著者
武田 佐知子 池田 忍 脇田 晴子 太田 妙子 堤 一昭 井本 恭子 千葉 泉 福岡 まどか 三好 恵真子 宮原 暁 住村 欣範 深尾 葉子 生田 美智子 松村 耕光 藤元 優子 宮本 マラシー 竹村 景子 中本 香 藤原 克美 古谷 大輔 村澤 博人 鷲田 清一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究の成果は大きく分けて二つある。一つは、従来のカタログ的な着衣研究ではなく、個別地域の具体的な文脈から引き離さず、着衣、身体、女性の関係を読み解くための共通の枠組を構築し、ローカルな視点とグローバルな視点の接合によって開ける多様性のなかの着衣研究の可能性を提示したことである。男性身体の周縁に位置づけられた女性身体の可変性、着衣による身体のイコン化と増殖現象、共同体による着衣身体の共有と変換、ジェンダー秩序のなかで受容される女性身体の意味とその操作、そして既存の共同体の集合的に実践や意識/無意識が、視覚表象と深く関わり相互交渉がなされていることを明らかにした。二つめは、日本では「着衣する身体の政治学」と題し、タイでは「着衣する身体と異性装-日・タイの比較-」と題した国際シンポジウムを開催し、単に抽象的、モデル的に着衣研究の事例を理解するのではなく、現場に即した肌に触れる知を通して、実践知と暗黙知を提示したことである。
著者
桑木野 幸司
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

初期近代に大流行を閲した知的方法論である記憶術が、単なる情報整理技術にとどまらず、同時代の視覚芸術や建築・庭園学においても様々なかたちで応用されていた点を、トスカーナ大公国を中心とした芸術史の展開を置くことで、具体例に即して示すことに成功した。具体的には、アゴスティーノ・デル・リッチョの理想庭園構想に記憶術が応用されていたこと、そしてコスマ・ロッセッリの提案する記憶ロクスに、ピサのカンポサントの図像が適用されていることを示した。
著者
戸田 保幸 松村 清重 眞田 有吾
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

プロペラと船体・舵との相互干渉をCFD計算内で体積力分布を用いる方法に対して新しい手法を提案した。CFD計算のプロペラ面の速度を直接用い体積力分布を計算する方法でこれまでのものとは異なり、誘導速度を引き算して非粘性プロペラ性能で体積力分布を求める時に行うやり取りを必要としない。この手法を用いて平水中の推進性能、ダクトや舵につけられたフィンのような省エネルギーデバイスの付いた計算や波浪中における推力変動の計算を行い十分に使用可能であることを示した。
著者
加藤 修雄
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

14-3-3タンパク質は、真核細胞生物に普遍的に高い保存性を持って存在し、Ser/Thr kinaseが関与する細胞内信号伝達経路上にあって、標的タンパク(200種以上)とリン酸化依存的に会合体を形成することで信号伝達を制御している。本課題においては、この14-3-3タンパク質複合体にさらに会合し、機能モデュレータとして働くジテルペン配糖体・コチレニン(CN)およびフシコクシン(FC)類を用いて信号伝達系を解析・制御することを主たる目的にした。CNおよびFCは、いずれも14-3-3たんぱく質とリン酸化たんぱく質(H^+-ATPase)の会合状態を安定化することで強い植物ホルモン様活性を示すことが知られているが、動物細胞に対する活性は異なり、前者のみがヒト前骨髄性白血病細胞(HL-60)に対して分化誘導活性を示す。この活性の相違が、14-3-3たんぱく質とその共通認識配列であるRSXpSXPとの会合状態に対するCNとFCの効果の相違に起因すると考え、等温滴定熱量(ITC)測定によって評価した。14-3-3たんぱく質とRSHpSVPの2者会合体に対してCN/FCを滴下し、ITC測定を行ったところ、CNは3者会合体を形成することで2者会合体を安定化するが、FCはさらなる会合体を形成しないことが明らかになった。この結果をdocking studyによって考察した結果、FCの12位水酸基が3者会合体形成を阻害していることが予想された。以上を踏まえ、12-デオキシFC誘導体を合成し、HL-60に対する分化誘導活性を評価したところ、予想通りCNに匹敵する分化誘導活性が認められ、12位水酸基の有無が活性発現に決定的な要因となっていることを明らかにした。
著者
児玉 年央
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

多くのグラム陰性病原細菌は3型分泌装置を使って、エフェクターと総称される病原因子を直接宿主細胞に注入することで、病原性を発揮する。申請者はこれまでに食中毒原因菌である腸炎ビブリオの3型分泌装置の一つであるTTSS2が本菌の下痢原性に必須であることを明らかにしてきた。しかしながら、このTTSS2依存的な下痢原性に寄与するエフェクターは不明であった。本研究では、TTSS2依存的な下痢原性に寄与する新規エフェクターとしてVopE を同定した。VopEは構造的にN-terminal domain、long repeat (LR)domain、C-terminal domainに分けられる。申請者はLR domain、C-terminal domainがそれぞれ独立してactin 結合活性を持つこと、これらの結合がVopE の下痢誘導活性に必要であることを見いだした。さらに、TTSS2やVopEはnon-O1/non-O139 V. choleraeの下痢原性にも寄与していることを明らかにした。これらの結果により、VopEはF-actinを標的とする新規エフェクターであり、TTSS2を保有する病原細菌の下痢原性に寄与していることが示唆された。
著者
谷口 和弘
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

我々は,使用者が機器操作を目的として意図的に行うこめかみの動きを機器制御信号として利用することで使用者が常時利用でき,日常の生活に支障をきたすことなく,ハンズフリーで使用でき,小型軽量安価で製造可能な,機器制御を意図した動き以外の会話や食事などの日常的な動作には反応しない,ウェアラブルコンピューティングのためのヒューマンマシンインタフェースを開発した.本インタフェースは,左右のこめかみ付近に専用の取り付け具で配置した左右1つずつの光学式距離センサと1つのシングルチップマイコンで構成されている.
著者
ハイエン E.M. (2007 2009) ハイエン E M (2008)
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、PCクラスタやグリッドやボランティアコンピューティング環境で稼働する生体シミュレーションを作成することである.この生体シミュレーションは、大阪大学基礎工学研究科の野村研究室と大阪大学臨床医工学融合研究教育センターと共同でinsilicoIDEモデル開発プラットフォームとinsilicoSimの生体シミュレーションプログラムを開発した.今年度はinsilicoIDEの外部のinsilicoSim生体シミュレーションのためのプログラムに開発を集中に行った.insilicoSimとは、様々な記述言語で記載されているモデルを読み込んで、モデルの動きとシミュレーションの流れを表示するデータ構造に変換し、数理的なシミュレーションの計算を行うプログラムである.プログラム開発のため複数の技術を利用した.モデル記述言語で共通点があるので、共通のパーザーを開発した.これで様々な言語を読み込む場合でも、パーサーが早くモデルを分析できる.モデル計算のためデータ構造を利用するけど、メモリとキャッシュの影響で比較的に遅いである.従って、シミュレーション速度を改善するためにモデルのデータ構造は簡単なバイトコードに変換する.ボランティアコンピューティング環境でのシミュレーションの開発も困難である.複数の大規模環境でプログラムを開発するため、Python言語でPyMWのライブラリを開発した.不信頼計算資源を利用するため、スケジューリング方法と理論も開発した.不信頼資源のスケジューリング理論とPyMWライブラリでボランティアコンピューティングやグリッドの環境で生体シミュレーションを開発できるようになった.
著者
橋本 順光
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

1920 年代の日本ではアジア主義の高まりとともに仏跡巡礼が流行する。そしてその先駆者鹿子木員信は、インド独立運動扇動の咎で強制送還された。日英の外交文書の調査により、事件以降、日本人のインド旅行者への監視が常態化し、旅行記もその記述を多く含むことがわかった。一方、インドから来日し、神智学東京支部を設立したアイルランド出身のジェイムズ・カズンズに注目することで、柳宗悦の友人グルチャラン・シンなど、アジア主義者の人脈が従来以上に複雑な広報活動と密接であることを明らかにできた。
著者
長谷 俊治 有賀 洋子
出版者
大阪大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2002

マラリア原虫には、植物のプラスチドと類似のアピコプラストがある。マラリアゲノム中に植物Fdとその還元酵素であるFNRと相同な遺伝子があり、アピコプラストは光合成に依存しない還元力の供給系として、植物の非光合成プラスチドと類似したNADPH→FNR→Fdの電子の流れをもつはずである。組換え蛋白質の発現手法でマラリアFdとFNRを調製し、電子伝達活性及び特異抗体によるマラリア原虫細胞中での存在を確認した。結晶化と構造解析がFdについては完了、FNRについては進行しつつある。マラリアFdの主鎖構造は、トウモロコシの根Fdと類似性が非常に高いことが判明した。また、マラリアFdとFNRとの間には、強い分子間相互作用があることも判明した。これらの結果は、原虫細胞でこのレドックスカスケードが機能していることを示唆しており、このマラリアFdとFNRは、電子伝達複合体を形成してNADPHからの電子を種々の化合物に伝達する機能をもつと考えられる。そこで、この複合体から効率良く電子を受容し、しかもラジカル種のような細胞毒性を発揮できる薬剤をスクリーニングできれば、新たな抗マラリア薬の開発につながるのではないかとの着想に至った。大腸菌をモデル細胞として用いて、マラリアFdとFNRの遺伝子を導入し、菌体外に加えた酸化還元剤に対する増殖感受性を測定する系を構築した。Fd遺伝子、FNR遺伝子を各々単独に発現する株と共発現する株を作製し、酸化還元剤を含むプレートに播種し大腸菌の生育の阻害を調べた。その結果ビオローゲン系の薬剤が生育阻害に有効であることが判明した。この薬剤の効果は熱帯熱マラリア原虫のヒト赤血球の培養系でも有効であった。これらの結果は、NADPH/FNR/Fdのレドックスカスケードが、抗マラリア戦略の標的になることを示すものである。
著者
伊勢 雅子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

組織マクロファージは機能は存在する組織により異なる。組織マクロファージの分化誘導機構の解析はほとんど行われていない。これまでに脾臓の赤脾髄に存在するマクロファージ(RPM)の分化を特異的に制御する転写因子Spi-Cを同定している。そこで、本研究では組織マクロファージの分化誘導機構の解明を目的として、組織特異的なマクロファージを誘導する組織特異的因子の同定を試みた。RPMをモデル細胞とし、HemeがSpi-cを誘導することを見出した。さらに、Hemeの分解酵素であるHmox1 (HO1) のcKO マウスを用いてマラリア感染におけるRPMの役割についても検討した。
著者
筒井 佐代
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、日本語母語話者の友人同士による日本語の雑談の音声データを用いて、「会話参加者に関わる話題」について話している雑談における、質問の発話連鎖と言語形式の特徴、および意見の対立の発話連鎖と言語形式の特徴、また、それらが話題の流れのどの位置で現れるのかといったよりマクロな視点からの特徴を分析した。その結果、ノダを用いない単純な質問と応答の連鎖は、理解に必要な情報を補足する等、挿入的に用いられること、また意見の対立は明示的になされるものの、摩擦が起きないような配慮をし、お互いの意見の相違を掘り下げないことが重要であること等が明らかになった。
著者
荒川 正晴 町田 隆吉 松井 太 舩田 善之 荒川 慎太郎 佐藤 貴保 坂尻 彰宏 赤木 崇敏 高橋 照彦 武内 紹人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

各班における資料調査の成果にもとづき、シルクロード東部地域の民族や文化の交流および政治・社会・経済などの具体的な姿を、各分担者の研究領域から明確にするとともに、「出土史料学」の基盤作りを行った。すなわち当該地域より出土した各文字資料の分類とそれぞれの性格と機能を検討し、このうち公文書については、各文書群の間で相互比較することを通じて、唐~宋~元にいたる公文書の長期間にわたる通時的な展開と、周辺国家・地域への公文書の空間的な波及と受容のあり様を明らかにした。研究成果は、既に国際ワークショップを開催して公表し、今はその成果をまとめた本を準備中である。
著者
小泉 潤二 春日 直樹 中川 敏 栗本 英世 石川 登 花渕 馨也 春日 直樹 中川 敏 栗本 英世 中川 理 石川 登 花渕 馨也 松川 恭子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、トランスナショナルな、つまり国家、国民、民族を超える現代世界の動態的現象を人類学的に把握し分析するために、「境界」に生まれるもの、つまり境界の生産性に着目した。中米、アフリカ、東南アジア、オセアニア、ヨーロッパなど各地で現地調査を実施して経験的資料を集め、国家や民族やモダニティなど多様な要因により複雑に構築される境界の理解を進めるとともに、その境界を越える人やモノの流れの現実を明らかにした。
著者
栗原 麻子 桑山 由文 井上 文則 小林 功 山内 暁子 佐野 光宣 中尾 恭三 南雲 泰輔
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ギリシア、ローマそしてビザンツにおける宗教・政治儀礼と政治体制との関係性を共通のテーマとして、個別・具体的な事例研究をおこなった。政治史的な事実と宗教儀礼とを結びつける際の危うさ踏まえたうえで、法と儀礼の相互関連性、パン・ヘレニックな祭祀拡大におけるポリス社会の関与、ビザンツ皇帝の即位における都市民衆の儀礼的関与といった具体的な個別事例について、シンポジウムで公開し、比較・検討をおこなった。
著者
富田 大介
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

コンテンポラリーダンス(contemporary dance:現代舞踊)の実践と理論に深く関わってきた研究代表者は、このダンスの社会的機能を「教育」と「福祉」の観点から捉えることを目指した。申請時の前年に受理された学位論文において、このアートの技術(芸術)的特徴を示し得た研究代表者は、その成果をもとに、本研究において、その技術が活かされる社会的な現場を精査し、このアートの様々な機能を検証するよう努め-とりわけ近年増加の傾向にあった福祉分野での機能や、ダンスを必修化した学校体育における機能を考察することで-現代の文化資本に寄与するコンテンポラリーダンサーの活動とその意義の一旦を明るみに出した。
著者
天野 敦雄
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

細胞内ロジスティクス機構と歯周病菌と細胞侵入の関連について検討を加えた。歯周病菌Porphyromonas gingivalis(Pg)は歯周細胞に侵入する.歯肉上皮細胞内に侵入したPgはまず初期エンドソームのマーカーであるFYVEと共局在を示し,その局在は経時的に減少した.その後,細胞内のPgの約半数がLAMP1(ライソソームマーカー)と共局在を示した.また,同じく感染1時間後,細胞内のPgの約70%はトランスフェリンレセプターと共局在を示し,その局在は経時的に減少した.このことから,歯肉上皮細胞内に侵入したPgはまず初期エンドソームに存在し,ライソソームで分解を受ける菌がいる一方,エンドサイトーシス経路へとソーティングされる菌がいる可能性が示された.また,エンドソームから細胞膜へのリサイクリングを制御するRabファミリーGTPaseであるRab11,およびアクチン細胞骨格系の再構成を制御するGTPaseであるRalAとPgとの共局在が観察された.RabllとRalAのドミナントネガティブ型(Rabll^<25N>,RalA^<27N>)とPgとの共局在を検討したところ,野生型と比較し,その共局率は減少した.さらに,RabllとRalA遺伝子のRNAiノックダウンにより,細菌の細胞培養液中への脱出の減少と細胞内の生菌数の増加がみられた.さらに,リサイクリング小胞の細胞膜への繋留因子であるエキソシスト複合体の1つであるSec5,Sec6およびExo84遺伝子のRNAiノックダウンを行ったところ,細胞培養液中の生菌数の減少,並びに細胞内の生菌数の増加がみられた.これらの結果より,歯肉上皮細胞に侵入したPgの一部はRabllとRalAが制御するリサイクリング経路ならびにエキソシスト複合体利用して細胞外へ脱出し,さらに近接細胞へ再侵入し,歯周組織の感染拡大を果たしていることが示唆された.
著者
加藤 博一 片寄 晴弘 真鍋 佳嗣 山口 証 井口 征士
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

1)インタラクティブアート作成支援ツールの整備使用可能なジェスチャ情報が多ければ,それだけ,作品を作っていく際の自由度がますわけであるが,そのハンドリングはア-ティストのみならずシステム制作者にとっても煩雑なものである.シンタクスがあっていたとしても,CPUの能力や通信バスの許容量を考慮したプログラミングを行わないと,思い通りに動かなかったり,時にはシステム全体がクラッシュしてしまうことがある.我々は,各シーンのトランディションが明に記述できるMAX上のフレームワークHIATを作成した.HIATでは,音響エフェクトに関するパッチ,音像移動などディジタルミキサに関するパッチ,その他にパターン認識パッチ,トリガー生成不応期パッチ,映像系制御パッチを利用することが出来る.2)VRシステム使用時の緊張状態の生理指標による計測の検討定量的・客観的に心理状態を得る手段として,生理指標を用いた手法が確立されつつある.特に,皮膚電位活動及び心拍活動といった生理指標を用いることで,緊張状態を定量的に評価できることが知られている.本研究では,これらの生理指標を用いて緊張状態に影響を与える要因と生理指標との関係を用いて解析を行い,その結果に基づいて人間の緊張状態をモデル化するという試みを行ってきた.Virtual Performer演奏時における生理指標の計測を行い,演奏時における緊張状態が計測可能であることを確認するとともに,パフォーマ-と観客の生理指標を同時計測し,緊張状態の関連性についての検討を行った.
著者
岡本 徹
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

日本脳炎ウイルス感染によってアポトーシスを抑制するタンパク質Mcl1が顕著にプロテアソームによって分解を受けることを示しCRISPR/Cas9を用いた遺伝子破壊技術を用いてヒトの肝癌由来細胞株であるHuh7で、Mcl1欠損細胞とBcl-x欠損細胞を作製し、各ウイルス感染における細胞死の変化を調べた。すると、日本脳炎ウイルス感染では、Bcl-x欠損細胞で顕著に細胞死が亢進したが、Mcl1欠損細胞では野生型のHuh7と同程度だった。Bcl-x欠損細胞では、その生存がMcl1に依存しているため、日本脳炎ウイルス感染によってMcl1が分解され、死に至ったと考えられた。
著者
小島 理永 藤田 和樹 島本 英樹 内藤 智之 門田 浩二 河野 史倫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では,大学生の生活習慣やメンタルヘルス等の健康状態を多元的視点から評価可能な生活習慣尺度を作成し,その妥当性を検討するとともに,回答者の健康状態と経時変化が確認できるWebアンケートシステムを構築した.そして,フィットネスとメンタルヘルスの因果関係について検討した結果,大学生の体力の低下は,直接的にメンタルヘルスに,また,間接的にソーシャルヘルスに影響を及ぼしており,性差によって影響要因が異なっていたことが明らかになった.これらの成果より,健康教育における本アンケートシステムの汎用性が確認できた.
著者
岡野 英之
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

■エボラ禍により渡航できず、代わりに北欧アフリカ研究所で客員研究員として滞在した■平成26年度はリベリア、シエラレオネがエボラ出血熱の災禍に巻き込まれたため渡航できず研究が十分に進まなかった。渡航予定であった期間、および、現地調査費用を流用する形で北欧アフリカ研究所(Nordic Africa Institute)で二か月間客員研究員をし、現地の研究者と交流を行った。■3つの口頭発表を行った■本年度の研究成果の口頭発表は三本ある。日本アフリカ学会での発表は、シエラレオネ人難民で内戦下のリベリアへと逃げざるを得なかった人々の経験を紹介することで、武装勢力の統治下で人々がいかなる暮らしをしているのかについて発表した。また、国際人類学民族誌学連合(International Union of Anthropology and Ethnographic Sciences: IUAES)の発表では、武装勢力の幹部がいかに人脈を用いて活動を展開しているのかを明らかにした。さらに、京都大学がカメルーンで12月に開催した国際会議では、元司令官が紛争後に部隊のコネクションを通じて新しいビジネスに乗り出していることを明らかにした。■本研究プロジェクトの成果の一部を書籍として発表した■2015年2月に昭和堂から『アフリカの内戦と武装勢力―シエラレオネにみる人脈ネットワークの生成と変容―』を上梓した。本書は、シエラレオネの内戦の動きを中心に、研究成果をまとめたものである。