息発症のリスクとなることを示唆する。フィセチン、ルテオリン、アピゲニンなどのフラボノイドは、好塩基球からのIL-4やIL-13の産生を抑制するのみならず、CD40リガンドの発現も抑制する。したがって、好塩基球において、B細胞のIgE産生細胞への分化に必須なサイトカイン(IL-4、IL-13)とCD40リガンドの発現を抑制することより、フラボノイドは間接的なIgE産生抑制物質であることが示された。その作用機序として、転写因子のAP-1の活性化を抑制することが明らかとなった。また、フラボノイドのin vitroでのIL-4産生抑制活性と経口投与における体内への吸収性を考慮して、高活性、高吸収性のフラボノイドを合成した。
著者
細田 耕 荻原 直道 今西 宣晶 名倉 武雄 清水 正宏 池本 周平 菅本 一臣 成岡 健一 MACEDO ROSENDO Andre Luis 伊藤 幸太
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究課題では,脳やせき髄からの投射がない場合の,歩行状態における人間の足部の機械的特性を計測するために,歩行状態を再現するための歩行シミュレータを作成し,これに屍体の足部を取り付け,二方向エックス線透視撮影装置の中で歩行させることによって,足部内部の骨の動きを観察するためのプラットフォームを開発した.これに関連して,歩行状態を再現するための歩行シミュレータの制御や,透過画像から各骨の三次元運動を精密に再構成するための画像処理技術などを開発した.足部に存在する機械的特性のうち,中足骨関節に着目し,同等の機能の足部をもつ二足歩行ロボットを開発,実験によって中足骨関節の歩行安定性への寄与を調べた.
著者
伊東 信宏
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年2月に、国際フォーラム "Pop-folk genres in East Europe and East Asia: Parallel Phenomena on Both Sides of Eurasia"を開催したが、平成29年度は、このときの報告に基づく書籍『東欧演歌の地政学』の編集を行った。現在までのところ、序論「東欧演歌研究序説」を脱稿し、小島亮(北朝鮮歌謡に関する研究)、奥彩子(レーパ・ブレナに関する研究)、濱崎友絵(トルコのアラベスクに関する研究)、新免光比呂(ルーマニアのマネレに関する研究)、阪井葉子(東ドイツのフォーク・リバイバルに関する研究)、高岡智子(東ドイツのロックに関する研究)、斎藤桂(北欧のフォーク・メタルに関する研究)、上畑史(セルビアのターボフォークに関する研究)による論考が仕上がり、クララ・フルヴァティン(スロヴェニアのターボフフォークに関する研究)、ステラ・ジブコヴァ(ブルガリアに関する研究)の英語論文の翻訳がほぼ完成している。出版社との交渉も進めており、刊行の見通しも立っている。ただし現地の研究者によるレビューを経て完成させたいと考えており、平成30年度の冬にブルガリアでポップフォーク研究の第一世代で国際フォーラムに際して基調報告を行ってもらったヴェンツィスラフ・ディモフ博士(ソフィア大学)、およびロザンカ・ペイチェヴァ博士(民俗学研究所)との面会を行う予定である。その他、東欧各国のポップフォークについては、近年まとまった研究書が刊行されているので、これらをフォローすることにも多くの時間を費やした。さらにロシアのフォークロアの舞台化についても調査を行った。
著者
伊藤 伸一
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

粉体-水混合ペーストなどを乾燥させてできる乾燥破壊パターンは、乾燥のさせ方の履歴に依存して時間発展し、その統計的性質である平均破片サイズや破片サイズ分布などは時間に依存して変化する。特に、時間変化する破片サイズ分布は、平均サイズでスケールする事で時間に依らない分布形へ収束していく事(動的スケーリング則)が知られている。我々は乾燥破壊パターンの時間発展を連続体モデルや確率モデルを使って調べ、破片サイズ分布の時間発展の性質を調べた。本年度はこれらの成果を纏めた論文を2報投稿しそれぞれ受理された。そしてさらなる研究として、確率モデルの詳しい解析と実際に乾燥破壊実験を行なって、理論と実験のそれぞれの破片サイズ分布を比較し、理論の妥当性を議論した。我々はGibratの確率モデルを拡張した確率モデルを考案し、そこに連続体モデルから計算される破片の寿命を取り入れ、乾燥破壊パターンの破片サイズ分布の時間発展を表現するモデルを構築した。そして、その確率モデルのマスター方程式を詳しく解析し、モデルパラメーターと破片サイズ分布関数形の定量的な関係付けを行なった。そのパラメーターと分布形の関係が実際の乾燥破壊実験での亀裂パターンでもあわられるかどうかを検証する為、炭酸水酸化マグネシウム粉体と純水の混合ペーストを用いた乾燥破壊実験を行なった。結果として、実験で得られた破片サイズ分布の関数形は理論が予測する関係を部分的に満たし、乾燥履歴は破片サイズ分布の関数形に残される事が分かった。我々の現段階までの結果は、実測においてパターンの時間発展を追う事が出来なくても、動的スケーリング則と合わせて考える事で、破片サイズ分布の関数形から乾燥履歴を読み取る事ができる事を示唆している。この成果は論文に投稿する予定である。
著者
加地 伸行
出版者
大阪大学
雑誌
中国研究集刊 (ISSN:09162232)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.51-55, 1985
著者
森田 敦郎 木村 周平 中川 理 大村 敬一 松村 圭一郎 石井 美保
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本プロジェクトは、地球環境の持続的な管理に向けての試みに焦点を当てて、インフラストラクチャーと自然環境の複雑な関係を解き明かすことを目的としている。本研究が取り上げる事例は、インド、カンボジア、日本(東北地方)などの多様な地域におよぶ。これらの事例を通して、本プロジェクトは、物理的なインフラストラクチャー(堤防、コンビナートなど)と情報インフラストラクチャー(データベース、シミュレーションモデルなど)が、いかに現地の自然環境および社会関係と相互作用するのかを明らかにした。その成果は英文論文集、国際ジャーナルの3つの特集号およびおよび多数の個別論文、学会発表として発表された。
著者
菊嶌 孝太郎
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、ケイ素化合物および触媒量のフッ化物塩を組み合わせることにより、ポリフルオロ化合物の脱フッ素水素化反応および脱フッ素置換反応が進行することを明らかにしてきた。触媒量のフッ化物塩およびヒドロシランを用いたポリフルオロアレーンの脱フッ素水素化反応について反応機構に関する検討を行った。金属カリウムとジヒドロジフェニルシランおよびクラウンエーテルとの反応を行い、脱フッ素水素化反応の鍵中間体であると考えられるジヒドロシリケートを合成した。オクタフルオロトルエンとの量論反応を行ったところ、脱フッ素水素化反応が速やかに進行した。この結果は、脱フッ素水素化反応がヒドロシリケートを経由して進行していることを示すものであると考えている。また計算化学を駆使し、本反応がジヒドロシリケートまたはヒドロフルオロシリケートのいずれのシリケートも反応に関与しうることを明らかにした。さらに、典型的な芳香族求核置換反応にみられる二段階の反応(SNAr)ではなく、求核置換反応が協奏的に進行する協奏的芳香族求核置換反応(Concerted SNAr)を経て進行することが分かった。酸フルオリドに対し、触媒量のTBAT存在下、エチニルシランやチエニルシラン誘導体を作用させたところ、フッ素が脱離してエチニル基またはチエニル基が導入されたケトンが得られることが分かった。これらの反応では、フッ化物イオンがシリル基に攻撃することで5配位シリケートとなり、エチニル基やチエニル基から酸フルオリドへの求核攻撃と続くフッ素原子の脱離によって生成物を与えていると考えられる。以上にように、ポリフルオロアレーンの脱フッ素水素化反応における反応機構の解明と、酸フルオリドを出発物質に用いた炭素―炭素結合形成反応の開発を行った。
著者
鎌倉 祥太郎
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

今年度の研究では、新左翼運動の中でも思想的に特徴のある津村喬とその周辺の研究を、昨年度から引き続き行った。津村喬は反差別運動の思想的な紬であり、その他者論は現在に至ってもなお重要であると考えられる。今年度は、文学者団体である新日本文学の大会で津村が行った大会報告と、平野謙・栗原幸夫といった年長の文学者の否定的反応の検証を行った。そこでは、津村が述べる1970年代のテクスト論・読者論が、「政治と文学」論争の内に自己の文学観や、政治運動と文学運動の関係性を発展させてきた平野らの議倫とがコンフリクトを起こしていることに注目した。この研究の成果は、2014年度に論文化し、『待兼山論叢』に掲載される予定である。また、それと並行し、戦前から戦後をつなぎ新左翼運動へと至る社会思想とそのコンテクストを明らかとするために津村の父親であり、総評事務局長を務めたことのある高野実に注目し、敗戦直後の組合運動とそこでの高野のかかわりについて考察した。戦前の労働組合組織では右派にあたる総同盟が戦後再建され、左派活動家の役割が重要となっていく局面において、高野が果たした指導的役割と、経済復興会議が政党政治と切り結びながら労働組合運動に与えた影響を検討した。また、今年度は中国への調査旅行も続けて行った。津村の思想の特色の一つとして中国観、とくに毛沢東思想に影響を受けているという点が挙げられる。戦争の記憶をめぐる日中の歴史認識の違いを、まずは国家レベルでとらえるために、本年度は戦争記念館を訪れ調査を行った。戦後日本の社会運動研究が一国史的な枠組みに閉じないためにも、有益な調査であったと考える。
著者
河田 潤一 小川 有美 加藤 淳子 小林 正弥 仙石 学 田中 善一郎
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本共同研究は、日本、韓国、イタリア、フランス、南欧諸国、中束欧諸国、EUを直接の対象とする、政治汚職・腐敗、クライエンテリズム、社会資本をめぐる、実証的・理論的・比較政治学的研究を行うことを目的とするものである。我々一同は、汚職・腐敗(corruption)とクライエンテリズム(clientelism)の区別に留意しつつ、クライエンテリズムを近代化の残滓と見る従来の考え方を批判的に乗り越えようとした。そのことは、同時に、汚職とクライエンテリズムの衰徴はパラレルに進行するとの楽観的見方を克服しようとするものである。従来の近代化論的視座は、汚職とクライエンテリズムを資本蓄積(=資本主義)、合理化(=官僚制化)、政治参加(=民主主義)の多様な要求がもたらす利益の共生=相反関係が構造化する権力構造の構造的・制度的産物と見てこなかったのである。汚職とクライエンテリズムは、行政効率の点で「潤滑油」として評価すべきなのか。両者は、社会的・経済的不平等あるいは経済発展を修正するための社会の周辺部分からの正当な要求として評価すべきなのか。それらは、「社会資本」/「道徳資本」の欠如によって強化される「悪循環」の結果として理解されるべきなのか。政治汚職・腐敗を規制する法律の強化はいかなる効果を持ちうるのか。あるいは選挙制度改革や地方分権化は汚職やクライエンテリズムの抑制の万能薬でありうるのか。こうした問いに答えるべく、我々は、広範な理論的アプローチと実証的証拠を駆使し、「腐った(corrupted)」・恩顧主義的(clientelistic)慣行を形成する歴史的・制度的・社会=文化的要因の解明に努力した。こうした作業の一端は、公開報告として、2006年度世界政治学会(International Political Science Association)福岡大会のRC06(Political Sociology)なるセッションにて2006年7月10日に行った。本研究にとって益すること大であった。研究成果の一部は、Junichi Kawata (ed.), Comparing Political Corruption and Clientelism (Hampshire : Ashgate)として既に上梓されている。我々は、本共同研究の知見が、我々が生きる時代の民主主義をよりよく機能させることに役立つものと確信するものである。
著者
真田 信治 二階堂 整 岸江 信介 陣内 正敬 吉岡 泰夫 井上 史雄 高橋 顕志 下野 雅昭
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

日本の地域言語における現今の最大のテーマは、方言と標準語の接触、干渉にかかわる問題である。標準語の干渉のプロセスで、従来の伝統的方言(純粋方言)にはなかった新しいスピーチスタイル(ネオ方言)が各地で生まれ、そして青年層に定着しつつある。このプロジェクトでは、このネオ方言をめぐって、各地の研究者が集い、新しい観点から、西日本の主要な地点におけるその実態と動向とを詳細に調査し、データを社会言語学的な視角から総合的に分析した。1996年度には、報告書『西日本におけるネオ方言の実態に関する調査研究』を公刊し、各地の状況をそれぞれに分析、地域言語の将来を予測した。また、1996年度には、重点地点での、これまでの調査の結果をまとめた『五箇山・白川郷の言語調査報告』(真田信治編)、および『長野県木曽福島町・開田村言語調査報告 資料篇』(井上文子編)を成果報告書として公刊した。なお、この研究の一環として、九州各地域の中核都市において活発に展開している言語変化の動態を明らかにすることを目的としたパーセントグロットグラム調査の結果を、データ集の形で示し、それぞれのトピックを解説、分析した報告書『九州におけるネオ方言の実態』を1997年度に公刊した。
著者
中島 俊樹
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

1990年頃京都大学数理解析研究所の柏原氏により発見された結晶基底の理論と、1991年にロシアの数理物理学者フレンケルとレシェティヒンにより発見されたq-頂点作用素の理論は量子群、格子模型、共形場理論などに特に大きな影響を及ぼした。申請者は、結晶基底を記述するために柏原氏により導入された柏原代数に対しq-頂点作用素の類似物を定義しその2点関数が、いわゆる量子R行列と一致することを示した。申請者の目的としては、2点関数のみならず、Nが2より大きい場合にN点関数の具体的な記述を与えるということがあった。申請者は、まず、柏原代数に対するq-頂点作用素の双対的な描写として現れる、変形された量子群の結晶基底の構造をリー環sl_2の場合に明らかにした。そこでは、変形された量子群の結晶基底が、道空間表示としうものを用いて、最も単純な2次元アファイン結晶のテンソル積のアファイン化の無限直和の形で表されることを示した。これは、フレンケルとレシェティヒンのq-頂点作用素の理論を用いて、京都大学の神保氏らによって解析されたXXZ模型の場合の結晶基底による描写のある種の極限に相当することが分かった。これらをもとにして、N点関数の具体的な記述に対しては、R行列の積に関係したものであるという予想が立つが、これは今後の大きな課題である。R行列の解析は、現在なお世界中の多くの研究者達が追求する大きなテーマであり、量子R行列が柏原代数に付随したq-頂点作用素と深い関係をもつということは、量子R行列に新しい解釈を与えたと言え、他のR行列の解析に役立つものと期待できる。
著者
養老 真一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

インターネット上で検索エンジンを利用すれば多くの法情報が得られるが、そこには多くの不要な情報(ノイズ)が含まれているのが現状である。これらから法情報のみを取り出し、さらに自動的にカテゴリーに分類し提供できれば、利用者の検索効率を上げることができるであろう。本研究では、Support Vector Machine(以下、SVM)と呼ばれる手法を使ってコンピュータによる法情報の自動分類を試み、これが効率的な法情報検索を支援する手段として利用できないか、検討した。まず、平成18年度において、研究に必要な実験を行うためのシステムの開発を行った。このシステムは分類さた、学習用のデータを用意しておけば、形態素解析、文書ベクトルの生成、SVMによる学習までを自動的に行う。学習結果に基づいて、文書が適切に分類されるかどうかについても、別途、判別用のデータを用意しておけば、学習結果に基づいて正解率を自動的に計算する。平成19年度は、実際に法情報の自動分類の実験を行なった。その結果は以下のとおりである。まず、一般の法情報以外の情報と法情報の分類実験をおこなった。具体的には一般の情報のサンプルとして新聞記事のデータを、法情報として判例や法令の情報を収集して実験をおこなった。その結果、かなりの精度で一般情報と法情報を分類することができた。この結果はインターネットから法情報のみを選択的に収集する可能性を開くものである。
著者
水島 郁子 山下 眞弘 原 弘明 地神 亮佑
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、労働法と会社法の総合的理論的検討を行うことにより、両者の間隙を埋め、労働法と会社法の連携調和を図ることを目的とする。労働法も会社法も実務に近い学問であり、理論的検討の際には法実務と乖離しないことが必要である。大企業実務では法務、人事労務、経営管理を、それぞれ別のセクションが取り扱うのに対し、中小企業では経営者や幹部役員がそれらすべてを担うことが少なくない。労働法と会社法の連携調和を図り、法理論と法実務の連携を模索するには、中小企業法実務に着目することが有用である。本研究は学界の成果とするだけでなく、実務家や経営者に役立つ情報を提供し、ひいては中小企業労働者を守ることをねらいとする。「比較法を含めた理論的検討」は、主として文献調査の方法で行った。後述の研究会で、研究分担者が「労働保険における労働者の「従前業務」に対する法的評価-アメリカ法を参考に」の題目で報告を行った。「実務との対話」は、研究会を6回開催した(5月13日、8月5日、9月30日、11月11日、12月23日、2月3日)。研究分担者および研究代表者が報告したほか、研究者(教員)や実務家に報告を依頼し、それぞれの立場から検討を行い、多角的に意見交換をした。研究分担者および研究代表者の報告タイトルは、前述のほか、以下のとおり:「企業再編と労働者の処遇-会社法と労働法の交錯」「障害に対する配慮の合意と会社分割による承継」「障害者雇用-障害労働者に対する合理的配慮をめぐる最近の事例」。